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魔法少女リリカルなのはANSUR~CrossfirE~

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他人の不幸は蜜の味という興味深い論について

†††Sideシャルロッテ†††

「ホントごめんね~、ルシル。・・・ていうか大丈夫?」

シャマルのどうしようもないマシンガントークでノックアウト寸前のルシルがベッドでゲッソリしてた。もし私たちが来なかったら、ルシルはシャマルに洗脳されてとんでもないことになっていたかもしれない。それも何だか見てみたい気もするけど、まぁ今はお見舞いってことで。

「ルシル、これ・・・私の作った料理なんだけど・・・」

「お見舞いだよ、ルシル君。これで元気になること間違いなし!」

「大丈夫、ルシルパパ・・・?」

「ありあとう、フェイト、なのは、ヴィヴィオ。私は大丈夫だから。それで、フェイトの料理が見舞いの品ということか・・・。正直助かったよ。昼はまだ済ませてないから、ありがたくいただくことにするよ」

「って私は無視かぁぁーーーーい!」

一番最初に部屋に入って、一番最初に話しかけたのに、私をあっさりシカトしやがった。

「まあまあフライハイトちゃん。落ち着いて落ち着いて」

「うぅぅぅ・・・!」

なんか納得いかない。

「それじゃあ、いただきます」

「うん、どうぞ♪」

でもルシルとフェイトがちょっと良い雰囲気だし、まあいっか。今日のところは許してあげよう。

「・・・うん、おいしい。さすがだな、フェイト」

「よかったぁ。でもそれは食材のおかげだよ、きっと。それにルシルの料理に比べればまだまだだよ」

うんうん。いいよいいよ、2人とも。これなら案外簡単にルシルとフェイトをくっつけられそうだ。

「ルシルパパ、あ~ん❤」

私たちの合作ケーキ、(シュヴァルツヴェルダー・)キルシュトルテ。ルシルが帰って来てから一緒にみんなで食べようと思っていたものだ。ヴィヴィオがそれを一口サイズに切り取って、ルシルの口の前に運んだ。ああもう可愛いなぁ。ヴィヴィオがホントに可愛いすぎる。羨ましいなぁ、ルシル。

「・・・あ、あ~~ん。・・・うん、おいしい。この口の中に広がるサクランボの味が何とも・・・さ、サクランボ・・・だと」

ルシルの表情が凍った。

「ルシルパパ・・・?」

「ルシル、どうかした?」

ルシルがわなわなと震えだした。

「え、なに? ルシル君・・・?」

「セインテスト君・・・?」

答えない。答える余裕すらなさそうな勢いでガタガタと震えだした。これは本格的にまずい気がする。ううん、もしかしたら美味しさと嬉しさからの震えかもしれない。

「そこまで震えるほどおいしいんだ。やったね、なのは、フェイト」

「え、あー・・・うん」

「そういう震えじゃないような・・・」

うっ、やっぱりそうだよね。明らかに様子がおかしいし。それにさっきサクランボって言ってから震えだしたような・・・。

(サクランボ?・・・サクランボ・・・サクラ・・あ、しまったぁぁぁぁぁっ!)

スーパーキ〇コ以外に研究用保管区画から取り出したのって確かサクランボだ。いやいや、だってサクランボがどこにもなかったから、つい保管区画から・・・ってどう聞いても言い訳だ、これ。

「・・・シャル・・・。このケーキに使ったサクランボ、まさか研究用保管区画のじゃないよな?」

怖い。私限定に向けられた何とも言えない殺気。

「あー・・・まぁおいしかったから問題なし☆」

「っっっ問題しかね――」

ポンっ☆

「「「「「っ!?」」」」」

ルシルが可愛らしい音と一緒に煙に包まれた。

「「「「「・・・」」」」」

煙が晴れて、ルシルがその姿を現した。現したんだけど、「か・・・・」今度はなのはとフェイトとシャマルがわなわなと震えだした。ベッドに座るルシルを見て、「可愛い❤!」黄色い声を上げた。

「ルシルパパが小さくなっちゃった・・・?」

ヴィヴィオが不思議そうに、小さく――ううん、“子供”になったルシルを見て呟いた。

(うわぁ、やっちゃった。あのサクランボ、食べたら子供になっちゃうんだ)

「あ、あの・・・だ、誰ですか・・・?」

「「「「・・・・え?」」」」

「ルシルパパ・・・?」

いやぁ、ちょーっと待って。今私たちを見て、誰ですか、と言いましたかルシル。

「あの・・・ルシル・・・?」

「みなさんは誰なんですか?」

ベッドの端まで下がっていって、ギュっとシーツを抱きしめる子供ルシル。それに巨大化の時とは違って服は大きいままだから、シャツが肌蹴ている状態。だからエリオやキャロとヴィヴィオの間くらいだというのにどこか色っぽい。
陶器のような白い肌。若干涙に潤んだ紅と蒼の瞳。ベッドの上に波打つ綺麗な(どうして戻ったのか判らないけど)長い銀髪。くそっ、可愛いとか思ってしまったじゃん。まるで女の子のようだ。う~ん、10年前を思い出すね、これは。ううん、10年前以上に幼いから可愛くて女の子っぽい。

「・・・シャルちゃん、このケーキに何入れたの?」

怯えたルシルから私に視線を移したなのはの目が少し怖い。

「キ、巨大化キノコがあった区画からサクランボを・・・ね」

なのはの視線に若干怯えつつもそう答えた。だってキルシュトルテに使うサクランボが食堂に置いてなかったんだから、だったら蔵から調達するしかないじゃん。まぁキルシュトルテを作らないで、別のケーキにするっていう選択肢もあったけどね~。

「はぁ。シャルちゃんだからもう諦めるよ」

「でも反省はした方がいいね」

なのはに次いでフェイトまで冷たい視線を向けてくる。でもルシルをチラチラと何度も見るからそれほど怖くはないんだけどね。

「え~っと、セインテスト君。あなたは自分の事やここがどこかは判る?」

「うん」

自分と六課のことは覚えているわけか・・・。それにしては何か男らしくないというか本当に女の子みたいというか・・・。

「じゃあ私の事は判るかしら?」

「ううん。・・・お姉さん誰?」

で、他の人のことは覚えていないと・・・。子供化に記憶障害。思っていた以上に最悪なサクランボだ。ルシルの食べた時のリアクションの意味がやっと理解できた。確かに震えるほどだ、これは。

「お姉さん、かぁ・・・。ねぇセインテスト君、シャマルお姉ちゃんって言ってくれる?」

ていうか、おーい、シャマル。ルシルに何言わせようとしてんの。それ以前にメッチャ綻んだその恍惚とした表情やめた方がいいよ、絶対。捕まるところだと捕まること間違いなしだから。

「シャマルお姉ちゃん・・・?」

「っく! ごめんなさい、はやてちゃん。私は一足先にアインスのところへ逝きます」

「「「ええええええっ!?」」」

子供ルシルにシャマルお姉ちゃんと呼ばれた瞬間、思いっ切り仰け反ってフラフラと医務室を徘徊、そのまま逝ってしまいそうになっているシャマル。今のシャマルは本当に幸せそうだな~。

「ねえねえルシル。今度はシャルお姉ちゃんって言ってみて!」

「ちょ、シャルちゃん!?」

幸せMAXなシャマルの様子に、不思議そうに首を傾げている子供ルシルとコンタクト。なのはが何か言っているけど、今は子供ルシルで楽しむことを先決としよう。

「シャルお姉ちゃん・・・?」

子供ルシルは頬を赤らめながら、私の頼んだ通りに呼んでくれた。

「っくはぁっ! これは思っていた以上にすごい! シャマルが旅立とうとした気持ちが今ならハッキリと解るよ!」

はぁはぁはぁ・・・まずい。これはまずい。こんなルシル知らない(当然だけど)。可愛いなんてものじゃない。これは可愛過ぎる。以前アリサが言っていたことだけど、ルシルは絶対生まれてくる性別を間違えてる。今日ほどそう思ったことはない。

「シャルちゃん・・・?」

「大丈夫?」

「な、なんとかね。それにしても参った。ルシルのお姉ちゃん口撃は下手すれば必殺だよ。もし今のルシルが男共相手にお兄ちゃんって言ったら、間違いなく男共は犯罪行為に走るね、絶対」

こんなルシルを男共の前に出したら、同性だろうが何だろうが関係なく犯罪に走る。そういう自信がある。自慢なんて出来ない自信だけど。

「「さすがにそれは・・・」」

ない、とは言い切れないみたいだね2人ともー。

「ねぇルシル。今度はこのお姉ちゃん達のお名前、なのはお姉ちゃん、フェイトお姉ちゃんって呼んであげて」

「「えっ!?」」

「??・・・なのはお姉ちゃん、フェイトお姉ちゃん」

「「っ!」」

ルシルのお姉ちゃん口撃を受けて、なのはとフェイトも深刻なダメージを負った。ルシルに抱きつこうとしているのをなんとか理性で押し止めているのが手に取るように判る。

「どう2人とも」

「す、すごかった」

「う、うん。確かにお姉ちゃん口撃は必殺かも」

なのはとフェイトも完全に落ちた。

「えっと・・・あの・・・」

子供ルシルが少し戸惑いながら声を掛けてきたんだけど・・・。さて、どうしたものか。一刻も早くサクランボの効果を打ち消す方法を見つけるのが先決か。それともしばらく子供ルシルで楽しむべきか・・・。

「・・・ふぅ、究極の二択ね」

「??? シャルお姉ちゃん?」

「ぐはぁっ!」

思わぬ奇襲口撃にクリティカルダメージ、かいしんのいちげき、こうかはばつぐんだ。

「はぁはぁはぁ・・・」

「??」

そ、そんな潤んだ瞳で見つめてこないで、ルシル。お姉ちゃん耐えられないよ・・・。

「どうするの、フライハイトちゃん?」

「あ、シャマル先生おかえりなさい」

ルシルの可愛さに悶えていたシャマルが復活してそう聞いてきた。

「か、解決法を探す。時間は掛るかもしれないけど、ね。今のルシルは最高だけど、隊舎で遊ばせていたら女子は悶絶、男共は犯罪に走るかもしれないし」

さすがに記憶がとんでいる最中に貞操の危機というのも可哀想だ。まぁ襲うのが男共だけとは限らないけど。どの道危険であることには間違いない。

「じゃあヴィヴィオと一緒にアイナさんに預ける?」

「う~ん、その方がいいかも」

「わ、私もお仕事できます! っうぁっ!?」

左手を全力で上げたことで上の服がズレ落ちそうになり、それを慌てて直そうとするから勢い余ってコテンと転倒。すぐさま起き上がるんだけど、恥ずかしさの所為か顔が真っ赤。

「「「「くはぁっ!」」」」

私、なのは、フェイト、シャマルが一斉に反り返る。強烈すぎる。HPが10%切ってピコンピコン鳴り始めやがった。くぁ~、こんな子供ルシルのドジっぷリを見て鼻血を吹かない私たちは勇者だ。

「なのはママ!? フェイトママ!?」

「だ、大丈夫だよヴィヴィオ。なのはママは強いから」

何に強いから大丈夫なのかはツッコまない。

「う、うん。ヴィヴィオもすごく可愛いから大丈夫」

内容がどこか飛んでるよフェイト。

「ね、ねぇセインテスト君。シャマルお姉ちゃんと2人でお仕事しようか~」

シャマルはもう危険域(レッドゾーン)に一歩も二歩も大きく踏み込んでいるようだ。犯罪者予備軍に仲間入りしていると見ていいかもしれない。ていうか、どこからナースウェアなんて取り出したの? それ以前に女物じゃん。・・・あ、女装・・・か。フフ。

「シャマルはダメ。なんか危ないから」

「ああん、ひどーい!」

「ルシル君。そのー、お仕事できるってことだけど・・・」

「うん、なんでも出来る!」

可愛いなぁこんちくしょーっ!! これで男だっていうんだから世の中絶対おかしい!!

「まずは、はやてちゃん達に説明・・・だね」

「簡単な仕事ならいいのかな・・・?」

それから私たちは子供ルシルを連れて、はやての居る部隊長室まで行くことになった。

「えっと・・・よろしくね、ヴィヴィオ・・・」

「え、あ、うん・・・」

子供ルシルとヴィヴィオの初コンタクト。やっぱりヴィヴィオは戸惑っているようだ。まぁいきなりパパが自分より少し年上の子供になれば当然かな。

「・・・あ、シャマルはお仕事がんばってね~!」

「フライハイトちゃん、ひど~い」

本気で涙目なシャマルとは一度ここでお別れ。だって仕方ない。ここは医務室で、シャマルは医務官なんだし。

「あの・・・服・・・どうすれば・・・?」

「あ、そっか。ちょっと待って。我が手にたず――」

シーツに包まった子供ルシルを見て卒倒するかと思ったけど、そこをなんとか耐えて、魔力で服を作りだそうとした時、

「はぁはぁ、シャマルお姉ちゃんが用意し――あうん!?」

興奮しているシャマルを本気で危険と判断した私は、手刀で強制睡眠の刑に処した。

「「・・・」」

なのはもフェイトも仕方ないって顔してるし、このまま放っておこう。

「我が手に携えしは確かなる幻想」

魔力を好きなように編め、物質化出来る術式を使用。

「シャルちゃん、なんでこんなフリフリでゴスロリチックな服を・・・?」

作るのはもちろん、女の子用の服。銀髪オッドアイなルシルには絶対似合うゴスロリ。色はもちろん黒一色。アクセントは胸元の赤い大きなリボン。

「じゃあこれ着て~♪」

「え、あ、はい・・・」

フフフ、まさか何の抵抗もなく受け取るなんて・・・わぁ~い!

「か、髪型はどうしようか・・・?」

ツインテール? ポニー? 縦ロール? サイドアップ? それともツーサイドアップ?

「なのはママ。シャルさんがこわい・・・」

「シャルもシャマル先生に負けじ劣らずの危険人物かも」

「あはは・・・」

結局、以前したようにツインテール。そして今日判ったことがある。それは子供としての視点と大人としての視点では違いが生まれるということ。10年前、ルシルを強制的に女装させたときとは違う高揚感が今はあるからだ。

「ルシル君、可愛い・・・」

「ひ、否定できない。ルシル・・・本当に可愛いよ」

ほら、なのはとフェイトもメロメロになってるし。昔と今じゃ感性が違うということだ。そして医務室を出て、部隊長室に向かう途中・・・・

「きゃあああああ! 誰ですかその可愛い子はぁぁぁぁーーーー!!」

いきなり見つかった。

「可愛い! この子、もしかしてルシルさんの妹さんか何かですか!?」

「見て、このサラサラな銀髪! 羨ましい!」

「も、もしかしてフェイトさんとルシルさんのお子さんですか!?」

「違っ、あの、えっと、この子は・・・だから、その・・・あー・・・『どうしよう。教えた方がいい・・・?』・・・そのね・・・」

ゴスロリルシルに群がるのは、シャーリーとアルトとルキノのトリオだ。そのトリオから怒濤の質問攻めを受け始めたフェイトからのSOS念話。というかシャーリーが何気にすごいことを言ってるよ。ルシルとフェイトの子供だとか。

『う~ん、巨大化についても知ってるし、ルシル君が子供になったって言ってもいい気も・・・』

『うん、今さら小さくなったって言っても動じないかもね』

「『じゃあそうしようか』・・・実は――」

かくかくしかじか。

「うっそ! この子がルシルさんなんですか!?」

「巨大化の次は子供化ですか!? あーでも可愛いから何でもいい!」

「ちょっと2人とも! どんなに可愛くてもルシルさんなんだよ!? 失礼過ぎ!」

トリオもゴスロリルシルにメロメロ。もしかして誘惑の呪とか使ってるんじゃないかってくらいに。

「いや、でもどうかなぁ? 今のルシル、記憶飛んでるし」

「「「・・・記憶喪失!?」」」

はい、盛大なリアクションありがとうございます。記憶障害についても説明。

「なるほど。だから女装させられても怒らないんですねぇ」

「あれ? でも自分の事を憶えているんでしたら、やっぱり怒るんじゃないんですか?」

「そうですよねぇ。もしかすると別のところで記憶に障害があるんじゃないんですか?」

「「「あ」」」

言われてみればそうだ。さっきシャマルが質問して返ってきた答えをそのままにしていたけど、もしかしたらルシルにはまだ他の記憶が飛んでいる可能性がある。だからこんな女の子っぽい言動とかしているんだ。

「えっと、ルシル。自分の事で何を知ってる? お名前とか」

「?? ルシリオン・セインテスト・ア――」

急いでルシルの口を塞ぐ。契約(メンタルリンク)の儀式の時とは違って、今“アースガルド”を名乗らせるのは少しまずい気がするからだ。何せ昔――子供時代とは違って、今のなのは達なら調べられるはずだ。まだバレたくない。もう少しこのままで、みんなと一緒に過ごしたい。

「ど、どうしたの?」

「え? あー・・・なんでもないなんでもない。コホン、えっとじゃあ、ルシル。その他には・・・? 判っている事を全部教えてほしいなぁ」

名前に関しての記憶はかなり古いと見ていい。まさかの“フォン・シュゼルヴァロード”じゃなくて“アースガルド”だから。つまりは、あの双子――ルリメリアとリルメリアと出会う前の記憶となったら・・・大体2、3千年くらい前ということだ。いや、もしかしたら守護神としての記憶すらないかもしれない。あー、なんかそっちの方の可能性が高気がしてきた。

「・・・六課で仕事」

「・・・え、それだけ?」

「うん」

2つ。ルシルが自分の事で憶えているのはたったその2つだけ。これで納得。名前と六課で仕事。これしか憶えていないから平気で女装できるんだ。

「ま、まぁこれで解決だね。さて、予定通りはやてのトコに行こうか」

実際何も解決してないけど、今はそれで良しとしよう。

「じゃあルシル。シャーリーお姉ちゃんとアルトお姉ちゃんとルキノお姉ちゃんにバイバイって」

「うん。シャーリーお姉ちゃん、アルトお姉ちゃん、ルキノお姉ちゃん、バイバイ」

「「「っくはぁっ!」」」

トリオ、完全陥落。まぁ仕方ないよね。私たちですら落とされたんだもん。それからはやての居る部隊長室に着くまでの間、ゴスロリルシルが落とした隊員は数知れず。女性隊員はもうメロメロ。男性隊員は本気でやばい目をして「はぁはぁ」言ってる連中もいた。このルシルを1人にすると間違いなく最悪な事が起こりそうだ。

「――にしてもホンマ可愛ええなぁ。大体7、8歳くらいか?」

「そうですねー。本当に可愛いですー❤」

はやてとリインも、事の経緯の説明途中ですで陥落済み。それほどまでに強烈なのだ、今のゴスロリルシルは。

「はぁ。マジでセインテストには同情しか出来ねぇな」

「ルシル。ヴィータに例の言葉を」

そう言うヴィータにも同情以外のものを湧かせてあげましょう。

「うん。ヴィータお姉ちゃん」

「っ!?」

フッ、どうよヴィータ。今のは効いたでしょう?

「お、お姉ちゃん・・・?」

「うん、ヴィータお姉ちゃん」

「くおっ!」

ゆっくりと崩れ落ちて四つん這いになって、「お姉ちゃんお姉ちゃん」ってうわ言を発するヴィータ。今までそういう経験がないからこその大ダメージ。小さい子供にお姉ちゃんって呼ばれると、それなりの歳の女子には堪える。いわゆる妹萌えみたいな?

「何の騒ぎだ、部隊長室で」

お、シグナム副隊長のご降臨ですよ。どれ、ここはシグナムにも一撃与えてみようかなぁっと。

「む? 何だ、そのセインテストを縮めたような子供は?」

まさしくその通り。

「ルシル、ゴー」

「あの・・・シグナムお姉ちゃん」

「ん、なんだ?」

あれ? シグナムにはこういうのは効かないのかな?

「えっと・・・」

「あー、えっとなぁシグナム。その子はな――」

はやてからシグナムにかくかくしかじか。

「・・・セインテスト。お前という男はどこまで・・・」

はい、シグナムからルシルに同情一丁入りました~。シグナムの同情プライスレス。ゴスロリルシルには働きたいっていう意思があることをみんなに話す。私が元に戻す方法を探すから、それまでゴスロリルシルの言動には目を瞑ってほしいということを話した。

「まぁ大丈夫やろ。なのはちゃんとフェイトちゃんから聞いたところやと、他の隊員たちももうメロメロやって話やし」

「ま、まぁそうだね」

「護衛付きが絶対条件になると思うけど・・・」

「なんだ、そこまでセインテストの人気はすごいのか?」

「それはもうすごいよ。女性隊員は目を❤にしてメロメロになって、男共も犯罪者一歩手間の目になったやつも居たし」

「じ、じゃああたしがセインテストの護衛になってやるよ。あたしなら一人で十分だろ? なにせ副隊長だからな」

「なんやヴィータ。ルシル君のお姉ちゃん口撃にメロメロなんか?」

「ち、違っ・・・!」

「ヴィータちゃんも女の子ですねー。ねぇヴィータお姉ちゃん♪」

「リイン!」

ヴィータのダメージは深刻そうだ。

「じゃあルシルの姉として、ヴィータにお願いしよっかな」

こうして昇級祝いパーティから始まった喜劇の続行が決定した。
 
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