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転生者が歩む新たな人生

作者:冬夏春秋
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第56話 ネギ逃亡

 
前書き
タイトルが既にネタバレ 

 
 さて、ネギがいつ帰ってくるのか---ネギの部屋を家宅捜査した際「私の勝ちネ」というメッセージカードがダイオラマ魔法球に貼り付けてあったため、超(チャオ)にネギらがはめられたことは推察されている---を後は待つだけのハズがとんでもないことが起こりやがった。

 何ごとかというとその影響性の高さから全世界の裏組織によって秘匿されていた「白騎士事件」が「Y○U TUBE」やら「ニ○ニ○動画」やらの動画サイトを通じて、全世界規模で暴露されてしまった。

 まぁ、あれだ。裏組織全体が超による麻帆良武闘祭の動画やらの魔法公開に対応している隙を見事に突かれた。

 犯人は篠ノ之博士だな。

 世界規模で「白騎士事件」=「ISの優秀さ」を隠しているのが気に入らなかったんだろう。

 動画のアップ主も事件に関わった自衛隊の某隊員やら米国の海兵隊員Aやらが「上の指示により世間に隠していたのを自分の良心に耐えかねて~」とかそれなりに工夫---もちろん某隊員など実在していない---されており、ここ3~4日で一気に広がったようだ。

 ちなみに不幸中の幸いと言っていいのか、現時点ではこれらの失態はすべて「関東魔法協会」の失態であり、オレの所属する「日本異能協会」の失態ではない。というか、日本異能協会が関東魔法協会を接収する正当な理由---あんたらにはまかせておけんとかそんな感じ---の一つとして使えるぐらいだ。

 まぁ、世界各国の裏組織から見た日本という視点ではマイナスだが。

 ちなみにこれらの余波は、日本の内閣総辞職を始めとして、世界中の政府組織に影響を与えるとともに、来年北欧で行われる予定の「第1回モンド・グロッソ」がにわかに世間一般に注目されるなどに現れることとなる。





  ☆  ★  ☆  





 さて、坂道を転げ落ちるように状況が悪くなって行く---超によるテロを防げずプライドに傷が付くわ、主犯は逃がすわ、学園都市を認可される理由である世界樹は無くなるわ、学園長は表の世界で拘留されるわ、これらを理由に日本での母体である関東魔法協会が接収されるわ、そのせいで近く日本から追い出されるわ、で踏んだり蹴ったりである---麻帆良学園所属の魔法使いがそれでもどうにか気を持ち直して業務、主に先生としての引き継ぎや魔法先生としてのパトロール---もっとも世界樹も無くなり日本異能協会に接収されることが決まった今、もう外部からの侵入者も現れず、もっぱら麻帆良結界の悪影響による常識外の行動を諫める程度だが---を行っている麻帆良祭から一週間経ったある日、ネギ一行が帰って来た。

 というか、超にはめられたのに気付かず、麻帆良祭最終日だと思い、意気揚々と超の計画を阻止するつもりでいたのを、ネギの部屋を監視していた魔法先生に見つかり、問答無用で拘束されたのだ。

 なお、ここでネギの現在置かれている立場を整理すると、ネギ・スプリングフィールドは、表の世界では「3-Aの担任」、裏の世界では「日本で先生をするという試験を受けている魔法使い見習い」であり、「事前に捕まえた超(テロリスト)を自分が責任を取ると言ってあえて逃がした人物」である。ちなみに超を逃がしたでは、総責任者である「学園長」、見習いの言葉を信じて超を逃がした「ガンドルフィーニ氏」、ネギの監督者になっている---オレが麻帆良から出た後、人事が刷新したらしい---「高畑氏」の次に責任がある立場だ。

 具体的に言うと実はほとんど責任がない。

 そりゃそうだ。ネギはあくまでも「魔法使い見習い」なんだから。もっとも卒業試験には不合格なので、見習いを卒業したければ、魔法世界本国で再修行するしかないが。

 それに対して他の魔法先生はどうかというと、原作とは違い「魔法バレ」は防がれているので、「超によるテロを防げなかったこと」「世界樹が消失したこと」「MM連合からの出先機関である関東魔法協会が無くなること」の3つが彼らに対する罪状となる。ISコア云々については魔法先生的にはまったく無関係である。

 よって、オコジョ刑という名の魔法世界での刑罰を受けるのは、総責任者の学園長(10年)と警備責任者の高畑氏(5年)、結界・防衛責任者の大学部の某先生(3年)、そして見習い---ネギのことである---の言を採用して超を逃がしたガンドルフィーニ氏(3年)である。

 逆に言えばこの4人がオコジョ刑となるので他の魔法先生は刑罰を受けない。ただ、日本異能協会は魔法世界の組織とは断絶する方向なので、日本異能協会に転属しない魔法先生は二度と日本に戻れない国外追放となる。

 まぁ、魔法世界で生きるのなら、関係ないわけだ。

 もっともキャリア的には「MM連合からの出先機関である関東魔法協会が無くなること」の原因となった一員ということで、絶望的だろうが。

 なお、神楽坂らネギの従者については、契約の解除と魔法についての記憶の封印、長瀬ら協力者らは魔法についての記憶の封印、これらの同意があれば、なんらペナルティーもなく日常の表の世界に戻れる。が、逆にこれらに同意しなければ魔法先生同様国外追放になる。





  ☆  ★  ☆  





 さて、本来関わり合いになりたくなかったが、直近まで麻帆良学園にいたということで事情に詳しいオレもネギへの事情徴収に呼ばれた。

 もちろんネギが拘束されてオレが呼び出されるまでに時間があったので、その間にネギから「超鈴音にカンする報告書」が出された。

 まぁ、内容はお察しの通りで、ネギから見、ネギが知っている超に対して書かれており、「航時機(タイムマシン)による歴史改変」がその目的となっている。

 うん、あれだ。

 真実を知っている人から見ればその通りだが、現在表に出ている事実は、「超鈴音は麻帆良学園最終日にテロを起こし、世界樹とISコアを盗んだテロリスト」であり、「特殊な結界で敵対する魔法先生を3日間拘束した」ことだ。

 残念ながら普通は信じないだろう。

 そんな中でネギに対する事情徴収が始まる。

 麻帆良学園大学部にある地下の一角にある部屋に、ネギ、オレ、高畑氏、ガンドルフィーニ氏、瀬流彦先生の5人が入り、ネギだけが椅子に座り、その正面に立ったガンドルフィーニ氏が「こんな場所に閉じこめて申し訳ないネギ先生」と声をかけて始まる。

 ちなみにオレは、ネギの表情と高畑氏の動向が探れる誰からも離れた位置に立っている。
 ぶっちゃけ警戒しているのはおこちゃまのネギと英雄の息子を形振り構わず助けようと暴走するかも知れない高畑氏だ。もっともオレに求められているのはそう言ったことが起きた場合のそれらの鎮圧ではなく、とっとと逃げてその事実を報告することなのだが。

 ………。

 とまぁそんなことを考えている内にネギとガンドルフィーニ氏の話しは続く。

「ガ…、ガンドルフィーニ先生。麻帆良祭最終日に何があったのですか? 超さんはいったい何を………?」

「我々魔法使いは完敗したよ、ネギ先生。たった1人の少女にね………」

 そうガンドルフィーニ氏が語る麻帆良祭最終日の攻防に驚くネギ。

 と言っても単に6カ所ある魔力溜まりに戦力を分散させられ、確固撃破され、あげくに世界樹とISコアとともに超に逃げられたという事実を説明されただけなのだが。

「学園長も表の世界で拘束されている。麻帆良学園都市の建設理由である世界樹もなくなった。それにより残った魔力溜まりの魔力を使っても精々1ヶ月程度しか麻帆良結界を維持できないと試算されている。もう手遅れなんだよ」

「ま、待ってください。僕は超さんの航時機(タイムマシン)を持っています! それを使って学園祭最終日に戻ればまだ歴史を元に戻すことが………」

「まだそんな夢物語を言っているのか。時間跳躍など不可能だ。いい加減にしたまえ、ネギ先生!」

「だ、だけど」

「そもそもどうやって超を捕らえるんだい?」

 あ、しまった。口を挟むつもりは無かったのについ口に出しちゃった。

「なっ! サ、サギ」

「やめたまえ、遠坂君。そんな仮定を話しても時間の無駄だ。とにかく、だ。ネギ先生はこのままおとなしくしててくれたまえ。おって本国に渡る日程を伝えるから」

「で、でも僕、先生の仕事は………。みんなは………」

「君の修行はこれで終わりだ。魔法使いは皆この地を去ることになる。幸い君は「英雄の息子」だ。本国で再修行するなりすれば「立派な魔法使い」にきっとなれる。影ながら応援しているよ」

 もう話すこともないんだろう。瀬流彦先生とガンドルフィーニ氏は連れだって出て行く。

 まぁ、ネギの主張を認めたせいでオコジョ刑が確定しているんだ。そう長く話したくもないんだろうな。気持ちはわかる。と言うかその辺をネギに言わないのは個人的に尊敬できるわ。

 オレ?

 瀬流彦先生達一緒に退室するよ。高畑氏が残っているけど、ネギと長くいたくもないしね。他の3-Aの生徒も気になるしね。



 さて、ネギと一緒に拘束された3-Aの生徒と話す。

 まず、桜咲。事前に木乃香が話していたので、概ね納得はしているようだ。この一月二月の間でネギと仮契約をしてるらしいが、まぁこの子は木乃香と一緒にいれさえすれば良いんだろうから、当たり前か。

 次に古(クー)。超と仲が良かったせいかテロリストだというのを認めない。ついでに記憶消去も受け入れない。なので国外追放になるが、ネギと一緒に魔法世界なり、母国の中国なりで生きて行くんだろう。一応中国の組織には魔法関係者だと言うことは伝える予定だ。

 長瀬。今回の件はあるがままに認め、その上で裏世界で生きて行くつもりらしい。まぁ、実家は日本異能協会所属の忍びの一族なので、記憶消去をする必要もない。もっとも実家からは再修行させるので、麻帆良から戻すという要望が届いているので、麻帆良から転校というカタチになるだろう。

 元図書館組の3人。こっちの言うことを聞きやしねぇ。図書館探検部の実質的な廃部に追い込んだこともあってか、こっちのいうことを疑ってかかって話しにならん。ネギに付いて行くの一点張りで、それに対するデメリットとか伝えようにも伝わらないので、もうどうにもならん。3人ともネギと仮契約してそれを破棄するつもりもないようなんでネギに任せよう。

 神楽坂。ギャーギャーうるさい。ネギの処遇もそうだが高畑氏のオコジョ刑が気に入らないらしく、騒がしくて話しにならん。話しにならんのでこのまま国外追放だな。「完全なる世界」に狙われるかも知れんが、こんな状態じゃぁ手助けもできんわ。ネギの従者なんだし、ネギが守るだろう、きっと。

 疲れる話し合いを終えて報告に戻る。



 二度とゴメンだと思いつつ報告していると、「ネギが拘束されている3-Aの生徒らを連れて脱走」という情報が流れてくる。

 高畑氏が呪文封印処理済みの部屋の鍵をかけずちょっと部屋を出た隙にネギが逃亡、拘束されていた3-Aの生徒と次々に合流し、そのまま世界樹の魔力溜まりの場所へ。そこから超と同様足取りが消えた---間違いなく航時機で時間移動したんだろう---らしい。

 なお、桜咲のいた部屋には木乃香宛の手紙---どうしてもネギや神楽坂を見捨てれないという謝罪の手紙---が残っていた。

 それを知った木乃香が哀しみ激怒したのは言うまでもない………。 
 

 
後書き
とまあ、こんな感じでネギ一行はこの時間軸からログアウト。この時間軸には戻って来ません。
原作とは違い従者一行も一緒に捕らえられているのでネギ主体で逃亡。及び世界樹ではなく、その残存魔力溜まりを使って航時機を使用。当然その魔力溜まりは消滅してます。その辺は次話で。
次話はネギま編最終話の予定。
麻帆良結界、ナギ、完全なる世界マスター、そして魔法世界。その辺を語れれればいいなと。 
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