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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第十一話





 それから数週間が過ぎた。

「……黄巾の乱の始まりか……」

 頭に黄色の布を巻いた反乱軍は黄巾軍と名乗り、大規模反乱となっていて朝廷は直ちに各大守に鎮圧命令を発令させていた。

「長門ッ!! 南西の村が黄巾軍に襲われているぞッ!!」

 部屋にいた俺に焔耶が慌てて入ってきた。

「守備兵は?」

「僅かに五百だ。その前に義勇軍千と合流して千五百だが、黄巾軍は約一万だ」

「なら急ぐか。即応部隊は?」

「一個師団が直ぐにでも出動出来る」

「分かった。直ぐに向かうわ」

「おぅ」

 文官の仕事をしている時に袁術軍の再編成を七乃達としていた。

 袁術軍は常備軍は十二万がいるらしく、それを現在の師団や旅団等に分けた。

 今のところは八個師団(一個師団人員一万二千人)と、四個旅団(一個旅団人員六千人)で常備軍が編成されて、新たな志願兵によって編成された予備三個連隊がいる。

 また、24時間何時でも出動出来るように一個師団が出撃準備を整えてあり、これは八個師団による交代制でやっている。

 俺は兵士達に新しく配備された鉄の胴鎧、篭手、陣羽織を装着する。(戦国時代の足軽)

 一応、機動性を重視しているからな。

 んで最後に陣笠を被って……はい出動だな。

「……完璧に足軽だよな……」

 まぁちっちゃい事は気にするな。

「来たか長門」

 城の門に行くと零が馬に乗っていた。

「スマン遅れたわ」

「いやいや。まだ間に合うわい。それにしても長門が作ってくれた鞍と鐙は乗りやすくていいわい」

 鞍と鐙はまだ三国志の時代には無かったはずやけどまぁいいや。

「早く行くぞ長門ッ!!」

「分かってるわ」

 焔耶に急かされて俺達は襲われた村に向かった。






―――南西の村―――

「ふぅ……。何とか黄巾軍からの攻撃は凌げたが、いつまで持つか……」

 全身に切り傷が特徴の銀色の髪をした女性が溜め息を吐きながら歩いている。

「凪ぃ~」

「凪ちゃぁ~ん」

 そこへ二人の女性が来た。

「どうした真桜、沙和?」

「今、袁術軍の駐留兵と西門の修理をしてるけど後一回くらいしか持たへんで」

「そうなの」

「……此処が死に場所になりそうだな」

「諦めたらアカンで凪」

「そうなの。最後まで頑張ってみるの」

「……そうだな。頑張ってみるか」

 二人の言葉に銀色の女性は頷いた。

「そうだ。あの人にも言っておかないとな」






「黄巾軍の様子はどうなっている?」

「は。態勢を立て直そうと躍起になっていま す」

 近くの林に部隊を隠して、零が斥候からの報告を聞いていた。

「ふむ。長門どうする?」

「俺か? 俺なら……黄巾軍が村に総攻撃をする寸前に突撃させるな」

「むぅ。ならそれでいくかの。村の守備隊も余力が無いと思うからのぅ」

 確かにな。

「よし、全隊攻撃準備じゃッ!!」

 兵士達が頷く。

「……………」

「どうしたロッタ?」

 ふと、今回の戦に初参加するロッタの表情が冴えない。

「あ……戦なんて初めてだからね。今までは魔物を狩ったりしてたから……」

 そういやそうやな。

「まぁ大丈夫や。最初はキツイと思うけど頑張れや」

 俺はロッタの頭を撫でる。

「ぁ…………」

 ちなみに、クロエは戦争で人を斬った経験があるみたいやな。

「伝令ッ!! 黄巾軍が村に総攻撃を開始しましたッ!!」

 その時、伝令が来た。

「零………」

「うむ。全員、抜刀じゃッ!! 村々を襲う黄巾軍には情けをかけるなッ!! 容赦なくや れッ!! 全軍突撃ィーーーッ!!!」

 零は一気に突撃命令を出した。

『ウワアァァァァァーーーッ!!!』

 兵士達が雄叫びをあげながら黄巾軍に向かって突撃を開始した。

「よし、俺達も行くでッ!! クロエ、ロッタを任したでッ!!」

「あぁッ!!」

 俺は焔耶と一緒に馬に乗って突撃した。

「ウオォォォッ!!」

ザシュッ!!

「ギャアァァァッ!!」

 黄巾兵士の左腕を斬り落として殴って転倒させる。

「敵将は何処だッ!!」

 俺は周りに叫ぶ。

「ハアァァァァァッ!!」

「グビャアァッ!!」

 その時、何人かの黄巾兵士が吹き飛んだ。

 あ、あの全身に切り傷がある女性は楽進だ な。

 何でいるんだ此処に?

「村の者かッ!?」

「私は義勇軍の楽進と言いますッ!!」

 成る程、義勇軍か。とすると、李典や于禁もいるのか……。

「村の防衛は誠に感謝するッ!! 俺と共に敵将を討たないか?」

「は。喜んでッ!!」

 楽進が加わってくれた。

「敵将はいずこだッ!!」

「俺だッ!!」

 俺がもう一回叫ぶと、北斗の拳のようなボスが出て来た。

「俺はこの黄巾軍の将である馬元義だッ!!」

「楽進。俺が気を引き付けるからその間に奴を討て」

「分かりました」

「行くぞッ!!」

 俺は馬元義に突撃する。

「ヌオォォォッ!!」

 馬元義が槍で俺を一突きにしようと槍を出すが、俺は避けて槍を掴む。

「なッ!?」

「オリャァッ!!」

ザシュッ!!

 俺は槍を持っていた馬元義の右手を斬り落とす。

「グアァァァァァッ!!」

 馬元義は左手で切断された右手を押さえながら悲鳴をあげる。

「今だ楽進ッ!!」

「はいッ!! ハアァァァァァッ!!」

 楽進はそのまま馬元義を右ストレートで倒した。

「ガハッ!!」

「止めや馬元義」

ザシュッ!!

 俺は馬元義の首を斬り落として高々と掲げ た。

「黄巾軍の将である馬元義は義勇軍の楽進が討ち取ったァーーーッ!!!」

 俺はそう叫んだ。

「ヒイィィィッ!!」

「馬元義様がやられたぞッ!! に、逃げ ろッ!!」

 将を討たれた黄巾軍は慌てだす。

「今じゃッ!! 奴らを一匹足りとも討ちもらすなッ!!」

 零が叫ぶ。





「やあぁぁぁッ!!」

ガキイィンッ!!

 ロッタが黄巾兵士の剣を杖で弾き飛ばす。

「ヒイィィィッ!!」

 剣を弾き飛ばされた黄巾兵士は慌ててロッタから逃げていく。

「…はぁ…はぁ…」

 ロッタは止めを刺そうにも刺せなかった。

「……やっぱり……私に人は……」

 クロエは戦争を経験していたせいか、人を斬るのに躊躇はしなかった。

 むしろ、クエストしている時と変わりない。クロエは自分が殺さねば自分が殺されるからであると分かっていたからだ。

「この女ッ!!」

 他の黄巾兵士がロッタに斬り掛かろうとする。

「ロッタッ!! ちぃ、邪魔だぞ貴様らッ!!」

 近くにいたクロエがロッタを助けようにも他の黄巾兵士達に阻まれる。

「そりゃあッ!!」

「あッ!?」

 ロッタの杖が弾かれて、クルクル回りながら地面に突き刺さった。

「死ねやッ!!」

「………ッ!!(ゴメンクロエッ!!)」

 ロッタは目を閉じた。

ザシュッ!!

「グアァァァァァッ!!」

 目を閉じていたロッタの顔に何かが降りかかる。

 それは黄巾兵士の血であった。

「無事かな少女よ?」

 ロッタが目を開けると、槍を持ち、白を強調する女性がいた。

「我は常山の趙子龍ッ!! たまたま村に立ち寄った縁だが義勇軍と袁術軍に助太刀いた すッ!!」






 
 

 
後書き
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