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SAO二次創作者と、二次主人公ズの、やりたい放題桃太郎

作者:鳩麦
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終章 Ever After

翌日……
昔なつかし(そもそも昔昔なのですが)の純和風朝食を食べつつ、皆さんは食卓についています。

りょう「うめーなぁ……」
ほのぼのとした様子で言うりょうの隣で、さちが顔を赤くしつつ微笑みます。

さち「りょうさんは、本当に美味しそうに食べてくれるので、作りがいがあります」
りょう「ん?そか?んじゃどんどん食うわ」

りくや「……体のあちこちが痛い…」
お手製朝ごはんを口に運ぼうと腕を動かしてもズキズキして痛い。

ゆか「まるでヨボヨボなおじいさんみたいね」
そんな俺の状態に適当に体の一部を自分の人差し指でつついてみるゆか。

りくや「ふぎゃぁぁぁ!!?」

ゆか「あ、ごめんなさい」

りくや「お前…わかってやってるだろ……」

机に突っ伏しピクピクしながら答えるりくやにゆかは何も答えなかった。

りん「……おい、しの」

しの「なに?」

俺は目の前にあるものを見て汁を啜っていたしのに問い掛けた

りん「なんだ、これは?」

しの「なにって……レバ刺し?」

汁を啜る手を止めて、しのはキョトンとした表情で首を傾げた

りん「それはわかる。だが、なんで朝からレバ刺しが俺の前においてあるんだ?」

しの「なんでって……りんが貧血だったから私がとってきたんだよ?」

りん「……そうか……」

朝からこんなものを食いたくないとは思ったが、純粋に心配してくれているしのになにも言えなかった

まさき「ふぁ……ぁ……」
えみ「大丈夫?」
まさき「あぁ……」

卓についた途端、まさきの口から巨大なあくびが飛び出した。昨晩は十分すぎるほど休んだはずだというのにまだ脳みそが休養を欲しているらしく、心配そうなえみの問いかけに対しても生返事ばかりだ。

えみ「お茶、注いどくね?」
まさき「あぁ……」
えみ「お米粒付いてるよ?」
まさき「あぁ……」
えみ「ご飯、おかわり要る?」
まさき「あぁ……」

そんな、意識があるのかすらも危ういようなまさきの傍で、えみは甲斐甲斐しく世話を焼くのだった。

りょう「まさき……こりゃお前残り2日位休み欲しいか?」
いいながら、りょうはニヤリと笑います。

りん「ダメ亭主になりそうだな」
ボソッ

まさき「あぁ……」
えみ「あはは……ダメみたい」

……そんなこんなで食事時は過ぎていき、最後に茶を飲んだりょうは全体を見渡して言います。

りょう「さて……おらメンバーズ、注目」
りん「ん?」

茶を啜りつつ、りんがりょうを見る。

まさき「……うん?どうした?」
まさきもようやく目が覚めて来たらしくりょうを見、

りくや「ん?どうしたの?…あーそこ、うん」
りくやはゆかにマッサージしてもらいながらだ。

りょう「今この時を持って、一応このパーティーは解散って事にする。つまり、俺達の鬼退治は終わりだ。以降は各自自由に療養するなり、都に戻るなり、浜辺で亀の大群に追い回されたりしてくれ。まー、縁があればまた会うこともあるだろ、とりあえず、急な誘いに乗ってくれたお前らに、感謝する」
言いながら頭を下げたりょうに、各々が反応を示した。

りくや「どういたしまして。それにしても亀の大群って……まぁでも、もう解散かぁ……」
りん「いい暇潰しになった。歯ごたえのある敵と戦えたしな。……まあ、感謝は素直に受け取っておこう」
まさき「別に構わん。どうせ都に残っていたとしても、面倒な仕事を押し付けられただけだろうからな」

それぞれ謙遜したような人を食ったような言い方をするが、これでも彼らなりに「気にするな」や「良かった」、「なかなか惜しい」等の意思表示であるのは、ここまで付き合えば分かる事だ。

りょう「うっし……と言う訳でまぁ……解散!!」
こうして、短くも、濃い内容となった、鬼ヶ島攻略作戦が、終わりを告げた。



エピローグ

[りょう]

りょう「んなかおすんなって。爺さん達に報告して、すぐ戻ってくっからよ」

さち「う、うん……っ!」
困ったように笑いながら、りょうはさちに言いました。
元々、今回のことはおじいさんの依頼だったため、りょうはこれから、おじいさんとおばあさんに、結果を報告して、この島に住むことを報告しに行くことにしたのです。

りょう「んじゃま、行ってくる。2日もすりゃ戻るから、あ、なんか買い物あるか?」
さち「え?あ、それじゃあ……」
そんな事を言って、りょうは船で沖へと出て行きます。次に島に戻る時は、新しい生活が始まる。そう考えると、何となしに、船をこぐ力も強くなるのでした。



エピローグ[りん]

りん「いや、だから俺はもう大丈夫だって言ってるだろ?」
しの「でも……まだ傷が癒えてないんだよ?」
心配そうな表情で俺の胸元に縋り付き、涙を溜めた上目遣いで見つめてくるしの
そんな様子を見てため息をつきながら、俺は頭をかいた

りん「しのが心配するほど柔じゃない。それにそろそろ動かないと贖罪ができないじゃないか」
しの「その時は……私の側に一生居てくれるならチャラにしてあげる」
頬を赤くして拗ねたように視線を逸らすしのを見ながら再びため息をついた

りん「了解。ならさっさと傷を治せよ、しの。身体が鈍る」
しの「それって……」
驚いたようにこちらを見るしのの口を口で塞ぐ

りん「俺じゃ不満か?」
しの「……ううん……。嬉しいよ、りん。……私の、旦那様……」
顔をさらに赤くしながらも、嬉しそうに微笑むしのの頭を撫でて、俺は軽く笑みを浮かべた

エピローグ[まさき]


まさき「さて、と……」

りょうが出て行ったすぐ後、さちと入れ違いになるように、まさきは船着場に来た。頭はまだズキズキと痛むため、欲をいえばもう少しこの島で休みたいところではあるが、仕事を都に残してきた身である。そう長くここにいるわけにはいかないのだ。

えみ「まーさーきーくーんっ!!」
まさき「……うん?」

準備を終え、いざ出港、という寸前。まさきの耳に、聞き覚えのある声が届いた。ふと視線をそちらに投げると、なにやら大きな風呂敷包みを抱えたえみが、ポニーテールを揺らしながら駆けてくる。
えみはまさきの前まで来ると、肩で息をしながら不満そうな声を漏らした。

えみ「……もう、酷いよ。何にも言わずに一人で出て行っちゃうなんて」
まさき「ああ……すまない」

ジトーッとこちらを睨むように注がれる視線に、まさきは頭を掻きながら謝った。彼女は自分にとって命の恩人でもある。そんな相手に一言も告げないというのは、確かに少しばかり素っ気無さ過ぎたと珍しく反省した結果だ。

えみ「……もう。今回は間に合ったからよかったけど、次からは気をつけてね?」
まさき「? あ、ああ……」

もう来る予定もないのに、次も何もないだろう……と、えみの言動に僅かな引っ掛かりを覚えたまさきだったが、特に追求することもなく受け流す。

まさき「じゃあ――」

――さよなら。見送りに来たえみに改めて別れの挨拶を切り出そうとした、その時。

えみ「じゃ、行こっか」
まさき「……は?」

何を考えたのか、えみはまさきより先に船に乗り込んでしまった。あまりにも唐突なこの出来事にはさしものまさきもついていけず、気の抜けたような声を上げてしまう。

えみ「? 行かないの?」
まさき「……いや、何でお前が船に乗ってるんだ……?」
えみ「……あっ!!」

話の流れに追いつけないまさきが質問すると、えみは思い出したように立ち上がり、岸に上がった。すると、今度はまさきの前に正座する。

えみ「あはは……ごめんなさい。ちょっと緊張してて、順番間違えちゃった。そうだよね、こっちが先だよね」
まさき「いや、そういう問題じゃ……」

未だにわけが分からないまさきのツッコミも華麗にスルーして、えみは照れたようにはにかむ。
そして。

えみ「えと、不束者ですが、よろしくお願いします」
まさき「……はぁ!?」

三つ指ついてそう宣言すると、珍しく声を上げてうろたえるまさきの前で、満面の笑顔を見せた。

まさき「ま、待て! 何故そうなる!?」
えみ「……? えと、何か問題かな……?」
まさき「問題しかないだろう!?」

支離滅裂なことを言い出したえみに、まさきは大声でつっこんだ。が、肝心のえみは頭上に疑問符を浮かべるばかり。

まさき「大体、お前にはこの島が……」
えみ「あ、それならさちお姉ちゃんが残れば大丈夫なんだって。それに、お姉ちゃんたちにはちゃんと言って来てるから、大丈夫だよ?」
まさき「だ、だからと言って何故俺に……」
えみ「あ、えと、それは……その……」

最初の問いにはテンポよく返したえみだったが、続けざまになされた二問目になると、途端に歯切れが悪くなった。頬には真っ赤な朱が差し、照れたようにまさきから視線を外す。そして、自分を落ち着けるように数回ほど深呼吸して、消え入りそうな声で言葉を紡ぐ。

えみ「ひ、一目惚れ……っていうので……それに、あの時全部見られちゃったし……」
まさき「な、あ、あれは不可抗力で……」
えみ「うん……それは分かってる」

洞窟で彼女を助けたときの記憶が急に脳裏に蘇ったまさきは、それを消し去るように弁解する。えみは一度だけ小さくコクンと頷くと、再び恥ずかしそうに話し出す。

えみ「だから、まさき君がわたしなんかじゃ嫌だって言うのなら、わたし諦めるよ。好きな人に迷惑かけたくないし。でも、もし……もしまさき君が、わたしなんかでもいいって、そう思ってくれるなら……」

恥ずかしそうに、ゆっくりと、しかしはっきりと言葉を紡いでいくえみ。そのいつの間にかうるんだ瞳が、不安そうに上目遣いでこちらを見上げて。

えみ「その、責任……取ってくれる……?」
まさき「な、なな、ななななななな……」

吸い込まれそうな濡れ羽色の視線と、ドクドクと早鐘を打ち続ける鼓動。急に頬が熱くなったのと、背中をつぅっと流れた冷や汗を感じながら、まさきは思った。

――この少女、ひょっとすると鬼よりもタチが悪いのではないか、と――



エピローグ[りくや]

りょうやりん、まさきたちが船でこの島をでてしばらくした後、俺とゆかは船着場に来ていた。

ゆか「…りくやは、どうするの?」

りくや「俺?…うーん、そうだな…」

俺は向こうの方に家があって両親も普通にいるがその両親に「お前ももう少しで大人なんだからさっさと独り立ちしろ!」ということで半ば強制的に家を追い出されて目的のない放浪の旅だったから向こうに戻る理由もない。っていってもこっちに残る理由もないっちゃないんだけど……。

りくや「またいろんな村とかブラブラするような生活に戻りそうだな……」

ゆか「……そう…」

りくや「……あの、さ…ゆか」

今、ふと思いついたことを言おうとして恥ずかしくなって思わず頬をかく。

ゆか「…?どうしたの?」

りくや「……ごめん、なんでもない」

ダメだ、恥ずかしいなやっぱり。羞恥心が勝つか、言おうとする意思が勝つのかわからない中言おうかどうか迷っていると……

ゆか「……りくや…お願い、聞いてくれてもいいかしら……?」

と、訪ねてきた。

りくや「いいけど。断る理由もないしさ」

ゆか「りくやはやりたいこと探して旅してるのよね?」

りくや「そう、だね。家帰ったら負けた気がするしこうなりゃとことんやってやるしかないし」

別に勘当されたわけじゃないから家には戻れるし、今年あった月の節目には時々戻っているから頼ろうと思えば頼れるがなんか俺がそれを許せないでいる。

ゆか「…ならその旅に同行させてもらえないかしら?」

りくや「…………え?」

いきなり、ゆかの口から出てきた言葉に俺はなんとか反応できただけだった。

ゆか「私も、自分のしたいことをしたい…ってこの島にいる時何度か思ったことがあるの。…でもここ、することといっても限られちゃうでしょ?」

そんな大きい島でもないからそうだろうけど。

ゆか「そんなときにりくや達が来たの。それで昨日の夜…ちょっと考えてる時に思ったの。チャンスかもしれないって。もうこんな思い切ったことできる時なんて来ないかもしれないから…」

ゆか「それに私、りくやとなら一緒に見つけられるかもしれない……だから、お願い!」

ゆかの言葉をきいて一気に心が軽くなった。…なんか、俺だけ気負ってたのがバカみたいだ。

ゆかの言葉をきいて一気に心が軽くなった。…なんか、俺だけ気負ってたのがバカみたいだ。

りくや「……あーあ、なんで俺って先言われるんだろうな」

大事なことを自分から口にした記憶なんてほぼ無いに等しいかもしれないくらいだ。おかしくなって笑えてくる。

ゆか「な、何よ……私、何か変なこと言ったかしら?」

りくや「い、いや。ゆかは関係ないよ」

ゆか「……ほんとでしょうね?」

りくや「本当だって。……なぁゆか、さっき俺が言おうとしたこと、聞いてくれる?」

ゆかに言われてしまったからこうなったらもうとことん言ってやる。ゆかもうなづいてくれた。

りくや「俺と一緒にいろんなとこ行こう。もしかしたらやりたいことが違うかもしれない。でもそれまで、なんてことは言いたくない」

…こんなところで無駄に緊張してきて手汗がすごく出てきた。

りくや「俺……ゆかのこと好き…だ。だから、俺の隣にずっといてくれないか?」

さぁ言い切った。どうなるかはもう神のみぞ知る…じゃなくてゆかのみぞ知るっていえばいいのか?

ゆか「……それって……告白よりもずっと重要なことじゃない…」

りくや「あーうん……そだね……それでさ、ゆかはどう思っ……!?」

答えを聞こうと口に出そうとするもそれは途中で阻まれた。なぜなら後ろに手が回され抱きつかれて俺の言葉の出る口もゆかの口で塞がっているから。

ゆか「……ふぁ。…初めてはレモンの味、とか聞いたことあるけど嘘かもしれないわね」

りくや「…………」

ゆか「私も返事、言わないとね。……不束者ですが、よろしくお願いします」

ゆかは目に涙を溜めながら「定番のしかわからなかった」とてれながら笑っていた。

りくや「いい、のか!?こんなチビなやつだよ!?」

ゆか「それ、自分で言う?……でも、りくやの背中は大きかった。私にはそれで十分よ」

そう言うとゆかは小さく微笑んだ。…そうか、この優しそうな顔に惹かれたのかもしれないな。

りくや「よし、じゃあ行きますか」

ゆか「そうね。…とりあえずは決まってるの?」

りくや「全然。向こう着いてから考えようぜ」

話しながら船に乗り込むとそのまま船は出発、まだない目的地のスタート地点に向かって進みだした。

りくや「……あ、そういえばこの島は?」

ゆか「姉さんが残るみたい。……でも私もたまには帰ってきてもいいかしら?」

りくや「もちろん。……いつになるかわからないけどな」

ゆか「そうね。でもその方がまた会った時嬉しいじゃない」

りくや「おー。放浪の楽しみの一つをもう理解したとはー」

こんな感じでだべりながらも、俺たちの手はずっと繋がれたままだった。


────



かくして……


鬼ヶ島の鬼達は、勇敢な四人の仲間達によって退治され、宝物は、後に島を訪れた殿様が元の持ち主に返し、桃から生まれた事から、後に桃太郎と呼ばれた一人の青年と仲間達は、それぞれのパートナーと共に、何時までも何時までも、幸せに暮らしましたとさ……


めでたし、めでたし。

────

リズ「よーし。これでばっちりね」
アスナ「リズ?何書いてるの?」
夕焼けの赤に染まる校舎の中。リズと呼ばれた少女は、親友の声で顔を上げた。

リズ「え?あ、あー、ちょーっとね」
アスナ「えー、何?なんか怪しいよ~?」
リズが持っていたノートをこっそり盗み見ようとしたアスナの視界から、リズは若干慌てては真っ赤になりながらかわす。

リズ「ほ、ほんとに何でも無いのよ!」
アスナ「なら見せてくれてもいいと思うな~!」
リズ「そ、其れは無理!人には色々事情ってもんがね、あ、コラっ!」
そんな事を叫びながら、アスナとリズが廊下を走って行く。
そんな世界(ものがたり)(がめんのむこう)から眺めながら、椅子に座り込んだ青年(さくしゃ)は呟く。


鳩麦「はは。まさか此処まで大事になるとは、妄想もこうなると大した物ですね」
涙カノ「言って見るもんだなぁ、まさかここまでおおごとになるとは……」
蕾姫「これを桃太郎とは断じて認めん!てかこれが桃太郎だと本当に色々崩壊するしな」
レオニス「うーん、まぁこういうのも偶には良いですかね……にしても長かったな。
深夜の部屋で、青年達は苦笑した。


お し ま い
 
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