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パンデミック

作者:マチェテ
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第四十三話「過去編・ホワイトアウト事件の始まり」

ホワイトアウト事件。





4年前にグリーンゾーンで発生した、最初にして最悪のパンデミック。
発生場所は日本。現在は"エリア39"と呼ばれているが。

日本はコープスウイルスが確認された後、他国からの支援を受けてグリーンゾーンに登録された。
グリーンゾーン登録後、各地にエクスカリバー本部から職員が派遣され、徹底した安全管理に勤めた。
さらに、自衛隊員の中でも優れた人員をかき集め、「エクスカリバー日本支部」の職員として迎えた。

感染ゼロと安全管理には徹底していた。


徹底していたはずだった…………





















「4年前、私とブランクとフィリップ……その他精鋭部隊が日本に派遣された」


「その時の報告では……"日本の首都で突如パンデミックが発生"と聞かされたよ」


















ーーー4年前 2017年


ーーー【太平洋上空 爆撃機内】


爆撃機内で、兵士達は無言で武器の準備を整えていた。
コープスウイルスが発生してから既に5時間は経っている。

エクスカリバー日本支部が応戦しているものの、ウイルスが確認された場所が首都であったため
感染者の数は膨大なものになっている。
さらに、日本支部の兵士は、元自衛隊員が多い。つまり銃を持つ機会が多かったのだ。
銃が意味を持たない感染者相手では、元自衛隊員の兵士達は苦戦を強いられた。

そこで本部から、近接戦闘に長けた精鋭部隊が派遣された。

その精鋭部隊の中には、ヴェールマンやブランク。さらにフィリップも所属していた………




「いいか、私達の任務は"日本支部兵士の援護及び救援"と"首都封鎖の支援"だ。現在の状況は
あまり良くない。膨大な数に膨れ上がった感染者が日本支部に向かって移動しているらしい。
おそらく、生き残った"餌"を求めて移動しているんだろう。私達は出来る限り感染者を倒し、日本支部
の兵士を支援する。いいな?」


「「了解しました!!」」







ーーー【日本支部周辺】


日本支部の近くに爆撃機が着陸し、本部の精鋭部隊が行動を開始した。


「ハァ………この先に一体……どんな地獄が…………」

武器を持ったまま、日本支部へ向けて走るフィリップの心には、不安で溢れていた。

「心配することはない。何が来ようと俺が全部潰してやるさ」

落ち着いた様子で最後尾を走るブランクは、フィリップの不安を除くように話しかけた。

「俺にも…………」

「うん?」




「俺にも……お前のような力があればな………」





到着した日本支部の状況は、悪い方向へと転がっていた。
防衛ラインが崩され、装甲壁の周りを感染者が埋め尽くしている。

装甲壁の周りにいる感染者達は、装甲壁を破るために壁を叩き続けている。
壁を叩く音と、感染者の唸り声が非常に喧しい。


「壁に群がる感染者を誘き寄せろ!出来る限り日本支部から引き離すんだ!」


ヴェールマンの指示を合図に、兵士達は4人1組に別れて行動し始めた。

「オラァ!こっちに来いコラァ!」

「ほぉらエサの時間だノロマ共!」

「来いやブサイク共!かかって来い!」

「来いよクソッタレ!来ねぇとそのツラにナイフ刺してぶっ殺すぞ!」


兵士達が、それぞれ感染者達に罵声を浴びせ始めた。それも大声で。

感染者がいる中で大声を出すのは自殺行為だ。
しかし、大声を発した兵士達は、そう易々と殺されるような兵士ではない。
本部の精鋭部隊となれば尚更だ。

壁に群がっていた感染者達が、大声に気付いて一斉に兵士達目掛けて駆け出した。


「作戦開始!!一人も死ぬなよ!!」


「「了解!!」」


ヴェールマンの言葉とともに、兵士達がそれぞれ駆け出した。 
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