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【IS】例えばこんな生活は。

作者:海戦型
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例えばこんな歓迎会を開かれるとは思わないだろ

 
前書き
月一更新に変更。
ブレンパワードっていい作品だよな。 

 
9月21日

・・・・・・マジで出れた。篠ノ之博士ったらいったいどんなマジック使ったんだろう?
娑婆の空気は美味いぜぇ~と伸びをしてたらジェーンさんに脇腹小突かれた。やめて、脇は弱いのよ!
・・・え?未だにジェーンとジェーンさんが混同してる?・・・サーセン。どうにも慣れないです。

とまぁそんなことは置いといてだ。なんかジェーンに半ば連行される形で部屋まで引っ張られた。何何!?何事!?と思いながら部屋に押し込まれた先にいたのは・・・目にいっぱいの涙をためたオウカだった。

オウカは俺が入ってきたことに気付くと涙を拭いて逃げようとした。
何で?と思う間もなく背中に衝撃!なんとジェーンさんのバリツを食らってしまったらしい俺はそのまま宙を舞い、逃げようとするジェーンの身体に圧し掛かる形でぶっ倒れた。

その後さらに泣いて逃げようとするオウカを捕まえるのが大変だった。


オウカは、俺がジェーンに「面倒頼んだ」って渡したのを厄介払い的な意味で捉えてしまったらしく、実は今日まで延々と泣いていたそうだ。朝目が覚めては泣き疲れて眠り、昼に目が覚めては泣き疲れて眠り、晩になっては枕を濡らしながら泣き疲れて眠り、寝ている間も泣いていたらしい。

ISって寝るんだろうか?電気羊の夢見るの?って聞いてみたら「デンキヒツジってなぁに?」と素で聞き返された。かわいいので抱きしめた。良く考えたら5日ぶりの再会だからね。ちょっとイタズラ心が芽生えて、耳元で「俺から抱きしめたのは初めてかな?」と囁いてみたらぴったり泣き止んだ。

代わりに体がオーバーヒートを起こして「ふみゅぅあぅ~・・・」とよく分からない声出してダウンしたが。
まったく・・・俺がオウカの事嫌いな訳ないでしょ?もう半年も一緒に過ごしてるんだよ?可愛い所も怖い所もみんな含めて、俺はオウカの事が好きだよ。




9月22日

シャルが脚にギプス嵌めたままだけど帰ってきた。IS補助のおかげかかなり簡易なギプスで、ほとんど普通に歩いている。寄り添うように補助をするファリンの献身的な心が伝わるようで微笑ましいね。IS技術が解析されれば病院の医療は大きく変わるんだろうなぁ。

そして何かと騒ぎたいお年頃の皆が集まって「ゴエモン・シャル・ラウラ復帰記念パーティ」を開く流れになった。会長さんが許可をくれて食堂の一角にパーティ会場を設置。ウツホも調理にいそしんでいた。

おお、どうしたの箒ちゃんにおりむー?二人とも目に隈出来てるよ?・・・え、主に俺の所為??
あれ、どうしたのラウラ姉?そんなにげっそりした顔して・・・え、だいだいウツホの所為??
んん、どうしたののほほんさん、そんな感激した顔して・・・え、今日から仕事が減る??
おまえらはなにをいってるんだ。まるで意味が解らんぞ!

まぁいろんな人に色んなこと言われたが、要するにここ数日クラスの空気が重すぎたらしい。で、反動のどんちゃんパーティである。七面鳥的な鳥、チョコ的なケーキなどパーティーにありがちな食べ物からうな重まで様々なごちそうを目の前にした皆は体重も気にせず食べまくっていた。

かくいう俺もリューガさんにノンアルコールカクテル飲まされたり、セシリアにローストビーフをあーんさせられたり、こっそり混ざって突入してきたオウカに「ずるいずるーい!わたしもあーんするー!!」とか言い出したせいで何故か”俺が皆に”あーんをしてあげることになったり。

どうしてこうなった?まぁいいや、皆楽しそうだし。

というか山田先生が会場の端で織斑先生と一緒にチーかまとあたりめ齧ってるんですが、まさか先生その手に握ってるのってアルコールじゃないですよね・・・?怖くて聞けなかった。




9月23日

ちょっとばかし気になって俺は織斑先生のところに質問しに行った。

先生、人はどこから来た何者でどこへ行くのでしょうか?
・・・ゴギャーン!って感じに出席簿で頭を小突かれた。スイマセン質問が抽象的すぎました。もっと個別具体的に質問します。

聞きたかったのはうしおとほむらのことだ。後になって考えればあの子たちはどうやって鍵のかかっ謹慎室に入ってきたのだろうか?という素朴な疑問だったのだが、問われた織斑先生はかちんと固まった。
謹慎室は俺が解放されるまでの間、一度もロックは解除していないんだそうだ。また、そもそもその日この学園に子供を連れ込んだ人間は一人もいないし、関係者の親族にうしおとほむらという名前の人物は存在しなかった。

え?
えっ?
じ、じゃああれは・・・・・・幽霊ーーーー!?

そのままぱったり倒れた俺はついさっき目が覚めてこの日記を書いている・・・
妙に目が冴えて眠れない・・・ひょっとして、また幽霊来るんじゃなかろうか・・・?言っていなかったが、俺ってば怖い話は大の苦手なのだ。遊園地のお化け屋敷でさえ悲鳴を上げずにはいられない。オウカが「相手がユーレーだってゴエモンを護るもん!」と鼻息荒く決意表明をしてくれているから何とか精神を保ってい・・・・・・

・・・ジェーンさん?あ、違った・・・ジェーン?何でさっきから顔色真っ青なの?お化け怖いん?
そう聞いたら、ジェーンにしては珍しく全面肯定してきた。俺以上の怖がりように見えるが、なんかお化け以外の事を怖がっているように見えなくもないような・・・?え、お前の勘違い?そうだったのか・・・

まぁなんにせよオウカと二人でも怖いのだからジェーンも入れて3人いれば怖くなくな・・・


がちゃり!


ぎぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!し、し、し、心臓が破裂するかと思った・・・!!
単にラウラ姉がドアを開けて入って来ただけだった。事情を話すとやはりというか、「家族で一緒に寝れば怖いものなど無い!」と無駄に自信満々な顔で宣言した。・・・うー、怖いものは怖いし仕方ないか。
もうすっかり慣れてしまったベッド連結作業。元々シングルベッドにしてはでかいので2つ繋げれば4人くらい寝られる。ラウラ姉がちっちゃいから尚更ね。




9月24日

朝、目を覚ますとそこにはオウカの寝顔があった。
その瞬間俺は得も言われぬ感覚が心の中を渦巻くのを感じた。
そんなことは、無い筈だ。今までだってそうだったし。
だからそれはないと無意識に思ってたのかもしれない。
でも、もしもそうなら・・・可能性は示されているから、もうあり得ない話じゃないのか。

1日中そんなことを考えてたせいで織斑先生に頭を強かにはたかれたが、それにすら数十秒気づいてなかったので周囲にかなり心配された。明日からしっかりしよう。




9月25日

箒ちゃんに指摘されるまで全く気付かなかったが、お化け事件以来目に見えてジェーンの挙動がおかしい。昨日は考え事をしてたから気付かなかったが、流石に教科書を上下逆さまに授業を受けるのは俺もおかしいと思う。
言葉づかいも若干崩壊しているのか一人称がボクとか小生とか妾とかにころころ変わっている。キャラ崩壊するほどお化けが怖かったのだろうか。大丈夫かと俺が近づくと更に崩壊が激しいのだが。

あんまりにもおかしいので織斑先生に「早退しろ」と諭されるまでに至ってた。本当に大丈夫だろうか?

と、心配してたら保健室から凄く大きなニヒロの鼓動が聞こえてきた。え、ちょ、まさか!?
人間に「感情」の代表として提起される喜怒哀楽の波が、他の小さな波と一緒にどんどん膨れ上がっていくのを感じる。そんな中、ニヒロの鼓動に交じって消えそうなほど小さな感情のハレーションが伝わった気がした。

心なしか・・・いや、この声はひょっとしなくてもジェーンさんでは!?

とうとう生まれるの!?と思いながら慌てて様子を見に行ったら―――あれ?
ジェーンが寝てたはずの場所にどことなくジェーンさんに似た幼女がちょこんと座っている。誰?あのお化け疑惑の二人とちょっと似ている気がするけど・・・

「あ、パパ!」
「「「え」」」

事情を知らない同級生たちが絶句してるけど俺も絶句している。パパって君、俺はほら子供居ないしきっと人違いじゃ・・・

「ご、ゴエモン!この子ジェーンだよ!そしてニヒロだよ!」
「いやそれじゃ分かんない。ニホンゴムズカシイ」
「パパー!」

混乱が極まって未だに考えが纏まらないので一度寝る事にする。お休み、ジェーンとニヒロとオウカとラウラ姉とレン!・・・・・・今更ながら多いなおい。 
 

 
後書き
ニヒロ:産まれたばかりの赤ん坊コアにしてISコア№2プロト(白騎士に次ぐ2番目となる。ロストナンバー)。ジェーンの感情の起伏が急激に活発化した結果、それに触発されて自我を発露。まだ右も左も分からない赤ん坊のような状態。なお、生まれる条件は周囲のISの喜怒哀楽が揃う事だった。怒と哀に部分が足りなかったため、今まで兆候はあっても生まれ出でることはなかったようだ。 
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