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少年少女の戦極時代

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第27話 新しいゲーム

 世間はクリスマスムード。たくさんの店がクリスマス商戦でにぎわっている。

 オトナもコドモも浮き足立っている中、ここ、桂ダンススクールではいつも通りのレッスンが行われていた。




「新しいゲーム?」

 ダンススクール教室の鏡際。咲はタオルで汗を拭きながらつい言い返していた。

「うん。光実兄さんのアイデアでね。ロックシードの生る森があるんだって。そこへ行って、ロックシードをいちばん多くあつめた人が勝ち」
「そんな森があるの?」
「あるみたい。兄さんも、あと、チーム鎧武の葛葉さんと、高司さんて人も行ったことあるんですって」
「ふーん」
「光兄さんは咲にもこのゲームに参加してほしいみたいなの。キョウリョクシャは多いほうがいいって言ったけど、出るかどうかは咲しだいだから」
「まあ……あたしたち、いちおーバロンに勝ったってことになってるから、参加しようと思えばできると思うけど」
「? 咲?」

 咲はヘキサの顔を覗き込む。まだ言いたいことを言いきっていない顔だ。

 このゲームは勝っても負けてもリトルスターマインにメリットがない。
 アーマードライダーの代理戦争で勝敗が決まる現状では、必ずしもロックシードが要るわけではない。ランキングに拘っているわけでもないから、参加して敵を増やす理由もない。

「ヘキサは出たいの?」

 それでも、ヘキサが持ちかけたということは、彼女の家庭事情に関係することだろうから、尋ねた。

「……前に、わたしには兄さんが二人いるって話したの、覚えてる?」

 ヘキサの言葉を一つでも忘れるわけがない。

「上の兄さんがね、その森で何かしてるみたいなの。しかも、鎧武の葛葉さん……殺されかけたって」
「ころ…っ」
「もし兄さんがそんなことしてるんだったら、今まで兄さんからしてた血のにおいもナットクできる。でも、人を……光兄さんの大事な人を殺しかけたなんて……信じたくない、のに」

 咲はヘキサの背中をそっと撫でた。

「……光実兄さんも、上の兄さんがそうかカクシンが持てないから、今回の新しいゲームで、兄さんかもしれない人――白いアーマードライダーのショータイをつきとめようとしてるの」
「アーマードライダーなの?」

 ヘキサは沈んだ面持ちになったが、しっかりした表情を取り戻して首を縦に振った。


「わたしも知りたい。ほんとに兄さんがアーマードライダーなのか、葛葉さんを殺そうとした人なのか。だから、もし咲が出なくても、わたしは光実兄さんといっしょに出るつもり」 
 

 
後書き
 話が前後するのはお子様会話仕様。
 ロックシードが生る森については全くスルーして平気なのもお子様仕様。

 咲は相変わらずヘキサのためなら火の中水の中の精神です。ヘキサはヘキサで一人で(正確には光実と二人で)しょいこんで突っ走る気満々です。相手のためを想ってやっているのにやりたいことが食い違うのは大人にもよくありますよね。 
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