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鉄槌と清風

作者:deburu
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34部分:33:絶対安静(笑)


33:絶対安静(笑)

 良彦が目を覚まし、最初に見たのは、赤い髪の幼い少女の顔…ヴィータが心配そうにのぞき込んでいて。

 「起きたのか、大丈夫か?」

 と、心配する姿…あれ、知らない天井じゃない、とか一瞬思ったあと、思い出す。

 「俺より、なのははどうした?」

 「馬鹿、お前の方が重傷なんだぞ、自分の心配しろよ」

 心配と怒りがミックスされた顔で、こつんとヴィータに叩かれる。

 「あの未確認機体の刃、鎌みたいになってて、なのははその先の方が刺さった程度だ、それでも一寸内臓掠めてたらしいけど」

 「んじゃ、なのはは無事なんだな…んで、俺はどうなってるんだ、体動かないんだけど」

 「おめえは…かなり深く刺さって内臓も貫かれてた…いそいで治療したけど、血が多く出たから、起きなかればそのまま、とかいいやがったんだぞ、ヤブ医者が」

 「落ち着け、やばかったのは判った…で、なぜに、拘束衣なのか説明を」

 「少しでも動けるようになったら修行始めそうだから、あたしの提案で着せた」

 「…あのな、ヴィータ…一応俺も体が大事だから、この状況で修行とか考えないぞ?」

 「はっ、頭から血ながしながら、シグナムやシスターと模擬戦してた奴がいうか」

 「あの時は一寸興奮してたんだよ、今はさすがに重傷なの判ってるから、そんな事しねーって」

 「んじゃ、後で看護師に言っといてやるよ、さっきコールしたから医者と一緒にくんだろ」

 「そか…ヴィータ」

 「んだよ、良彦?」

 「心配してくれて、あんがとな」

 「ん…動けるようになったら、翠屋でシューアイスおごれよ」

 「あいあい、了解」

 等々話をしていると、ドアが開き、以前リンカーコアを蒐集されたときの先生と一緒に来た看護師さんが入ってくる。
 ヴィータと看護師さんは何か話して、看護師さんが頷く。
 先生は、バイタルを確認し、傷の状態の確認、消毒、などを手際よく済ませていく。

 「魔法による治療を並行して、全治2週間程度だよ、ただ腸の辺りを刺されているので、しばらくは点滴で栄養補給になるね」

 先生は、そういって外へでていく。

 「2週間か…そんなに体動かさないのは物心ついて初めてだ」

 「良彦は何歳位から修行とかしてんだ?」

 「確か、4歳だったかな、両親が死んで爺さんに引き取られてからだな」

 「八坂流合気術だっけか、どんなんだ?」

 「最初にあったときにやってた修行もその一個だったんだけどな…自分の間合いを認識し、そこを超えるモノを無意識レベルでそらす、それが合気術での『凪』だな」

 「ん…もしかして、魔法を抜いた良彦の技なんかが、そうなのか?」

 「そうだよ、基本はな、魔法が無いとできない技はリンカーコアのなかったリトの子供に覚えられなくて、純粋に武術として教えられたのが始まりらしい」

 「構えや、投げのときに相手の力利用するの、とかか」

 「だな、魔法ありでもなしでも、『弾き』で相手の攻撃の方向をずらしてそれを利用して投げたり、できる隙の間に『捌き』でよけたり、だな」

 「他に何かないのか、それだけじゃ、自分から攻撃しずらそうだぞ?」

 「あるんだけど、まだ使えないんだよ…ある程度力がないと威力がでないから、まぁもう一寸大きくなって体ができればできると思うけどな」

 「ふーん、良彦が大きく、ね…想像できねーな」

 「うっせ、一応父さんも爺さんも、165くらいはあったんだから、俺もそれくらいは」

 「…気のせいか十分ちっちゃいくねーか?」

 「そういう家系らしい、リトもそんくらいだったし」

 痛み止めが効いてるのか、若干ぼうっとした感じでしゃべる良彦、普段なら怒る所も今は反応が薄い。
 もぞもぞと、体を動かし…動かないことを思い出して。

 「なぁ、喉が渇いたんだけど?」

 「あぁ、スポーツドリンクでいいか?」

 「いいけど、外してくれねーと飲めないんだが」

 「そんくらい、飲ましてやるよ、ほら」

 ベッド事体をおこされ、ヴィータが持つコップが口の前に持ってこられる。

 「…まぁ、いいけど…ん、んく」

 それに口をつけ、顔をあげるとあわせて、コップも動かされる。

 「はぁ、あんがとな、ヴィータ」

 「このくれーなら、なんでもねーよ、もう一寸したらさっきの看護師さんが鍵もってくるからな」

 「そうか、はぁ…あ、そういえば」

 ふと何かに気づいたように顔を上げる良彦。

 「今度はなんだよ?」

 「いや、なのはだけど、士郎さんとか来たか?」

 「あぁ、そっちか、来たぞ…血相変えてな、んでなのはと色々話し合いしてたらしいぞ、あたしはこっちいたからわからねーけど」

 「そうか…これで、休みなしで仕事とかやめてくれると良いんだけどな」

 「そこは、他の皆も言ったし、家族にもきちんと言われたらしいぞ無理するなら、こっちも無理してなのはを止めるってな」

 「なら、平気か…はぁ」

 「あぁ、それと毎日士郎さんだっけ、なのはの父親…こっちにも顔出してたぞ?」

 「あぁ、そりゃ保護責任者だしな、来るだろ」

 方向違いの言葉にヴィータは

 「あのな、それ以前に娘の友人で、命の恩人だろうが、誰でもくるっての」

 「…そういや、そうだな、傷物にした責任とか言われたらどうするか?」

 「傷は残らねーよ、お前もだけど、そのレベルの医療技術はあるっつの」

 「む、そうなのか…ふむ」

 「ま、お前も少し搾られるんじゃねーか、お礼もあるとは思うけどな」

 「ま、あの人はそこらへんの区切りはしっかりしてるしな…うーん、そうか…今度頼んでみるか」

 「変なこと考えてんだろ、お前」

 「んなことねーよ、記憶にあって使えない技があるから、それを使えるように手伝ってもらおうかと」

 「考えてんじゃねーか!、今は修行の事考えるの中止、怪我を治す事に専念しろよ」

 「あいあい、了解…あぁ、そうだヴィータ、しばらく飯くえねーから、飴とガム買ってきてくれよ、今度…あと俺んちの冷蔵庫にある食材はやての方で使っちゃってくれ」

 「ん、そんぐれーいいぞ、んじゃ鍵借りてくぞ」

 「頼むな…少し眠くなってきたし、眠っとくわ」

 「あぁ、そうしろ」

 「ん、おやすみ、ヴィータ」

 そういって、ゆっくり目を閉じて静かな寝息を立て始める。

 「おやすみ良彦…ホント、無事でよかったな」

 寝息を立てる良彦の頭を優しくなでるヴィータだった。
 この後入ってきた看護師や士郎にその場面を目撃されるが、良彦は預り知らない所である。
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良彦側メインです、なのはは一週間程度で退院出来る予定ながら、自分の責任で良彦が大怪我したのもあり、本来より無理な任務は控えるようになる予定です、それでも必要ならとまらないでしょうが。
それと良彦パワーアップフラグもいれました。
一つお詫びを、リインフォースの名前がリィンフォースだった部分が多々あったので修正しました。

次回は、怪我が治った後で士郎との修行でしょうか。
 
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