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問題児たちが異世界から来るそうですよ?~無敵の転生者~

作者:rocky
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時雨、コミュニティ入りを決める。

「--あ、有り得ない。有り得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは…!学級崩壊とはきっとこのようなことを言うに違いないのです」

『はあ~気持ちよかったのです…』

同じウサギなのにこうも感想が違うとは…ずっと耳を引っ張られ、追い掛け回され大変だった…と思う。
それにしても何で学級崩壊?
ちなみに、その小一時間の間にヒョウを人化させてみた。そしたら…
身長 148cm
垂れたウサ耳に腰まである黒の髪に見た目相応のスタイル、そしてメイド服。
と、いう感じだった。
ーって説明に入ってるし、まあこんな長い説明は…
パチンッ

「この世界はーー面白いか?」

「ーYES。『ギフトゲーム』は人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと黒ウサギは格段に保証いたします♪」

飛ばしちゃえばいいんだよ。
そんなわけで今はコミュニティのリーダーがいる場所に向かっているわけだが、

「なあ時雨、ちょっと世界の果てまでいかねえか?」

十六夜からお誘いを受けた。

「ん?まあいいぞ。だが、ちょっと待て。ヒョウを預けてくる」

「なんだ、連れて行かねえのか?」

「あっはは、そっちの方がー」

全てを見透かしたような笑みを浮かべて、

ーー面白いじゃないか。

と呟く。

(有り得ねえ…!在り得ねえぞ!この俺が笑みを見ただけで勝てないなんて思うなんて!この男…だが、それはそれでおもしろいじゃねえか!!)

十六夜は心の中で自分では絶対に敵いそうにない相手をまえにして、それでも笑う。

(ヤハハ!これからは退屈しなさそうだ!最高のところに送ってくれたじゃねえか!)

ヒョウを耀に預け、黒ウサギに言わないように口止めをして、

「さあ、行くか!」

「ヤハハ、俺のスピードについて来られるか?」

「うん。余裕」

「ほう、ならやってみようじゃねえか!」

「「スタート!!」」

『マスターもまだまだ子供ですね~』

そんなヒョウの呟きは時雨には届いていない…と思う。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








「ジン坊ちゃ~ん!新しい方を連れてきましたよー!」

皆さんこんにちは。天月ヒョウです。マスターが世界の果てに行ってしまったので私しかできない。そんな状況にあるわけです。

「お帰り、黒ウサギ。そちらの女性3人が?」

「はいな。こちらの御4人様がー」

クルリとこちらを向き、カチンと固まる黒ウサギ。
面白いですね(笑)

「………え、あれ?もう2人いませんでしたっけ?ちょっと目つきが悪くて、かなり口が悪くて、全身から“俺、問題児!”ってオーラを放ってる殿方とウサギを頭に乗っけていて、なかなか毒舌な殿方が…ってあなたは誰ですか!」

「そのウサギですよ。名前は天月ヒョウです。っとマスターは世界の果てまで行きましたよ?」

「なんで教えてくれなかったんですか!」

「黒ウサギには言うなよってマスターに言われたからです」

「…はあ」

ガクリ、と前のめりに倒れる。

「それでは行ったらどうですか?世界の果てまで。急いだ方がいいですよ?なにやら神格をもった蛇と戦ってるようですが…?」

「水神と!?いけません!人間が挑めるような相手じゃありませんよ!」

「なら行ったらどうですか?お得意の俊足で」

「わかりましたよ!言われなくても行ってきますよ!」

黒ウサギは髪を緋色の染め、走って行った。






場所は変わって世界の果て。

「たしかここら辺に水神が…」

「あれ?お前黒ウサギか?」

「あ、時雨さんに十六夜さん!よかった。ヒョウさんに水神にゲームを挑んだと聞かされましたがあたってなくて「挑んだぞ?」-へ?」

「だから挑んだって水神にゲーム」

『まだ…まだ終わってないぞ小僧ォ!』

ま、その後は十六夜が蛇倒して黒ウサギを問い詰めるところだ。
という訳で今語り中でっす。
さてこれも纏めちゃいましょう!
まず、黒ウサギのコミュニティには名乗るべき名が無く、ノーネームと名乗っている。
そして、誇りといえる旗も無い。ついでに中核を成す仲間達は1人も残っておらず、ゲームに参加できるだけのギフトを持っているのは122人中黒ウサギとジンだけだという。

「もう、崖っぷちだな!」

「ホントですねー♪」

十六夜の言葉にウフフとわらってからガクリと膝をつく黒ウサギ。口にだすと本当に末期なんだと再確認したという感じだ。

「本当…だよな。原因はなんだ?黒ウサギ」

「箱庭を襲う天災ー魔王によって全てを奪われました。その魔王が原因です」

“魔王”ーその単語を聞いた途端、十六夜が声を上げる。

「ま………マオウ!?」

その瞳は新しい玩具を見つけた子供のように輝いていた。

「魔王!なんだよそれ、魔王って超カッコイイじゃねえか!箱庭には魔王なんて素敵ネーミングで呼ばれてる奴がいるのか!?」

「え、ええまあ。でも十六夜さんが思い描いてる魔王とは差異があると」

「そうなのか?けど魔王なんて名乗るんだから強大で凶悪で、全力で叩き潰しても誰からも咎められることのないような素敵に不敵にゲスい奴なんだろ?」

「ま、まあ……倒したら多方面から感謝される可能性はございます。倒せれば条件次第で隷属させることも可能ですし」

「へえ?」

「魔王は“主催者権限”という箱庭における特級階級を持つ修羅神仏で、彼らにギフトゲームを挑まれたが最後、誰も断ることはできません。私達は“主催者権限”を持つ魔王のゲームに強制参加させられ、コミュニティは……コミュニティとして活動していくために必要な全てを奪われてしまいました」

「なあ、黒ウサギ、名前と旗を新しくするってのは駄目なのか?」

「そ、それは…可能です。ですが、改名はコミュニティの完全解散を意味します。しかし、それでは駄目なのです!私達は何よりも……仲間達が帰ってくる場所を守りたいのですから………」

この言葉は黒ウサギの偽りの無い本音だ。
仲間達が帰ってくる場所を守るー魔王のゲームによっていなくなった仲間達のために、蔑まれても、馬鹿にされても彼女達はコミュニティを守り続けると誓ったのだ。

「茨の道ではあります。けど私達は仲間が帰る場所を守りつつ、コミュニティを再建……何時の日か、コミュニティの名と旗印を取り戻して掲げたいのです。そのためには十六夜さんや時雨さんのような強大な力を持つプレイヤーを頼るほかありません!どうかその強大な力、我々のコミュニティに貸していただけないでしょうか………!」

「……ふうん。魔王から誇りと仲間をねえ」

考えるそぶりをする十六夜。
普通ならこんな崖っぷちのコミュニティには入らないはずである。
少し黒ウサギは後悔していた。
こんな思いをするならはじめから話しておけばよかった…と。

「いいな、それ」

たっぷり3分黙り込んだ後、そういった。

「-----……は?」

「HA?じゃねえよ。協力するっていってんだ。もっと喜べ黒ウサギ。それじゃあ時雨はどうだ?」

ここまで1言も発していない時雨。十六夜も黒ウサギもずっと静かに聴いていると思っていた。…が、

「スー…スー…」

寝ていた。ついでに言うと時雨は校長先生の長い話とかを聞くと、すぐ寝てしまうタイプである。もちろん黒ウサギの話だって例外ではない。

「「なんでこの場面で寝れるんだ、この御馬鹿様!!!」」

十六夜までもが御馬鹿様と言ってしまう始末。シリアスな展開が時雨の所為で台無しだ。しっかり反省して欲しい。

「…んだよ。終わったの?」

訂正、全く反省するつもりはないようだ。

「終わったの?じゃありませんよ…この、御馬鹿様あああああああああ!!!!」

黒ウサギは後々、他でもない時雨によって多大に悩まされる事態になるのはまだ誰もしらない。
そして時雨自身も自覚していない。
 
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