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アーチャー”が”憑依

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二話

「私はネギ・スプリングフィールド。今日から君たちの担任、そして英語を担当することになった」

教卓の前に立って自己紹介をする少年に。いつもは騒がしいはずのクラスが静寂に包まれていた。

「何か質問があるなら受け付けるが?」

先ほどしずなが撤去させたイタズラをしかけたとは思えないほど静かな生徒たちにネギは若干の拍子抜けを感じるが、時間も限られているため話を進める。

「え~と、はい」

手をあげたのはどことなく狐をイメージさせる様な目つきの少女。その首からは立派なカメラをぶら下げている。

「朝倉和美君だな。何だね?」

一応学園長室からの道のりの間、出席簿で名前と顔を確認したが念のためもう一度出席簿で確認しながら指名する。

「君が先生っていうのは……」

「本当だ」

ネギの返答に生徒たちが一斉にしずなの方へと顔を向ける。教室の端で様子を見ていたしずなは苦笑しながらうなずいた。

「「「う、うそおぉ~~!?」」」

生徒たちは急に大声を上げてネギへと詰め寄っていく。人ごみの向こうでは「私がこんな特ダネを逃すなんて~!」と聞こえてくる。ネギは必要以上に近寄ってくる生徒の質問に律儀に答えていった。ちなみにネギの就任最初の授業はまぁ成功と言う形に終わった(約二名にいざこざは起きたが大喧嘩にはならなかった)。




もうそろそろ日も暮れてくるという頃、ネギは眉間にしわを寄せながら歩いていた。

「住居のことをすっかり忘れるとは……ガラにもなく緊張していたのか?」

既に時間は放課後……女子寮の場所は知ってはいるものの、いきなり訪ねて泊めてくれと言うわけにもいかず、ネギは途方にくれていたのだ。

「やれやれ、今日はタカミチにでも……む?」

ふと前を向くと、何かを抱えて歩く女生徒がいた。生徒が非力なのか、それとも荷物が重いのか生徒は右へ左へフラフラしている。

「危険だな……」

平地ならば転んだですむやもしれないが、生徒が進む先には手すりのない階段があるのだ。生徒はもう階段の目前まで到達してしまっている。大声をだせば驚いてバランスを崩してしまうかもしれない。ネギは荷物をその場に下ろし、生徒の元へと駆けた。




「うんしょ、うんしょ」

宮崎のどか、彼女は委員会の仕事として複数の本を抱えて運んでいた。いつもなら親友である綾瀬夕映や早乙女ハルナが一緒にいるのだが、今日は別行動だ。

「うんしょ、うん……わ、わわわわわぁぁぁ!!」

運動が苦手である彼女には抱えている本の重量は重たすぎた。本のバランスが崩れると、それにつられる様に彼女もバランスを崩す。前のめりに階段の脇へと落ちそうになり、恐怖にのどかは目をつぶった。

「きゃっ!」

しかし、やってきたのは硬い地面にぶつかる感触ではなく何かに服の背中を引っ張られる感覚。のどかが一体何がと後ろを振り向く前に……

「無事か?」

言葉少ないながらも自分を気づかっていることが分かる言葉にのどかは顔を赤く染める。
引き上げるぞ、と言うネギの言葉も心ここに在らずと言った様子で聞いていた。
あの後、本を集めるのを手伝っていると神楽坂がやってきた。どうやら先程のを見ていたらしい。ガキに何であんなに力があるのかと問い詰められたので、無かったほうが良かったのか? それだったら彼女は助けられなかったが、と皮肉気に言ってやったら黙ってしまった。その後彼女は宮崎の手伝いをすると言って去っていった。去り際に睨みともう少ししたら教室へ向かえと言う言葉とともに。



「さて、来てみたはいいが」

中には複数……というか30を超える気配がある。教室という場所から予測するに自分の受け持つ生徒達+αがいるのだろう。問題は何のためにいるのか、だ。何時までもここで立っているわけにもいかず、扉を開けた。

「「「ようこそ! ネギ先生!!」」」

パーン、と音をたてて放たれるクラッカー。中から飛び出たキラキラした紙ふぶき等が扉を開けたネギに降りかか……らなかった。

「「「ふぇ?」」」

自分達の予想に反した結果にクラッカーを手に持っていた者達は素っ頓狂な声を上げてしまう。

「これは一体何の騒ぎだ?」

ネギは扉の影から姿を現し、そう問うた。

「なるほど、私の歓迎会か」

「そうそう、これからお世話になるしね!」

「先生が早く馴染める様に皆で準備したんだよ!」

部屋の中心へと連れられ、この騒ぎの真意を聞いたネギは生徒達から次々に声をかけられていた。最初はその容姿に似合わない雰囲気と言葉遣いに戸惑っていたのだが、ネギが決して悪い人物ではないと分かるやいなや直ぐに順応していった。
時間もそこそこに、ネギはようやく生徒達から開放されかけていた。それを好機と見たネギは、気配を消し、誰にも気づかれない様にそっと席を立った。




「刹那、あの先生をどう思う」

「普通ではないことは確かだな」

部屋の隅、壁にもたれながら二人の生徒が会話をしていた。その内容となるのは、今日クラスの担任となった若すぎる少年のことだった。

「そうだな。だが、私には彼の実力が全く探れないんだ」

「龍宮もか」

魔法を知る“生徒”の中では屈指の実力を持つこの二人をもってしても探ることのできない少年は一体どれほどの力を持っているのか。二人は頭を悩ませるばかりだ。

「何か悩み事かね?」

「「!?」」

突如かけられた声に二人の体が硬直する。頭の中に浮かぶのは等しくいつの間に、だ。

「ふむ、何を驚いているのかしらんが少しいいかな?」

「あ、ああ。何だい、ネギ先生」

先に我を取り戻した龍宮が対応するが、その声は非常に硬い。

「実は二人に頼みごとがあってな」

「なん、でしょう」

続いて言葉を発した刹那もやはり声は硬いままだった。

「こんなことを突然言うのは非常に気がすすまないのだが……私を、君たちの部屋に住ませてくれないか?」

「「……は?」」

二人の体から緊張というものが一瞬にして消え去った。



おまけ

「ぷ、くくく……ぷはははは! 茶々丸、ちゃんと記録しただろうな」

「刹那さん、龍宮さん両名の呆けた顔。確かに記録しました」

「よくやった。今度これでからかってやろう」



おわっとけ 
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