| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第6章:女の決意・男の勘違い
  第27話:無為な時間、でも平和な時間

(世界樹の根元)
ライアンSIDE

リュカ殿と別れ先に根元の町へ戻った我々は、ウルフのアドバイスに従い宿屋を確保する。
まだ夕刻前で、リュカ殿が直ぐに降りてくれば宿の必要が無く、ご家族以外は『宿を確保しても無駄なのでは?』と懐疑的な心境を呟く中、あの夫婦をよく知るご家族達が、挙って『少なくとも明日の昼までは戻ってこないよ』と言い、率先して宿屋確保を行っている。

宿が不要に思える要因に、奥様がご家族の中では比較的常識人である事……
そして、その奥様がシン殿の為に一計を案じ旦那を動かした事……
だからこそ目的物を手に入れたら、こんな危険な場所に長時間居らず戻ってくるだろうと誰もが予測している。

しかし……夕食時になっても二人が帰ってくる様子はなく、ご家族(ウルフ)も現状の人数分しか夕食を注文しない。
万が一あの夫婦が食事中に戻ってきたら、『何だよぉ~、僕等の分も注文しておいてよぉ!』と文句を言うだろうに……

「ねぇマリー。お父さん達が何時帰ってくるか、私と賭をしない?」
「え、賭!? ふぅ~ん……良いわよ、乗った!」
ご家族以外の者が皆不安そうな顔をしていた為か、身内(リューノ)が帰還の目安時間を披露しようと提案してきた。

マリーにも彼女(リューノ)の考えが解ったのだろう。
我々を一瞥すると楽しそうに賭に乗った。
因みに、私の隣で食事をしてたホイミンは「ボクの予想だと、タイミング悪く食事が終わった直後だと思います。で、文句を言うんですよ……きっと」と予測。

「そうね……夕食の前か後かで賭けましょう。マリーはどっちだと思う?」
『夕食の前か後』とは?
既に夕食を始めてるのだし、前と言う事は無いだろうに。

「流石に夕食前には帰ってくるわよ! 24時間以上も、あの(世界樹)上でヤってはいないでしょ!」
24時間!?
何だ……二人は明日の夜まで帰ってこないと予測してるのか!?

「じゃぁ私は明日の夕食後……しかも就寝前くらいだと思うわ」
そんな馬鹿な!?
モンスター蔓延る世界樹の天辺で、24時間以上も無防備な状態で居られる訳がない!

「何か……面白そう。私も……賭けに参加……したい」
私以外の皆(ご家族以外)が唖然としていると、普段寡黙なリューラ殿が珍しく賭けに参加しようと話しかけてくる。

「リューラはダメよ。この賭けに参加する資格を持ってない」
「そうね……悪いんだけど、この賭けに貴女を参加させられないわ」
珍しく彼女(リューラ)が、他の姉妹と交流を持とうとしたのに、マリーが無碍に拒絶するとリューノもそれに迎合する。何だか可愛そうだ……

「な、何でよ……わ、私だって……」
断られたリューラは、哀しそうに二人を見詰め何かを言おうと歯を食いしばる。
あまり喋り慣れてないのか、咄嗟の言葉が出てこないようだ。

「違うの……勘違いしないでリューラ! 別に意地悪で参加を拒否ってる訳じゃないのよ……私とマリーには共通の賭け金があるから、この賭が成立するのであって、貴女にはそれが無いの。だから私達だけでしか賭が出来ないのよ」

「そうよ。喧嘩はするけど、私だって貴女の事を爪弾きにしようなんて思ってないわ。だから貴女の予想を聞く事は出来ても、賭には参加させられないの」
「な、何だ……その……賭け金……ってのは?」

「解らないの? そこはお父さんの娘として、察する能力を身に着けてほしいわねぇ……」
「マリー……そんな意地悪な言い方をしないの! リューラは私達と違って純情なんだから、こんな事を察するなんて出来る訳無いでしょ! 我が一族内で真面目人間のグループなんだから」

確かに……あの男と本当に血が繋がってるのか不思議に思える真面目っ()だ。
「ライアン様……きっとリューラさんのお母さんは、真面目な常識人なんでしょうね。世界樹を登ってる最中にウルフさんが言ってましたが、母親の血こそ偉大みたいですし……」

ホイミンも私と同じ事を感じたのだろう。
小声でだが話しかけられ、思わず笑ってしまった。
だが笑ってしまったのが目立ったようで、皆の視線を一斉に浴びてしまう……さて、どうするかな?

「あ~……その……因みに、お二人が持ってるという賭け金とは何なんでしょうか? 本当に金と言う事ではなさそうだが……」
咄嗟に出した言葉とは言え、凄く良い質問をした気がする。

「そんなのも解らないのライアンちゃん? 私とリューノが持ってる共通項よ!」
何だ二人の共通項とは……?
二人ともリュカ殿の娘……だとするとリューラ殿もそうか。

「ライアンさん……コレですよ、コレ!」
私が答えに悩んでると、マリー・リューノに挟まれた位置で食事するウルフが、自分の下方を指差しヒントを与えようとする。

「あぁ……ウルフの粗チンか……」
私が理解出来ないでいると、素早く察したリューラが溜息を吐きながら答えを告げる。
そうか……二人ともウルフの彼女だったんだ。

「粗チンとは何だコラ!? 俺の暴れん坊ソードは、結構な名刀なんだゾ! お前の彼氏のと比べる為に、今夜味わってみるかコラ! 彼氏が前で俺が後ろのサンドイッチにしてやんぞ!」
やはり彼女(リューラ)あの男(リュカ)の娘。平然と“粗チン”と言う単語を発するとは……

「おい名刀使い……また姉妹に手を出す気か?」
「ち、違うっすマリーさん……誤解っすよ!」
「本当か名刀使い……『2人も3人も同じ♥』とか言ってんじゃないのか?」
「リュ、リューノさんまで……俺を信用して下さいよ! お二人のお父様の愛弟子ですよ」

だから信用できないのだろう。
両サイドに対しオドオドするウルフを見て笑ってしまう。
リューラ殿も、そんな光景を見てケラケラ笑って機嫌を直す。
なるほど……勘違いとは言え、先程不愉快な思いをさせた彼女(リューラ)へのフォローだったのか。

「まぁ良いわ……と言うわけでマリー、私が勝ったら3日間私が名刀を貸し切る。貴女が勝ったら、勿論3日間は貴女の貸し切りよ!」
「良いわ……乗りましょう!」
うら若い……それもまだ12歳の少女の会話とは思えない。

「あの……名刀の持ち主の意見は無視なのですか?」
勝手に話が纏まり、まさに名刀の持ち主であるウルフが、不満げに問いかける。
どうせどちらかとは行うのだから、聞くまでもない事だろうに……

「何言ってんのウルフ。その名刀は私達の物なのよ! 付いてるのは貴方の股間だけど、所有権は私達姉妹にあるのよ! 理解しなさい……それがリュカ家というものよ!」
「いや~!!! 俺の立派なご子息がぁ~!!」

マリーの言葉に、両手で顔を隠して叫ぶウルフ。
何とも酷い遣り取りなのだが、笑ってしまうのはリュカ家の毒に染まってきたからだろうか?
如何なる時でも深刻にならないリュカの所為だろうか?

しかし……
「じゃぁコレはボクのもの!」
と私の股間を押さえ呟くホイミンには困ってしまう。

ライアンSIDE END



(世界樹の根元)
リューノSIDE

こんな大勢が連泊するとは想定してなかった世界樹の根元にある宿屋。
1泊して翌朝の食事までしか食材の用意が無く、困り果てた末に客である我々に相談してきた。
即座に答えを出したのはウルフ。

「じゃぁ俺が数人を引き連れて、エンドールにルーラで買い出しに行きます。金庫番のトルネコさんは、ご家族に会う為にも一緒に来て下さい。そして出来れば、安く仕入れられる店をネネさんから聞き出して下さい。それと手間賃は要りませんから、もう1泊分の宿代はサービスして下さい」

そう言って昼過ぎに、シン・ライアン・クリフト・ブライ・アロー・そしてトルネコと共にルーラで出かけていった。
どうやら1泊分以上の買い出しをしようと思っているらしく、荷物持ち要因を大勢連れて行ってしまった。

残された女性陣は時間を持て余してしまい、ガールズトークを炸裂させる。
とは言え、昨晩の私とマリーの会話が残ってたらしく、お父さんの名刀についての会話がメインだった。
真面目そうなラピスまでもが、鼻息を荒くして会話に参加してたし……ロザリーが「チラッとしか見てませんが、ピサロ様以上かも……」とか言うし……

結論から言えば、男も女もエロエロなんですよ。
何だかホッとしますね。

リューノSIDE END



 
 

 
後書き
毎度下品で申し訳ございません。
主人公を登場させずに、ここまで下品に出来上がるとは作者の私にも予想外でした。
今後はお上品な作品に仕上げていく予定ですので、小さなお子様も安心してご愛読下さい。
ただ……
作者の私にはお上品とは何なのかが解らないので、どうなるのか……? 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧