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八条学園怪異譚

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第六十話 時計塔その四

「お替わり自由にして酢漬けも用意してね」
「二段構えってこと?」
「キャベツは身体にいいしね」
 このことも言う愛実だった。
「そのことも宣伝してるし」
「じゃあキャベツも」
「こうして残りものもあるけれどね」
 それでもだというのだ。
「最近お客さんもかなり食べてくれるわ」
「それは何よりね」
「キャベツも食べてもらわないと」
 お店の方も困るというのだ。
「串カツ屋さんみたいにね」
「串カツ屋さんだとキャベツ食べ放題なのよね」
 そのキャベツで串カツを食べ過ぎてなる胸焼けを防ぐのだ。しかもビタミンまで補給出来る為一石二鳥である。
「あれいいわよね」
「うん、お姉ちゃんもそこにヒントを得たのよ」
「流石ですね」
 聖花はそのアイディアを出した愛子を見て言った。
「愛子さんしっかりしてますね」
「そんなことないわよ、私も愛実ちゃんに言われて思いついたのよ」
「愛実ちゃんにですか」
 聖花は今度は愛実を観て言った。
「言われてですか」
「どうしようかってね。串カツ屋さんで二人で飲みながらね」
 話していたというのだ、姉妹で。
「ビールと串カツで」
「この商店街のですね」
「そう、あそこで飲みながらお話している中で思いついたのよ」
「丁度キャベツもあるからですか」
「それならうちでもやってみようってね」 
 そうなったというのだ。
「あと酢漬けはビールから」
「ビール?」
「ビールっていったらドイツじゃない」
 実際にドイツではビールを水の様に飲む。ワインも飲むがビールも飲む、それがドイツという国だ。このことは中世からである。
「ドイツのザワークラフトね」
「それで思いついたんですか」
「そう、実際にキャベツの酢漬けは美味しいし」」 
 愛子は今は普通のキャベツの千切りにマヨネーズをかけてから食べつつ話す。
「栄養もあるし安くつくし」
「キャベツをお酢に漬けるだけだからですね」
「林檎酢ね」
 使う酢のことも話す。
「それがいいのよ」
「林檎酢ですか」
「そうよ」
 まさにそれだというのだ。
「お酢の中でもこれがいいみたいよ」
「そうですか」
「お替わり自由にして酢漬けも用意したら」
 それでだというのだ。
「皆凄くキャベツ食べる様になったわ」
「それは何よりですね」
「工夫でね、付け合せも食べられるのよ」
 そのキャベツもだというのだ、普通にやると誰も食べないものも。
「ちゃんとね」
「キャベツもそうなんですね」
「それがお店の売上にも影響してるのよ」
 それにも関わってきているというのだ、ただキャベツが無駄にならないだけでなく。
「それにもね」
「ううん、些細なことですけれど」
「たかがキャベツだけれどね」
「されどキャベツですね」
「そもそも栄養があるから」
 そのことも念頭にあってだった。
「食べないとね」
「そうですよね、お客さんも」
「健康第一、健康なお客さんはどんどん食べてくれるしね」
「最近ね、キャベツお替わり自由にしたらね」
 愛実もここでまた言う。 
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