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鉄槌と清風

作者:deburu
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53部分:52:スターズ模擬戦


52:スターズ模擬戦

 ホテルアグスタから帰って数日、いつもの用に個人スキルの訓練なのだが…この頃朝早くや訓練後に、スバルとティアナが自主トレしているのが、気に掛かる。
 一応新人4人の訓練メニューは、なのはと相談し多少の余裕はあるが、それでもオーバーワーク気味な気がする。

 「んーむ…どうしたもんかな」

 「どうしたんだ、良彦」

 夜、自室で腕を組んで悩んでいると、風呂上りのヴィータが近づいてくる、シャンプーの匂いに一瞬鼻をくすぐられながらも

 「ティアナとスバルの事なんだけど」

 「あぁ、訓練は真面目だし張り切ってるみてーだな」

 「それいがいに自主トレしてるみてーなんだよな」

 「それってオーバーワークじゃねーのか?」

 「そうなんだよ、なのはにも明日の訓練の後いっとかねーと、とは思ってるんだが」

 「だな、早い方がいいだろう」

 そんな話をして、いつもの用に寝室へ…いつもの用に軽くお休みのキスをして、就寝。



 翌日、朝の訓練の仕上げに模擬戦を行う…最初はスバルとティアナ対なのはだ。

 模擬戦が始まり縦横無尽に張り巡らされるウィングロード、そこを疾走しなのはに殴りかかるスバル。
 幻影ではなく実体で、シールドに止められディバインシューターに追いかけられる。

 フェイトが見学している皆…良彦、ヴィータ、エリオ、キャロ…の所に急いで駆けてくる、本当はなのはを休ませたかった様だ。
 その間に、ティアナが射撃魔法…恐らくクロスファイアシュートだろう…で援護するも、精度は高いが速度、切れがない。

 「おかしいな、ティアナの射撃もっと早いと思ったんだけど」

 「だな、疲れか?」

 「違う気がする…あ、ほら」

 打ち抜かれるティアナは幻影、スバルが再び突進し、近くのビルで砲撃の構えを取るティアナ。

 「ティアナが砲撃?」

 「出来るだろうけど、あのタイミングじゃ、ほれ」

 驚くフェイトに良彦が言った、次の瞬間ディバインシューターに打ち抜かれ…消える。

 「って、あっちも幻影かよ、じゃ本体は」

 ヴィータが辺りを見渡す。
 足音が響き、スバルの突進をなのはが受け止めているその時、なのはの真上のティアナ。
 その手には、銃身から魔力刃を生やしたクロスミラージュ。

 「一撃、必殺」

 そのまま落ちるようになのはに向かう、小さく呟くなのは…次の瞬間レイジングハートが待機状態に変化。
 片手でスバルのリボルバーナックルを、片手でティアナのクロスミラージュ…その魔力刃…を掴み、止める。

 「おかしいな、こんなこと教えてないよね?」

 小さい呟きが静かになったあたりに響く。

 「訓練で素直にしたがって、本番でこんな危ないことするようじゃ、訓練の意味、ないよね」

 「あたしは、あたすは何も無いから強くならないと…何もないからっ」

 ティアナが飛びのき、砲撃の構えを見せる、が…次の瞬間、スバルもティアナも桃色のバインドに捕らわれる。
 なのはの周りに幾つもの射撃用スフィアが形成されていく。

 「少し頭ひやそうか」

 ディバインシューターではなく、恐らくあれはクロスファイアシュートだろう、それがティアナを容赦なく打ちのめし、ティアナがダメージで気絶する。
 絶叫しティアナを呼ぶスバルになのはは、冷たく模擬戦の終了を伝える。



 その後ティアナを医務室に運び、シャマルに任せて、はやて、なのは、フェイトの隊長陣と良彦とヴィータ、シグナムとで相談。

 「んで、ティアナは何であんな焦ってるか、知ってるかはやて?」

 「それやけどな」

 良彦の問いに暗い顔で答えるはやて。

 「ティアナの兄、ティーダ・ランスター一等空尉が殉職した時な、酷い事を上司の人がいったんよ」

 「犯罪者を取り逃がす役立たず、みたいな事をね、それで一時期問題になったんだけど」

 「その時ティアナはまだ10歳、お兄さんの事をそんな風に言われて、どう思ったか」

 はやての答えにフェイト、そして兄を持つという意味で何か思う所があるのかなのはが続ける。

 「それで、か…もう一個気になってたんだけど、なのは、ティアナって自分に才能無いと思い込んでないか?」

 「あー、それあたしも感じた、あんだけ射撃できて幻影まで使いこなすのに、自分はダメだって思ってんぞアイツ」

 「うむ、訓練もそうだが、この間のホテルでの一件はそれも関係しているのではないか?」

 良彦の言葉にヴィータ、シグナムが同意する。

 「うーん、今まだ基礎固めだから、実感できないのかな…」

 「だと思うぞ、毎日少しずつ上がる実力は、自分じゃわからねーし」

 「そうしたら、其処も含めてお話しないと、かな」

 「そうだな、なのはに其処は任すわ」

 「とはいえ、まだ寝てる見てーだし、そこ等辺は明日じゃねーか?」

 なのはに、良彦、ヴィータが言って、皆が頷く。

 「そしたら、そこ等辺は明日やな、任せたでなのはちゃん」

 はやてがそういって、その場は解散に相成った。
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とりあえず、模擬戦とティアナの事情あたりまでです。

次回は夜間出動中の隊舎会話になると思います。
 
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