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魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~

作者:白鳥才牙
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『三十二話』~名前を呼んで……もう呼んでるけど~

 クロノside


「さて、始めよう……と言えると思ったんだけどな~」


 彼は医務室に入ると、何やらあきれていた。


「さすがに、ポットから出すように言っておくべきだったな」


 そう、アリシアは救出してすぐにここに運んだためポットから出していたない。


「どうすればいいんだ?」

「そうだな。プレシアを除いた女性陣は彼女をポットから出して、体を拭いて服を着させてあげてくれ」

「は~い」

「分かった」


 そう言ってフェイトとなのは、そして母さんがその準備に取り掛かった。


「ほら、お前らは外だ。後プレシア」

「なにかしら?」

「お前も治療するからこっちに」

「ち、治療?」

「せっかくまた娘さん達と暮らせるようになるのに、お前が先に亡くなったら意味が無いだろうが」

「でも…私は不治の病を……」

「問題ない。俺に生命関係に不可能は大体ないから」

「だ、大体って……」

「本当に大丈夫なのか?」

「任せろって」


 そう言って彼は懐に手を入れ、取り出したのは――















 ――微妙に動いてる水色の液体が入ったフラスコだった。















「拓斗。な、なに? その液体は?」

「これか? これは毒や病気関係なら大抵のものを治すことができる素敵アイテム『ゲキヤ君』だ。さぁプレシア、思い切ってグイッと」

「「ちょっと待て!!」」


 僕とユーノでプレシアにゲキヤ君(という名の謎の危険物体X)を渡そうとする拓斗の腕を掴んで引きとめる。


「いったいなんだ?とりあえずこの手を離せ」

「離せるか!! なんだその危ない名前は!? 明らかに危険物だろう!?」

「危険なわけないだろう。これは治療薬だぞ? なぁ?」
















 ソノトオリデイ! オマエシツレイダロウガ!!
















「喋った!? 喋ったよね今!? 生きてるの!? 薬なんだよね!?」

「どっからどう見たって薬だろ。ちょっと喋ることができて動く事もできるだけの生きた治療薬だ」

「どっからどう見たって怪しいだろ!怪しすぎるわ!! 本当に害は無いのか!?」

 アルワケナイダロウガ! チリョウヤクダゾオイラハ!!

「君は黙って!!」

「君は良いのかプレシア女史! こんな危険物を飲まされるんだぞ!?」

 ダカラキケンジャネェッテイテンダロ!!

「本当に君は黙って!!」

「別にかまわないわ。それでこの病は治るんでしょう?」

「あぁ、保障する」

「なら早めに済ませましょう」


 そう言う彼女に拓斗は液体型治療薬(と言う名の怪しさMAXの劇薬。ゲキヤ君だったか?)の入ったフラスコを渡す。


「ゲキヤ君を飲んだ時、一応回復魔法かけるから」

「わかったわ」


 返事をしたプレシア女史はフラスコに入った液体を呑み込む。


 ジョセイヲクルシメルアクトウメ! ゴヨウデイ!!

「癒しの巫女の魂よ 今一時 その力を我に宿し 彼の者の病を癒したまえ『治癒』」


 すると、その魔力は彼女を包み、そしt「あっ、制御ミスった」て、


「なにぃいいいいいいいいい!?」

「いったい何したんだ!?」

「ま、待て。落ち着けよ。な?」

「これが落ち着けるかぁあああああああ!!!」

「心配するな! 病が悪化したわけじゃない! プレシアをよく見ろ!!」


 そう言って光りが晴れると、そこには確かにプレシア女史がいた。ただ、















「「……若返ってる!?」」


 ユーノと僕の声が重なった。というかそんなレベルじゃない。どう見たって見た目が15~20程じゃないか!!


「あ~…その~、うん、あれだ。とりあえず体の調子はどうだ?」

「え、えぇ。今までの身体の重さや、気だるさなんかもないわ。それに昔のようにというより、本当に生まれ変わった気分だわ」

「それは良かった。とりあえず医者に診てもらっておいてくれ。さて、次は」


 彼は失敗(?)したことを秘密にし、向かいの医療室の前に行って、


「おーい。そっちの準備はいいか?」

「OKだよ」


 なのはの声が聞こえたので入った。


「か、母さん!?」

「あ、あら……?」

「え? プレシアさんなの?」

「あ、アンタ、本当にプレシアかい!?」

「……彼女は確かにプレシアです。ですが、その………」

「みんなどうしたの?」


 プレシアが、みんなの反応に戸惑っている。そりゃそうだ。とんでもないレベルで若返っているんだ。プレシア本人だと分かるだけで十分凄い。



 そこで僕は、


「プレシアさん。鏡で自分の姿を確認してみてください」


 そう言って、鏡をプレシア女史に渡すと、


「え……私?」


 固まった。うん、そうだろうな。自分がそんな感じになれば。


「拓斗……これは一体どういうこと?」

「あ~まぁ、あれだ。ゲキヤ君と魔法の相乗効果で……体内機関がかなりのレベルで若返ったみたいだな。悪い」

「はぁ……まぁいいわよ別に。新しい人生を生きれるしね。それよりもアリシアを」

「それもそうだな。の、まえにプレシア」

「なに?」

「一つだけ約束してくれ。……例えアリシアが蘇ってもフェイトを……あの娘を決して蔑ろにしないとな」


 拓斗はフェイトを見つめる。


「母さん……」

(もし、プレシアがフェイトを捨てる様な事があれば俺は……)

「…馬鹿な事を言わないで拓斗」


 そう言って優しくフェイトを抱きしめるプレシア女史。


「自分の娘を蔑ろにする親が何処にいるの? この子は私のもう一人の娘よ」

「か、母さん……」

「ふふっ、アリシアに紹介しなくちゃね。あなたの妹だって……」

「母さん!!」


 プレシア女史の胸で涙を流すフェイト……


「うん、これなら大丈夫だな。さてと……邪魔だからお前ら全員部屋から出ろ」










 拓斗side

「邪魔だからお前ら全員部屋から出ろ」

「「「「「「「「「なんで!?」」」」」」」」」


 息ぴったりだな。俺が思ってるよりも仲良くなってるみたいだな。仲良き事はいいことだ。


「うるさいぞお前等。今からアリシアを蘇生させるからだ。わかったらさっさと部屋出ろ」

「何でなの!?」

「だからアリシアを蘇生するからだって言ってるだろ」

「見るだけでもダメ?」

「ダメだ」

「ならばサーチャーを置いておくことは……」

「許すと思うか? もしやっても即破壊だけどな」

「私もダメかしら?」

「プレシアでもダメだ。生き返らす以外にもしないといけない事があるからな。ほら出てった出てった」


 皆を外に押しやる。


「5分程で終わるから、カップ麺でも作って待ってな」


 そう言って医務室の扉を閉じ、鍵を閉めた。
 これで大丈夫だな。別に見られてもいいんだが、一々騒がれるのも面倒だし。


「さて……アイツはどこだ?」


 辺りを見回すが時の庭園で見た霊体の姿はどこにもない。


「お~い、戻してやっから出でこ~い」


――シ~ン……


「……おい! 出てきて自分の身体に戻れ!! 早くしないと蘇生してやん【もう戻ってるけど?】ないぞうぉおおおおお!!?」


 いきなり後ろから声が聞こえ驚き、声がした方向から距離をとる。


【ひど~い! 『出てこい』って言うから出て来たのに、そんなに驚く事ないでしょ~!!】

「あ、あぁ…悪かった。でもいきなり出てくるのはいいが後ろから声をかけないでくれ。今知ったが何気に怖い」

【うん、わかった】

「よし、戻ってたのに悪かったな。体に戻ってくれ」

【戻ったら、本当に生き帰ることができるの?】

「あぁ、保障する」

【わかった! じゃあよろしくね!!】


 そう言って霊体――アリシアが体の中に戻っていく。
 
 ……よし、ちゃんと戻ったな。なら、始めるとするか。
 

 今から始めるのは士郎の時に行ったことの再現だ。

 まずは俺とアリシアを囲うように魔法陣を展開する。



「我 魂を誘いし者也

 この者 まだ死にゆく運命(さだめ)にあらず

 この者 未だ果たすべき運命に有り

 汝が魂、再び器に宿りて生を成せ!」


 瞬間、アリシアを漆黒の光が包み込む。
 光が治まると、体には変わったところは何も見られないアリシア。
 しかし、


「よかった……成功したみたいだな」


 胸が呼吸により上下運動しているのが分かる。成功した証だ。


「じゃあ、次に行くか」


 蘇生しただけで終わりではない。他にもやることはある。それは


「姉が妹より幼いのは嫌だろうからな」


 身体年齢をフェイトと同じくらいがいいだろう。
 アリシアの身体を灰色の光で包み込む。


「時の巫女よ 不変の流れよ 今ここに此の者の一時を 時の流れを流れを速めよ 『時速流』」


 光が治まるとアリシアの姿は同い年ぐらいになっていた。
 ……うん。時間操作魔法はずっと使ってなかったが、うまくいってよかった。


「これでよし……アリシア、起きろ」


 そう言いながら頬を軽く指でつつく。
 なんで体を揺するのではなく頬をつついているかは………気分だ。


「う…うぅん……はれ? 私、戻ったの?」

「あぁ、元通りにな。年齢はフェイトに合わせておいたが」

「え! 本当!?」


 アリシアは勢いよく起き上がるが………


「はれ?」


 バランスが崩れてベッドに倒れた。
 無理もない。今まで死んでいたんだ、筋力が衰えているもあるが体が動かし方を忘れている………しばらくはリハビリだろうな。


「いきなり起きるからだぞ。車椅子は……ないな」


 周りを見渡すが、医務室の何処にも車椅子は見当たらない。医務室ならせめて一つくらい置いておくのが常識だろ。


「ないの?」

「あぁ、ないな……仕方ないか………よいしょっと」

「へ、ちょ!? 何してるの!?///」

「何って……お姫様だっこだが?」


 今言った通り、今俺はアリシアを所謂お姫様だっこしている。


「は、離して!!///」

「でも、車椅子がないからこれしかないぞ?」

「お。おんぶとかあるでしょ!?//////」

「あ、そうか」


 確かにそうだな。何で気づかなかったのか。


「悪かったな。よっと」


 そう言ってアリシアをお姫様だっこからおんぶの体制へ変える。


「それじゃあ行くか」

「う、うん……」(うぅ…恥ずかしかった……なんでこの人平気なの?//////)


 アリシアの返事を聞いて、皆の元に戻った…………










「終わったぞ」

「母様~」


「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」


 俺がアリシアをおんぶして戻ると、全員が物凄い目でこっちを見て来た。


「ん?どうした?」

「……まさか本当に5分位で終わるとは思っていませんでしたから…………」


 だから言ったじゃないかリンディ、3分で終わるって。


「アリシアなの?」

「どうしたの? 母様?」

「ア………ア…………アリシアァァァァァァァ!!」

「おっと」

「うわぁ!? どうしたの母様!? どこかケガしたの!?」


 プレシアが大粒の涙を流しながら走って来たためアリシアを下ろして差し出すとプレシアは強く、強くアリシアを抱きしめた。


「え、え~っと………………あっ! あなたがフェイト?」

「ふぇ!? わ、私!?」


 突然、呼ばれて驚くフェイト。
 アリシアがずっと時の庭園にいたんだとしたらそりゃフェイトの事も知ってるだろう。


「そっか。ついに私にも妹ができたんだね!」

「え?」


 まぁ、アリシアを基に生まれたんだから妹みたいなもんだな。


「私のことはお姉ちゃんでも姉さんもお姉さまでも何でもいいよ♪」

「あ、お、お姉ちゃん!」

「わわわっ! えっ!? フェイトもケガ!?」


 すると、フェイトもアリシアの下へ行き、泣き始めた。

 なのはやアルフ、リニスは涙を浮かべながらもうれしそうに、勿論ユーノ達も満足そうにフェイトとプレシア、アリシアの3人を見つめていた。

 俺の後ろにいるクロノに目配せし、なのはの手を握る。
 一瞬驚くなのはだが、俺の視線が扉に向いているとわかると頷く。
 俺達は3人を邪魔しないように部屋を後にした。


























 その後、フェイト、プレシア、アリシアを除く人たちは言ったん食堂に来て、その数分後遅れて三人も来た。


「さて、皆聞きたいことが山ほどあるみたいだし、話せることは答えるが?」

「なら最初に、先ほどの黒い異形から。あなたは【邪】の者や【邪霊】、【邪魂】と呼んでいたけど」


 【邪】の者から? てっきり魔法のことだと思ってたな。


「【邪】の者は【邪霊】や【邪魂】の総称だ。【邪魂】は魂が世界の負の魔力を吸収しすぎて穢れてしまった魂の事だな、【邪霊】は簡単に言えばそれが怒り、悲しみ、憎しみ、凶器など、負の意志に染まった霊体を指すんだ」


 他にもあるが今は言わない方がいいだろ。きっとみんな吐くだろうし。


「負の魔力?」

「世界は魔力で満ちてる世界が殆どだ。だから魔力にも個性はある。それは属性もあるし、感情もある。その中でも負の感情に染まってしまった魔力の事を負の魔力と呼んでいる。他には?」

「では次に、アリシアさんをどうやって蘇生させたんですか?」


 これは……ただ話すよりも聞いた方がいいか。


「質問で返すが、皆は人間が持つ死の種類はいくつあると思う?」

「え?」

「そうだな、なのは。たとえば俺がここでお前の頭を拳銃で撃ちぬいたとする。そうなると当然お前は?」

「死ぬ。というか危ないよ!?」

「たとえ話だよたとえ話。まぁ、これが所謂実質の死。つまり蘇らせることができない死だ。二つ目は脳死。所謂植物状態のことだな」

「では、アリシアさんは植物状態だったと?」


 リンディの言葉にプレシアが口を入れる。


「それはあり得ないわ。アリシアはあの後脳も、心臓も動いていなかった。どちらかと言えば前者よ」

「その通りだな。これ意外に死の定義を言える奴いるか?」

 俺はそう言って周りを見渡す。誰も知らないか。まぁ、当然と言えば当然だな。知っていたら『何者だ?』と問い詰めるだろうし、俺が。


「俺が知っているものでもう一つ、幽体剥離死というモノが存在するんだ

「幽体剥離死? それは一体何だ?」

「まぁ、簡単に言ったら魂が体という器から何らかの外的なショックによって剥離、追い出されたってことだな。この状態が長く続くと、実質の死に直結するんだが、アリシアの場合そのすぐ後にプレシアがポッドに入れた影響で魂と体をつなぐ線が切れずに長く魂と体がつながれた状態になっていた。運が良かったな」

「つまり、あなたはそのアリシアさんの魂を身体に戻したということ!?」

「まぁ、簡単に言うとその通りだ。あとショックの拍子にまた剥離しない様にしっかりと魂を固定したからもう大丈夫だと思うぞ」

「はぁ、君は本当に何でもありなんだな」


 クロノが溜息を吐くが、俺だって死人を蘇らせることはできないさ。
 幽体剥離死は俺の中では瀕死状態みたいなものだからな。


「では最後に。【邪】の者が言っていた狩り人の民とはどういう意味ですか?」


 あぁ、アイツそんなこと言ってたか? だったらまぁ、当然その質問が来るよな。


「話したくはないんだけど、まあいいか。これは他言は極力避けてほしい」


 俺の言葉に全員が頷く。


「なのはやフェイトには以前、俺は死神だと名乗ったよな」

「うん」

「そう言ってたね」

「そう言った理由は俺の血筋にあってな。俺の血筋は『狩り人の一族』または『死神の一族』と呼ばれてたんだ」

「死神!?」

「そう死神」

「なんでそんな風に言われてるんだ!?」

「その通りだから」


 その言葉に全員が固まる。


「……どう言う意味なんだ?」

「だからその意味だって言っただろ。迷える魂を成仏させたり、【邪】の者の類を狩ったり。まぁ簡単に言えば一般的なお坊さんや退魔師って呼ばれる奴等のさらにエキスパートみたいな感じだな」

「な、なるほど……」

「この質問はこの辺りまででいいか?」


 出来ればこれ以上は言いたくない。でも、


「もうひとつ。あなたの言う一族はどれくらいいるのかしら?」


 来るよな、この質問は……仕方ないか


「いない。今は俺一人だ」

「一人? でもさっき一族って……」

「殺されたよ……一人の裏切りによって呼ばれた数えるのが馬鹿らしく思えるほどの【邪】の者の手によってな」

「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」


 全員が息をのむ。


「裏切られたってなんで!?」

「知るか、そんなの俺が知りたいくらいだ。俺だって何が何だか分からない状態で逃がされたんだからな」

「逃がされたって。そんな大勢の【邪】の者がいたのに? 君がそう言うほどの数なら離れた所へ転移したとしてもすぐに追い詰められただろう?」

「ちょっとした裏技見たいなものを使ったんだ。この質問は出来ればここまでにしたいんだがいいか?」

「え、えぇ……」

「他に質問のある奴はいるか?」

「じゃあ、僕から」


 そう言って手を挙げたのはユーノ。


「なんだ?」

「君が使ってる魔法について教えてほしいんだ。あれは君の言う一族特有の魔法式なの?」

「特有ではないさ。俺の使う魔法式は『ヘキサ式』というものだ」

「ヘキサ式?」

「ヘキサ式は
















 二つの魔法式の基となった魔法式だ」













「「「「「「なんだって(ですって)!?」」」」」」

「「「「?」」」」


 上のリンディ、クロノ、エイミィ、プレシア、リニス、ユーノが驚きの声を上げる。なのは、フェイト、アリシア、アルフは今一つ分かっていないみたいだな。


「待て! それはつまり古代ベルカの時代より前にそのヘキサ式は存在したと言うのか!? それほどの力があったのに!?」

「その通りだ。理由あって廃れていったがな」

「その理由って?」

「ヘキサ式の使用者必須の技術というものがいくつかあるんだ」

「必須の技術?」

「お前等に分かるように言えば同時並行処理(マルチタスク)とかだな。ミッドなんかでも使う人間が稀にいるだろ? しかし同時並行処理(マルチタスク)をはじめとした必須技術は会得するのに酷く苦労するものばかりだったんだ。それで一部の人間がヘキサ式を簡略化したモノが今現存する二つの魔法式だ」

「な、なるほど……」

「質問はもう終わりにするよ。他に聞きたいことがあるならまた今度、個人的に聞いてくれ」



















 そして、この事件の名前を操っていた【邪】の者をそのまま利用して邪の者事件と総称し、終了をリンディ提督が宣言した。



 その後、【邪】の者がプレシアにとりつき操っていたということを管理局上層部に戦闘している映像を送り、プレシアの罪は無罪となった。リニスに関してはアリシアと同じ要領で蘇生してから元々の主であるプレシアを主としてミッドの使い魔契約を更新した。フェイトやアルフも内容が内容なだけに行った行為は無罪となるらしい。だが、一応事情聴取という形で三人はミッドチルダに一回向かうことになった。その後は、フェイトがいたマンションで家族と一緒に暮らすらしい。アリシアにおいてもリンディ提督がうまくごまかしてくれた。












 数日後、俺はユーノを肩に乗せてなのはとフェイト達に会うため海鳴公園を歩いていた。
 今日フェイト達は自分の世界…ミッドチルダに旅立つ日だ。


「え~っとえ~っと…………」

[どうしたんだ? なのは?]

「ふぇ!? ソウルさん!?」


 歩きながら指折り数えてるなのはにソウルが声を掛けた。


「え~っとね、フェイトちゃんに会ったらまず何を話そうかなって………」

「そんなにあったら日が暮れるな………………」

「あぅ~」


 そうやってなのはを弄っていると遠くにフェイトが見えた。


「なのは、あそこにいるのフェイトじゃないか?」

「………ホントだ! フェイトちゃ~ん!!」


 なのはは手を振りながらフェイトの方へ駆けだした。


「拓斗君。もう少しフェイトちゃんとお話してもいい?」

「その後に私から話があるの。聞いて」

「あぁ、分かった」


 そう言って俺は近くのベンチに座ると、プレシアが近づいてきて、


「あなたには本当に何から何まで。何と言ったらいいのかしら」


 そういってプレシアが、頭を下げてきた。


「なにも言わなくていい。俺がやりたいから勝手にやった。助けを求めていたからつい手差し伸べた。それだけだ」


 そう言ってあさっての方向に顔を向ける。


「プレシア。お前はもう一度幸せを手に入れた。二度と手放すなんてバカなことするなよ」

「えぇ。もちろんよ。それとこの子からも話があるみたいよ?」

「ん?」


 そう言ってプレシアの視線の先を見ると、アリシアが、


「あ、あのね、お母様とフェイトとアルフとリニス。みんなを助けてくれてありがとう!」


 そう言って笑ったアリシアの笑顔はまぶしかった。俺なんかじゃ絶対に与えられるものでもないと思っていたものだから。


「あぁ。どういたしまして。お前も幸せになってくれよ。じゃないと怒るからな」


 そう言って頭をクシャッと撫でながら微笑み返す。


「う、うん///!!」


 ん? アリシアの顔が赤くないか?


[またか……]


 何言ってるんだソウル?


 その時、フェイトが私を呼んでいたので、そちらに向かう。


「もういいのか?」

「うん。フェイトちゃんとお友達になろうっていったの」

「今さら感があるんだが、俺の気のせいか?」

「ううん。そんなことない。気持ちでは友達だったけど。声にしてちゃんと言ったから。これで、ちゃんとした友達」


 なのはもフェイトも満足そうだ。これはこれでいいんだろうな。


「拓斗君も友達だよね」


 ………え?

 Tomodati……トモダチ……ともだち……友達?


「俺が……友達?」

「いい、かな?」


 友達…俺に……友達?


「拓斗君?」

「拓斗?」

「っ!……な、なんだ?」

「えっと、いきなり黙り込んだからどうしたのかなって……」

「な、なんでもない……それで……えっと……」

「「?」」

「俺が、友達で……いいのか?」


 俺がそう言うと二人は顔を合わせて、そして


「「もちろん!!」」


 二人は笑顔で頷いた。

 そうか、友達か……


「そっか……なら、」


 俺は懐から首飾りを取り出した。


「フェイトにお守りとして渡そうと思ってたんだけどな……友達の証に受け取ってくれ」


 差し出した首飾りは稲妻の形をした魔力結晶がついている。
 これは家に戻ってから造り出した俺作の首飾りだ。
 魔力を集めて結晶化した物に魔力障壁などのいくつか魔法が刻んである。
 使うことは無いと思うが保険にな。


「綺麗……本当にもらっていいの?」

「勿論。嫌ならこっちで処分するけど……」

「嫌じゃないよ。大切にするね///!!」

「なのはには無いの?」

「もちろんある。ほら」


 そう言ってなのはに差し出したのは星の形をした魔力結晶がついているブレスレット。

 最初はフェイトと同じ首飾りにしようと思ったが、レイジングハートがあるからな。


「ありがとう///!!」

「どういたしまして。それでフェイト。話って?」


 そう言うと、なのはは気を利かせたのかその場から少し離れた場所に行った。


「えっとね。母さんを、お姉ちゃんを、リニスを助けてくれてありがとう!」

「そんなのは別にいい、俺がしたいと思ったからしただけ。俺の方こそ、フェイトに感謝しなきゃならないしな」

「え?」


 俺はフェイトの手をとる。


「生きる目標を、目的をくれてありがとう。もし、フェイトやなのはに出会わなかったら俺は自分で命を絶っていたかもしれない。でも、お前達を護りたいと思ったからそうならなくて済んだ。だから俺の方こそありがとう」

「ううん。私もね。拓斗がいたからあきらめずにいれたんだと思う。ううん。そうなんだよ。【邪】の者に乗っ取られた母さんに酷い事されても、言われてもあなたが心の支えになって私を支えてくれた。嬉しかったんだ。ありがとう」


 そう言って互いに互いが感謝しあう変な形になった。おのずと笑みが出て、笑いあって、とても心が温かかった。


 その後、時間が来て、フェイト達との別れが来た。


「さよならなんて言わないぞ。また会えるんだから」

「うん! フェイトちゃん! またね!」

「うん。ありがとう。それからまたね! 拓斗、なのは!」


 泣いているが笑顔で手を振るフェイト。


「ありがとね。拓斗、なのは!」


 そう泣いているアルフ。


「あなた達には心から感謝しているわ」


 微笑みながらこちらに手を振るプレシア。


「またね! またね!」


 元気に手を振っているアリシア。


「本当にありがとうございます!」


 律義に礼をするリニス。


 フェイト達は光に包まれ、そしてこの場を去った。


「……行っちゃったね」

「そうだな……」

「………」

「……学校、行くか」

「うん!!」















 死神は奪うことしかできない

 俺はそう思ってた

 いままでずっと【邪】を狩り 魂を狩ってきたから

 でも 今回俺は奪うことはせずに人と心を救うことができた

 彼女たちを救い 俺もまた生きるための新しい目標を掴めた

 小さいけども大きな幸せ 俺も掴むことができた幸せ

 だからここに誓おう 俺の魂に刻もう

 この命尽きるまで

 いや 命尽きてでも

 いつまでもこの幸せを護り抜いて見せる

 死神でも 護ることは出来るとわかったのだから





 魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~ 無印編 完 
 

 
後書き
~あとがき雑談会~

作「無印編、終了!!」

拓「これはハッピーエンドでいいのか?」

作「いいんだよ!」

拓「リニスの事とか無理矢理じゃないか? あと説明の場面とかも」

作「そこは自分の力じゃ無理でした! 申し訳ございません!!」土下座 orz

拓「まぁ、そこは日々精進ということで。今後はどうする?」

作「いくつか間章をいれてからA's編かな?」

拓「間章は載せるまでの期間が空きそうだな……そのまえに今までの魔法紹介か?」

作「そうだね。じゃあそろそろ終わろうか」

拓「今回は予告はしないぞ」

作「次回は魔法紹介だからね」

拓「じゃあやるか」

作「うん。次回に向かって」

作・拓「「トリガー・オン!!」」





 おつかれさん

 おつかれさま~

 これからどうする?

 皆誘って無印編のお疲れ様会やる?

 いいな。俺なのはやフェイト達に声かけてくるわ

 じゃあ僕はアースラの皆誘ってくるね

 決まったからさっさと閉めるぞ

 ちょっ、待ってよ! まだ返りの支度終わってないから!

 ったく、早くしな

 ……よし、終わったよ~

 じゃあさっそく行くか!

 おぉ~! 
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