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ストライク・ザ・ブラッド~魔界城の主~

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プロローグ

 アルディギアはバルト海に面する王国だ。決して大きいわけではないが、自然に恵まれ、産業、特にこと魔術産業に関しては世界最大級のシェアを誇る、非常に豊かな国だ。

 そんなアルディギアの王宮は華やかだ。白い大理石で作られた壁は、見る者を虜にする美しさがある。

「魔城」
「おや、ラ・フォリア。どうしました?」

 開かれたドアから、部屋の中に侵入した少女も、またみる者を虜にするである美しさを持っていた。鮮やかな銀髪。透き通るような碧眼。整った、むしろ整いすぎた様な美貌は「フレイヤの再来」とまで言われている。

 彼女の名前はラ・フォリア・リハヴァイン。アルディギア王国王女だ。今は彼女は帝王学の時間のはずだ。本来はこんなところをうろうろしていていいはずがないのだが。

「何をやっているんですか?」
「魔城に会いたくなって部屋を抜け出してきてしまいました。安心してください。家庭教師は魔術で眠らせてあります」
「全然安心できませんよ……はぁ。義母(かあさん)を思い出してしまったじゃないか……」

 暁魔城の口調が、改まった者から砕けたものに変わる。しかしすぐに魔城は口調を元に戻して続けた。

「大体どうやったら家庭教師を眠らせて僕の所に来ようとか考えつくんですか」
「それは私が魔城を愛しているからです」
「……冗談はやめていただけませんか」
「本気ですよ?」
「……」

 ラ・フォリアのいたずらっぽい微笑。これに陥落された男は数知れないと思われる。

 もちろん自分もその一人なんだが、と考えつつ、それは口に出さないで魔城はラ・フォリアを諭す。

「……こんなところで僕に襲われても知りませんよ」
「良いですよ別に。むしろ私は魔城に気持ち良くしてもらいたいです」
「陛下にぶち殺されるので止めときます」

 はぁ、とため息をつく。ラ・フォリアの父親であるアルディギア国王は、愛娘を一切嫁に出す気がないらしく、「娘に手を出す奴はアルディギア軍が総力を持って叩き潰す。その覚悟があるやつはかかってこいやぁッ!!」と豪語するほどの親馬鹿である。政略結婚とかに利用されるよりはましだと思うのだが、ラ・フォリアはあまりそれが気に入っていないようである。

「魔城ならアルディギア軍など一撃で沈められるではありませんか。覚えていますよ。初めてあなたが私の前に現れた日のこと。もう二年になるんですね……裏庭で大爆発が起こったので何事かと思ったら」
「やめてくださいお願いします」

 魔城は手を合わせて懇願する。ラ・フォリアはふふっ、と軽やかに笑って、許してあげます、と言った。

「それより魔城、日本に戻るという話は……」
「ハイ。義弟が第四真祖になったことに獅子王機関が感づいたらしくて……僕も監視に踏み切ってみようかな、と思いましてね。明後日には発とうかと考えています」
「そうですか……寂しくなりますね」

 ラ・フォリアは本気で悲しそうな表情をする。何が冗談で何が本気なのか分かりにくい人だが、恐らくこの表情は本心からだろう。魔城が来る前は、ラ・フォリアは完全な箱入り娘で、友人は侍女たち以外にいなかったのだから。

「落ち着いたら手紙でも書きますよ。暇になったら戻ってきます」
「楽しみにしていますね。……そうだ、魔城。絵を描いてくれませんか?」
「絵ですか?」
「ハイ。魔城はとても絵が上手ではないですか。一度、私を書いていただこうと思っていたんです。肖像画を描かせるのは魔城が初めてなんですよ」

 ふふっ、と再び笑うラ・フォリア。魔城は分かりました、と言って、キャンパスをたてる。

 獅子王機関の剣巫が、第四真祖に出会ってから、数日後の出来事だった。 
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