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魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~

作者:白鳥才牙
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『第十八話』~湯の町 海鳴温泉~

 拓斗side

 ゴールデンウィーク。
 四月終わり頃から五月の始まりにかけてある長い連休で、大型連休とも言ったりする。
 この時期になると子供が居るお父さんお母さんは、子供を何処に連れて行ってあげようかと、パソコンと格闘したりパンフレットなどと格闘したりする。子供達も大いに期待していたりする為、適当な場所は選べない。
 全国の親御さん方、本当にお疲れさま。
 さあ、何故いきなりこんな変な冒頭の入り方をしたとすれば、それは先日の夜に遡る。





 回想

「温泉旅行?」

「あぁ。連休中は翠屋を店の人に頼んで家族全員と月村家、アリサちゃんと海鳴温泉に言っているのが恒例でね。君もどうかなっと思ってね」

「でも、いいのか? 久しぶりの家族だんらんの時に俺なんかが加わって?」

「君には命を救ってくれたこととなのはを励ましてくれた恩があるからね。それのお礼だと思ってくれ」


 と、なると断るのも失礼か。


「分かった。ならお邪魔させてもらうよ」

「そうか、なのはも喜ぶよ」

「じゃあまた今度な」

「あぁ、おやすみ」

 回想終了





 飛んで、温泉に行く日……………………何だが、この状況はなんだ?
 なのはとアリサとすずかが何か凄い火花散ってるし、なのはや恭也さん、美由紀さんの母親である桃子さんは凄い笑顔だ……
 どうやら誰が俺の隣に座るか決めるらしいが……どっちでもいいだろ。


「順調にハーレムを形成しているわね」

「拓斗君モテモテね」

「……笑ってないで助けて下さいよ」

「面白いから駄目」

「頑張れ男の子♪」

[(男は度胸だぞ)]


 ソウル、おまえは黙れ。


「………」

「ぐぬぬぬぬぬ」


 恭也さん、あなたがシスコンだと今確信しました。
 それと士朗。無言はやめてくれ。いや、やめてください。逆に怖いです。ときどき出すその殺気も控えてください。
 せめてその笑顔だけでも何とかしてください。さらに怖くなってます。


「おいおまえ等時間無くなるぞ」

「そうね。だったらジャンケンで決めるわよ!」

「負けないの!」

「これだけは譲れない!」


 流石アリサ、これで早くおわ「私はグーを出すわ」おい…………
 時間無いのに何心理戦始めてるんだこのはコイツ等は。



「・・・俺は温泉で疲れを癒すはずじゃなかったのか?」


 味方が誰一人として居ない
 ユ、ユーノは……ユーノはどうだ?


「きゅう」


 そう鳴くとユーノは俺の肩に乗って頬を舐めてくる。
 うおおおおお!!おまえはなんて……なんて良い奴なんだ!!味方はおまえだけだ!!


「ユーノ!お前は俺の親友になれるかもかもしれないな」

「きゅう!」


 ユーノと指でハイタッチ(?)をする。
 本当、ちゃんとした形でユーノと話をしてみたい。
 なのはじゃないけれど、話しをしてみたい!
 その後、俺とユーノは仲良く友情を深め合っていた。


「………何か拓斗君、ユーノと仲良くなってるね」

「………そうですねぇ。でもこんなに仲良さそうだと」

「………はい、ヤキモチを妬いちゃう人達が」



『ムゥゥゥゥゥ………』



 背後から三人の謎の視線に俺はまったく気が付かなかった。










「あー……やっと着いた……」


 俺は荷物の入ったバッグを肩に掛けながらそう言った。
 あれから三十分程経過して、ようやくお目当ての老舗温泉旅館『海鳴温泉』に到着した。
 目の前には立派な旅館があり、その周りには行く山々の綺麗な自然。近くには透き通るような小川が流れており、リフレッシュしたりするのに持ってこいの場所だ。


 しかしそれを見る余裕がない。正直、すぐにでも横になりたい気分だった。



「あ〜あ、残念」

「まだ帰りがあるわ! 次は負けないわよ!」

「わ、私だって」


 早くも帰りの事について話している三人……何してたんだ?
 因みに俺の隣は三人は座らず、美由紀さんとファリンさんが座った。


「さて、みんなまずは荷物を置きに部屋に行こうか」


 士郎さんの一言で旅館に入るみんな。とりあえず……温泉だな。











 しかしそのあとに一つの問題が起きた。
 現在ある部屋の入り口前に居る。
 勿論、俺が泊まる部屋なのだが……


『部屋の割り当て』


これのお陰で少々問題が起きていた。



「いや、何でなのはとアリサとすずかと俺が同じ部屋なんだ……?」



 そう、何故か部屋割りがそうなっている。
 勿論恭也さんは忍さんと二人部屋。士郎と桃子さんも二人部屋。美由希さんとファリン、ノエルさんの三人部屋、そして俺となのはとアリサとすずか(ユーノも)の四人部屋の四つに別れている。
 ちなみに鮫島さんは一人部屋らしい。



「男ならいつかは乗り越えるしかない壁だ。ファイトだ、拓斗。お前にならなのはを任せられる」



 恭也さんは爽やかな笑顔とイケボ、そしてピンとサムズアップしながらそう言って何処かに行ってしまった。
 ………いやいやいや! ちょっと待てよ! いつかは乗り越えるしかない壁って何だよ!? そんな壁あってたまるか!


「ちょっと待てって、恭也さん速すぎ!?」


 すぐさま追い掛けようとしたのだが、明らかになんらかの身体強化が掛かった速度で、気付いたら既に視界から消えていた。


「……仕方ないか」


 そう考えながらも部屋に戻ると


「「「一緒………一緒の部屋……」」」


 顔を真っ赤にして固まってる三人がいた。


「(ソウル、コイツ等ははどうしたんだ?)」

「(部屋割り表を見た時からこんな感じだったぞ?)」


 ………猫だましで起こすか。










 三人を起こした後、夕食までは自由時間と言う事で温泉に向かう。ユーノはなのはに連れてかれそうな所を連れ戻した。


「きゅ~」


 その時のユーノの鳴き声が物凄い泣きそうな声だった。


~入浴中~


「中々いい湯だな」


 ん?何故省略したって?男の風呂何て見たくもないだろ?
 士郎と恭也さんはサウナにいたな。


「まだ、時間があるな……」


 浴衣に着替え、ユーノを肩に乗せ、湿った髪の毛を団子の様に纏める。(忘れているだろうが俺の髪は肩より少し下あたりまで伸ばしている)
 前髪も顔に付かない様に少し分ける……顔が出るが仕方ない。
 なのは達を探してると道の真ん中でなのは達と一人の女性が話していた。
 というか、あれは絡まれているのか……?
 とにかくあそこに行くしかないか。


「どうしたおまえ等、何かあったか?」

「え? あ、拓斗君///!?」


 すると、なのはは顔を赤くしていた。
 よく見るとアリサとすずかもだ。
 ついでに女性も真っ赤だった。


「のぼせたか?それよりもこの現状はどうした。その人にでもぶつかったか?」

「う、ううん(男の子なのになんでこんなに湯上りで色気が出るのよ)」

「あ、アンタこの前の!!」

「ん?」


 いきなり女性が大声を出す。
 そこには最近見たことのある女性がいた。


「あ、アルフさんで……あってましたよね?」

「そう。このまえは悪かったね」

「いえ、こちらもやりすぎちゃいましたから。腹、大丈夫ですか?」

「全然、丈夫に出来てるからね!」

「ちょっと待って!拓斗君このお姉さんと知りあいなの!?」

「まぁ、ちょっといろいろあってな」

「いろいろって何よ!?」

「綺麗な石を拾う、金髪少女がそれを必要な物だと言うから渡そうとする、この人乱入、少女をいじめてたと勘違い、襲ってくる、かえりうち、わかった?」

「わからないよ!?」


 そう言われてもな、こうとしか言えん。


「それで、俺の連れが何かしましたか?」

「え? あ、ううん。違うよ。知っている子によく似てたからついね。ただ違ったようだよ」


 すると、アルフはなのはに近づき、


「〈今のところは挨拶だけね〉」


 急になのはの顔色が変わった。


(念話か)

「〈忠告しとくね。子供は良い子にお家で遊んでなさいね〉」


 子供ね。


「さあって、もうひとっ風呂行ってこようっと」

「待って下さい」


 俺は風呂の方向に去ろうとするアルフを呼び止める。


「なんだい?」

「また勘違いでこのまえみたいなことが起こってしまうかもしれませんので少しばかり忠告を」


 そう言いながら俺はアルフに近づき、すれ違う位置に立ち止まる。
 そしてアルフにしか聞こえない声で言った。


「これは忠告ではない、警告だ。アイツ等を少しでも傷つけてみろ。その時は、お前の命を、全てを狩る」

「なっ!?(こ、この子本当にフェイトと同い年かい!?こ、こんな殺気、あり得ないだろ!?)フェイトも殺す気かい?」

「過去の俺なら迷わず殺しただろうな。だが、今はその気はない。フェイトにも伝えておけ。お前とは敵対する気はないがなのは達を傷つけるようなら迷わずお前を殺すとな」

「わかった」



 そういってアルフは今度こそ去って行った。

「……拓斗……君?」

「ん? どうした?」

「う、ううん!なんでもない!行こう」

「そうね」

「うん」

「そうか」





 なのはside

 女の人は少し拓斗君と話し、お風呂の方に行ってしまった。
 もしかしてこの前の子、フェイトちゃんの味方?
 それとも新たな敵さん?
 色々な考えが浮かんでは消えていく。

 だめだめ。
 今はアリサちゃん達と一緒なんだから考えるのは後にしよう。
 拓斗君、アリサちゃん、すずかちゃんの方を向く。
 その瞬間固まってしまった。


「……拓斗……君?」


 どこか感情のない眼で女の人の後ろ姿を追う拓斗君がそこにいたから
 アリサちゃんもすずかちゃんもさっきの女の人より拓斗君の方が気になってるみたい。
 そして、女の人が完全に見えなくなって。

「ん? どうした?」

 いつもの拓斗君がいた。

「ううん。なんでもないよ。行こう」

「そうね」

「うん」

 私の言葉にアリサちゃんもすずかちゃんも頷いて、拓斗君も頷いて歩きだす。
 今の拓斗君はなんだったんだろう。
 私は拓斗君の横顔をじっと見つめていた。
 拓斗君の目、とても冷たかった。まるで刃物のような冷たさ。でも、なぜかその目を見ると、とても悲しかったの。

 なんか、拓斗君がとても遠くに行ってしまいそうで。
 
 

 
後書き
~あとがき雑談会~

作「海鳴温泉到着の回でした」

拓「本当はジュエルシード発動場面までいくつもりだったんだよな?」

作「そうなんだけどね。なかなかアイデアだ出てこなかったんだよ」

拓「なるほどな。っていうか今回もゲストいないのか?まだ三人しか呼んでないぞ?」

作「あぁ……他の人呼んでもいいんだけどどう会話をすればいいかよく分からないんだよ」

拓「好きにやればいいのに」

作「キャラぶれは最低限に抑えたいんだよ」

拓「不可能」

作「そんなにハッキリ言わなくてもいいのに……」orz

拓「あれ?おい、作者?」

作「…………」

拓「そこまで落ち込むなよもう。予告するか





  なのはとアルフの初対面の夜中

  新たなジュエルシードが発動する

  そこでなのはとフェイトが再び出会いを果たす

  次回 魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~『夜中の再開』





それじゃあ次回に」

拓「トリガー・オン!!」





 ……………

 いつまで落ち込んでんだよ……… 
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