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八条学園怪異譚

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第五十五話 百鬼夜行その七

 二人は茉莉也と共にその百鬼夜行に参加することにした。それは満月の夜であり学園の中のススキがやけに美しい。
 その夜にだ、二人は茉莉也の神社に行くと。
 茉莉也はもう用意を整えていた、白と赤の巫女の服を着ている。その巫女姿で二人ににこりと笑って言って来た。
「こんばんは」
「こんばんは」
 まずは挨拶からだった、二人も応える。
 そのことが済んでからだった、茉莉也は制服姿の二人に話す。
「それじゃあ行くわよ」
「最初は何処に集まるんですか?」
「パレードのはじまりは」
「学園の正門よ」
 この学園全体のそことだというのだ。
「そこに行ってね」
「そこからですか」
「皆で」
「そう、百鬼夜行というけれど」
 茉莉也は二人にこうも言った。
「実際は百じゃ効かないわね」
「妖怪さんも幽霊さんも多いからですね」
「確かに学園のそうした人達全部fが参加しますと」
 二人がこれまで会ってきた妖怪や幽霊のことを思うとだった。
「多いですね」
「それも相当に」
「それじゃあですよね」
「百どころじゃなくて」
「そうよ、実際のところはね」
 百では効かずにというのだ。
「もうどれだけの人がいるかわからないから」
「その皆で、ですね」
「学園の中を練り歩くんですね」
「特に深い意味はないわよ」 
 その百鬼夜行にだというのだ。
「ただ妖怪さんや幽霊さんの習性でね」
「夜になると皆で集まって、ですか」
「練り歩くんですか」
「そうなのよ。人間が参加してもいいし」
 実際に彼女達の様にというのだ。
「参加しても取って食われる訳でもなし」
「楽しいものですね」
「パレードで」
「そう、怖くないし」
 それにというのだ。
「楽しいものよ」
「それじゃあですね」
「今から私達も」
 二人も確かな言葉で茉莉也に応える、そうしてだった。
 三人で学園の正門に行く、するとそこには愛実と聖花がこれまで会ってきた妖怪や幽霊達が全ていた、日下部は二人の姿を認めて前まで来て声をかけてきた。
「君達も参加するのか」
「はい、泉を探す為に」
「そうします」
 実際にそうすると答える二人だった。
「これで泉が見つかればいいですけれど」
「そうでなくても」
「わかった」
 日下部は二人の言葉を聞いて確かな声で頷いた。
「それではな」
「今回もご一緒させて下さい」
「この百鬼夜行に」
「百鬼夜行はただ皆で歩くだけのものだ」
 日下部は二人に茉莉也と同じことを話した。
「特に怖いものではない」
「そうみたいですね」
「特にですね」
「そうだ、恐ることはない」 
 全く、というのだ。
「楽しめばいい」
「そうなんですよ」
 ろく子も来た、とはいっても首だけを伸ばしてくる。この辺りはろくろ首だけはある。 
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