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鉄槌と清風

作者:deburu
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40部分:39:ガジェットドローン


39:ガジェットドローン

 ミッドチルダ臨海空港火災から1年と少し、中学卒業を期に生活の拠点をミッドチルダへと移した一人暮らしなので、あまり大きくないマンションを一室借りている。
 実家は士郎に頼んで管理してもらう事にした。

 マンションは海が近く、また八神家…はやて、なのは、フェイトもミッドで生活している…にも程近い。
 そのためか実家の延長のような感じでヴィータが休み前や休みの日に来ている事も多い、しっかりと実家から茶碗や生活道具なんかも持ってきている。

 そんな中、臨海空港の火災に似たような事件が、幾度か発生していた、但し全て無人世界でだが。
 無人世界のはずなのに、高度な魔力集積の実験場などが残されており、幾度か問題になっている。
 はやてやフェイトはそれらに関して色々と調査しているようだ…良彦は基本通常任務であり、そちらの事はあまり判らない。

 その日も、違法技術の研究所の検挙と言うことで、何時もの小隊…良彦とヴィータ、二人のフロントアタッカーに、センターガードの小隊長、ウィングガード1、フルバック1…で向かっていた。
 無人の管理世界、その一角森にまぎれるように作られた建物が見える。

 「目標の建築物を視認…周囲に動体反応あり、自動機械の様子です」

 サーチャーを飛ばしていたフルバックの隊員が報告してくる。

 「なら、遠距離から射撃で自動機械を沈黙させ、即座に突撃する…時間との勝負だと思え」

 小隊長が指示をだし、それぞれが魔法の準備に入る。
 良彦は周辺の警戒だ…射砲撃素質皆無なので。

 小隊長以下4名、3名は普通に魔力スフィアが、ヴィータの前には8つの鉄球が浮かんでいる。

 「よし、撃てっ!」

 掛け声と共に幾つも浮いたスフィアから魔力弾が打ち出され、ヴィータも…

 「アイゼン」

 『シュワルベフリーゲン』

 8つの鉄球を4つずつ2回に分けて連打、赤い魔力光に包まれ標的へ飛来する。
 が…楕円のような形をした自動機械の直前で魔力弾は消失、ヴィータのシュワルベフリーゲンは魔力を消されながらも、目標を打ち抜き、4機撃墜、4機に損傷を与えている。
 それを見て小隊長が…

 「AMF、なのか?」

 AMF…アンチマギリングフィールド、魔力結合・魔力効果発生を無効にするAAAランク魔法防御である、ちなみに『凪』もこの性質に近い物を持っている。

 「ヴィータ、いけっか?」

 「当然、あの程度ならわかってればぶち抜ける」

 「隊長、援護お願いします、此処はベルカ式のほうがやりやすい」

 先ほどの射撃で、10数対の自動機械が向かってきている。

 「判った」

 小隊長の言葉と共に、良彦とヴィータは突撃を開始、ウィングガードは防御を、フルバックは射撃強化や身体強化の魔法などを随時かけ。
 小隊長は、多重弾殻射撃の準備を開始。

 近くで見る自動機械は、色は全体的に青っぽく、背後から触手のような黄色いコードが延びている。
 攻撃方法は、何らかの光学兵器に、あの触手で捕らえての締め付け?辺りと予測し

 「ヴィータ、崩すから一機ずつ確実に頼む」

 「了解、崩したのは気にしねーで前進めよっ!」

 「任せる」

 だん、っと最初に踏み込む良彦、光線を撃たれるが、小さなシールドで弾き、『捌き』…体さばきで避け…相手の近距離に踏み込む。
 不可視の『凪』が一瞬乱され青の光りが見えるが、直ぐに制御を取り戻しつつ…相手の足元へ魔力を込めた震脚、魔力は風に変わり、その風が震脚の一瞬だけ強くなり、相手を揺らす。
 体勢を崩したそれは、無視し次の相手へ…後では体勢を崩した自動機械にヴィータのハンマーが打ちこまれている。

 「まず、一機」

 「なら、これで2だな」

 伸びてきた触手を『弾き』ながら、引き寄せ…右拳をど真ん中に叩き込む。
 バチバチっとショートしながら、動きを止める自動機械…良彦とヴィータ、どちらも小さな体に反し、かなりのパワーを身に秘めている。

 「いや、4だな」

 前方で良彦とヴィータに撹乱されている自動機械、その2体に隊長の射撃が命中…消される事を前提とした弾殻が消えるが、本命が機械を打ち抜く。

 「なら、後半分くらいかな、さっさと終わらすか」

 「だな、こんなの動きがトロイから直ぐだ」

 軽口を叩きつつ、時に良彦が体勢を崩したのをヴィータが、ヴィータが動いて反応したのを良彦が、撃ち砕く。
 数分後応援に来た自動機械含め約20機が、残骸になっていた。

 「よし、急いで中」

 隊長が指示を出そうとした瞬間、建物から爆音…それに反応し、フルバックの隊員が防御フィールドを即時展開、少し遅れて、良彦もそれに重ねるように。

 「ゼピュロス」

 『風の結界』

 カートリッジを1発ロードし、フィールドを強化して行く。
 爆発が収まり、建物は炎上…消火班や検察要員を急いで呼んで、一旦小隊任務は終了。
 主要な資料や研究機材などは持ち去られたり破壊されていてほとんどわかることは無かったが、高度な魔力集積研究がされていた事だけはわかったらしい。



 数日後、隊舎で先日の事件の資料整理などをしながら。

 「しっかし、あれなんだったんだろうな?」

 「しらね、つか良彦ちゃんと資料纏めとけよ、わかりづれぇ」

 「ちゃんと纏めてあんだろ…えーと、これが…どっちだっけ?」

 「判ってねーじゃねーか、戦闘報告とかは正確なのに、他はだめってどうなんだ、ん?」

 「仕方ねーだろ、苦手なんだよ…えーと、こうでこうか?」

 「ちげーって、こっちがこうで、これがこっち」

 横から身を乗り出したヴィータが良彦のディスプレイを弄りまとめて行く。

 「おー、そか、さんきゅ…後でなんかおごってやんよ」

 「んじゃ、家の近くのアイス屋で、アイスな」

 「あいあい、あそこだな」

 「ほら、これで終わりだ、上げて帰るぞ」

 といっていると

 『八坂3等空尉、ヴィータ3等空尉、第3会議室へ出頭してください、繰り返します…』

 「出頭、なんかしたかヴィータ?」

 「あたしより、おめえのが何かしたんじゃねーのか良彦?」

 お互い顔を見合わせ、とりあえず移動する。
 ノックして扉を開けると…チビ狸、もといはやてとアイン、ツヴァイが其処に待っていた。
 3人とも陸士部隊の制服に身を包んでいる。

 「いらっしゃい、良彦君、ヴィータ」

 「はやて…どうしたんだ、珍しいな」

 「はやてっ、忙しいんじゃなかったのか?」

 「とりあえず、席にどうぞマスター、ヴィータ」

 「一寸聞きたい事があるんですよ、良彦さん、ヴィータちゃん」

 出迎えたはやてに驚く良彦とヴィータ、アインは席を勧め、ツヴァイははやての肩に座っている。
 二人が隣り合いに座り。

 「さて、先日の無人世界での戦闘の事、なんやけどな」

 はやてが切り出す

 「あの変な機械の事か?」

 「せや、あの機械がいま私がおってる事件に絡んでるんよ」

 「はやてが追ってる事件?」

 「まぁ、詳しくは今度話すわ、そんでやな、戦った感じどうやった?」

 質問に対し悩む良彦とヴィータ。

 「そうだな、ミッドの魔導師だと面倒なんじゃないか?」

 「AMFだっけ、あれがあると射砲撃メインじゃ、きついと思うぞ」

 「空は魔導師ランク平均が高いからいいけど、陸じゃもっとやばそうだな」

 「あたしもそれは思った、今回だって小隊長以外はあたしらだけしか落としてねーしな」

 それを聞きはやては…

 「そか、そうなると、やっぱり」

 「主…少しだけでも情報を開示しておいた方が良いのでは?」

 「良彦さんと、ヴィータちゃんなら、大丈夫だと思いますよ」

 「そやな、ええか二人とも…」

 そして教えられたのは、レリックと呼ばれるロストロギアの事件、それを目指し出てくることが多いのが先日の自動機械、通称ガジェットドローンと呼んでいる物。
 数度無人世界で今回のような実験設備などが発見されるも、全て廃棄されている事などだった。

 「今フェイトちゃんも捜査しとるんよ、そやからその内ちゃんとした形で協力してもらう事になると思う」

 そういうはやてに

 「りょうかい、そん時は思う存分力貸してやるよ」

 「当然だな、まかせろよはやて」

 良彦とヴィータが一瞬顔をあわせ、二人揃って答える。

 「ほな、次の調査があるんでこれで失礼するな、あ、そや」

 「ん、どうした?」

 「いやな、ヴィータ…今日皆かえってきーひんから、良彦君所で厄介なっといてな」

 「おう、わかったはやて」

 「そうなのか、んじゃアイスと飯の材料かってかねーとな、何が良い?」

 「そうだな…冷しゃぶとかいいんじゃねーか?」

 「んじゃ、肉と野菜か…おし、判った」

 そんな二人にニヤニヤしつつ、はやてが…

 「すっかり、なれたもんやな、あの二人」

 「流石に5年になりますから、マスターもなれるでしょう、以前より照れがなくなっています」

 「というか、ざふぃーr「いないんやよ、今日は誰も、なアイン?」ふぇ?」

 「はい、八神家は全員出かけています」

 と、ツヴァイが本当のことを言いそうになったのをとめていたりした。
 そのまま、はやてたちと別れ、ミッドの自宅…マンション…へと戻る、良彦とヴィータ、食後にアイスも食べて満足したらしい。
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対ガジェットドローン戦です、一応小隊長はAAランクの射撃型という設定です、ウィングガードとフルバックはAランク程度を想定。
3人とも生粋のミッド式なのでガジェット相手には苦戦します。

次はスバルかギンガ辺りと、出合う話とか入れてみようかなと思います、近代ミッド式、しかも格闘技者であるので、噂を聞いて、みたいに。
 
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