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戦国†恋姫 外史に飛ばされし者

作者:藤吉
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第8話

 
前書き
遅くなりましたー!

竜司「本当に申し訳ございません」

今回は本編でいう主人公の力の見極めまで!

作者、竜司「「それでは、どうぞー!」」 

 
戦国†恋姫 外史に飛ばされし者




第8話



 しばらく歩いていると、大きな城が見えてきた。


竜司「ほぉ…これが清洲城か。これは立派だ」


 手前に大きな橋がかかっており、その向こうに城門。
そして城としては小さいが、何とも堂々たる清洲城の本丸が見える。



久遠「ふっふっふっ。そうだろうそうだろう。清洲の城は尾張でも一、二を争う名城だからな」


 そんなに城を褒められたのが嬉しかったのか、まるで自分のことのように胸を張って喜ぶ久遠。
もう一度外見を見回してみる。


竜司「しかし、見た感じ他の城とは違って小ぶりだな。普通は二の丸、三の丸などがあってもっと入り組んでると思うが」

久遠「確かに大きいとは言えんが、それでもかなりの広さがあるんだぞ?」

竜司「なるほどな。火矢など使われればひとたまりもないな…もっと塀を高くして、弓隊が橋を渡る敵を狙えるように穴を開けて…」

久遠「お、お~い!竜司!戻ってこーい!」


 先程からブツブツと清須の城の改良点を口に出しながら物思いに耽っている竜司に久遠が声をかける。


竜司「ん?あぁ久遠、すまん。この城のことなんだが…」

久遠「あぁ、よいよい。貴様が言いたいことは大体わかっている」

竜司「ん?あっそうなのか?」

久遠「やれやれ、暢気な事だな。これから家中の猛者達との喧嘩しようという時に…」

竜司「まぁ緊張してても仕方がない。相手の力量がわからないうちに緊張しても、いざって時に力が発揮できないからな」

久遠「…全く、大物なのか、馬鹿なのか…」

竜司「馬鹿で結構…。自覚してる」

久遠「自分で言うな、うつけめ。…では行くぞ」


 こうして、俺と久遠は清洲城の中へ入っていった。
久遠に連れられながら、しばらく城内を歩きいていると、久遠が止まり、部屋の襖を開ける。


久遠「しばし、ここで待っておれ。時が来れば呼ぶ」


 そう言い残し、久遠は部屋を出て行った。


竜司「へぇ、ここもまた…風流があって落ち着く場所だ…」


 辺りを見回してみると、綺麗な掛け軸があったり、誰かが活けたであろう花が飾られていたり、茶道でも出来そうな和室の空間だった。


竜司「俺も室内での茶道は何度かやったことはあるけど…こういう和室も悪くはないな」


 一通り見回し終え、何もすることがないので襖を開く。


竜司「へぇ、久遠の屋敷より狭い庭園なんだな…まぁここもごく一部だろうが…」


 一人二人通るのには特に苦労はないが、もし大軍が雪崩込んでもしたら一気にいっぱいになりそうなことが十分予想できる。


竜司「そういうことも考えてのこの広さなのか?外見から見る限りは攻めやすそうだが…入ってみたらあら不思議ってか?」


 庭園も一通り見終え、何もすることがないので模擬戦のことを考える。


竜司「予想じゃ、麦穂と壬月は必ず戦うことになるんだろうな…後は…」


 柴田勝家と丹羽長秀…戦上手の織田家の双璧は当たり前としてほかの織田家の武将は誰かを考える。


竜司「あのひよ子って子…は、ないな…あの子どう見ても武闘派ではないだろうし…織田家の武将…滝川一益…佐々内蔵助成政…前田利家…竹中、黒田両兵衛、もないな…まだ桶狭間の戦いが終わったばかりだし…」


 俺の知っている歴史がどこまで進んでいるのか、またこれからどうなっていくのかはまだわからない。
もしかしたら俺というイレギュラーが現れたことで歴史が大きく変わっている可能性があるからだ。


竜司「まぁもし模擬戦をするならこの5人かな…今はただ待つしかない…か」


 これ以上考えても無駄と判断し、座禅を組んで精神統一に勤しむことにした。


?「竜司殿…竜司殿…!」


 どれくらいやっていたのだろう…誰かに声をかけられているのに気付かず、
いつの間にか寝てしまっていたようだ。


竜司「ん…?あぁ、麦穂…ん~…!!」


 麦穂に声をかけられ、それに気付いて背伸びをする。


麦穂「ふふ♪おはようございます竜司殿。よく寝ていらしてたようですね」

竜司「すまない…座禅を組んだままいつの間にか寝てたみたいだ…」

麦穂「まぁ、ふふふ。とても可愛い寝顔でしたよ。まるで子供のようでした」

竜司「うぐ…何か照れくさいな…恥ずかしいところを見られた。で?何か用か?」

麦穂「あ、っとそうですね。大変失礼しました。久遠様がおよびでございます。お早く」

竜司「いよいよか…わかった。行こう」


 そう言って一つ頷き、立ち上がって部屋を出て行く。
麦穂の後をついて行き、久遠の待つ評定の間に足を運ぶ。


竜司「さぁて、いよいよ織田家武将とご対面ってところか」

麦穂「これから大勢の前に立つというのに、楽しそうですね竜司様は」

竜司「まぁ、まさか歴史に名を残すであろう偉人達に会えるんだから、心躍るというものだ」

麦穂「まぁ…。では竜司様の世界では、私も未来に名を残してるのですか?」

竜司「勿論だ。柴田権六勝家、丹羽五郎左衛門長秀。この二人は織田家の双璧と呼ばれ周辺諸侯から恐れられていたと、とても有名な話だ(まぁ…俺の世界では皆男だがな…)」

麦穂「そうなのですね。では私もちゃんと名を残せるように、これからも精進せねばなりませんね」

竜司「今でも十分名を残す器量はあると思うが…と言っても、まだ若いんだから未来より今を考えたらいいんじゃないかな?」

麦穂「そう…ですね。今はまだ敵が多い織田家を支えるのが精一杯ですしね」

竜司「そういうことだ。しっかし、麦穂と壬月はもう面識はあるものの、ほかの面子はまだ面識はない。まさか…皆壬月みたいな人物ではないだろうな…」

麦穂「そんなことはありませんよ?壬月様は織田家一の家老の責任感もあって、竜司殿には随分警戒されてたようですけど…本当はお優しく、面倒見の良い方ですよ。他の家臣達も皆優しく、良い子ばかりです」

竜司「まぁどちらにしろ、模擬戦は避けられないだろうとは思うが、会うのが楽しみだ」

麦穂「ふふっ竜司殿らしいですね」

竜司「どんな時でも、バカみたいに肩肘張ってるより、前向きに考えたほうが気が楽なだけだ」

麦穂「それはそうですね。うふふ…」

竜司「そう言えば麦穂は…」

麦穂「はい?」

竜司「いや、初めて会ってまだ日はそこまで経っていないが、本当にこの呼び捨てでいいのか?いやまぁ今更って気はするんだけど…」

麦穂「何をおっしゃいます?あなたは久遠様のお側に仕えるお方。久遠様の夫になるということは、私からすれば主筋にあたります。あなたも私達の上司と同じということです」

竜司「かの丹羽長秀殿の上司…ね。実感がわかないな」

麦穂「ふふふっ」

竜司「ん?どうした?」

麦穂「鬼と戦っている時や、私達が襲った時は誠に凛々しかったのに、今は少年のようで、少し可愛く…い、いえいえ!何でもありませんよ!」

竜司「何言っているんだか…そう言えば聞きたいことがあった」

麦穂「はい?なんでしょうか?」

竜司「麦穂は俺が久遠の夫になるのは、反対ではなかったか?久遠の屋敷の時も手加減したとは言え、一応痛めつけたつもりなんだが」

麦穂「そう…ですね。当初は反対でしたけど、鬼と戦う竜司様を見て、話してみて、今になれば久遠様の仰っていた言葉の意味がわかります」

竜司「久遠はなんと?」

麦穂「久遠様は、竜司殿の瞳は他の者とは違うと、その目を見れば竜司殿の為人がわかると」

竜司「ふむ…で?俺の為人を見た麦穂の評価は?」

麦穂「竜司殿と向き合い、言葉を交わし、そして鬼と戦う勇姿をみて悟ったのです。この方は悪い方ではない、本当に人のために戦っているのだなと」

竜司「それが俺の使命であり、依頼だからやっていることだ。別に誰かのためにやってる訳ではないさ」

麦穂「むぅ…そういうこというの、意地悪です」

竜司「それは失礼。まぁここは信用されたということで今は喜んでおくよ」

麦穂「はい。そうしてください」


 次第にとある部屋の襖の前に着き、そこで止まる。


麦穂「では…こちらが評定の間でとなります。…竜司殿、準備は宜しいですか?」

竜司「あぁ、大丈夫だ。行こうか」

麦穂「では参りましょう」


 そして、俺と麦穂は【評定の間】へ入っていく。


竜司「…」


 評定の間に入った瞬間、見知った顔や見知らぬ顔…
見るからに好意的ではない殺気のこもった目をした者が一斉にこちらに向く。


竜司「…(予想はできていたが…まさか久遠…壬月と麦穂以外俺のことを教えていないな…)」

久遠「おぉ来たか竜司。どうした?そんなところにいないで、こちらに来ぬか?」


 こちら…というのは武将達が座っているところ…ではなく
久遠が指しているのは自分の横。上段の上なのだ。


竜司「…(おいおい…俺は久遠の夫にはなったがまだ公式に知らせた訳ではないだろうが…っていうか先にやることがあるんじゃないのか?)」


 声を出さない俺を見て、久遠は笑いを堪えているのがわかる。


竜司「…(おのれ…久遠。この状況を楽しんでるな…。後で覚えていろよ…)」

竜司「では、失礼する…」


 今は何を言っても無駄な気がするので、仕方がなく久遠の言った通りに壇上に上がり久遠の横で腰を下ろす。


久遠「皆の者。こやつが我の夫となる男。三上竜司という。存分に引き回してやってくれ。ほれ、貴様も自己紹介せい」

竜司「あぁ。ただ今織田久遠信長殿より紹介申し上げられた通り、名を三上竜司という者だ。織田家の双璧、柴田権六勝家殿、丹羽五郎左衛門尉長秀殿はご存知の通りだろうが、まだ私の顔を知らぬ者もおりましょう。本日よりこの織田久遠信長殿の夫と相成り申した。以後お見知りおき願おう」

少女1「ふざけるなぁああああああああああああああああああああああああっ!」

竜司「…(やはりこうなったか…)」

少女1「例え殿がお認めになってもボクは認めないぞ!」

壬月「控えよ和奏。御前であるぞ」

少女1「でも壬月様!いきなり出てきたこんな奴が、殿の夫とかって、どう考えてもーーー!」

壬月「その件については後にしろ」


 必死に抗議しようとしている少女を壬月が冷静に抑え込む。


少女1「むー…」


 壬月に抑えられ、仕方なくと言った様子でこの場は黙る。


少女2「まぁ確かに佐々殿も意見もわかりますよー。雛もそう思いますしー」

少女「佐々殿、滝川殿の意見に犬子、じゃなかった、この前田又左衛門犬子も同意見だよ!」


 どうやら、赤い髪の先にがっついた子が佐々蔵之介成政、紫色の髪の子が滝川一益、そしてお尻に尻尾?のような物をつけているのが、前田利家のようだ。


麦穂「犬子ちゃん。無理して言葉を改めなくても良いですからね?」

利家「えへへ、ごめんなさーい」

一益「という訳で、我ら三若は反対の立場ってことでー」

成政「そうそう!やっぱ雛も犬子もわかってるなー。流石相棒だ!」


 どうやらこの三人はとても仲がよく、前田利家、佐々成政、滝川一益を合わせて三若と称されているらしい。


一益「まぁ、久遠様がお決めになったことだから、認めるしか無いんじゃないかな~って雛は思ってるけどね」

成政「なに軽く言ってんだよ雛ぁ!久遠様の夫といえば、政戦両略で尾張にとって重要な位置にあたるんだぞ!それをどこの馬の骨ともわからない奴が、いきなり出てきて夫になるとか、そんなの認められるかー!」

利家「そうだそうだー!」

壬月「というのが、家中の意見ですが…」

久遠「ふむ…まぁそうなるだろうとは思っていたが…おい和奏」

成政「はい!」

久遠「どうすればこやつを認める?」

成政「ぼくより強ければ認めてやります!」

利家「え、結局それなの、和奏ぁ~…」

一益「まぁ和奏だし」

久遠「強ければ、か…ならば簡単だな。竜司、和奏と立ち合え」

竜司「はぁ…結局そうなるんだな…」


 わかってはいたが、やはり避けられそうにもないか。


竜司「(やるのはいいが…大丈夫なのか?)」

久遠「(心配ない。あの和奏という奴は曲がったことが嫌いなだけだ。それに貴様なら何ら問題はあるまい?それにあやつは真っ直ぐにぶつかってくる奴のことを気に入る傾向にあるやつだ。逆に言えば、貴様もやるときは手加減してやれ)」

竜司「(わかっている…おそらくあの和奏という子はまだ発展途上…そんな子に本気ではやらないさ。まぁ本気で模擬戦はするけど…)」

久遠「(それでよい。それに貴様のあの力を見れば、あやつらも納得するであろう)」

竜司「(全員とするんだね?やっぱり…)」

久遠「(我の夫なのだ。それくらい我慢しろ)」

竜司「はぁ…相分かった!では佐々殿の胸をお借りして、我が力存分に試されよ!」

成政「お、おう!望むところだ!」

久遠「うむ!よくぞ申した。それでこそだ。…あぁ、言い忘れておったが」

竜司「なんだ?」

久遠「わかっておると思うが、屍人など出すでないぞ?葬式は好かんのでな」

竜司「さて、それは佐々殿に言ってくれ」


 いくら模擬戦とは言え、相手は殺す気満々のようだ。
まぁ俺も加減はしてはみるが…さて、どうするかな…


竜司「さて、でははじめるのはいいが…ここでは狭すぎるな」

成政「なら庭でやりゃいいだろ!」

久遠「ならば我が屋敷の庭にすれば良い。…あぁ、この際だ。ほかに立ち合いたい奴は居れば進み出よ」

壬月「私も…立ち合いとうございます…」

竜司「やっぱり…」

利家「犬子も!犬子もやりたいです!」

一益「あ、じゃあ雛も一応、参加しまーす」

麦穂「では私も参加させていただきます」

竜司「織田家武将全員か…」

久遠「壬月はわかるが、麦穂もか?」

麦穂「私と壬月様は竜司殿のことを認めてはおりますが、武士として一度お手合せ願いたく…ね?壬月様」

壬月「あぁ、確かに私もこやつのことは認めている…だが、その力を己自身の肌で感じとうなったわ」

成政「えぇええええええええええ!壬月様!こいつのことを認めてるんですか!?」

一益「あや~これはびっくりー」

利家「わんわん!壬月様、麦穂様!このひとってそんなに強いんですか?」

壬月「まぁ一度も手合わせをしたことはないが…私は此奴の力を一度見ている。それは麦穂も一緒だ。お前たちも、精々励むのだな」

竜司「あまり期待しないでくれるか壬月?それと久遠、笑ってないで何とか言ってくれないか?」


 先程から一部始終を見てニヤついていた久遠を煽る。


久遠「なぁにたかが五人だ。何とかせい」

竜司「簡単に言ってくれるなおい…」

久遠「竜司も納得したところで、時間が惜しい。さっさと移動するぞ」

成政「よーし!ボクがサクッとぶっ飛ばして、お前なんか追い出してやるからな!」

竜司「まぁ別に出て行ってもいいけども…」

久遠「駄目に決まっておろうが。このうつけ者め!」


 これだもんな…まぁいい。さっさと終わらせるか…。
そんなこんなで、久遠、壬月、麦穂、三若の三人、そして俺の計七名は久遠の屋敷に向かうのであった。



 久遠の屋敷へ戻ると、天幕が張られ、早くも模擬戦の用意はできていた。


竜司「なんとも…はや、準備がお早いことで」

帰蝶「先程先駆けが参りましたもので、まぁ精々、頑張ればいいんじゃない?」

竜司「応援に刺を感じるがまぁいい…早速はじめよう」

帰蝶「なんなのよ…もぅ…」

竜司「現状…信用されてないんならそうなる努力はする。けど、今はそれどころではないんでね。あなたにはこれからの俺を見てもらって判断してもらうさ」

帰蝶「…えぇ。しっかり見せてもらうわ」

竜司「どうも、さてはじめるか。久遠いいぞ」

久遠「両者、位置につけ!」

成政「謝るなら今のうちだぞ!」

竜司「お優しいことで…だが心配無用だ。来いよ…」


 そういい、闘気を成政にぶつける。


成政「ぐっな、中々やるじゃないか…でもその程度でボクに勝てる訳がないだろ!」

一益「和奏ちん…そういいながら足竦んでるよ…」

利家「和奏…」

成政「う、うっさい!いいから黙って見てろ!黒母衣衆筆頭、人呼んで織田の特攻隊長!佐々蔵助和奏成政!」

竜司「三上流免許皆伝…三上竜司」

成政「へへっいい度胸だよ。そこは認めてやる」

竜司「精々怪我をしないことだ…」

成政「へっ言ってろ。おいサル!ボクの槍をもってこい!」

ひよ子「は、はいぃいいいいい~!」


 尾張に来るときに、俺のことを案内してくれたひよ子という少女が、槍を持ってきて、成政に渡す。


竜司「変わった槍だな…鍔の後ろに…引き金?」

成政「ただの槍だと思うなよー!この槍は国友一貫斎の絡繰り鉄砲槍!」


 国友一貫斎は、近江の国の国友村出身の鍛治職人。
一貫斎はこの9代目にあたるが、特に著名であるため説明なく彼を指して「国友藤兵衛」と呼ぶことが多い。
初代・辻村(国友)藤内は美濃国の鍛冶師の出身であり、永正年間に近江国国友村に移り住んだと言われている。
その跡を継いだ2代目以降の当主の多くが国友藤兵衛を名乗った。
他の国友鍛冶職人は重当(旧字:重當。弾が「重ねて当たる」の意)の銘を用いるのが通例だが、藤兵衛家のみ能当(旧字:能當。「()く当たる」の意)を用いる。
明治時代に入り11代目当主以降は鉄砲鍛冶を廃業している。


竜司「なるほど、まさか国友一貫斎殿の作品とは…」

成政「一貫斎を知っているのか?お前」

竜司「まぁ書籍でちらっとな。だが、その手の武器は使い手を選ぶ。果たして使えるのか?君に」

成政「へへん。今更負け惜しみか?まぁただの打刀でボクとこの槍に勝てると思うなよー!」

竜司「まぁいい。では俺も…」


 そう言うと、手を空にかざす。
すると


成政「な、なに!?」

利家「わふっ!?すっごーい!何もないところから刀が出てきたわん!」

一益「はや~本日二回目のびっくり…」

壬月「では、尋常にはじめ!」


 驚く三若を置いといて、壬月が始めの号令をかける。


成政「へん!どうやって出したか知らないけど、さっきも言ったように、そんな刀だけでボクには勝てないよ!一発で仕留めてやる!そりゃーーーーーー!」

竜司「甘い!!」


 その鉄砲の槍を竜司に向け、強い破裂音と共に玉を打ち放つ。
だが、竜司に当たることはなかった。


竜司「今度はこっちk………何やってるんだ?」


 二発目、もしくは槍で打ち込んでくるかと思い、構えたのだが…
成政はその場に座り込み、何やら棒のような物で槍の先端を出し入れしている。


竜司「おい…」

成政「ん、一発撃ったから、筒の中を掃除して、玉薬を篭めなきゃダメなんだよ。んしょ、んしょ…」

竜司「………」


 え?あれ?

成政「いってーな!何すんだー!おかげで玉薬が溢れただろーーー!」

竜司「玉がなくなったなら…自分の武でかかってこんかこのだほぉ!」

成政「うぐ!?」

竜司「それとも何か?もし敵と一騎打ちするとき、敵に待ってもらうつもりか!」

成政「そ、そんなこと…!それにそういうのは壬月様の役目だし」

竜司「それでも武将か!お前、その持っている槍がただの鉄砲代はりか?」

成政「な、んなわけねーだろ!ボクだってちゃんと武の心得位あるよ!」

竜司「ならその己の武でかかってこい。それにその手の武器は、こんな中距離で打つよりもっと接近させて使ったほうが効果的だぞ」

成政「うぇ?そうなのか?」

竜司「今までどんな使い方をしてたかは知らんが、俺ならそうする」

成政「そ、そうなのか…」

竜司「まぁ今はどうでもいい。玉薬は封じたんだ。後は自分の武でやるしかないぞ」


 そして、竜司は一気に駆け出した。


成政「くっそー懐に入れさせると思ってんのかー!」


 真っ直ぐ突っ込んで来る俺向かって、早い突きを繰り出してくる。
だが


竜司「…」


 振り下ろして来た突きは竜司には届かず、空振りになった。
だが、ただ空ぶった訳ではない。


成政「何!?どこに消えた!」


 そう、ただ避けた訳ではなく、いなくなったのだ。そして


竜司「どこを見ている」

成政「!?いつの間に…」


 いつの間にか、竜司は成政の後ろに回り込み、刀を成政の首へ向けている。


竜司「勝負あり…か?」

成政「舐めるなぁあああああああああああ!」


 一度ジャンプして後ろに下がり、着地と同時に突っ込んで来る。


成政「とりゃああああああああああああああ!」

竜司「見えているぞ…」


 その攻撃を片手にもった刀で簡単に受け止める。
そしてそれを跳ね返し、腰の辺りで抜刀の構えをしながら突撃する。


竜司「ふん!」

和奏「ぎゃん!」


 跳ね返され、意表を突かれたのだろう。
成政はバランスを崩しこけそうになる。
だが、それでも俺は追い討ちをかける。


竜司「はっ!」


 槍を跳ね上げ、その隙にまた一瞬で後ろに回り込み、首に手刀を入れる。


成政「うぐっ………ひゅ~……」


 手刀を打ち込まれ、悲鳴を上げることなく気絶する成政。


竜司「っと…」


 その成政を支え持ち、転ばないようにする。
そしてゆっくりと地面に横にさせる。


竜司「すまんな…少々手荒な真似をした…」

麦穂、壬月、帰蝶「「「ーーーーーーーーーー!」」」

久遠「そこまで!勝者竜司!よい手際なり!」

竜司「ふぅ…まずは一勝と、って久遠!なんでもありならなんでもアリで最初から言え!」

久遠「確認しなかった貴様が悪い。それに貴様なら負けぬとわかっておったからな」

竜司「そうだね…ごめんね…」


 確かに確認しなかった俺も悪いかもしれんが、まさか本当に殺しに来るとはな…これは俺がやられた場合、帰蝶やあの三若辺りがいなくなって清々するとか言って、簡単に済ませるんだろうな…。






 そんなことを思いながら溜息を吐くと、次は紫色の髪の子。滝川一益が前へと出てきた。


一益「次は雛の番だねー。…でも和奏ちんが負けたのに雛が勝てるとは思えないんですけどー」

壬月「グダグダ言っとらんで、さっさと仕合えぃ」

一益「ぶー…相変わらず怖いですよ壬月様ー」

竜司「次は…君か。さっき滝川と言ってたか…」

一益「はいはいー。和奏ちんとの立ち合いは見せて頂きましたよー。なかなか強いですね、お兄さん」

竜司「そらどうも…まぁまぐれだ」

一益「にゅふふ、そんなご冗談を~。まぁ普通にやってたら負けるかなーと思うんで、雛、ちょっとだけ本気出しちゃいますね」


 すると、一益は両側面に刃が付いている小太刀を抜刀する。


竜司「…(この子…持っている刀はまるで忍者の武器だな…滝川衆って忍者の部隊だったか?)」


 その小太刀を両手に一本ずつ、計二本構える一益。
先程戦った成政よりは機動力は上だろう。
それに成政の場合は油断と隙が多かったのでそこをついた。


竜司「(さて…考えても仕方がない…。ここは直感で動いてみるか…)」


 そう思うと竜司は身体の力を抜き、自然体で立っている。


一益「おや…そんなにぼ~っとしてちゃ危ないですよ~お兄さん」

竜司「……」


 一益が声をかけるが竜司からの返事はない。


一益「むぅ…なら仕方ないですね~。ふにゅ♪ってことは…」


 すると一益の周囲に白い靄が立ち込める。
おそらく麦穂達が言っていた御家流というやつか。
そう思っていると、目前から姿を消す一益。


竜司「…!」


 それは本の一瞬の出来事。
一益が気配を消し、一瞬で近付き、背後からの攻撃に竜司は背中に背負うように持ち一益の斬撃を受け止める。


一益「ありゃー、受け止められちゃったかぁ…」

竜司「氣を使った歩行術…なるほど…」


 それなら、先程一瞬で背後をとったのも頷ける。


一益「んじゃ、もういっちょ行くよー!」

竜司「……」


 中腰に構え、いつでも動ける体制を取る。
あの早さだ。普通の人間なら判断する暇はないだろう。
ならこちらは…


竜司「ふっ……」


 上に飛び上がり、空中で宙返りをして着地する。


一益「ふぇあ!?また避けられた!」

竜司「今!」


 ドン!という音と共に、竜司は自分の肘を相手の後頭部に打ち込む。


一益「きゃんっ!あいたたたたー…」

竜司「今のは君の御家流か?」

一益「あや~お兄さん御家流のこと知ってるんだ~。これは滝川家御家流、頑張って足を速く動かせば、早く動くことができるの術」

壬月「阿呆。滝川家御家流、蒼燕瞬歩、だ」

一益「ふふふ、それでーす」

竜司「いろんな御家流があるんだな…」

久遠「御家流とはそれぞれの家紋に伝わる秘技だとでも思えばいい。最も貴様は規格外だがな」

竜司「人を化物みたいに言わないでくれないかな?」

久遠「貴様の力は化物じみているであろうが」

竜司「言わないでください…少しは気にしてるんだから」


 でもこのまま続けても埒があかない。


竜司「さて、んじゃあ仕切り直しと行こうか」

一益「じゃあもう一回いくよー!」

竜司「……」


 また一益の姿が消え、いつ一撃がくるかわからない。
だが竜司は、自然体のまま動こうとしない。


久遠「見えない相手にどうする竜司?」

竜司「ふっ…」

一益「竜司くん…お覚悟ーーーーーーーー!」

竜司「瞬歩…」


 竜司がそう呟くと、一瞬のうちに消える。


壬月「なっ!あやつも蒼燕瞬歩を!」

一益「そんな!もう!当たらないよー!」

竜司「別にこれは滝川家の御家流とは全く関係ない。ただ氣を足に載せて動いてるだけだ」


 嘆きながらも、再び御家流で姿を消す一益。
竜司も同じように姿を消す。


一益「どこにいったんだよー!」

竜司「こっちだ」


 一益の側面から現れ、一閃を入れる。


一益「きゅううぅううううう…」


 当てたのは、刃がついていない部分。
その部分が一益の頭部に直撃し脳を揺らす。


一益「がっくし…」


 その攻撃に耐えることなく一益が気を失った。


竜司「これで二人目だな、ごめんな」


 そう言いながら、成政の横に同じように横にする。


久遠「ふむ…姿が見えない相手に勝ち、よもや貴様まで姿を消せるとは…どうやったのだ?」

竜司「特に特別なことはしていない。この子の攻撃を躱したのはただの直観だ」

久遠「直観だと!?」

竜司「そう。人間考えすぎれば目の前のことがおろそかになる。だから考えるのを辞め、ただ目の前のことのみに集中するものだ。あれこれ考えるより自然に任せれば身体が自然に動くという訳だ」

久遠「それも貴様の御家流なのか?」

竜司「いや、これは鍛えれば誰でもできる力だ。ただ使えるようになるまではは個人差があるからすぐに使えるわけじゃないが…」

久遠「なるほどな…では、先程貴様の姿が見えなくなったのはなんだ?」

竜司「あれはただの瞬歩。氣を足に纏わせることによって高速に動くことが可能になる。これは主に隠密…暗殺とか単独で動くためにつけたんだ」

久遠「本当に草のようだな…これでもこやつは甲賀出身の者なのだがな」

竜司「まぁ、直観力と瞬歩についてはこのくらいか。次は誰だ」

久遠「ふふ。余裕だな」

竜司「楽しいよ。これだけの猛者と戦うのは久しぶりだ」


 竜司はこう言っているのだが、実際ここまでの竜司の力は一割も出してはいない。
全て修行時代では当たり前の事だったからだ。
すると今度は前田利家が進み出る。


利家「じゃあ次は犬子の出番!良いですか、久遠様!」

久遠「許す!存分にやれぃ!」

利家「やった!へへっ織田赤母衣衆筆頭、前田又左衛門利家、通称犬子(わんこ)が竜司殿のお相手をいたしまーす!」

竜司「三上竜司…参る」

壬月「では、両者構え!」


 両者が指定の位置に付き、太鼓の音と共に壬月の号令が下る。


壬月「始め!」


 号令とともに始まった…のだが…。


利家「きゅうぅううううう…」


 開始早々突っ込んで来て、竜司がギリギリのところで躱し、柄のの(はばき)の部分で一撃を入れる。
そしてその一撃で利家が気絶した。


壬月「勝者…三上竜司!」

竜司「よし…」

久遠「これで三人抜きか。強いとは思っていたが、まさか織田家の三若全員を沈めるとはな」

竜司「この子達の攻撃は素直すぎる。軍の統率はともかく、一気がけの武者としてはまだ未熟だ」

壬月「此奴らにもいい薬になったであろう。なら貴様が此奴らを鍛えてやるか?」

竜司「お望みならば考えておくが?最も、俺の鍛錬は少々きつめだがな」

久遠「これで我が軍も一層強くなるな。喜ばしいことだ」

竜司「さて、後二人か。次は誰だ?」

麦穂「次は私がお相手仕りましょう」

竜司「麦穂か…かの米五郎左殿自らがお相手とは、光栄だな」

麦穂「ふふ。その余裕も今のうちですよ」

竜司「それは…楽しみだな」


 すると、竜司からは先程とは比べ物にならない程の闘氣が込み上げてくる。
ゆらりとした立ち振る舞いに見えるが全く隙が見当たらない。警戒するに越したことはない。


壬月「ふむ…一見して麦穂の技量を見抜くか」

一益「お優しい顔して、麦穂様はお強いですもんねー。雛、一度も勝ったことないですし」

成政「麦穂様!ボクの仇、頼みますよー!」

利家「犬子のもついでによろしくですー」


 成政達の声援を受け、柔らかく微笑み、こちらを向いた瞬間真剣な顔になった。
ジリジリと張り詰める緊張感。先に動いた方が負けという風に緊迫した空気を漂わせる。


竜司「麦穂…」

麦穂「何か…」

竜司「このままでは勝負はつかん。なんで、一つ面白い刀を見せてやる」

麦穂「そうですか…やぁ!」


 瞬間、麦穂が早い一閃を繰り出す。


竜司「ふっ!」


 先程と同じように、直観で動く竜司。危なげなくギリギリで躱す。
だが、麦穂も息つく間もなく流れるように次々と攻撃を繰り出す。
縦横無尽な攻撃に竜司が飛び退いていく。


竜司「はっ!」


 さっき、成政に使った容量で着地と同時に攻撃へと転じていく…しかし


麦穂「その攻撃は読んでいましたよ」


 俺の高速の一撃をまるで待ち構えていたかのようにドンピシャな位置で受け止められる。


竜司「あらら、先読みされたか…」

麦穂「いくつもの可能性を考え、それに備える。…私の得意とするところですから」

竜司「それが麦穂の御家流というわけか…はぁ確かに読まれるのは厄介…だけどさ」

麦穂「どうしました…竜司殿」

竜司「いやね。麦穂、俺らここまで何合打ち合ったかな?」

麦穂「さぁ…。…!?」

竜司「気付いたか?」


 すると、麦穂は自分の刀を下ろしてしまう。それどころか、刀が地面に突き刺さってしまった。


麦穂「一体何が…くっ…抜け…ない!」

竜司「表を上げろ…侘助…」


 竜司が持っていたその刀は、刀身が中程から鉤状に変化した形状。


麦穂「竜司殿…一体何を!」

竜司「この刀侘助の能力だ」

麦穂「刀の…能力!?」

竜司「この刀、侘助は切った物の重さを倍にする能力を持つ」

麦穂「…!?」

竜司「気付いたみたいだな。そう。この刀で一太刀斬られれば重さは倍。もう一太刀斬られればそのまた倍。そして最後には相手はその重みに耐えかね、まるで許しを請うかのようにこうべを垂れる格好になる。それが!」


 瞬歩で一気に間合いを詰め、侘助を麦穂の首に宛てがう。


麦穂「ふぐ…!」

竜司「侘助の能力だ…」

壬月「そこまでだ!勝者!三上竜司!」

成政「嘘…だろ!ボク達ならともかく…麦穂様まで…」

利家「有り得ないワン有り得ないワン!一体何が起きたって言うんだよー!」

一益「麦穂様でも勝てないんじゃ雛達が最初から叶う訳ないよ~…ってことは…もしこのまま行ったら壬月様まで…」

久遠「ふむ…四人抜きか…。これで皆も竜司の力を認めざろう得んな。…なぁ壬月よ」

壬月「殿。私はその者のことは、もう認めております」

久遠「ほぅ…認めた上で…まだやる、と?」

壬月「えぇ。これほどの強者はあまりおりませぬからな…強き者と戦うことこそ武士の誉れ…喜びというもの」

久遠「全く物好きめ…竜司構わぬか?」

竜司「嫌だと言っても、この場で俺の拒否権はないんだろう。なら俺も楽しむだけだ」

久遠「全く…どいつもこいつも剛毅な奴らめ」

壬月「なんとでも…猿!」

ひよ子「は、はいっ!」

壬月「得物を寄越せ」

ひよ子「はい。ただいまー!」


 元気よく返事をしたひよ子は、普通よりはるかにでかい大八車を曳いてきた。
そこにあるのは、斧…
だが普通の斧のでかさではない。


壬月「ふっ!」


 そのどでかい斧を軽々と持ち上げる壬月。


壬月「よし…」

竜司「こいつはまた…でかい得物だな…」

壬月「私の得物だ…何か文句でもあるのか?」

竜司「いいや…面白い…。なら…俺も武器を変えるぞ!ふっ!」


 先程まで使っていた刀を何処かへ消し、新たに武器を生成する。


竜司「ブラックゲイル…この得物は見たことはあるだろう?」

壬月「あぁ…そう言えば田楽狭間で初めておうた時に持っておったな」

竜司「壬月は武器と見た目からして、力と力の勝負がお好みのようだ。ならその望みを叶えよう…」

壬月「ありがたいな…ならば私も貴様に敬意を表してこの、我が柴田家の家宝、金剛罰斧を使ってろう。光栄に思え」

竜司「ならば…俺の力と壬月の力…」

壬月「どちらが強いかとくと競おうではないか…」

竜司「では…尋常に…」

壬月、竜司「「推して参る!」」


 そこからは、全く戦況は変わらないまま硬直していく。
お互いの力と力がぶつかり合い、相殺していく。


竜司「飛龍尖撃!!」


 大剣に氣を纏わせ、真撃につき出す竜司。


壬月「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!」


 その突きを全身の力で受け止め、打ち返す。


壬月「今度はこちらか参るぞ…おおおおおおおぉおおおおおおおおおおおおおお!」


 大きく振りかぶり、上段から一気に振り下ろす。


竜司「龍覇…獄焔塵!」


 その攻撃に地面を削りながら切り上げ、衝撃波を放つ。
その攻撃も金剛罰斧で受け止められる。だが、受けきれずに後ろに吹っ飛んでいく。


久遠「ふむ…まさかここまで強いとはな…。我の目に狂いはなかった」

麦穂「確かに…まさか壬月様があそこまで押されるとは…」

成政「どうなってんだよ!なんで壬月様があそこまで押されんだよ!」

一益「まぁまぁ…和奏ちん落ち着いて…」

利家「あんなに押されてる壬月様なんて見たことないよぉ…でも壬月様楽しそうだよね」

久遠「まぁ、尾張ではあやつほどの強者は今までおらなんだろうからな…これは我が軍にとって良い刺激となっておるのだろう」

三若「「「……」」」

久遠「どうだ?これでもまだ…あやつのことは認められぬか?」

成政「い、いいえ…確かに多少は…多少は!!認めてもいいと思います」

一益「全く、和奏ちんは素直じゃないね~」

犬子「まぁ、和奏ちゃんだしね~」

久遠「雛はどうなのだ?」

一益「そうですね~。確かに壬月様とやれるだけでも力は十分。和奏ちんに戦闘の指導を何気な~く見てる辺り、頭も良さそうですし~、これは織田家にとって力になるんじゃないかと~。これで織田家が弱兵と呼ばれることはなくなる日も近いかも~なんちって」

犬子「犬子も!竜司殿のこと認めるワン!」

久遠「さよか。さて、そうこう言っている間にそろそろ決着がつきそうだぞ」

三若「「「えっ…」」」


壬月「はぁ…はぁ…ふふ、なかなかやるではないか…まだそのような力を残していたか」

竜司「いやはや…それを受け止めて反撃してくる壬月も流石という他ないな…」

壬月「その割には疲れ一つ見せぬのだな」

竜司「いやいや…あれだけ打ち合ったんだ。正直そろそろ疲れる…」

壬月「ふっ…いうわ。ならば…次の一撃で決めるとしようか…」

竜司「そうだな…では、次でお互い最高の一撃を…」

壬月「上等だ。おおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!」

竜司「はぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!」


 互いが互いに氣を高め、己が持つ武器に纏わせる。
大気が震え、地が鳴り響き、まるで久遠たちとは別の空間をこの二人は作り出していた。


壬月「行くぞ。おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

竜司「来い!龍皇…斬牙殴衝ぉおおおおおおおおおお!」


 壬月の斧が大地を揺らし、その衝撃で上へ飛び上がる。
そして竜司はその衝撃を利用し、大剣を地面に叩きつけ、真上に衝撃波を出し氣の柱がそびえ立った。
その衝撃で砂煙が高く立ち上り、竜司たちの姿を隠す。


帰蝶「勝敗は…!?」

竜司「見事だ…壬月。またやろう…」

壬月「うっ…ぐっ…」


 立っているのは竜司。壬月はいつの間にか地に伏せている。
気を失ってはいないが、それでも意識が朦朧としているようだ。


久遠「そこまで!勝者、三上竜司!以上で模擬試合は終了とする!」


 久遠から全ての試合の終了を宣言される。
どうやら、これで模擬試合は全員終わったようだ。
だが、俺にはまだやることがある。


竜司「久遠…!」

久遠「どうしたのだ?竜司」

竜司「試合したみんなを壬月の周りに集めてくれ」

久遠「ん?それはいいが…どうするのだ?」

竜司「模擬戦とは言え、打ちどころが悪い子もいるかも知れない。だから治す」

久遠「そんなこともできるのか!?よし。では三若!そして麦穂。すぐに壬月のところに寄れ」

麦穂「御意。さぁ、三若たちも行きましょう」

成政「麦穂様。ボクは別に大丈夫です!これくらい…へでもありません!}

一益「ふぅ~…」


 そんな成政に息を吹きかける。


成政「ふぐっ…!?っつぅうううううう!いってぇな何すんだよ雛!」


 いきなり吹きかけられ、首を一気に曲げたものだからそれが痛み出す成政。


一益「にゅふふ~和奏ちんも意地っ張りだね~直してくれるって言うんだから無理なくてもいいのに~」

成政「う、う、う…うっさい黙れ雛ぁ!」

利家「まぁこれが和奏だしね~…」

成政「犬子も黙れ…」

麦穂「という訳で、頼みます。竜司殿」

竜司「あぁ。わかってる。じゃあ行くぞ。双天帰盾!舜桜・あやめ」


 対象を囲う楕円形の盾を張り、盾の内側を事象(出来事)が起こる前までの状態に戻す。


成政「お、おぉ!すげぇ!痛みが引いていくぞ!」

一益「ほぅ~これはすごいね~まるで痛みがないことになってるみたいな~」

竜司「鋭いな。双天帰盾は全ての事象をなかったことにするものだ。君たちを覆っているもので、俺との戦闘の痛みをなかったことにした」

壬月「うぬ…これは不思議だな…」

竜司「大丈夫か?壬月…」

壬月「竜司か…ふむ。大事無い。心配はいらぬ」


 壬月が起き上がり、一安心したところで帰蝶を連れた久遠がやってきた。


久遠「して、実際立ち会った貴様らの評価はどうだ?」

壬月「認めましょう。…他の者はどうか?」

麦穂「私は元々認めておりますから」

以後雛「雛も異議なーし」

以後和奏「ちぇーっ。壬月様と麦穂様がそう仰るなら、ボクも納得しておきますよ。実際強かったし」

以後犬子「犬子はねー。立ち会って見て、この人結構頼りがいある人だなーって分かったから賛成ー!」

和奏「なんだよそれ、嗅覚かよ」

犬子「そうだよ。犬子の嗅覚は確かだよー」

竜司「…(犬…か…)」

壬月「…だそうです」

久遠「よし、ならば決まりだな。…結菜も良いな」

帰蝶「………」

久遠「結菜」

帰蝶「まだ…認めてあげない」

久遠「意地っ張りなやつだ」

竜司「まぁ、そう簡単に認めてもらおうとは思ってないさ。今回はとりあえず、織田家の武将が俺の力を見定めるためにやったことだし。好きにしてくれ」

久遠「だそうだぞ。結菜」

帰蝶「…(コクン)」

和奏「でも殿ー!本気でこんな奴を夫にするんですかー?」

久遠「本気だ。…が、何か懸念がでもあるのか?」

和奏「いや、いくら他家からの政略結婚の申し出を袖にするための道具とはいえ、殿、可愛いから、こいつが変な気を起こすんじゃないかなーって」

久遠「ふむ…まぁ確かに知力、武力ともに申し分ない。我の相手としては十分であろう」

和奏「なっ!まさか殿はもう…!?」

竜司「誓っていうが、そんなことは一切していないしする気もない。お互い意見が合致したので夫役を受けただけだからな」

犬子「えぇーでもそこはほら、若い男女ってこともあるし」

久遠「そうなればなったで、本当の意味で夫にしてやっても良い。その覚悟はあるぞ」

帰蝶「なっ!?」

久遠「なんだ?」

帰蝶「べ、別に…ふんっ!」

竜司「久遠…それは流石に…」

久遠「なんだ?竜司は我が貴様の妻では不服か?」

帰蝶「なっ!?あんた!」

竜司「そうではないが…」

久遠「では、なにか懸念があるのか?」

竜司「俺と本当に婚儀をするかはこの際置いておいて、君は帰蝶殿ことをもちっと考えたほうがいいと思うぞ」

久遠「心配しなくても、結菜なら分かってくれよう。こいつも美濃の蝮の娘なのだからな。な?結菜」

帰蝶「知らないわよもう!」

壬月「まぁ結菜様のおむずがりは置いておくとしましょう」

帰蝶「こら壬月!」

久遠「おけぃ」

帰蝶「むーっ…」

麦穂「竜司殿の扱い、どうされるのです?夫という形で傍に置くのは構いませんが、働かざる者、食うべからずとも言います。何らかの役職をお与えになるのが良いのではないかと」

久遠「一応腹案はあるのだが…」

竜司「まぁできることならなんでも協力はしよう。どこまでできるかはわからんがな」

ひよ子「殿ぉー!たった今、佐久間様の部隊が墨俣よりご帰還されましたー!」

久遠「デアルカ…おい猿!」

ひよ子「は、はひっ!?」

久遠「貴様もそろそろ武士として名乗りをあげても良い頃合であろう。竜司の下に付き、功をあげよ」

ひよ子「えっ!?あ、あの、じゃあ私…」

久遠「うむ。小人頭を免じ、今日よりは武士となれ」

ひよ子「あ、あ、ありがとうございましゅ!」

久遠「うむ。竜司隊第一号として励むが良い。竜司を暫しここで休ませるので、ひと段落したら二人で城に来い。沙汰を与える」

ひよ子「はいっ!」

竜司「じゃあ、武士になった祝いに、これを送らせてもらおう」

ひよ子「はひ?なんですか?」


 それは一本の刀である。


竜司「これの総称はまだないが、俺が修行時代に使っていた刀だ。心配しなくてもちゃんと研いであるから十分な切れ味があるはずだ」

ひよ子「うぇええ!そんな!こんな大事な刀を!」

竜司「これから俺の部下になるんだろう?なら、これくらいはさせてくれ」

ひよ子「あ、あの!有り難き幸せです!」

久遠「その刀を見せてみろ猿」

ひよ子「うぇ!?は、はい!」


 すると、興味深々のように、久遠は俺が渡した刀を調べ上げる。


久遠「ほう…ふむふむ…ほぉ…これは見事な業物だ。よかったではないか猿。大事にせい」

ひよ子「はい!ありがとうございます!」

久遠「では、竜司。貴様はしばらく休んでおれ。これにて竜司の検分を終える!皆は表情の間に場を移し、墨俣よりの知らせを聞け!」

一同「「「御意!」」」


 こうして俺は、織田家の一員となった。 
 

 
後書き
ってなわけで第8話はこんな感じ!

竜司「帰蝶はやはりこれだけじゃ認めてくれないか…」

まぁ、大体原作と同じ進みだしね。でももうすぐ落ちるよw

竜司「落ちるって…」

作者、竜司「「それではまた次回!」」 
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