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迷子の果てに何を見る

作者:ユキアン
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第十一話

 
前書き
改めて人生を振り返ると女性を泣かせてばかりだな。
これ以上涙は見たくない。
だから、早く帰ろう。
byレイト 

 
第十一話 鏡の向こう側


side レイト

世界から弾き飛ばされたオレは真っ白な世界に居た。
ここにはすべてのものがある。
ここにはすべてのものがない。
そう理解する。

「これが『根源』か。確かにそうだと『理解』できてしまうな」

『理解』
それがオレだけの『根源』なのだろう。
オレは人間が理解できるはずの無い精霊のすべてを理解してしまった。
故に根源へと誘われてしまった。
ここに誰もいないのもここはオレだけの『根源』だからだろう。
不意に不純物を感じた。
オレはこの世界であり、世界はオレであるにも関わらず存在するもの。
それは鏡だった。
だがただの鏡ではないことを『理解』する。
それは誰かがオレを召還しようとしているのだと『理解』する。
オレはキティの元に必ず帰ると約束した。
しかしこの世界から抜け出す術をオレは持たないことを『理解』した。
そして、この鏡はこの世界から抜け出す術であることを『理解』した。
ならばどうするか?
答えは一つしか無い。
オレは鏡を通り抜けた。



side out







side ブリミル・ヴァルトリ

僕は今四人目の使い魔を召還している。
他の三人も頑張ってはくれているけど些か力が足りずに逃げるまでの時間稼ぎしか出来ない。
誰も言わないがこのままだと全滅するのは目に見えている。
だから僕は虚無に使う精神力も全て使い皆を救える様な存在の召還を試みている。
これに失敗すれば......
嫌な未来を想像してしまったがそれも仕方ない。
いつもの様に鏡は出るがなかなか出て来てくれないからだ。
そんな時怒声を浴びせられた。

「ヴァリヤーグの奴らがせめて来てるのに何をしている蛮人」

「ごめんサーシャ。でももうだめなんだ。三人が頑張ってくれているけど、一族のみんなは逃げることに疲れきってしまっている。だから僕の精神力全てを使ってこの状況をなんとかできる存在の召還を試みるしか無いんだ」

「まさか門の分まで使ったの」

「ああ、これでも足りないかも知れないけど」

『けっ、とうとう諦めちまったのかよ』

「諦めてなんかいないよデルフ。僕は信じてるよ、僕のすべてをかけたんだから」

「ならばその期待に応えてやろう」

いつの間にか鏡は消え、一人の男が立っていた。
そして僕は彼に希望と絶望をもたらされた。

side out





side レイト


鏡を通り抜ける間に頭の中に知識が叩き込まれ、胸にルーンが刻まれる。
そのルーンを理解して効果が胸くそ悪いのでレジストする。
おかげで常に魔力を2割持っていかれるが必要なら集めれば良いだけなので気にしないでおく。
刻まれたルーンは「リーヴスラシル」
さてこの先どうするかを考える。
とりあえずはこの召還魔法を使った人物にこの魔法を教えてもらう。
これを第一に考える。その後この魔法を改造、逆召還が出来る様にする。
それまでは、まあ召還主の望みを叶えてやるか。
うっすらとだが出口が見えて来て二つの人影と口論が聞こえてくる。

「ヴァリヤーグの奴らがせめて来てるのに何をしている蛮人」

「ごめんサーシャ。でももうだめなんだ。三人が頑張ってくれているけど、一族のみんなは逃げることに疲れきってしまっている。だから僕の精神力全てを使ってこの状況をなんとかできる存在の召還を試みるしか無いんだ」

「まさか門の分まで使ったの」

「ああ、これでも足りないかも知れないけど」

『けっ、とうとう諦めちまったのかよ』

「諦めてなんかいないよデルフ。僕は信じてるよ、僕のすべてをかけたんだから」

ほう、全てをかけてまで『根源』に至ったオレを召還するか

「ならばその期待に応えてやろう」

「「!?」」

言い争っていた二人がオレに気付いた。

『よう、兄ちゃん。召還されて災難だったな』

エルフの女性が持っていた剣がオレに話しかけて来た。

「なに、あそこから出してもらえたんなら御の字だ。それと君の名前は」

『おめぇ珍しいな。オレを見ても驚かねえなんて』

「内心では驚いてるよ。ああ、オレはリーヴスラシル」

『デルフリンガーだ。デルフでいいぜ』

「よろしくデルフ。それでオレを召還したのってどっち?」

「僕だ。すまないが力を貸して欲しい」

「敵をつぶせば良いんだろう」

「え?ああ、そうなんだが」

「他に戦っている味方が居るなら下がらせろ。一気に殲滅するから」

オレは罵声が聞こえる方に歩き出す。

「ちょっと待ちなさいよ、蛮人」

蛮人という言葉にオレは歩を止める。
そしてエルフの女性に振り返る。

「魔法も使えない蛮人が一人でどうにか出来るもんじゃないわよ」

オレはエルフの影を操り拘束し口を塞ぐ。

「「「!?」」」

「話は後だ。さて次はーーーーー、ごめんな」

精霊たちにこの場を荒らすことに許可を貰い瞬動で戦場に辿り着く。
竜に乗って戦っているのが一人、何やらマジックアイテムで戦っているのが一人見えるので両者を影のゲートで先程の男とエルフの所に送る。そして詠唱に入る。

「メル・ウォン・レイス・ラーメルス。四重詠唱、契約に従い我に従え氷の女王、来たれとこしえのやみ、えいえんのひょうが。全ての命ある者に等しき死を。其は安らぎ也”おわるせかい”」

目に入る一面全てが一瞬で凍り付き砕け散っていく。

「あっけないものだな」

オレはその場からゲートを使い先程の男の元に向かう。
さて、早くキティの元に帰りたいなぁ。



side out 
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