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いつか必ず、かめはめ波を撃つことを夢見て

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第02話 到着!占いババとの出会い

「ここが、占いババの館か」
 旅を初めて数ヶ月、各地を調べて周り、やっとの思いで占いババの館を見つけたナシゴ。占いババの館を見つけるまでは、半信半疑だったナシゴは、原作の登場人物が実際に居ることを知り、どうやら本当にドラゴンボールの世界に転生したのだと実感できた。

「はいはい~ならんでください、ならんでください」
「おぉ、お化けだ」
 キャラクターの名前は知らなかったが、生まれる前に読んだ漫画に描かれたのと同じキャラクターに対面したナシゴは、ミーハーな反応を返す。

「占いババ様のお客様ですか?」
「そうです。占いババ様はいらっしゃいますか?」
 並んでいる人たちを眺めながら言うナシゴ。目線の先には屈強そうな男たち5人組が、意気揚々と並んでいる。失せ物探しの依頼料は、占いババの設定する法外な料金を支払うか、彼女の用意する戦士5人と戦うかを選ばされる。彼らは多分、戦いの方を選ぶお客なのだろうと思った。

「えぇ、いらっしゃいますよ。順番が来たらお呼びしますので少し待っていてください」

 数十分待った後、お化けの案内人がやってきてやっとナシゴの出番が来た。と同時に、先の5人組がボロボロになって出てきた。どうやら、彼らは失敗したようだった。

「お待たせしました。ご案内します」
「お願いします」

 付いて行くと、漫画に書かれていたのか見覚えのある部屋の中央に女性が一人立っていた。
「お連れしました、占いババ様」
「へっ?彼女が?占いババ様?」
 部屋の中には女性1人しか立っていなかったが、お化けが彼女を占いババ様と呼んだのならば、彼女が占いババなのだろう。

「ず、ずいぶん若い……」
 漫画では、よぼよぼのおばあちゃんだった占いババ様の容姿は、今の彼女を見るとそんな姿が想像できない。サラサラのピンクの長髪にキリッとした容貌で、凛々しいという部類に入る顔立ちをしている。しかも、大きな水晶球を脇に抱えて、立ち上がっている。身長がスラッと長く、僕に比べてかなり背が高い。服装は見覚えがある、真っ黒なトンガリ帽子に赤のリボンと、これまた真っ黒なマントを身にまとっている。占い“ババ”と言われていたので、姿を原作どおりのおばあちゃんを想像していたナシゴにとって、思わず”若い…”と声が漏れて本人の前で言ってしまうぐらいに、衝撃だった。

「あら、ありがとう。それで、探しものはなに?お代は1000万ゼニーになりますわ」
 声も、しゃべり方も若いと内心で思いながらナシゴはこう返す。
「僕は、戦士たちとの戦いでお支払いしたいのですが」

 旅費以外のお金はほとんど持っていないナシゴにとって、1000万ゼニーは払えるお金ではなかった。しかし、武術に多少の自信があるナシゴは、原作と同じように戦ってタダで占ってもらおうと考えて、実行した。

 若い占いババは、ナシゴを頭の上から足の先まで、じろりと観察するとついて来てと言って、歩き出した。

 周りを池で囲まれた、円になっている島に連れられてくると、占いババは説明を始めた。
「ここで、一人ずつある選手と戦ってもらいます。5人出てくる選手を全員倒すことが出来たならば、タダで占ってあげるわ。じゃあ、早速ドラキュラマン出よ!」
 原作と同じように、勝ち抜ければタダで占ってもらえる。早速準備運動を始めたナシゴの前に一匹のコウモリが飛んで現れる。彼がドラキュラマンだろう。漫画と同じように、人間に変身したドラキュラマンを見て、ナシゴは思った。漫画のドラゴンボールと同じだと。 
そして、彼から放たれる闘気の強さや身体の動かし方から、おおよその強さを測るナシゴ。

「それじゃあ、試合開始!」
 これから始まるバトルに嬉しそうな笑顔で開始を宣言する、占いババ。
「よろしくお願いします」
 ナシゴが武術の礼を取り、頭を下げる。するとすぐに、ドラキュラマンが動き出し、ナシゴの降ろされた頭にめがけて、その拳を振り下ろす。
「死ねい!」
 ドラキュラマンが凶悪な笑顔のままで腕を振り下ろし不意打ちを狙ったが、その腕には何も感触がなく、ただ風を切るだけだった。
「何っ?!」
「慌てなさんな、ドラキュラマンさん。まずは挨拶から、大事なことですよ」
 子供に似つかわしくないしゃべり方、ドラキュラマンは声を掛けられた方に向くと、いつの間にか、少し離れた所で構えているナシゴを発見する。確かに、頭目掛けて殴りかかったはずだが、いつの間にか視界から消えて、かなりの距離を取られていた。視界から消えているうちに攻撃しなかったのかと考え、ナシゴに舐められたものだとドラキュラマンは思った。
「く、くそ!」
 頭に血が上ったドラキュラマンは、ナシゴめがけて走りだし、そのまま同じように頭をめがけて腕を振り下ろす。先ほどと同じような攻撃。しかし、次は避けるだけでなく反撃に移ったナシゴ。ドラキュラマンの目には止まらない早さで、ナシゴの拳が突き出される。拳をモロに腹に受けるドラキュラマン。

 カウンター気味に決まったナシゴの拳。ドゴンと大きな鈍い音が周りに響き渡ると、ドラキュラマンの身体がくの字に曲がる。そして、ナシゴの小さな身体にもたれかかったかと思うと、そのまま地面へと伏せるような形になった。ドラキュラマンはナシゴの一撃によって完全に気絶をしていた。

「勝者ナシゴ!」
 占いババの勝者宣言が響き渡る。ナシゴは、久しぶりの対人戦だったが、この世界でも今までに鍛えた力が通用することに喜びを感じていた。
「ドラキュラマンに勝ったとはいえ、喜んでいられないわよ。こっちの選手はどんどん強くなっていくんだから」

 占いババの用意するのは、残り4人の選手。ナシゴは無事勝ち抜くことが出来るだろうか。
 
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