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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第十四話





「長門。美羽様が呼んでおるぞ」

「本当か?」

 鍛練所でクロエと焔耶の三人で鍛練をしていると、零が俺に言ってきた。

「ならちょっと玉座まで行ってくるわ」

「分かった」

 クロエと焔耶にそう言って俺は玉座に向か う。

「どうしましたか美羽様?」

「……別に美羽でも構わんのじゃ」

「公私混同は駄目ですから美羽様」

「むぅ………」

 美羽、拗ねるな。

「それで何か御用ですか?」

「あぁ。黄巾軍がまた妾の領内で暴れておるみたいじゃから長門を司令官にした部隊で鎮圧してきてほしいのじゃ。場所は南西十二里の村じゃ」

「それは構いませんが、黄巾軍の数は?」

「凡そ一万二千です」

 傍らにいた七乃が言う。

「……前回とは数が違うな」

「はい。今回は荊州にいる一部の黄巾軍も合流したみたいです」

 数が増えるのはめんどくさいな。

「分かった。頑張ってみます」

「頼むのじゃ」

 俺は美羽に頭を下げて玉座を出た。

「んで、出動出来るのが第三師団と第六師団 か」

「後は他のところに行ってるの」

 沙和が報告する。

 今回、出撃する武将は俺、趙雲、クロエ、ロッタ、沙和の五人だ。

 ロッタは前回の事もあって出撃は見送ろうとしたけど、ロッタが「お願いよ長門」と直訴をしたのでそのまま出撃させる事にした。

「んじゃぁ急いで出撃。早くしないと死人が沢山出るからな」

「分かったなの。そこ、サッサと歩けッ!! ちんたらしていると貴様らに付いている〇〇〇を切り落とすぞッ!!」

『サーイエッサーッ!!』

 ……元気だなぁ。





「隊長。斥候からの報告だと黄巾軍は山あいに潜んでいるようなの」

 沙和が報告してくる。

「山あいか……」

「王双殿、何を恐れている。黄巾軍は所詮は烏合の衆。雑魚に兵法は無用、一斉に突撃をしたら充分に勝ち目はありますぞ」

 趙雲が強引の突撃を具申してくる。

「趙雲。いくら烏合の衆でも罠くらいはしてあるって」

「ですが……」

「とりあえずは斥候を多く放って、地形を調 査。奇襲をしやすい場所を選んでそこで黄巾軍を叩く」

 俺の決定案に趙雲は悔しそうに俺を見てい た。





「ロッタ。アレはちゃんと持ってきたか?」

「えぇ持ってきたわよ。でもアレなんか何をするの?」

「……ちょっと残虐な行為だな」

「え?」

「隊長大変なのッ!!」

 そこへ、沙和が走ってきた。

「どうかしたのか沙和?」

「ちょ、趙雲ちゃんが黄巾軍に単騎突撃した のッ!!」

 ……やっぱりな、まさかとは思ってたけ ど……。

「……助けるか。貴重な仲間を失うわけにはいかんしな。沙和、………………はあるか?」

「斥候の話しだとあの両側にそりたつ壁があるところなの」

 沙和が場所を指差す。

「よし、ロッタは俺とこい。クロエと沙和は……………だ。分かったか?」

「分かった」

「分かったの」

 さぁて、やるか。




「やはり王双殿も英雄になる人物ではなかったか……まぁいい。これが袁術軍での最後の奉公だ」

 山あいの開けた場所で黄巾軍に囲まれた趙雲は武器を構える。

「恐れる者は背を向けよッ!! 恐れぬ者はかかってこいッ!! 我が名は趙子龍ッ!! 一身これ刃なりッ!!」

「ぶち殺せェーーーッ!!!」

『ウオォォォォォーーーッ!!!』

 黄巾軍が趙雲に突撃する。

「はいはいはいはいぃーーーッ!!」

 趙雲は攻撃をかわしつつ、黄巾兵士の腕や頭を斬り、その命を刈り取る。

 しかし………。

「(チッ……倒した敵で足場が……)」

「身動き出来なくなってるぞッ!! 取り囲んでなぶり殺しにしろッ!!」

「くっ………だが私はまだ負けんッ!!」

 趙雲が攻撃をしようとした時だった。

「ホーリーランスッ!!」

『ッ!?』

 突如、黄巾軍の上空から巨大な光の槍が降ってきた。

『ギャアァァァァァーーーッ!!!』

 運悪く、光の着弾地点にいた黄巾兵士は槍の餌食となった。






―――王双SIDE―――

「……私、人を殺したんだ………」

 俺の前にいるロッタが呟く。

「……気にするなと言わん。でもこれが現実 だ」

「うん………」

 只今ロッタと馬で二人乗り中。何かこのまま抱き締めたいのはマイソロ初代からロッタを使用してきた影響か?

「ロッタ、援護してくれ」

「分かったわ……」

 俺は日本刀を抜く。

「突撃ィィィーーーッ!!!」

ザシュッ!!ザシュッ!!

「ぐぺッ!?」

「ガパァッ!!」

 黄巾兵士の首や腕を斬り、それが宙を舞い、血が雨となる。

「ホーリーランスッ!!」

 ロッタが援護射撃として再び上空から複数の聖なる槍を黄巾軍に降らせる。

「ギャアァァァァァッ!!」

「な、何だコイツらはッ!?」

「……王双殿……ロッタ……」

 趙雲は思わぬ援軍に手を止める。

「ハアァァァッ!!」

『ギャアァァァァァッ!!』

「趙雲ッ!!」

 突き刺した黄巾兵士を蹴りで倒すとやっと見つけたな。

「王双殿………」

「馬鹿野郎ッ!! なに単騎突撃してやがるんだッ!! 死にたいのかッ!!」

「し、しかし奴らは………」

「足場が無くなりかけてやばそうだったのにそれでも黄巾軍を烏合の衆と言うのかッ!!  あぁッ?」

「……………」

 俺の怒りに趙雲が黙ってしまった。

「まぁいい、お前が無事だったからな。とりあえずこいッ!!」

「あ…………」

 趙雲の手を取ってロッタの元まで戻る。

「ロッタ行くぞッ!!」

「分かったわッ!!」

 俺達は馬に乗って逃げる。

「奴らを逃がすなッ!!」

 黄巾軍は慌てて追い掛けてくる。

 俺達は逃げる中、谷を通る。

『今だ(なの)ッ!!』

 その時、谷の上に潜んでいたクロエと沙和の部隊が一斉に木々や石を道に投下して逃げる道を塞いだ。

「何ッ!!」

「お頭ッ!! 後ろの道も塞がれましたッ!!」

「なッ!? 奴らの狙いは道を塞ぐ事だったのかッ!!」

 お頭が叫ぶ。

「ぶっかけろッ!!」

 そして、クロエと沙和の部隊が何かを閉じ込めた壷を投げたり黄巾軍にかけたりした。

「これは……油?」

 割れた壷を見た黄巾軍兵士が呟いた時、クロエ、沙和の部隊兵士が火がついた松明を次々と投げた。

「や、やめ………」

ボウゥッ!!

 火が一斉に広がり、黄巾軍は炎に包まれた。







 
 

 
後書き
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