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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第6章:女の決意・男の勘違い
  第20話:手のかかる子、かからない子

(リバーサイド)
リュカSIDE

う~ん……やっぱり心配だなぁ。
ウルフも行かせたし、ライアンやシンも付いてる……
でもリューラを行かせるんじゃなかったかもしれない。

でも、あの()が目で訴えてきたから……“彼氏(アロー)だけを危険な目に遭わせられない、私も行く!”って、凄い目力で訴えてきたから!
マリーとリューノは我が儘を言うって解ってたから、先制して押さえつける事が出来たけど、リューラはあまり我が儘言わなかったからノーマークだったんだ。

あぁ……(リューラ)に怪我をさせて戻ってきたら、あいつ等絶対に許さねー!
一応リューラも行くと決まった瞬間、ウルフに目で言い付けておいたけど、本人(リューラ)が解ってなさそうだし、心配で堪らないですよ。

アローがしっかり魔族を化かせれば、問題なく事は進むんだろう。
問題を起こしそうな連中は行かせなかったのだし、シンの暴走さえ押さえつければ成功するに違いない。
あのボウズ一人押さえ付けられないようじゃ、娘を二人も託す事は出来ない……ウルフには頑張ってもらうしかないな。

「お父さ~ん……ここに『気球』を研究してる人が居るみたい。話を聞いてくるわー!」
町の大半を占める川に係留してある船の船首に腰掛け、家族の事を考えているとマリーが岸から大きな声で話しかけてくる。
右手を振って娘の声に応え隣に座る妻に視線を向ける。

この町は名前の通り川沿いに存在させた小さな町だ。
大きな船を川に係留させ、その船首辺りに腰掛ければ、町全体を見渡す事が出来る。
大声でなら会話だって出来るくらいだ。

妻から娘に視線を移すと、娘二人とアリーナ・クリフト・ブライが一緒に建物へ入って行くのが見えた。
きっと誘ったのはマリーだろう。
マリーは情報の内容を大まかにだろうが知ってる……だからこそ、比較的良識派のブライに話を聞かせ、気球の情報に真実味を出させる魂胆だろう。

ブライを連れ出すにはアリーナを誘う事……
アリーナを誘うと漏れなくクリフトとブライが付き纏う。
男の趣味が同じな所為か、最近仲が良くなったリューノを合わせ、あのメンツが気球研究者訪問になったのだろう。

対岸を見るとトルネコが商売に精を出している。
美女姉妹二人とロザリー・ラピスを伴い道具屋とか武器屋などを訪問。
美女の色香を利用して店主(スケベおやじ)から安く商品を購入してるんだ。

きっとマーニャとラピスはトルネコの魂胆に気付いてるのだろうけど、相方が全く気付いてない為、仕方なく付き合ってるのだろう。
まぁ俺に関係ない所で金儲けをするのなら、放っておいても構わない……
あんな奴に利用される方が悪いんだ。

「リュカ……溜息なんて吐いて珍しい。リューラの事が心配なの?」
無意識だったのだが溜息を吐いてたらしく、ビアンカが心配げに問いかけてきた。
う~ん……ビアンカの心配げな顔も可愛い♥

「まぁ心配だね」
「大丈夫よ……ウルフ君が一緒なんだから。結構頼りになるわよあの子」
ウルフが頼りになるのは解ってるけど……

「確かにウルフは頼りになるけど……アイツ魔法を封じられたら、途端に役立たずじゃん! シンも勇者と言われてるクセに情けないし、ライアンだって真面目なだけで不安が大いに残るんだよね」
「そりゃリュカの目から見れば、シン君もライアン君も弱いだろうけど、私から見れば十分に強い二人だと思うわよ。そんな彼等を纏めるウルフ君が一緒なんだから、もっと安心して待ってればどう?」

「はぁ~……アレフガルドを旅してる時は安心感があったなぁ、なんせティミーが一緒に居たからね。アイツは大きな旅の経験もあり、勇者や王子としての責任感もあり、強さにおいても頼りがいがあって安心してられたのだけど……今回は居ないからなぁ」

「あら予想外ね……リュカがそんなに息子を信頼してたなんて!?」
「何言ってんだビアンカ。僕らの息子は最高に信頼できる男だよ! 最近では柔軟な思考も出来る様になってきたし、アイツになら全てを託して隠居する事だって出来る……いや、直ぐにでも隠居したいね!」

「リュカだけよ、ティミーをそこまで信頼してるのは。きっと本人ですら、自分の事をそこまで信頼してないでしょうね」
「息子の本当の実力を知らないとは……母親なのに情けないですなぁ! 男なんて、窮地に陥った時にしか、本当の実力を発揮できないものなのですよ」

「流石男親は見るべき所が違う。因みに何時本当の実力を発揮したのかしら?」
「お忘れですかな奥さん。まだ幼いティミーが、ミルドラース戦で見せた渾身の一撃を! ゾーマの城で見せた、愛する女(アルル)をヒドラから助ける為に見せた一撃を!」

「なるほど……私達の息子は、私達の手を借りず立派に成長してしまったと言うのね」
「ええマダム。寂しい事ながら、僕らの息子は僕らが手をかけずとも、立派な男に成長してしまったのですよ!」

「確かに……あの子の暴れん坊将軍も、随分と立派に成長してたもんね!」
「いやいや……そこだけはまだまだ僕に及ばないよ(笑)」
きっとビアンカは、ラダトームの宿屋で見てしまった、ティミーとアルルの濡れ場を思い出して言ったのだろう。だが、その点だけは男として負ける訳にはいかないのだよ!

リュカSIDE END



(デスパレス)
デスピサロSIDE

ロザリーが攫われたと知ってから3日が経過した。
未だにロザリーの事も、一緒に居なくなったピサロナイトの事も行方が解らないでいる。
エビルプリーストに捜索をさせているが、一向に情報は入ってこない。

俺にとって腹心と言っても差し支えないエビルプリーストに見つけられないのだ……
さぞかし強大な勢力が動いているに違いない。
まさか伝説の勇者以外に、我ら魔族に対抗できる勢力があるとは思わなかった……

それにしても……ふざけた連中だ!
こんな置き手紙を残し俺を挑発してくるとは……
だが手紙の内容からするに、ロザリーの無事は確かだろう。
そして彼女を守る為に自ら投降したピサロナイトも……

だが奴等に弱点を握られてる事に変わりは無い。
このままでは人間撲滅に支障をきたしてしまう……
エスタークを見つけ出す前にロザリーの奪還をしなければ、人間共に殺されてしまう……急がねばならないだろう!

それに命が無事だとしても、邪悪な人間共がロザリーに手を出してないはずがない!
ピサロナイトとも酷い目に遭ってるのだろう。
俺にはロザリーという心に決めた(ひと)が居たから、ピサロナイトの……いや、ラピスの想いに応えてやれなかったが、無事に助け出したら労ってやらねばなるまい。

とは言え、ロザリーには言えないだろう。
あの()を悲しませる事は俺には出来ないのだからな。
俺の側に仕えさせる事で、周囲には知られない様に心がけねばなるまい。

「デスピサロ様、大変な事が分かりました!」
人質になってる二人の事を考えてると、エビルプリーストが血相を変えて部屋へ飛び込んできた。
コイツが慌てるとは……余程の事だろう。まさかロザリーの身に何かあったのか!?

「人間が金を採取してる金鉱で、地獄の帝王エスターク様が発見されました!」
「何……それは本当か!?」
ちっ……よりによってこんなタイミングで!

「……分かった。皆の者を広間に集めよ。人間共が下手に刺激しエスターク様を目覚めさせる前に、我らが赴き丁重にお迎えするんだ」
「はっ! しかしその点は大丈夫でしょう……エスターク様より発せられる瘴気で並の人間は命を落とします。近づけるほど魔力や体力・精神力のある人間が居るとは思えませぬ」

「うむ。確かにその通りだ……ではお前はロザリーの捜索を続けよ」
「え……私はエスターク様の下に行かなくてもよろしいのですか?」
急ぐ必要がない以上、無駄に全勢力を向かわせる必要もない。
ここはロザリーの捜索も優先させるべきだろう。

「お前は構わぬ。むしろ捜索用の人員を増やそう……エスターク様の居場所が分かった以上、こちらの捜索人員は削減して構わないからな」
「は、はぁ……では私は引き続きロザリー様を捜索致します」

俺はエビルプリーストが出て行ったドアを見ながら、未完成の進化の秘法をエスタークに使用する言い分を考える。
太古に人類を恐怖に陥れたエスタークを更に進化させ、人類を滅殺させるのだ。

エビルプリーストや他の者には、我ら魔族の象徴としてエスタークを迎え入れると説明したが、エルフやホビット・ドワーフなども殺してしまいかねない悪魔など不要なのだ。
進化の秘法を利用し、従順な化け物として意のままに操り、人間だけを滅ぼさせるのが俺の真の目的なのだ。

その為にはロザリーを人間共から奪還し、エスタークを我が陣営に引き込んで、進化の秘法を完成させなければならない。

デスピサロSIDE END



 
 

 
後書き
デスピサロの視点を書いてみました。
悩み多き年頃ですね(笑) 
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