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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第6章:女の決意・男の勘違い
  第21話:空を飛ぶ方法は色々

(リバーサイド)
マーニャSIDE

ウルフ達がデスパレスに出立して3日目の真夜中……
大慌てで彼等が帰還し、デスパレスで得た情報を伝える為騒いでいる。
朝になってから報告を受けるのでも良いだろうに……

そう思ったのだけどリュカが率先して情報開示を請求してきたから、他の者が不平を言う訳にもいかず、眠い目をこすりながら黙って聞いている。
普段不真面目なのに、どうして今回は不平を言わないんだ?

「大変なんですリュカさん! 魔族達の話を聞いてたら、アッテムト鉱山で『地獄の帝王エスターク』が見つかったらしく、人間抹殺を行う魔族陣営に引き入れる為、魔族総出で出迎えに出陣したんです!」
何だかもう、突拍子がなさ過ぎる話で付いていけないが、報告者のウルフを始めシンもライアンも血相を変えて驚いている。

「エス……何処かで聞いた事あるなぁ……誰だ?」
「誰でも良いじゃないですか、そんなの! それより今は、早くアッテムトへ行って連中より先にエスタークに近付き、目覚める前に倒す事が重要です!」
リュカの間の抜けた返事に、シンが怒りを爆発させる。

「え、エス君はまだ寝てるの? 何か卑怯じゃね? 寝てる所を襲って倒すなんて、正義の勇者様が行う行為じゃない気がしね?」
「そんな事を言ってる場合じゃないんですよ、デスピサロ達より先にエスタークに接触し倒さないと、後々厄介な事になるんです!」

「分かったよ……そんなに怒鳴らなくても良いじゃん! アッテムトってキングレオ領にある鉱山だろ? そこならウルフがルーラで行けるんだし、人員を選別してさっさと行ってくれば良いじゃん。僕は絶対にそんな危険な場所に行かないけどね!」
「アンタはまたそんな事を……」

「いやシン君、もうこのオッサンはシカトしよう! 今は一分一秒が惜しい……それにロザリーさんを連れて行き、下手にデスピサロ等に見つかるともっと厄介だ。ここに残ってもらい、彼女らの警護をリュカさんにはお願いしよう!」
本当に焦ってるらしく、ウルフはリュカとの問答を回避した。出来れば私も行きたくないなぁ……

「そうねウルフ……急いだ方が良いわね。それに今回は私も行くから! 誰に何と言われようが、今回は私が行く必要があるの! 止めたりしないわよね、お父さん?」
「あ……う~ん……ちっ……まぁ今回は許可しよう。でもリューノはダメだぞ!」
『行く必要がある』と言うのがよく解らないけど、マリーが気迫でリュカを説き伏せる。

「解ってます……私じゃ足手纏いになるから行っちゃダメなんでしょ」
「そうだよ。ウルフの事が好きなら、我慢する事も必要なんだよ……あっちの娘の真似をせず」
「べ、別に我が儘言ってる訳じゃないわよ!」

「解ってる……けど、鉱山に入るのだからマリーは不用意に魔法を唱えてはダメだぞ! ただでさえ地盤が脆くなってるんだから、お前の非常識な強力魔法は危険なんだぞ!」
あぁそうか……つー事は、マリーの魔法は充てに出来なくなるわね。

こりゃ総力戦か? 相手は地獄の帝王とか言われてるんでしょ?
『私も残る』なんて言えそうな雰囲気じゃないわね……
私もイオ系は控える様にしよう。

マーニャSIDE END



(リバーサイド)
リューノSIDE

「やっぱり大半が出払うと静かねぇ……食事の準備も楽で良いわ」
夜が明け、船の食堂でビアンカさんが朝食を食べながら呟いた。
きっと寂しさを紛らわす為だろう……

「そんなに食事の準備が大変なら、ビアンカがやらなくても良いのに……以前はみんな(僕以外)が持ち回りで担当してたんだから、僕と一緒にイチャイチャしてようよ」
「良いの! 私は好きでやってるんだから……」

グランバニアに居た時からそうだったが、お父さんとビアンカさんほど夫婦に見えない夫婦はいないだろう。
何時まで経っても恋人同士……
羨ましいです!

「そう言えばやっと思い出したんだけど、ウルフ君達が倒そうとしてるエスタークって、リュリュちゃんが連れてるプチタークの成長したヤツよね?」
「多分ね……つー事は、今回ウルフ達はエスニックを打ち漏らすって事だな。じゃなきゃ、未来の世界でリュリュが卵を持ち帰れなくなるんだし」

話には聞いてたけど、リュリュさんが連れてるモンスターは、結構な大物だったのね。
確か意味なく魔界へ赴き、100%理由なく倒したって話よね。
ティミーもポピー姉さんも一緒に戦ったらしいけど、リュリュさんも結構強いのね。
それからお父さん……エスニックじゃなくてエスタークよ。

「でも何でマリーは、あんなにも行きたがったのかしら?」
「う~ん……ウルフの話じゃ、アッテムトには有毒なガスが充満してたらしい。もしかしたら、そのガスで気球を完成させようと考えてるのかもしれないね」

鉱山から出るガスを利用して!?
確かに気球の話を聞きに行った時、『空気より軽いガスがあれば、私の造ってる気球は完成するんです!』って、ヒョロ眼鏡が力説してたわ。

あの()の事だから前世の記憶とやらで確証を持ってるんでしょうね……
だからお父さんも渋々ながら行かせたんだと思う。
本当によく解らないわね……何よ前世の記憶って?

「まぁ何にせよ……乗り物で空を飛べる様になるのは大助かりね。もう不死鳥とかはコリゴリよ……」
多分ラーミアの事を言ってるのだろうビアンカさん。
私は乗った事ないから解らないけど、聞いた話じゃ凄い乗り心地らしい。

「……ん? 何だか外が騒がしいなぁ」
和気藹々と朝食を摂ってると、外から人々の叫び声が聞こえてくる。
何が起きてるのだろうか? お父さんからも少しだけ緊張の色が窺える。

問題発生か!?

リューノSIDE END



(リバーサイド)
ロザリーSIDE

「そこに居たか、忌々しいエルフの少女よ」
朝食を食べてたら、急に外が騒がしくなったので、様子を見にリュカさん達と甲板へ出て行く。
するとそこには、ピサロ様の部下であるエビルプリーストさんが、大勢のモンスターと共に町を襲っていた。

「な、何をなさってるんですか!? 町の人を襲うのは止めて下さい!」
「誰あれ、ロザリーの知り合い?」
町の人々を襲おうとしてたライバーンの群れを、リュカさんが魔法(バギマ)て倒し、尋ねてくる。

「何度かお会いした事があるんですけど、ピサロ様の部下の方です」
「あぁ……ロザリーの事を奪還しに来たって事か! おいオッサン……デスピサロはどうした? 手紙に書いておいただろう。ヤツが『面白い事』をしなければ、彼女は返さないと……」

「ん……デスピサロに似てるが別人か? ふん! 返してもらうつもりはない……あの小僧の女は、ルビーに目のくらんだ人間共の手によって殺されたのだ。私が来た時には手遅れで、(かたき)の人間共を皆殺しにする事しか出来なかった……そうヤツには報告する」

「ふ、ふざけるなキサマ! デスピサロ様を裏切るつもりか!?」
「裏切る? 裏切ってるのはお前だろうピサロナイトよ。敵である人間共と共にロザリーを連れ去ったのだからな! それに、その女が死ねば……生きる目的を失ったデスピサロは自暴自棄になり、側近の私にすがるだろう。そうなれば私が影の支配者となるのだ!」

「うりゃ!」(どかっ!)「ぐはぁ!」
エビルプリーストが高らかと自らの計画を披露していると、何時の間にか後ろへ回り込んだリュカさんが、彼に強烈な蹴りを入れてきた。

「なめたこと言ってんじゃねーぞ、顔長野郎」
「キ、キサマ……何時の間に!? えぇ~い者共、コイツを殺すのだ…………!?」
本当に“何時の間に!?”だ……よく見れば、辺りに居たモンスター達も全て撃破されている。

「誰に言ってんだオイ! もうお前以外居ねーよ馬鹿!」
「ば、馬鹿な……部下を100体は連れてきたのに……こ、こんな一瞬で!?」
ラピスさんが周囲を見て「凄い……」と呟く。はい、私も凄いと思います。

「死者はいない様子だが、怪我人が多数出たな……この責任は、どう付けてくれるんだ?」
「くっ……おのれ、バギクロス!」
味方も無く、進退窮まったエビルプリーストは至近距離からリュカさんに魔法を唱えた。

「バギクロス!」
「ぎゃぁー!!」
しかしリュカさんは、同じ魔法を使用してエビルプリーストのバギクロスを掻き消した……いや、リュカさんの魔力の方が強いらしく、多少だが身体を刻まれるエビルプリースト。

「お、おのれ……マ、マホカンタ! どうだ、これで魔法攻撃は出来ま(ごすっ!)ぐはぁ!」
魔法を跳ね返すマホカンタを唱えリュカさんの攻撃を封じたと思ったエビルプリースト……
しかしリュカさんは、彼の台詞を聞き終える前に右の拳を繰り出して、強烈なパンチをお見舞いする。

リュカさんより二頭分大きいエビルプリーストだが、その強烈な攻撃により大きな川を水を切って跳ねる石の様に跳ね、対岸の岩壁に激突する。
そう言えばウルフさんが『リュカさんは反則的な強さだ』と言ってたけど、本当にその通りみたいです。

「う゛……くそぅ……」
エビルプリーストは顔(体中も)から血を流し、きつく対岸のリュカさんを睨み付ける。
だが、リュカさんは既にそこには居らず、気が付くとエビルプリーストの隣に移動していた。

「い、何時の間に!?」
「そんな事はどうでも良いんだよ……お前さ町を襲っといて、この程度で許されると思ってるの? 目も腕も脚も2個あるんだし、片方ペナルティーとして支払ってもらうよ」

「ふざけるな人間(サクッ!)ぎゃーぁぁぁ!」
何とか大声で恫喝しようと試みるエビルプリーストだが、そんな事気にしないリュカさんの杖で、左目をえぐり取られてしまう。

「次は腕かなぁ……脚かなぁ?」
えぐられた左目を押さえ後退る彼に、リュカさんは笑顔のまま躙り寄っていく。
杖をバトンの様に振り回しながら、少しずつ距離を詰めて行く。

「くっそー……ルーラ!」
二進も三進も行かなくなったエビルプリーストは、悔しそうに叫びながら魔法(ルーラ)で逃げ出していった。
判断力は残っていたみたいですね。

「あ、逃げられた……まぁ良いか」
魔法(ルーラ)で飛び去ったエビルプリーストを目で追いながら、特段残念そうでも無く笑顔のまま呟くリュカさん……
そのまま踵を返すと、モンスターの攻撃により傷付いた町人達を自らのホイミで癒やし始める。

やっぱり同じ顔なだけあって格好いいなぁ……と思ってたら、ラピスさんのウットリした表情が目に入ってきました。
ピサロ様への視線じゃ無いのは解ってるんだけど、何だかやっぱり複雑な気持ちになります。

ロザリーSIDE END



 
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