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恋のGO GO DANCE!

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第四章


第四章

「おい、待てよ」
「どうしたの?」
「あんたまさか」
 暗がりの中で目を凝らして問う。
「いや、間違いない」
 直感がそう教えていた。
「あんた男だ」
「あら、今気付いたのかしら」
 しかし向こうはそう言われても楽しく笑うだけだった。
「そういう趣味だと思っていたのに」
「ば、馬鹿言え」
 おいらはノーマルだ。そんな趣味は全くない。むしろそういう趣味がある奴には寒気がする。鳥肌になっちまう位嫌いな話だ。
「そんな訳ねえだろうが」
「あら、だったら」
 それを言われても動じない。どうやら向こうは慣れてるみたいだ。
「今からわかればいいわ。ねえ」
「う、うわああああああーーーーーーーーーっ!!」
 向こうから唇を寄せてきたところで思わず飛び退いた。そうしてドアを開けて後は一目散だった。何処をどう駆け回ったかわからないが九時位になってやっと家の前に辿り着いた。気付いた時にはもう家の前にいてそこで犬の散歩から帰って来た親父とご対面だった。
「車は?」
「さあ」
 この後で親父にぶん殴られた。車をなくしたからだ。それで困っていると夕方にその車が自分からおいらの家の前に来た。そして運転席には。
「趣味じゃないのなら最初から言ってくれたらいいのに」
 あいつがいた。人懐っこく笑ってきた。
「それならそれで納得したのに」
「納得したってのかよ」
「そうよ。趣味の問題だからね」
 だからだって言う。
「それでね」
「そうかよ。それでな」
「何?」
「車届けてくれたのか」
 今度言うのはこのことだった。
「わざわざ」
「そうだけれど?」
「悪いな」
 このことには素直に礼を述べた。
「わざわざ持って来てくれてな」
「いいのよ、それはね」
「しかし何でおいらの家がわかったんだ?」
 今度尋ねたのはこのことだった。
「それはどうしてなんだ?」
「どうしてって。簡単じゃない」
 けれどこいつは笑って返してきてくれた。その笑顔も最初は奇麗に感じたが今では不気味なものにしか見えない。こいつが男だってわかったからだ。
「あんた財布忘れていったわよ」
「えっ、そうだったのかよ」
「そこに免許証あったからそれでここまで来られたのよ」
「そうだったのかよ」
「そうよ。ただお金とかそういうのには一切手はつけてないわよ」
 このことは断ってきたのだった。
「それは安心してね」
「ああ、わかった」
 何か思ったより悪い奴じゃないらしい。ただニューハーフってだけでだ。
 
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