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八条学園怪異譚

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第五十二話 商業科の屋上その一

               第五十二話  商業科の屋上
 文化祭が近付いていた、クラスメイト達は愛実と聖花に対してかなり切実な顔でこう言うのだった。
「本当にお願いね」
「二人共頼むわよ」
「調理の方はね」
「あんた達にかかってるから」 
 隣同士の二人の席を囲んでの言葉だ。
「喫茶店だからね、うちのクラスの出しものは」
「あんた達のお料理の腕にかかってるから」
「だからお願いね」
「頼むわよ」
「サンドイッチもケーキもね」
「どっちもね」
「それだったら私じゃないの?」
 聖花はサンドイッチやケーキと聞いてこう皆に返した。
「パン屋だから」
「何言ってるのよ、軽食も出すのよ」
「スパゲティとかも」
「それにサンドイッチも中に挟むものがあるでしょ」
「だから愛実ちゃんもなのよ」
「それで私もなのね」
 愛実は彼女達の話を聞いて納得した。
「そうなのね」
「そう、だからね」
「二人共お願いね」
「特にカツサンドね」
「このサンドをお店の看板にするから」
「あっ、カツサンドね」
「それだったら」
 二人はカツサンドと聞いてはっとした顔になった、そのうえでお互いを見合ってそのうえでこう言うのだった。
「私がカツを揚げて」
「私がサンドイッチを作ってね」
「それでいくのね」
「他のお料理も」
「ええ、だからね」
「他のお料理もあるから」 
 クラスメイト達は本当に二人に頼み込んでいた、まるで二人がいないと店自体が全く成り立たないといった風だった。
「お願いね、文化祭は」
「二人にかかってるから」
「言い過ぎよ、ねえ」
「そうよ」
 愛実と聖花は二人に言われて困った顔で返した。
「私達ってそんなに」
「お料理は」
「確かにお家が食べ物出すんだけれど」
「それでもね」
「お父さんやお母さんの方がね」
「そう、ずっとね」
「いやいや、二人共全然大丈夫だから」
 その二人にだ、クラスメイト達はまた言った。
「家庭科でも凄いじゃない」
「神業レベルじゃない」
「上手でしかも手早い」
「盛り付けだっていけてるじゃない」
「だからね、本当にね」
「うちのクラスは二人にかかってるのよ」
 切実な声での言葉だった。
「お願いするわね」
「お料理はね」
「メイド服を着てもらって売り娘もやって欲しいし」
「二人共ね」
「えっ、メイドもするの」
「そうなの」
 二人は料理だけと思っていた、だがクラスメイト達は二人に対してこう言ったのだ。メイドとしても出てもらうと。
 そう聞いてだ、二人は驚いて言ったのだ。
「調理だけじゃないの」
「そちらもなの」
「ええ、そうよ」
「二人共ルックスもいいじゃない」
「だから頼んだわよ」
「そっちもね」
 クラスメイト達はこのことも二人に必死に言う、だが。 
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