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不殺の侍と聖杯戦争

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本戦
一回戦~残り128人
  三日目

夕方、剣心が話しかけてくる。


「主よ。昨日も言ったが、この戦いは敵の情報を知ることが大きな意味を持つでござる。そのためには学園においても、情報収集をしっかりと行う必要があるでござる。
アリーナに入れば、日が高いうちには戻ってはこれぬゆえ、学園内における調査が終わってからアリーナに向かうことにしよう。」


二階の廊下にて、慎二を見つける。


「どうやらお主の対戦相手が揉め事を起こしているようでござる。あちらに行けば、何かがあるかもしれぬでござるよ。」


剣心の言葉に、慎二の方へと近づく。どうやら、誰かと話しているようだ。


「君はもう、アリーナには入ったのかい?
なかなか面白いとこだったよ?ファンタジックなものかと思ってたけど、わりとプリミティブなアプローチだったね。
神話再現的な静かの海ってところかな。さっき、アームストロングをサーヴァントにしているマスターも見かけたしねぇ。
いや、シャレてるよ。海ってのはホントいいテーマだ。このゲーム、結構よくできてるじゃないか。」
「あら、その分じゃ、いいサーヴァントを引いたみたいね。アジア圏有数のクラッカー、マトウシンジ君?」
「ああ。君には何度か煮え湯を飲まされたけど、今回は僕の勝ちだぜ?
僕と、彼女の艦隊はまさに無敵。いくら君が逆立ちしても、今回ばかりは届かない存在さ。」
「へぇ、サーヴァントの情報を敵にしゃべっちゃうなんて、マトウくんったら、ずいぶんと余裕なんだ。」


優雅さを含んだその声は、遠坂凛の物だった。
彼女は慎二の自慢を保護者さながらの余裕で流している。
自分の失態に気が付いたのか、慎二の顔がさっと赤くなる。


「う……そ、そうさ!あんまり一方的だとつまらないから、ハンデってヤツさ!
で、でも大したハンデじゃないか、な?ほら、僕のブラフかもしれないし、参考にする価値はないかもだよ……?」
「そうね。さっきの迂闊な発言からじゃ、真名は想像の域を出ない。
ま、それでも艦隊を操るクラスなら、候補は絞られているようなものだし、どうせ攻撃も艦なんでしょ?
艦砲射撃だとか、或いは…突撃でもしてくるのかしらね。どのみち、物理攻撃な気がするけど。」
「う……」
「ま、今のわたしにできるのは、物理防壁を大量に用意しておくぐらいかしら。」


慎二の顔が、みるみる青くなる。
サーヴァントの情報が敵に知られれば、対策も立てられてしまう。
個々の力が強力である以上、一方だけが対策を立ててしまえば、戦いの結果は明らかだ。なるほど、情報が重要だというのは、こういうことだったのか。


「あ、一つ忠告しておくけど。私の分析(アナライズ)が正しいなら、『無敵艦隊』はどうなのかしらね。
それはむしろ彼女の敵側のあだ名だし?せっかくのサーヴァントも、気を悪くしちゃうわよ。」
「ふ、ふん……まあいいさ。知識だけあっても、実践できなきゃ意味ないし。君と僕が必ず戦うとも限らないしね。」


慎二は、そんな捨て台詞をはいて立ち去るのが精一杯だった。
と、たまたま去る方向がこっちだったようだ。別に隠れるわけではないが、慎二に見つかってしまう。


「おまえ……!まさか、そこでずっと見てたわけ!?
ふ、ふん……どうせおまえじゃ、僕の無敵艦……いや、サーヴァントは止められないさ。
どっちにしろ僕の勝ちは動かない。じゃあな。おまえもせいぜい頑張れば?」


そう言い残し、慎二は去っていった。そこへ遠坂凛が来る。


「……やれやれ、緊張感に欠けるマスターが多いわね。」


と、剣心が話しかけてくる。


「彼女の言う様に、彼は情報の重要性がわかってないようでござるな。とにかく、このように学園で重要な情報が得られることもあるでござる。調査は常に油断なく行うでござるよ。」


今日得た情報について、図書室で調べてみよう。
資料は意外と簡単に見つかった。



『無敵艦隊について』
大航海時代におけるスペイン艦隊の異名。千トン級以上の大型艦100隻以上を主軸とし、合計6万5千人からなる英国征服艦隊。
スペインを『太陽の沈まぬ王国』と(うた)わしめた、無敵の艦隊である。




遠坂凛は無敵艦隊の敵、と言っていた。そこからわかるのはおそらく慎二のサーヴァントはイギリスの英霊だろうという事。
情報も得られたし、今日はもうアリーナへ行こう。


アリーナで鍛錬を行い、帰還する。
今日は結構戦った。明日のために早く休もう。 
 

 
後書き
三日目でーす。

次はあの人達も登場しますよ~ 
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