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少年と女神の物語

作者:biwanosin
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『大いなる破壊』編
  第二十八話

 さて、真神と戦ってからは特に何もなく、普通に夏休みを迎えた。
 ここまで何にもないと、逆に何かあるんじゃないかって心配になってくるけど・・・

「調!どっかに遊びに行こうデス!」
「うん。どこに行く?」
「遊びに、か~。いっそ、皆で旅行はどお~?」
「そういえばここ何年か家族旅行も行ってなかったわね」
「氷柱、家族旅行って何?」
「そういえばマリーちゃんが来てからは一度も行ってなかったわね」
「切歌と調も行ったことはないな。なんだかんだで、色々あったから」
「リズ姉とソウ兄、私の三人で行ったりはしたけど、あれも槍の件があったし・・・」
「旅行ってよりは仕事だったよね!桜ちゃんと私、お兄ちゃんで行ったのも!」
「神様も、出たからね・・・」
「私のときは歓迎会みたいな感じで連れて行ってもらいましたけど、そっちでも神様が・・・」
「なら、久しぶりに行くか?神代兄妹(姉弟)の家族旅行。俺とアテがいるから、何が起こるか分からないけど」

 こんな感じで、皆でわいわいやれてるし、気にしなくてもいいよな。
 それに、最近あんまり家族旅行にいけてないのも事実だし。

 最後に行った皆での旅行(まだ九人だったころ)では、俺とアテがいる関係で神様が顕現してきたし。
 どうにも、神殺しとまつろわぬ神が一緒にいるせいで、俺の周辺では神様が顕現しやすくなってるっぽい。

「それはいいな。じゃあ武双、色々計画頼んだ」
「いや、何で俺なんだよ。普通こういうのって、最年長者がやるもんじゃないのか?」
「依林には無理だ」
「ちょっとリーちゃん!?」

 リズ姉の一言に、林姉が反応してきた。
 が、俺とリズ姉はスルーした。

「たしかにそうだな。でも、なら家族一のしっかり者、崎姉でいいじゃん」
「それもそうだな。じゃあ、頼んだぞ御崎」
「う~ん・・・仕方ないわね。姉さんに任せるのは不安だし」
「ミーちゃんまで!」

 そろそろ林姉がいじけだしたが、あえて無視する。
 あ、妹達の方にいって・・・慰められてるよ、あの人。

「じゃあ、今回はどこに行く?外国?」
「あー・・・確か、アテのときは北欧の方に行ったんだっけ?」
「そのはずだぞ。武双がオーディンと戦ってたからな」

 そうだそうだ。で、グングニルを簒奪したんだっけ。

「ならそっちは除外で。あと問題なのは・・・」
「他のカンピオーネの国に向かうのは大丈夫ですか?」
「ああ、それは大丈夫。中国に行くなら前もって一言入れときたいけど、他のところなら大丈夫だ」
「それなら、結構選択肢はあるね・・・」

 と、そんな感じで年長者(高校生以上、林姉を除く)で旅行の計画を立てていると、急に玄関が開く音がした。
 あれ?みんなここにいるし、まだいない人とかいないはずなんだけど・・・

「あの、武双・・・こちらに向かって走ってくる音が聞こえるのですが・・・」
「結構なスピードだね。それと、もう一人後ろからゆっくり歩いてきてる」
「・・・ああ。なんか・・・いやな予感が・・・」
「武双もか?いや、私もそんな気が・・・」
「なんだか、この感じに覚えはあるのよね・・・」
「「?」」

 アテとマリーが首をか疑問詞を浮かべていることから、その辺りが境目のようだ。
 向こうでも切歌と調だけが疑問詞を浮かべて、他は何かを思い出そうとしてるし・・・

 そうして時間が過ぎると、バン!と音を立ててリビングのドアが開けられ・・・

「ただいま!私の子供達!!」
「「「「「ママ!?」」」」」
「「「母さん!?」」」
「「「「え!?」」」」

 扉を開いて入ってきたのは、間違いなく神代家の母親、神代柚実(ゆずみ)その人であった。
 そういや、アテ以降に神代家に来た四人は、直接会うのは初めてだったか。

「あなたがアテちゃんね!やっぱり、直接見るとまた・・・あ、マリーちゃんもいるじゃない!そっちには切歌ちゃんに調ちゃんも!」
「え、ちょ」
「少し待」
「「ムグ・・・」」

 そして、母さんはアテ、マリー、切歌、調の四人を捕まえて抱きついた。というか、床に押し倒した。

「はあ、やっぱり柚実は暴走したか・・・ただいま、武双」
「あ、父さん・・・」

 そして、母さんの登場のせいで地味な登場になってしまった神代家の父親、神代隆哉(たかや)もリビングに入ってきた。
 手に持ってる荷物の量からして・・・母さん、荷物を放り出してダッシュして来たな・・・

「いや、新しい家族が増えたから予想はしてたけどな。前もっての警告も、無駄になったわけだ」
「ハハハ・・・あ、荷物片方持つよ」
「悪いな。それと、あの四人を誘ったのは武双だったか?」
「ああ。神様関係のトラブルに巻き込まれてた」

 ってか、一人神様だけど。
 とりあえず、女性陣は女性陣で集まって話をしているし、男性陣は男性陣で話をするとしよう。

「カンピオーネになったのは、そんなところでも役に立ったか」
「役に立ったよ。家族を守る力も、手に入れれたしな」
「だな。ただ、まつろわぬ神を家族に誘った、という連絡のあった次の日に息子がカンピオーネになったという連絡を受けた俺の気持ちを考えてくれると嬉しいが」

 確かに、刺激的な連絡が続いたな、とは思う。
 母さんとは違って真面目な人だし。

「それについては、悪いと思ってるよ。でも、家族が増えたんだからいいじゃん」
「その増えた家族と、息子に対してどんな口調を使うか、三日は悩んだんだぞ?」
「そんなに悩むことかね?」

 まあ、結果この口調・・・元のまんまなのは、普通に嬉しい。

「柚実に、子供なのは変わらないでしょ!って怒られてね」
「なるほどな」

 まあ、かなり楽観的な人ではあるけど、その軸だけは絶対にぶれない。
 だからこそ、こんな家族の母親をやっていられるのだろう。

「まあ、子供が出来ない俺と柚実からすれば、この光景は何度見ても夢のようだし、家族を五人も増やしてくれた武双には、結構感謝してるんだぞ?」
「まあ、俺の恩返しだと思ってくれ。家族というものを教えてくれた、な」

 神代隆哉は乏精子症、神代柚実は着床障害・・・要するに、二人揃って不妊症にかかっている。
 そのため、二人とも呪術関係の名家の人間でありながら、元の家と絶縁してこうして暮らしている。

 だが、それでも子供が欲しかった二人は親のいない孤児を引き取ることにした。それも、自分達がかかわっている世界でも十分にやっていけるだけの才能を持った子を。
 そこに母さんの趣味が加えられたことはなにやってんだと思うが、そんな感じで崎姉が引き取られ、リズ姉、立夏、林姉、俺、といった順で神代家の人間は増えていった。

 いや~ホント・・・この家に引き取られてなかったら、俺は家族というものが恐怖の対象でしかなかったんだろうな・・・

「さて、そろそろ止めないと、本題に入れそうにないな・・・」
「やっぱり、帰ってきたのには何か理由が?」
「一応、な。三つほど理由があって帰ってきたんだが・・・柚実!そろそろ本題に入るぞ!」
「は~い、隆哉さん」

 父さんの言葉で母さんは四人から離れ、自分が席に着きながら俺たちにもつくように手振りで示してくる。
 なんだか、面倒ごとの予感がしてきた・・・
 
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