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いつか必ず、かめはめ波を撃つことを夢見て

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第13話 別れ!武泰斗の夢

 ある晴れた日、ナシゴがいつもの様に、修行としてカリン塔を駆け下りようとする所に、武泰斗が話したいことがあると言って、ナシゴを止めた。そして、武泰斗は心にある決意を持って、カリンとナシゴに向かい合っていた。

「ほう? カリン塔を降りるじゃと?」
 カリンが武泰斗の決意を聞いて、声を上げる。
 武泰斗は、もうカリン塔のてっぺんまで戻ってこないつもりを、カリンとナシゴに語った。つまり、ここでの修行を終わりにするという。

「なぜです? 修行をやめて、何をするつもりですか?」
 ナシゴは不思議に思い、修行をやめる理由を聞いた。
「私の夢は、強い武道家になって、その技術をより多くの青年たちに伝えていきたいんです」
 武泰斗は語った。子供の頃、住んでいた地域では、精神や肉体的の弱い人間たちが多く、犯罪行為が横行していたということを。その経験から、今から育つ若者にはそうなって欲しくないこと。武道というものを教えて、より強き心と身体を手に入れて、優しい人間になってほしいと。
「私は、地上に下りて、道場を開きたいと思っています」
「なるほど、地上で道場を開くなら、カリン塔で修行を続けるのは難しいか」
 ナシゴは、理由を聞いてそう思った。確かに、道場を開くならば、聖地カリンという場所の近くは、あまり好ましくない。

「免許皆伝にはならんがのぅ。ワシ達は、まだまだ修行して強くなるつもりじゃし」
 カリンは、ナシゴと修行をしていくうちに修行の魅力にハマってしまい、より自分を高めるという行為に病み付きになってしまっていた。だから、免許皆伝というものは出来ないが、良いかと聞いた。
「はい。ですが、自分の夢を叶えるためには、今がその時だと感じたのです」
 武泰斗の決意は固く、まっすぐカリンを見つめる。今日がカリン塔を下りる日だと感じた、武泰斗はカリンとナシゴに自身の夢と決意を語った。
「そうか、このカリン塔は修行したい者ならば、皆受け入れる。辞めたいと思うならば、それも自由じゃ」
 カリンは優しく微笑むと、そう言った。

 そして、10年もの長い間を修行した武泰斗は、カリン塔を下りることになった。

「カリン様、修行を付けて頂いて本当にありがとうございました。ナシゴ様、一緒に修行できて本当に良かったです」

 ナシゴは、武泰斗に言うか言うまいか悩んでいた事柄について、この時に話すことにした。
「武泰斗、聞いてくれ。この先、ピッコロ大魔王と呼ばれる、恐ろしい強敵が現れる。それはいつか分からないが、必ず現れるだろう」
 ナシゴは、原作知識を武泰斗に語った。ナシゴは今まで、武泰斗に関する未来の知識は、武泰斗に話していなかったが、今日、カリン塔を下りて修行を終えるということで、未来の知識を話すことにしたのだ。
「そこで、お前は敗れるかもしれない。しかし、その時新しい技を開発するだろう。魔封波という命を犠牲にする技だ。しかし、それは使うな」
 技を使って、命を犠牲にするなとナシゴは武泰斗に忠告した。武泰斗は、しっかりとその話を聞いて、心に刻みつけた。
「分かりました、ナシゴ様。ピッコロ大魔王、注意しておきます」

「地上に下りても、修行は続けるのじゃぞ。弟子を見ながら、自分も鍛えるのじゃ」
 カリンは、武泰斗に忠告する。弟子が出来ても、自分の修行は止めるなと。

「ありがとうございました!」
 もう一度、お礼を言う武泰斗。そして、カリン塔の下までナシゴと武泰斗は一緒に降りた。

 地上に住んで、カリン塔を守っているニラにも事情を話す。武泰斗が今日限りで、修行を終えると。ニラも、武泰斗の新しい門出を祝福し、道場を開くことを応援した。

「それじゃあ、そろそろ行きますね」
 荷物も少なく、袋一つを背負った武泰斗は立ち上がり、聖地カリンを抜けて、故郷を帰るために歩き出した。
「頑張れよ! 武泰斗」
 ナシゴは歩いて行く武泰斗の背中に、最後に声を掛けると、自分はカリンの塔へのてっぺんへと戻っていった。

 故郷へ戻った武泰斗は、道場を開くと数十人もの弟子を取り、育て始めた。武泰斗は後に、世界一有名な武道家となった。 
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