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花天の椿

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第一章 最強の女教師

 
前書き
更新は恐らく不定期になると思いますが
頑張ります。 

 






第一章 最強の女教師





オリオトライは、スタートのかけ声と同時に大きく後方へ、飛び上がる、それを追うように三年梅組の生徒達も、走り出す。
だが、その中で椿だけ少し遅く走っていた。
いつもなら椿は、点蔵やノリキと同じく前頭集団にいるのだが、今回は最後の方にいたのだ。
そんな椿に、疑問を持ったのか義眼の少女、浅間・智が椿に話しかける。


「珍しいですね、椿君がこんな後ろに居るなんて、いつもならノリキ君とかと一緒に前の方に、居るのに」


浅間の疑問に、椿は頬を掻きながら答える。


「いつもなら、そうなんだけど今日はまだ本調子じゃないから、前半は少し様子見しようかなと……つーわけだから、ペルソナ君俺も乗せて」


浅間の疑問に答えると、椿は自分の少し前を走っていたバケツヘルムの、巨大な男ペルソナ君に話し掛ける。
ペルソナ君は椿の言葉を聞くと、何も言わず首を縦にふる
その反応を見ると椿は、大きく飛び上がる
左肩にはすでに、クラスメイトの向井・鈴が座っていた為、椿は右肩に飛び乗る。


「悪いねペルソナ君、それとおはよう向井」


「お……おはよう…つ…椿君」


肩に乗ると、隣に座っていた向井に挨拶をすると、向井も返してくれた。





結果として、今のところ居住区画を抜けた企業区画まで、来ているがオリオトライに攻撃を当てた者はいない


「あちゃ~、ノリキと点蔵それにウルキアガの三人でもダメか」


先ほどノリキと点蔵とウルキアガの、三人が惜しい所まで行っていたのだがオリオトライは、それを防いでみせた。


すると前方を走る、点蔵が後ろを振り向き叫ぶ


「浅間殿!!」


点蔵の言葉と同時に、椿の少し前を走る浅間が弓構える。
その瞬間、生徒会書記トゥーサン・ネシンバラが叫ぶ


「ペルソナ君、足場をお願い」

「おっと、じゃあ俺が降りるよ」


ネシンバラの言葉に椿が、ペルソナ君の右肩から降りる。
そしてペルソナ君の差し出した、右手の平に浅間が飛び乗る。


「浅間、わかってると思うけど…去年と同じやり方じゃあ、当たらないよ」

「わかっています。」


椿の言葉を聞くと、浅間は弓を構え直す。


浅間は、自分の走狗を呼び出し、自分の矢に術式を込める。
そして、光を纏った矢が放たれる。


光を纏った矢は、吸い込まれるようにオリオトライに向かう
接近する矢に、気づいたオリオトライは体を捻り、後ろを向く向いたと同時に背中に背負っている、長剣を鞘から引き抜きそのまま、降り下ろす


だがその瞬間、浅間の口角が少し上がる。


「切り落とそうとしても、無駄ですよ回り込みます。」


浅間の言葉と同時に、矢はオリオトライの長剣を避けるように回り込み、オリオトライの顔に向かう
そして、音が響き光が爆ぜる。


「やった。」


浅間がガッツポーズをとる。
他の皆も当たったと思っていた。
だがその中で、椿だけが皆とは逆の言葉を呟く


「惜しかったね、浅間」


椿の言葉に、浅間が疑問の表情を浮かべる
だがその瞬間当たったと、思われていたオリオトライが走り出した。
つまりそれは、浅間の矢が当たっていないということだった。


「アイスが~」

「だ……大丈夫?…浅間さん」


落ち込む浅間に、鈴が心配そうに言葉をかける。


「あの女教師、剣を抜いた時に髪の毛を数本切ったんだ、そして回り込んだ矢が髪の毛に当たり、先生に当たったと誤認させたんだ。」


椿は冷静に、状況の説明を話していた。


「つっても、ノリキに点蔵…ウルキアガ、それに浅間までだめか~仕方ない行くか」


椿の言葉に周囲が反応する。


「やっとか、頼むよアリアダスト最強君」

「その呼び方やめろ、ネシンバラ」


ネシンバラの言葉に、ツッコミを入れると椿は体を少し沈める。
足に力を入れ、思いっきり地面を蹴る。
その瞬間、今までペルソナ君の隣を走っていた椿が、一瞬で何十メートルもさきにいた。


「先生も先生ですけど、椿君も椿君ですよね」

「全くだね」


浅間の言葉にネシンバラも、同意する。




一般人が見れば今の椿は、残像としか見えないだろう、椿が今使っているのは瞬歩と呼ばれる、椿独自の歩方だ
その瞬歩により、椿は数秒でオリオトライに追い付く
後ろから来る、椿に気づいたオリオトライは大きく跳躍し、空中で体を捻り椿の正面を向く


「やっと来たか、最強君」

「やめて下さいよ、先生まで」


お互いに軽口を叩き合うがお互い警戒心は、欠片も抜かない


「行きます!!」


先に動いたのは、椿
瞬歩でオリオトライの目の前に、近づくと左の腰にある二本の刀の内、刀身が短い方の刀を抜き放つ
それに反応し、オリオトライも背中の長剣を抜き、降り下ろす。


ぶつかり合う刀と長剣、耳障りな金属音を放つ


「もう一本は抜かないの?」

「一応授業なんでね、抜くつもりはありませんよ」


その言葉を聞くと、オリオトライ、長剣に力を込め思いっきり振るう
オリオトライの力に耐えられず、椿は後方へ飛ばされる。
企業区画の、屋根に着地するとまた瞬歩を使い、今度はオリオトライの後ろに回り込む


「相変わらず、速いわね~」


だがオリオトライは椿の、瞬歩に反応し
長剣を後ろに振り上げる。


刀と長剣が、再びぶつかり合う直前オリオトライは、目を見開いた。


「上ですよ」


刀と長剣がぶつかる直前、椿は再び瞬歩を使い今度はオリオトライの真上に跳んだのだ。


「決める!!」


右手に持つ刀を、逆手に持ち変えオリオトライに突っ込む


「なるほど、これは予想外だね…けど残念」


すると、オリオトライは椿の予想を遥かに越える速さで、長剣を振るう


(この人本当に、人間かよ!?)


想像以上の速さに、椿の反応が遅れる。
オリオトライの長剣は、的確に椿の脇腹を捕らえている。
そしてオリオトライの、長剣が椿の脇腹に当たった瞬間オリオトライは、違和感を感じた。


「手応えが……ない?」


その瞬間、その違和感の正体を理解する。


「残像か!?」


オリオトライが切ったのは、椿が瞬歩で作った残像
本物の椿はオリオトライの、懐に入り込んでいた。


「言ったでしょう、決めるって」


椿は体勢を低くし、右斜め下から思いっきり逆手に持った、刀を振り上げる。


「(行ける)」


椿は勝利を確信する、だがその瞬間椿の右手首に衝撃が走る。


「な……に」


右腕は止まっていた。
正確には止められていた。
オリオトライの、左足の裏が椿の右手首を蹴ることで止めていたのだ。


「惜しかったね……椿」


椿対オリオトライ
今回もオリオトライの勝利だった。
だが、それは一対一の場合だ。


「いいえ、先生俺達の勝ちです。」


その言葉と同時に椿は、大きく後方へ跳躍する。
そして同時に叫ぶ


「ぶちかませ、ナイト!!!」

「ありがとう、椿君」


オリオトライ上空を飛ぶマルゴット、がオリオトライに向けて放つ


「ヘルリッヒ!!」


放たれた光弾は、オリオトライに向かう
だが直前でオリオトライは光弾を避ける


「またまた、残念」


大きな爆発が起き、その煙の中からオリオトライは椿に手を振りながら走り出す。


「クソッ」

「残念」


椿とマルゴットが肩を落とす。








結果的にオリオトライは、無事に品川のヤクザの事務所にたどり着いた。


「ほらほら、後から来て勝手に休まない……生き残ったのは鈴と椿だけ」

「はい?……あ、いえ、わ、私、運んで、貰った、だ…けなので、はい」

「俺も、前半はペルソナ君に運んで貰ってたからな」

「それが、チームワークとしての選択だから別に、良いのよ途中リタイアもちゃんと救護してたみたいだし、二年の時より遥かにいいわ」


するとオリオトライの、後方ヤクザの事務所の扉が開かれそこから巨大な、魔人族が出てきた。


「なんだ、テメェーら内の事務所の前で遠足か?」

「あらあら、魔人族も地に落ちたねぇ」


やる気満々でオリオトライは、魔人族に近づく


「んじゃ皆、こっからが実技魔人族の倒し方教えてあげる」

「誰だ!?、テメェーは」

「先日の高尾での地上げ、覚えてる?」

「あぁ?そんなもんいつものことで覚えてねぇな」

そぅ、と言いオリオトライは魔人の真正面距離的に、約三メートル程まで近づき止まる。


「理由も解らずにぶっ飛ばされるのも、大変よね」

「テメェー」


魔人はそのハンマーのような、腕でオリオトライに殴り掛かる。
オリオトライはそれをスルリと、避ける


「それじゃあまず、先生がお手本を見せるから」


その時オリオトライの表情は、今日一番輝いていた。







「お手本になってねぇ」


現在まさしく、電光石火の速さで魔人族を倒したオリオトライに、椿は感想を呟いていた。
魔人族を倒されヤクザ達は、素早く事務所の扉にロックをかけていた。


「あら、警戒されたかしら」


まるで他人事のように、呟くオリオトライにため息をつく、生徒達


「オイオイ、何してんの皆?」


椿たちより後方から、聞こえる聞きなれた声に皆が後ろに振り向く


「お前こそ、こんな所で何してんだよ、大将」


皆を代表して、椿は総長兼生徒会長、葵・トーリに問いかける。


「何だよ椿、俺の収穫物に興味あんのかよ」

「どうせ、エロゲだろ」


椿の言葉にトーリは、ハッと反応する。


「まさか、椿もコレねら「狙ってねぇよ、いらねぇよ」んだよ」


椿の答えに肩を落としていると、トーリの後ろにいたオリオトライがトーリの肩を叩く


「授業サボって、何エロゲ買いにいってるのかな?」

「何々先生、俺の買ったエロゲが気になんの、仕方ないなぁ見える?、コレR元服の、ぬるはちっ、
コレすげぇ泣かせるって行列だったんだよ」


「バカ大将、どう見ても先生キレてるぞ」


椿はオリオトライを、指差しながらトーリに危険を知らせる、


「バカ何言ってんだよ椿、俺これから先生がおっぱい揉ませてくれるんだぜ、キレてるわけねぇだろ」

「君は、一体何を言っているのかな?」


完全にキレる一歩手前の、オリオトライその姿にトーリ以外の全員が恐怖する。


「大丈夫大丈夫、優しく揉むから」


そう言うとトーリは迷いなく、オリオトライの胸を揉む


「あれ、コレって攻撃が当たった事に?」

「ならないでしょう」


会計補佐ハイディ・オーゲザヴァラーの言葉に、素早くツッコミを入れる椿
少しの間揉み続けると、満足したのかトーリは振り向き、皆の方を見る


「あぁ、それと前々から言ってたけど俺、明日中コクろうと思うわ」


『…………え?』

トーリのいきなりの発言に、周囲がざわめく


「フフフ愚弟、いきなり現れてコクり予告とか、エロゲの包みを持っている人の発言とは思えないわね、コクる相手が画面の向こうに居るんだから、コンセントにピーー突っ込んで痺れ死ぬと良いわ、素敵」

「何言ってんだよ、姉ちゃんコレはエロゲ卒業の為に買ったんだぜ」

「じゃあ、相手は誰なんだよ大将」


呆れながら、質問する椿にトーリは少しため息をつき、皆に向かって答えた


「わかってんだろ…………ホライゾンだよ」


その答えに、椿を含む全員の表情が曇る。


「馬鹿ね、あの娘は10年前に亡くなったわ、アンタの嫌いな後悔道りで」


喜美の言葉を聞き、それでもトーリは表情を変えず言葉を続ける


「わかってる、けど、もうその事から逃げねぇ」

(……トーリ)


トーリの思いに、椿の表情が少しゆるむ


「それに、たぶんその後に皆にすげぇ、迷惑かけると思う…だって俺何もできねぇから」

一息

「何せ、俺がヤろうとしてるのは、世界に喧嘩売るようなものだから」


告げられた言葉、だが誰も何も言わず唯黙ってトーリを見つめていた。


「じゃあ、今日は色々と準備の日ね」


そうだな、とトーリは笑顔で言い


「解ってるよでも、安心しろよ姉ちゃん俺何もできねぇけど、高望みだけは忘れねぇから」


笑顔で言うトーリに皆が、微笑む
だがその中で椿だけは、顔から血の気が引くのを感じた。


「良いこと言ってるとこ、悪いんだけど大将…う……後ろ」


トーリ以外の皆が椿の指差す方向を、見た瞬間皆の表情が固まる。


「オイオイ、どうしたんだよ皆って先生、今の俺の恥ずかし発言聞いてた?」


トーリの後ろには、鬼神のごときオーラを放つオリオトライが立っていた。


「人って怒りが頂点にたっすると、何も聞こえなくなるのよ」


今の状況が理解出来ていないのは、恐らくトーリだけであろう


「何だよそれ、仕方ないなぁ、じゃあもう一回言うぜ、今日が無事に終わって明日になったら俺、コクるんだ」


その瞬間オリオトライの、目がギラリと光りトーリの脇腹に蹴りを入れる。


「よっしゃー死亡フラグゲットー!!」


脚を振り抜き、ヤクザの事務所の方向に吹き飛ばされるトーリ
トーリは見事に事務所を、突き破り奥の壁に激突する。


「御愁傷様」


椿は手を合わせながら呟いた。










































 
 

 
後書き
一話結構時間がかかりました。
でも、花天狂骨はまだちゃんと出てきません
まだ少し先になると思います。
もう少しだけ待ってくださいスミマセン 
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