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たちまち遊戯王

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第4話-A 郷の真ん中で流行り物を身に付ける

「話は聞いてるぞ。ニホン人なんだってな」
 ノーカンは興味に目を輝かせている。
「そだよ。私の名前は十七夜 鈴瞳宜しくねー」
 鈴瞳はにっこり笑って手を振った。ちなみに、万能言語変換器により務都弥達の言葉はこの国の言葉になる。
「俺は……」
「んでこっちがむっ君こと務都弥で、こっちがらっ君こと埒路だよ」
 鈴瞳は2人の紹介を勝手に引き受けた。
「宜しくお願いします」
 埒路は軽く礼をした。
「んで、3人はどんなデッキを使うんだ?」
 ノーカンは3人をぐるっと見回した。
「何も使わないです」
 埒路は首をブンブンと横に振った。
「あ、らっ君はデュエルやんないの」
「おっ、そうか。んじゃ、リンドウとムツミはやるのか?」
「うん」
 鈴瞳は頷いた。
「へぇ、どっちが強いんだ?」
「……あのね、ノーカン君」
 鈴瞳は急に真剣な顔つきになった。
「どっちが強いかなんて一概には言えないもんなんだよ。そりゃ、1回戦えば勝敗はつくよ?でもね、それだけじゃどっちが強い弱いを判断するのには向いてな……」
「さっき俺とこいつでやって俺が勝った」
「おっけー」
「待ってよ酷いよ!」
 鈴瞳は悲痛そうに叫んだ。
「じゃ、リンドウ、先にデュエルしよーぜ」
 ノーカンはそう言いながらデッキを取り出した。
「なぁんか下に見られてる気がするんですが、まぁいいでしょう!」
「よしきた!」
 ノーカンはそう言うと決闘台を戻しだした。
「……ねぇ」
 鈴瞳はレタウの方を向いた。
「はい?」
「あれ、自動で出来るようにならないの?」
 鈴瞳はノーカンが決闘台を戻してる所を指さしながらなんとも言えない表情をした。
「5年以内には」
「その頃には私帰ってるんだよねー」
「だといいですね」
 レタウはにっこり微笑んだ。
「……か、帰ってる。帰ってる」
 鈴瞳は自分に言い聞かせるように頷いた。
「よっし!準備出来たぞ」
「よっしゃ」
《ピー、デュエルを始めます》
 そしてこの音と共に、デュエルが始まる。


 鈴瞳は初手を確認しながら右上を見た。先攻の表示だ。
「私の先攻、ドロー」
 鈴瞳は自分の手札を見た。
「うん。まずまず。《成金忍者》を召喚。手札の《神の宣告》を捨てて、《成金忍者》の効果を発動。デッキからー《忍者マスター HANZO》をー表側守備表示で、特殊、召喚。《HANZO》の効果発動。特殊召喚されたから、デッキから……《成金忍者》を手札に加えるよ」

忍者マスター HANZO
星4/闇属性/戦士族/攻1800/守1000
このカードが召喚に成功した時、
デッキから「忍法」と名のついたカード1枚を手札に加える事ができる。
また、このカードが反転召喚・特殊召喚に成功した時、
デッキから「忍者マスター HANZO」以外の
「忍者」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。

 手札損失1枚でレベル4を出すエクシーズ忍者の定番パターンを《エフェクト・ヴェーラー》等の妨害無しで行えたことに安心しながら鈴瞳は定番の流れを続ける。
「《成金忍者》と《HANZO》でエクシーズ。《キングレムリン》を攻撃表示でエクシーズ召喚。エクシーズ素材の《成金忍者》を取り除いて《キングレムリン》の効果発動。デッキから……《カゲトカゲ》を手札に加えるよ。そして……カードを1枚伏せてターンエンド」

キングレムリン
ランク4/闇属性/爬虫類族/攻2300/守2000/エクシーズ
レベル4モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
デッキから爬虫類族モンスター1体を手札に加える。

『俺のターン、ドロー』
(うわぁぁ、どんなデッキ使ってくるんだろ……!)
 鈴瞳は期待の面持ちで待機した。
(なんてったって異世界人だもんね。なんか凄いことしてきそう)
 鈴瞳は無茶苦茶なことを考えながら相手の挙動を待った。
『《サイクロン》。その伏せ破壊な』
「あちゃー」
 相手のターン開始早々伏せていた《強制脱出装置》を破壊されてしまった。しかしそんなことはよくあるので鈴瞳は気を取り直す。
『《ゴブリンドバーグ》召喚。効果で手札の《アステル・ドローン》を守備表示で特殊召喚して《ドバーグ》を守備表示に』
(ランク4かぁ)

ゴブリンドバーグ
星4/地属性/戦士族/攻1400/守 0
このカードが召喚に成功した時、
手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚できる。
この効果を使用した場合、このカードは守備表示になる。

アステル・ドローン
星4/地属性/魔法使い族/攻1600/守1000
このカードをエクシーズ召喚に使用する場合、
このカードはレベル5モンスターとして扱う事ができる。
また、このカードを素材としたエクシーズモンスターは以下の効果を得る。
●このエクシーズ召喚に成功した時、
デッキからカードを1枚ドローする。

『俺は《ゴブリンドバーグ》と《アステル・ドローン》でオーバーレイ。そうだなー……《キングレムリン》をエクシーズ召喚。攻撃表示。《アステル・ドローン》を素材にした《キングレムリン》の効果で1枚ドロー。更にオーバーレイユニットを取り除いて《キングレムリン》の効果発動。デッキから《カメンレオン》を手札に加える』
 ノーカンも《キングレムリン》で手札を整えた。
『……んじゃ、カードを2枚伏せて、ターンエンド』

鈴瞳 LP8000
場:モンスター 《キングレムリン》(攻撃表示)
  魔法、罠  無し
手札:5枚

ノーカン LP8000
場:モンスター 《キングレムリン》(攻撃表示)
  魔法、罠  伏せカード2枚
手札:3枚

(攻撃しない……?)
 この場合、相手の《キングレムリン》に効果を使われないように相討ちに持ち込むのが定石である。しかし、ノーカンは攻撃しなかった。攻撃に反応する罠カードを警戒する可能性も、伏せカードが0枚の今の状況ではありえない。手札誘発で攻撃を阻止することは出来るが、鈴瞳にそれをさせたなら鈴瞳の手札を消費させられる。
(あーもー、考えたって何にも分からん!)
「私のターン、ドロー」
 鈴瞳は思考を放棄してカードを引いた。
(おっけいい手札!)
 鈴瞳は内心でガッツポーズをした。
「エクシーズ素材の《HANZO》を取り除いて、《キングレムリン》の効果発動。デッキから、……《カゲトカゲ》を手札に加えるよ」
 場に残った《キングレムリン》の効果を取り敢えず使う。
「《大嵐》!」
 そして、ノーカンの伏せカードを破壊しにいった。
『それにチェーンして、リンドウの《キングレムリン》を対象に《強制脱出装置》。』
 ノーカンはさっき鈴瞳も伏せていたカードをチェーンした。先程の鈴瞳の状況と違って、相手にとってフィールドからどかしたいモンスターがいる。

大嵐
通常魔法
フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

強制脱出装置
通常罠
フィールド上のモンスター1体を選択して持ち主の手札に戻す  

 しかし鈴瞳にとってこれ位は想定内だった。《強制脱出装置》は破壊されそうになったら取り敢えずチェーン出来るのが強みの1つだからだ。
『《強制脱出装置》にチェーン。俺の《キングレムリン》をリリースして、《魔のデッキ破壊ウイルス》』
「えげっ!」

魔のデッキ破壊ウィルス
通常罠
自分フィールド上に存在する攻撃力2000以上の
闇属性モンスター1体をリリースして発動する。
相手フィールド上に存在するモンスター、相手の手札、
相手のターンで数えて3ターンの間に相手がドローしたカードを全て確認し、
攻撃力1500以下のモンスターを破壊する。

 攻撃力1500以下。それは今まで鈴瞳がサーチしてきた《成金忍者》や2枚の《カゲトカゲ》も当てはまる上に、手札に隠し持っていた《デブリ・ドラゴン》までも破壊されてしまった。
『なんか、ピンポイントメタみたいでちょっと申し訳ねぇな……』
 残った手札は《フォトン・スラッシャー》と《死者蘇生》のみ。
「あぁぁもぉ!こーなったら全力でぶっちぎる!場にモンスターがいないから《フォトン・スラッシャー》を特殊召喚!」
 鈴瞳はもうヤケになっていた。

フォトン・スラッシャー
星4/光属性/戦士族/攻2100/守 0
このカードは通常召喚できない。
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合に特殊召喚できる。
自分フィールド上にこのカード以外のモンスターが存在する場合、
このカードは攻撃できない。

「墓地の《忍者マスター HANZO》を対象に《死者蘇生》!《忍者マスター HANZO》を特殊召喚!《忍者マスター HANZO》の効果発動!デッキから……《機甲忍者アクア》を手札に!そして《アクア》を召喚!」
『なんか悪いことしちまったなぁ……』
 荒れ狂う鈴瞳を前にノーカンはポツリと呟いた。
「もーどーにでもなれ!《フォトン・スラッシャー》と《忍者マスター HANZO》と《機甲忍者アクア》でエクシーズ!《ショック・ルーラー》をエクシーズ召喚!」

No.(ナンバーズ)16 色の支配者ショック・ルーラー
ランク4/光属性/天使族/攻2300/守1600/エクシーズ
レベル4モンスター×3
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、
カードの種類(モンスター・魔法・罠)を宣言して発動できる。
次の相手ターン終了時まで、宣言した種類のカードをお互いに発動できない。

「エクシーズ素材の《HANZO》を取り除いてモンスター効果を宣言して《ショック・ルーラー》の効果発動!」
 これで、次のノーカンのターンの終わりまでお互いにモンスター効果を発動出来ない。
「バトル!《ショック・ルーラー》でダイレクトアタック!」

ノーカン LP8000→5700

「ターンエンドぉ!」
 鈴瞳はフゥゥゥと長く息を吐いた。
「うん。いかん。落ち着こう、私」
 鈴瞳は深呼吸をした。
『よしっ、俺のターン。ドロー……』
 ノーカンは引いたカードを見てニヤリと笑った。
『悪いな。引きの運に関しちゃ俺の方が随分いいようだ。《増援》を発動。デッキから……《フォトン・スラッシャー》をサーチする。そして俺の場にモンスターがいないから《フォトン・スラッシャー》を特殊召喚。攻撃表示』
 《フォトン・スラッシャー》を特殊召喚するのは効果の発動ではないので、《ショック・ルーラー》によってモンスター効果の発動を封じられていても行える。
『そして《メルキド四面獣》を召喚』

メルキド四面獣
星4/闇属性/悪魔族/攻1500/守1200
4つの仮面を切り替えながら、4種類の攻撃をしてくる化け物。

「ん……?」
 鈴瞳は困惑を隠せなかった。
 一見ただの通常モンスターだ。だが、デッキに入れているからにはなんらかの目的がある。
『俺は《フォトン・スラッシャー》と《メルキド四面獣》をリリース』
「!?」
『仮面に隠した怨念よ 今復讐の肉体を得て、その意のままに悲鳴を引き裂け!《仮面魔獣デス・ガーディウス》!攻撃表示!』

仮面魔獣デス・ガーディウス
星8/闇属性/悪魔族/攻3300/守2500
「仮面呪術師カースド・ギュラ」「メルキド四面獣」どちらかを含む
生け贄2体を捧げない限り特殊召喚できない。
このカードがフィールドから墓地に行った時、
デッキから「遺言の仮面」1枚をフィールド上モンスターに装備させ、
デッキをシャッフルする。
 
「……おぉ、ノリノリだ」
『ノリノリって、切り札の口上位作っとくもんがデュエリストだろ?』
「……え?」
 きょとんとする鈴瞳をよそにノーカンの話は止まらない。
『俺は結構デッキ変えるからその度に新しい口上考えんの結構大変なんだよ。でもまぁ、凄い楽しいけどな』
 ノーカンはそう言って照れ臭そうに、でも誇らしげに笑った。
「……と、ともかく、デュエルを続けよう」
『そーだな。じゃ、《デス・ガーディウス》で《ショック・ルーラー》を攻撃』

デス・ガーディウス(攻)→ショック・ルーラー(攻)
3300vs2300
鈴瞳 LP8000→7000

『俺はこれでターンエンド』

鈴瞳 LP7000 魔のデッキウイルス感染中。あと3ターン
場:モンスター 無し
  魔法、罠  無し
手札:0枚

ノーカン LP5700
場:モンスター 《仮面魔獣デス・ガーディウス》(攻撃表示)
  魔法、罠  無し
手札:1枚

(そう言えば、モンスター同士の戦闘を映像で見るのって、あれが初めてだよね?)
 務都弥とのデュエルではモンスターとの戦闘を行わなかった。
 しかし、先程の戦闘の映像中の鈴瞳は切り札の召喚口上が当たり前の異文化によるショックと《ショック・ルーラー》があっさりと突破されるショックで少し心ここにあらずだった。
(……ちょっと損した気分?)
『……どーしたんだ急に固まって?』
「あっ、大丈夫だよ!」
 次は鈴瞳のターン。 
 

 
後書き
さるとんどる。おみのづえSPです。
マスタールールが移行する前に急いで書いちゃわないと。
大嵐が先かキングレが先か、ルーラーを出したのは間違いだったのか、結構難しい所があって僕の中でも正解が出てません(特に後者)。
いかん早く書き終えないと!というわけで雑に畳みます。

と言いながら終わらなかったんだよ!
勿論、これはマスタールール2(3/20以前のルール)で行っております。だって書き始めが3/20だからね!
 
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