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Element Magic Trinity

作者:緋色の空
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天空の巫女と空の鉄壁、灰竜


六魔将軍(オラシオンセイス)を討つ為に結成された連合軍。
が、実力者であるジュラとティアは屋敷にて偽一夜に刺されてしまった。
ナツ達は六魔将軍(オラシオンセイス)と対峙するが、相手の予想以上の強さに全く歯が立たない。
そんな中、司令塔であるブレインは放とうとしていた魔法を止め、驚愕に顔を染め上げて呟いた。

「・・・ウェンディ・・・ルーレギオス・・・」

名を呟かれた2人は戸惑う。

「え?え?」
「何で僕の名前を・・・」
『!』

ざわっと倒れる連合軍の中でも驚愕が走る。
それは六魔将軍(オラシオンセイス)も同じようだ。

「どうしたブレイン」
「知り合いか?」

レーサーとコブラの言葉に、ブレインは口を開く。

「間違いない。『天空の巫女』と『空の鉄壁(シエロ・ミュール)』だ」

聴き慣れない2つの言葉。
呼び名である事だけは解るのだが・・・。

「天空の・・・」
「巫女?」
空の鉄壁(シエロ・ミュール)・・・だと?」
「何それ~」
「・・・?」

グレイとヒビキ、アルカが呟き、本人であるウェンディとルーでさえ戸惑い、頭を抱える。
乱れた髪をオールバックに整え、ブレインは笑みを浮かべた。

「これはいいものを拾った。来い」
「きゃあ!」
「うあっ!」

ぐわん、とブレインの杖の先端から魔法が発動され、2人は捕まる。

「ひっ」
大空短剣(アリエスナイフ)!ていっ!とぉっ!」

徐々に六魔将軍(オラシオンセイス)側に引っ張られていく2人。
ルーはその左手に風で構成した短剣を持ち魔法を斬ろうとするが、するするとすり抜けてしまう。

「ウェンディ!」
「ウェンディちゃん!」
「シャルルー!ココロちゃん!」
「アルカぁーっ!この魔法斬れないよぅーっ!」
「ルー!待ってろ、すぐに助けてやる!」

シャルルとココロ、アルカが駆けだす。

「何しやがる、この・・・」

ナツが怒りを顔に浮かべながら起きあがろうとするが―――――

「金に・・・上下の隔て無し!」
「うわっ!」
「がっ!」
「くあっ!」
「きゃあ!」

ホットアイの魔法が地面を柔らかくして壁を作るかのように波打たせる。

「2人を放して!」
「遅いわ!」
「っきゃあああ!」
「ココロちゃん!」
「ココロっ!」

ココロが走るが、レーサーに容赦なく蹴りを決められ地面を転がる。
それを見たウェンディとアランが声を上げた。

「シャルルー!」
「ウェンディー!」

ウェンディとシャルルはお互いの手を掴む為に必死で手を伸ばす。
そして、掴んだ。

「あ」
「あれ?」
「!」
「ハッピー?」

―――――――ハッピーの手を。

「きゃあああああ!」
「うああああああ!」
「ナツー!うわー!」

緑のような黒のような色合いの魔力と共に、ウェンディとルー、ハッピーは姿を消す。

「ウェンディー!」
「ハッピー!」
「ルー!」

それを見たシャルルとナツ、アルカは叫び声を上げた。

「うぬらにもう用はない。消えよ!」

そう言うと、ブレインは再び杖を揮う。
その先から怨霊のような魔力が放たれ、上空から連合軍に襲い掛かった。

「ふせろォーーっ!」

少しでも喰らうダメージを減らす為、全員その場に伏せる。
そしてブレインの魔法は真っ直ぐに連合軍を狙い―――――――



「岩鉄壁!」
大海無限球(アクエリアスインフィニット)!」




壁のような状態で固まった地面から幾つもの岩の柱が飛び出す。
更にその隙間を無数の水の球体が飛び、魔法へと直撃した。
ブレインの放った魔法は岩と水によって完璧なまでに防がれる。

「ジュラ様!」
「おおおっ!」
「ティアっ!」

伏せるメンバー達に背を向ける形で立っているのは、ジュラとティア。

「すごいや!」
「ありがとう。助かったよ」
「アンタも何気にありがと」

ルーシィは自分の上に覆い被さるようにして守ろうとしてくれたヒビキに礼を言う。
煙がゆっくりと晴れていく。

「あいつらは!?」

起き上がったナツはすぐさま前を見るが―――――

「いねぇ!」
「どうやら逃げられたようだな」

そこに六魔将軍(オラシオンセイス)の姿はない。
あるのは地に落ちた天馬の残骸だけだ。

「ウェンディ」
「ごめんなさいシャルルちゃん、私のせいで・・・」
「ココロのせいじゃない。僕も何も出来なかったし・・・」

俯くココロにアランが優しく声を掛ける。

「くそっ・・・」

目の前でルーが連れて行かれた事に対する怒りや自分の力不足をぶつける様に、アルカは地面を殴り付けた。

「完全にやられた」
「あいつ等、強すぎるよ」

悔しそうに顔を歪めて呟くレンとイヴ。

「ジュラさん、無事でよかったよ・・・序でにお前もな」
「いや、危うい所だった」
「そのキズ・・・」

リオンの言葉にジュラは刺された傷を見せる。
包帯は巻いてあるものの、そこにはじわっと血が滲んでいた。

「今は一夜殿の痛み止めの香り(パルファム)によって一時的に抑えられてるが」
六魔将軍(オラシオンセイス)め、我々が到着した途端に逃げ出すとは、さては恐れをなしたな」
「アンタボロボロじゃねーか!」

到着した3人の中で1番ボロボロの一夜にグレイがツッコみを入れる。

「ティア、大丈夫か?」
「私は無傷だけど」

ヴィーテルシアが足元に擦り寄った。
さらっと凄い事を言い放つティアに全員の視線が集まる。

「無傷?」
「でもアイツ、やっつけたって言ってたよね?」
「どういう事だよ、ティア」

アルカに問われ、ティアは溜息を1つ吐く。
そして面倒そうに口を開いた。

「アイツ・・・エンジェルだったかしら?バカよね・・・私にあんな小細工なしのナイフが通用する訳ないじゃない」

明らかにバカにしたような口調で言い放つ。
・・・が、全くその意味を分かっていない奴等が多いようだ。

「?」
「自画自賛か?」
「違うわよ!」

噛みつきそうな勢いでティアはリオンを睨みつけると、自らの右腕を伸ばした。
その腕が徐々に透けていき、淡い水色の光を映した透明になる。

「私は体を水に変換出来る。その状態なら痛覚を直接刺激されない限り無傷でいられる・・・って、前に説明したと思うけど」

ギロリ、という言葉が似合いそうな睨みをナツ達妖精メンバーへと向ける。
その空気を読んでか否か、一夜が腰に装備していた試験管の1本を手に取った。

「皆さんにも、私の痛み止めの香り(パルファム)を」

そう言うと同時に試験管の栓を抜く。
すると、その中に詰められていた香りが辺りに漂った。

「いい匂い」
「痛みが・・・和らいでいく・・・」
「「「さすが先生!」」」
「また呼び方変わった・・・」
「統一しないと解りにくい気もするが」

ルーシィが呆れたように呟き、ヴィーテルシアが不思議そうな表情で首を傾げる。

「アイツら~・・・ウェンディとハッピーとルーを・・・」

ナツは怒りを混ぜた声で唸ると――――

「どこだーーーーーー!」
「待ちなさいバカナツ!」

だーっと駆け出していくナツにティアが制止を掛けようと―――その右手に魔法陣が展開されている事から力づくで、だろう―――駆け出しかけた、その時。

「んが!」

ナツのマフラーが後ろからギュッと引っ張られた。
そのままナツはどたんと後ろに仰向けで倒れ込む。
マフラーを引っ張ったのはティアではなく――――羽を生やしたシャルルだった。

「羽!?」
「猫が飛んでる」
「これは(エーラ)っていう魔法。ま・・・驚くのも無理ないですけど」
「ハッピーとかぶってる」
「何ですって!」

どこか自慢げに語ろうとしたシャルルはナツの一言に憤慨しながらも、すぐに冷静さを取り戻して口を開く。

「とにかく、ウェンディとルー、オスネコの事は心配ですけど、闇雲に突っ込んでも勝てる相手じゃないって解ったでしょう」
「シャルル殿の言う通りだ。敵は予想以上に強い」
「たった6人でこれだけの人数をものともしないとなると・・・かなり手強いわね」

ジュラの言葉に続くようにティアが呟く。

「それに」
「!」

シャルルがくいっと視線を向けた先。
ゴロンと地面を転がってナツがそちらを向くと――――

「エルザ、しっかりして!」
「う・・・うあ・・・」
「そんな・・・痛み止めの香り(パルファム)が効かないなんて!」

コブラの連れている毒蛇の毒によって苦しむエルザがいた。

「エルザ!」

ナツが目を見開く。

「ルーシィ、すまん・・・ベルトを借りる・・・」
「え?きゃあああっ!」

エルザは1番近くにいたルーシィのスカートのベルトを抜き取った。
その際のルーシィのスカートがストンと落ちたが、それは余談である。
そしてそれを運がいいのか悪いのか見たトライメンズがティアに殺気を向けられたのも余談である。

「な・・・何してんのよ・・・」

ルーシィの言葉にエルザは答えず、ベルトを右腕に巻く。

「このままでは戦えん」

そう言うと、エルザはガシャンと1本の剣を投げ出した。
そして右腕を真っ直ぐ横に伸ばし、言い放つ。


「斬り落とせ」


その一言に、衝撃が走った。

『!』
「バカな事言ってんじゃねぇよ!」

グレイがすぐさま抗議の声を上げる。
すると、投げ出された剣を取る男がいた。

「解った、オレがやろう」
「リオン、テメェ!」
「やれ」

剣を手にするリオンに迷う事なく言い放つエルザ。

「よせ!」
「今、この女に死んでもらう訳にはいかん」

リオンが剣を振り上げる。

「けど・・・」
「どんだけ甘いんですの!?妖精さんは」
「アンタに何が解るっていうのよ!」
「やるんだ!早く!」
「やめろリオン!」
「よさないか!」
「そんな事しなくても」
「エルザ殿の意志だ」

ルーシィとシェリーが口論し、エルザが叫び、グレイがリオンを止めようと声を上げ、ヒビキとイヴをジュラが制する。
そんな口論をしている間にも、リオンは剣を振り下ろし――――――




大海聖剣(アクエリアスエクスカリバー)




その剣を、水の剣が受け止めた。
ティアの鋭い光を湛えた青い瞳が、リオンを睨みつける。

「貴様はこの女の命より腕の方が大事か?」

リオンがそう問うとティアは表情を変えずに、冷酷に言い放った。

「別に・・・エルザが死のうがどうなろうが、私には一切関係ないわ」
「ちょっとティア!?」
「何言ってやがんだテメェ!」

ティアが他人に一切の興味がない事は知っている。
だが、この状況でそんな事を言うとは・・・と、ルーシィとナツは驚愕の声を上げた。


「全員冷静になれ!」


その声を抑え込むかのように、ティアが鋭く叫ぶ。
キィン、と音を立ててリオンの持つ剣を弾くと、ティアは水の剣を消した。

「さっきも言ったけど、私はエルザの命にも腕にも興味はない。どうなろうと私には関係ないし、腕を斬り落とすのがお望みなら素直に斬り落としてやってもいい」

淡々と告げる。
この状況においても、彼女は冷静だった。

「だけど、この討伐作戦を成功させたいなら、エルザの腕を斬るのは得策じゃないわ」

そう言うと、ティアはエルザの右腕に巻いたベルトを外した。

「今ここでエルザの腕を斬り落としたとして、それで毒は何とかなるかも知れない。だけど、それと同時に別の問題が起こるでしょう」
「別の問題?」

ルーシィが首を傾げる。
ティアはゆっくりと口を開き、よく通る声を響かせた。

「腕からの出血は、誰がどうやって止めるの?」

確かにそうなのだ。
毒が消えても右腕の斬った箇所からは血が流れる。
このメンバーで回復系の魔法が使える人間はいない。
が、その状態のまま放っておけば、エルザは出血多量で死ぬ。

「確かにグレイやリオンの氷で一時的に出血を抑える事は出来る。ナツやアルカの炎で傷口を火傷させて抑える事もね。だけどそれは単なる応急処置に過ぎない。これからアンタ達13人を簡単に倒した6人を相手するのに、そんな軽い応急処置の状態でエルザが戦えるとでも?」

ズバズバと的確で完璧な言葉を飛ばし続ける。

「それにエルザは二刀流でもない限り、基本的に右手で剣を持つ。フォークとかもそうだし、エルザは右利き。そのエルザから右腕を斬り落としてみなさいな。いくら二刀流で慣れているとはいえ、エルザの戦力は半減に等しいでしょうね」

当たり前の事を語るようにティアは次々に言い放つ。

「つまり、エルザの腕を斬ろうが斬らまいが、今のエルザじゃ戦力にならないって事よ」

耳に青い髪をかけ、ティアは溜息をついた。
そして呆れたように口を開く。

「アンタ達は短絡的に考えすぎ。こういう時こそ冷静にならないと、六魔将軍(オラシオンセイス)を討伐するなんて不可能。冷静になれない人間は戦場において即刻死ぬわ」

冷酷な光を宿した目を向けて言い放つ。
と、同時に―――――

「あ・・・」

エルザがその場に倒れた。

「エルザ!」
「まずいよ!このままじゃ毒が体中に回って・・・」

ルーシィとイヴが慌てたように叫んだ。
すると、アランが口を開く。


「ウェンディなら助けられますよ」


その言葉に、全員の視線がアランに向いた。

「今更仲間同士で争ってる場合じゃないでしょ。力を合わせてウェンディとルーを救うの。ついでにオスネコも」
「あの娘が解毒の魔法を?」
「すごいなァ」

イヴとレンがそう言うと、ココロが小さく首を横に振った。

「解毒だけじゃありません。解熱や『痛み止め』、キズの治癒もウェンディちゃんは出来ます」
「あ、あの・・・私のアイデンティティーは・・・」

一夜が言うが、全員無視した。
今はそんな事気にしている場合じゃないのである。

「治癒って・・・失われた魔法(ロスト・マジック)じゃなくて?」
「まさか天空の巫女ってのに関係あるの?」

シェリーとルーシィがそう言うと、シャルルがゆっくりと口を開いた。




「あの娘は天空の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)・・・天竜のウェンディ」




その瞬間、化猫メンバー以外が驚愕で目を見開いた。

『!』
「ドラゴンスレイヤー!?」
「詳しい話は後!ってゆーか、これ以上話す事はないけど」

シャルルが腕を組む。
すると、アランが「あ、そうだ」と小さく呟いた。

「シャルル、一応ココロの魔法についても言っておいた方がいいんじゃないかな」
「私の?」
「・・・そうね。ココロはウェンディと『同じ』だし」

自分を指さし首を傾げるココロを見てシャルルは頷く。

「ちょ、ちょっと待て・・・」
「ウェンディと同じって・・・まさか!」
「そのまさかですよ」

アルカとグレイが驚愕をまじえた声でそう言うと、アランは隣に立つココロを指さす。




「ココロも滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)です」




驚愕再び。

「お前もドラゴンスレイヤーなのか!?ココロ!」
「はい」

ココロは困ったように笑う。

「ココロは『灰の滅竜魔法』を使うんです」
「灰?」
「正確には『灰色の風』ね」

アランの言葉をココロが訂正する。
シャルルが口を開いた。

「アンタ達、『灰竜(かいじん)のココロ』って聞いた事ない?」
「?」
「何だそりゃ」
「聞いた事はないけど、ココロの二つ名か何かかしら」

首を傾げるアルカとティア。
そんな中、ルーシィが思い出したように目を見開く。

「あたし聞いた事ある!3か月くらい前に山で魔物に襲われた武器商人が、灰色の風を操る少女に助けられたって・・・」
「ココロですよ、それ。その日辺りから『灰竜(かいじん)のココロ』って呼ばれるようになったんです」

アランがそう言うと、シャルルが話を元に戻した。

「とにかく、今私達に必要なのはウェンディよ。そして目的は解らないけど、あいつ等もウェンディを必要としてる」
「いえ・・・目的ならある程度の目星はつくわ」

シャルルの言葉にティアは断言する。
全員の視線がそっちに向いた。

「本当か!?ティア」
「曖昧なものだけどね。奴等は誰かを回復、または復活させる気でいる」

迷う事無く言い切るティアにシェリーが首を傾げた。

「どうして言い切れるんですの?」
滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)を狙ったとしたら、ルーがいないのはおかしいわ。だったらナツとココロがいないはずよ。ま・・・ナツは暴れて捕まえられないでしょうけどね」
「んだとコラー!」
「そこ怒るポイントじゃねーと思うぞ」

ティアの言葉にナツがキレるが、それはいい意味で受け取れば『簡単には捕まらない』という事だ。
が、言い方が悪い為キレる。そしてそれにアルカがツッコむ。

失われた魔法(ロスト・マジック)の使用者を狙ったとすれば、やっぱりルーがいないのは変。ナツとココロ、それからヴィーテルシアがいないなら話は別だけどね」
「・・・なるほどな。そういう事か」
「そういう事よ」

1人納得するアルカにティアは頷いて見せる。
が、他のメンバーは頭から?が消えない。
ティアは面倒そうに溜息をつくと、話を続けた。

「ウェンディは治癒魔法が使える。ルーの魔法、大空(アリエス)は回復や後方支援を得意とする・・・2人の共通点といったら、これくらいしかないの」
「そうか!」
「「「さすが姉御!」」」
「やっぱり姉御なんだ・・・」
「誰を回復及び復活させるか、なんて細かいトコまでは解らないけどね」

ルーシィが呆れたようにツッコみを入れる。
すると、ふと思い出したようにココロが口を開いた。

「あの、ティアさん」
「何」
「ブレインさんって人が言ってたんですけど・・・空の鉄壁(シエロ・ミュール)って何ですか?」

聴き慣れない言葉の事をすっかり忘れていた。
「ひどいよー!皆して忘れてー!」というルーの叫びが聞こえる気がするが、空耳だろう。

空の鉄壁(シエロ・ミュール)・・・なるほど、ルーに似合う異名じゃない」
「そうなのか?」

グレイが首を傾げると、ティアが頷く。

「アイツが本気を出せば、全ての魔法を弾くほどの鉄壁を創れる。ここにいる全員が1番強い魔法を放ったとしても崩れない程の、ね」
「マ、マジかよ・・・」

あのルーがそんな凄いものを創れるとは思えないのか、ナツが呟く。
「ナツのバカー!僕だってそれくらい出来るよー!」と聞こえる気がするが、これも空耳だろう。

「・・・となれば」
「やる事は1つ」

リオンとヒビキが呟く。
全員の表情に真剣さが現れる。

「ウェンディちゃんとルー君を助けるんだ」
「エルザの為にも」
「ハッピーもね」

イヴ、グレイ、ルーシィが続ける。

「おっし!」

ナツは気合を入れるかのように声を上げると、拳を突き出した。

「行くぞォ!!!!!」
『オオッ!!!!!!』

ナツの号令と共に全員が拳を突き出し、雄叫びを上げる。
先ほどまでバラバラだった連合軍は、今、1つとなった。 
 

 
後書き
こんにちは、緋色の空です。
ココロは灰の滅竜魔法を使います。読んでれば解る事ですが・・・。
ナツとかみたいな「属性を操る」というより、スティングみたいに「色を操る」の方が近いかもしれません。
で、灰色でもスティングが白い光を操る様に何かつけなければ・・・と考えた結果、仲のいいウェンディと同じ風にしました。

感想・批評、お待ちしてます。 
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