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DOGSvsCATS

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第三章


第三章

「いい時間だぜ。一時だ」
「そうか。遅いかって思ったんだがな」
「パーティーのはじまりだ」
 奴は今度はこう言ってきた。
「手前を地獄に送るな」
「俺はタイマンで負けたことはねえんだがな」
 こう答えてやった。
「無敗だよ。それはわかってるよな」
「また随分と自信家だな。相変わらずって言ってやろうか?」
「何だって言うがいいさ。それでやるんだな」
「ああ。ただしだ」
 奴はにやりと笑ってきた。
「一人じゃねえぜ。パーティーはよ」
「一人じゃない!?」
「そうさ、何故ならな」
 満月の光に照らされてあちこちから猫共が出て来た。それぞれその手にバットやら鉄パイプやらを持っていやがる。野良猫共がやっぱり潜んでいやがった。
「ここに全員呼んだからな。キャッツのメンバーをな」
「約束が違うんじゃねえのか?」
 わざと咎める顔と声で言ってやった。
「タイマンだったんじゃねえのか?」
「約束!?何だそりゃ」
 予想通り俺の言葉をせせら笑ってきた。
「俺にとっちゃ約束なんて破るものなんだよ」
「随分と卑怯なことしてくれるな」
 また奴を咎めて言ってやった。
「見事にはめてくれたな」
「それがキャッツのやり方なんだよ」
 全然悪びれた様子もなかった。本当に平気な顔だった。もっともこれも最初からわかっていたことだ。けれどここでは演技を続けてやった。
「知らなかったか?まあ安心しろ、殺しはしないさ」
「そうかよ」
「半殺しにするだけさ。しかしそれに負けた手前は」
「俺は?」
「終わりさ」
 相変わらずせせら笑いながらの言葉だった。下卑た顔に相変わらずむかつく笑みが浮かんでいやがる。それがむかついて仕方がなかった。
「負けたチームのヘッドなんてな。それでこの街は俺のものさ」
「反吐が出るな」
 奴の周りにキャッツの者達が集まってきた。本当に全員いるって感じだ。全員で俺をボコる気なのがわかる。そいつの言葉でいよいよ動く感じだった。
「じゃあよ。行くぜ」
「ふざけやがって」
「騙される方が悪いんだよ」
 ここでも汚い奴だった。その笑顔がさらにむかつくものになっていた。
「じゃあよ。騙されたまま街から消えな」
「消えるのは御前の方さ」
 ここで俺は言ってやった。にやりと笑って。
「手前の方なんだよ。野良猫共がな」
「何っ!?」
「おい」
 右手から何かを取り出してやった。そしてそれを動かす。
「やっぱり予想通りだぜ。猫は猫だな」
「そうかよ。まあ間に合ってよかったな」
「全くだぜ」
「おい、野良猫共」
 俺の後ろから次々に声がした。全部で六つの影が後ろから近付いて来るのがわかる。
「相変わらず汚ねえ真似してくれるな」
「タイマンだって約束も破るかよ」
「ったく何処までもふざけた野郎だぜ」
「手前等・・・・・・」
 奴は一転ギラギラする怒り狂った目で俺を見てきた。
「何故ここにいやがるんだ」
「決まってるだろ?わかってたんだよ」
「わかってた!?」
「手前の考えることはお見通しなんだよ」
 また奴に言ってやった。
「どうせこんなことだろうと思ったが予想通りだったな」
「ちっ・・・・・・」
「これで全員だ」
 俺の横に六人揃った。これで七人全員だ。
「やるぜ。いいな」
「数なら負けちゃいねえ」
 奴はここでも数を頼んできた。他の奴等も同じ感じだ。けれど怯んでいるのがはっきりわかる。満月の光に照らされたその顔からはっきりとわかる。
「こうなりゃ好都合だ。こうなりゃよ」
「やるっていうのかよ」
「そうだ。総力戦ってやつだ」
「そうかよ。じゃあ容赦はしねえぜ」
「おい」
 ここでドッグスのメンバーの一人が俺に声をかけてきた。
「ほら、これだ」
「おう、悪いな」
 鉄パイプだった。それを受け取る。
「行くぜ。数は向こうが圧倒的に多いけれどよ」
「そんなの答えは出てるだろうが」
「なあ」
 けれどメンバーは皆勝てると疑っていなかった。これも根拠があった。
「犬は猫に負けたりしねえよ」
「勝つのは俺達だ」
「勝ったら本当にパーティーだぜ」 
 ここで皆に言ってやった。
「いつもの店でな」
「ああ」
「来な」
 俺は手で招いて奴等を挑発してやった。
「相手してやるぜ」
「手前、こけにしようってのかよ」
「俺達キャッツを」
「だから言っただろ?」
 余裕たっぷりの声で返してやる。
「猫はよ、犬の相手にはならねえんだよ」
「そうかよ、じゃあよ」
「ここで死ねよ」
「やるぜ」
 向かって来た野良猫共を見つつ仲間達に話す。
「パーティーだ」
「ああ、やるか」
「今からな」 
 こうして派手な喧嘩をはじめた。それが終わってから俺達はそのバーに集まった。扉に手をかけてみるとすうっと開いた。マスターは約束を守ってくれた。
 
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