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【ネタ】 戦記風伝説のプリンセスバトル (伝説のオウガバトル)

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13 黒騎士と伝説 その二

 神聖都市ラゾンと宗教都市ゲルゼに帝国軍が侵攻し、両都市を占拠。
 この二都市を拠点に、黒騎士ガレス率いる帝国軍主力が島の中心都市アムドに攻撃を開始。
 法王ノルンとデボネア将軍直轄のアヴァロン騎士団が交戦し、激しい激戦が展開されている。
 デスティン率いる王国軍主力は宗教都市トマヤングを拠点に帝国軍と交戦しており、今の所防衛戦は順調に進んでいる。

「来ました!
 帝国軍!
 その数1000!!」

 後から合流したアーチャーのヴェルディナが、その目で帝国軍を発見し、物見台から叫ぶ。
 帝国軍がおよそ10000の兵で侵攻したとしても、その全兵力を攻撃に使える訳ではない。
 黒騎士ガレスが不死で物とか食べないとしても他の兵士は食べ物と水と娯楽は必要なのだ。
 拠点となっている神聖都市ラゾンと宗教都市ゲルゼにそれぞれ1000程度は残しているだろうから残りは8000。
 城砦に囲まれている都市攻略は城攻めと同じだから攻者三倍の原則で7-8000は用意しないといけない。
 その背後をデスティンが突いている。
 しばらくは戦線は膠着するだろう。
 ならば、ガレスが取る次の手は何か?
 答えは、別働隊による背後のかく乱である。

「グリフォン数羽の存在を確認!」
「ドラゴン数体および、オクトパス数匹の存在数体確認しました!」
「敵の主力はレイブン・ゴースト・バーサーカーです!」

 次々と飛び込む報告に皆の視線が私に集まる。
 こういう時の大将というのはハッタリでもふんぞりかえらないといけない。
 こちらは500。
 防衛戦という事もあって普通に戦えば負けない。

「城門を閉じて!
 各隊は所定の位置について防衛戦を行うように!」

「はっ」
「了解」

 私の声に隣で控えていたスザンナとオデットが返事をする。
 彼女達の隊はショートボウを構えるアマゾネスを率いて、城壁から弓を射掛ける役目を負っているから責任重大である。
 で、我慢の顔をしているテンプルナイトが一人。
 お目付けのディエゴである。

「何が言いたいのか分かっているけど、それを言わないあたりこちらも助かります」
「私は貴方のやり方に賛同している訳ではありません。
 ですが、貴方のやり方を否定する代替案を提示できなかった。
 その事に対して腹を立てているのです」
「まぁ、いい気分はしないのは分かるけどね」

 彼の視線の先にありヴェルディナと共に後の便で合流したプリーストのエリナがいい顔しなかったもの。
 閉ざされた城壁の前でずらりとならぶスケルトン70体とゴースト30体の群れである。
 私が領有しているポグロムの森は25年前の虐殺と死霊魔術師カペラの跳梁によって、ゴーストやスケルトンがたむろするのろわれた地になっている。
 で、これを利用しない手は無い。
 私も代官みたいに動いていた財務大臣のトードもALIはまだ低い事もあって、討伐時に仲間になる連中が結構居たりするのだ。
 ここの義勇兵はクレリックやエンジェル、エクソシストという直接攻撃に弱い連中ばかりだが、神聖系に特化しておりゴーストやスケルトンの天敵である。
 志願兵達を訓練と称してポグロムの森に送って経験を詰ませる代わりに、ポグロムの森で浄化活動にて経験を積んだエリナのプリースト隊とこちらの勧誘にひっかかったスケルトンとゴーストを呼び寄せたのだ。
 ポグロムの森の浄化も進み、志願兵達も経験を詰んで兵士として役に立つという一石二鳥。
 そして、代わりにやってきたスケルトンとゴースト達への報酬は、大神官ノルン自らの手による浄化。
 その提案にノルンは抵抗したが、デボネア将軍が賛同し説得してくれたおかげで、彼らは今ここにいる。
 エリナは私の提案にいい顔はしなかったが、ポグロムの森の浄化活動という現実を知っているので反対もしなかった。
 このあたり、ディエゴとの対比で面白いなと思っていたり。

「敵レイブンおよそ100!
 射程に入りました!」
「アマゾネス・アーチャー隊!
 弓放て!!」

「敵バーサーカー数百出てきました!
 城壁外のスケルトン達が交戦を開始!」
「ウィッチ隊魔法詠唱開始。
 ゴーストはナイトメアで城壁に近づく敵を叩くように」

 見張りの報告にヴェルディナとオデットが命令を出して、敵陣に矢と魔法が降り注ぐ。
 ヴェルディナ率いる部隊はアマゾネス200にアーチャー50。
 スザンナのヴァルキリー隊とオデットのウィッチ隊とエリナのプリースト隊はそれぞれ50という女所帯でこの地に来ているが、全員補充はあるが多くはシャロームからの付き合いで私に忠誠を誓った連中である。
 合計で400。
 残り100はディエゴ率いるポグロムの森に送る必要がなかった義勇兵達だ。 
 私は、マジックリーフを噛み締めながら呪文の詠唱に入る。

「空を乱舞する烈風を飛弾に変えよ!
 打ち砕けッ!デッドショット!!」

 私の役目は大型用対空砲台で、魔法をぶっ放し続けてグリフォンを近づけさせないようにする。
 衝撃波が出るデッドショットは対空攻撃にもってこいなのだ。
 当たらなくても、衝撃波で乗っている人間が地面に叩き落される。
 ヴェルディナ指揮のアマゾネス・アーチャー隊と敵レイブンが激しい矢の応酬をしている中、大型魔獣のグリフォンは簡単には近づけない。
 矢の応酬も実はからくりがあった。
 上空を飛んでいる飛行ユニットに当てるのは難しいのだが、飛行しているゆえに弓は片手で撃てるボウガンを装備していたのがおよそ半分。
 残り半分はラウンドシールドとフランシスカで近接戦闘の装備をしていたのである。
 これに対して、防衛戦である事を良い事に、アマゾネス・アーチャー隊は全員グレートボウ装備でボウガンより圧倒的に次の矢が放てる。
 そこをワイアームのボイナに狙われる。

「ワイアームが突っ込んでくる!」
「味方のグリフォンは何をしてやがる!!」
「駄目だ!
 敵の弓が強くで援護できない!!」

 誰も乗せておらず自由に動けるワイアームに対して、敵兵を乗せているグリフォンでは勝てる訳がない。
 こうして、空中戦はこちらの有利に進むが、地上ではまた別の戦いが始まっていた。
 
「街中に敵ゴースト出現!」
「クレリック・エクソシストの義勇兵達よ。
 私に続け!!」
「私も行く。
 数人は残って姫様を守れ」

 ヴァルキリーと義勇兵は、スザンナとディエゴに率いられて街中に散ってゴースト退治。
 こちらのゴーストを消さないように最初からゴーストを城外に配置していたのはこの為である。
 爆発音と城壁全体に振動が走ったのはこの瞬間だった。

「きゃっ!」
「何事!?」
「敵ドラゴンのファイアーブレスです!」

 さらに大岩が近くの城壁にぶつかり私がよろける。
 岩を投げてきたのはオクトパスか。
 ここまでは何とかなったが、外から攻撃する敵Lユニット対策がまだなんだよなぁ。
 このままでは攻城兵器と化したLユニットに城壁を攻略されて詰む。
 だから、相手を誘導させる。

「城門を開いて!」
「しかし……」
「いいから!
 責任は私が取るわ!!」

 ゆっくりと敵に向けて城門が開かれる。
 それを見たバーサーカー達が歓声と共に突撃してくる。
 数は向こうの方が多いのだ。
 中に入ってしまえばもうこっちのものだと。
 その先陣が城門の所で消し炭になるまで、彼らは勝利を確信していただろう。

「敵ドラゴンが潜んで!!!」

 敵兵の叫びは最後まで聞こえなかった。
 ぽちが吼える。
 そのファイヤーブレスが城門に殺到していたバーサーカー達を吹き飛ばした事で、敵の士気が折れた。
 そこを見逃す私ではない。

「大いなるゾショネルの加護により、炎の精霊に命ず!
 ファイアストーム!!!」

 何のために城門前にゴーストとスケルトンを配置したと思っている。
 巻き込み上等で敵相手に広範囲魔法をぶっ放せるからだよ。
 そして、敵は退却に移る。

「逃げるな!」
「駄目だ!
 殺されるぞ!!」
「こんな戦いに命なんてかけられるか!!!」

 敵の悲鳴に対して味方から歓声があがる。
 私はそれに酔う事なく、護衛のヴァルキリーに伝令を頼んだ。

「追撃はなし。
 今の内に負傷者への回復をお願い。
 死者については私が生き返らせるから一箇所に集めておいて」

 マジックリーフの味に完全に慣れた今日この頃。
 プリンセス特権で大神官ノルンにリザレクションを教えてもらっていたからできる荒業である。
 私は夜までマジックリーフ中毒になりながら死者全員の蘇生をする羽目になったが、損害0にできるならば大勝利だ。 
 報告では、帝国軍の損害は300を越えたらしいので、別働隊による後方かく乱は頓挫したと判断するべきだろう。
 だからこそ、主戦線に私が出張れるチャンスが生まれる。



 中心都市アムド攻防戦。
 アムドに攻め込みたい黒騎士ガレスは背後で蠢動している王国軍を先に叩き潰す決意をしてアムドを囲む部隊を残して宗教都市トマヤングとその近くにあったロシュフォル教会に押し寄せる。
 背後の警戒の為に1000ほど兵を供出し1500の兵で背後をかく乱していた王国軍で、消耗したとはいえ5000を越える帝国軍相手に決戦を挑むほど馬鹿ではない。
 拠点の一つであるロシュフォル教会からは兵を引いて、トマヤングに篭って帝国軍を待ち受ける。
 帝国軍はブラックドラゴンのアシッドブレスとガレスの全体暗黒魔法イービルデッドから始まった。

「わたしは大神官フォーリスの娘アイーシャ。
 大陸の平和を乱すばかりでなく、愛しい母の命を奪うとは……母のカタキをとらせてもらうッ!」

 城壁の上からヒーリングプラスをかけながらアイーシャがガレスを罵倒するが、その黒ずくめの鎧から表情を伺う事はできない。
 それが神官とはいえ若いアイーシャを激昂させ、持つバルダーメイスを叩きつける。
 プリーストとなった身の上で殺生についての制約は知っているのに、それを抑えきれない自分に怒りを感じたとは後で聞いた話。

「クク。
 おまえのような小娘がオレを倒そうというのか。
 よかろう。相手をしてやるッ。
 神がどんなに非力なものなのか、その身体で思い知るがイイッ!」

 黒騎士ガレスの挑発に城壁から飛び降りたデスティンがルーンアックスを向け、黒騎士ガレスがイービルアックスにてそれを受け止める。

「貴様らがデボネアとノルンを篭絡した反乱軍のリーダーか。
 ここで貴様を倒さなければ後々、やっかいなことになりそうだ。
 もっとも、貴様にこのオレを倒すことはできんよ。
 不死身の身体を持つ黒騎士ガレスをな!」

「あら?
 それはどうかしら?
 天駆ける星々の輝きよ、我が下に集いて汚れし大地を浄化せん!
 スターティアラ!!!」

 デスティンとガレスの周囲に聖なる星が舞う。
 まぁ、私が飛ばしたのだが。
 テレポートは便利なのはいいのだが、おかげでマジックエキス一気飲みでちょっときつい。
 だが、この奇襲は帝国軍の度肝を抜いた。
 ガレスの周囲は彼自身を含めて魔属性の強い連中で固められているからだ。
 それを見逃すデスティンではない。
 
「おおっ、このオレが負けるというのか……。
 このオレが負ける……そんなバカなことがあってたまるか。むう……。
 …らず、…必ず、オレは……貴様らを……地獄……へ…送って…や…る……」

 ルーンアックスの一閃にてガレスが跡形もなく光にかえってゆく。
 そのそれを見た帝国軍が動揺したのは言うまでも無い。

「黒騎士ガレスは新生ゼノビア王国大将軍、デスティン・ファローダが討ち取った!!
 この戦、我らの勝利ぞ!!!」

 そして、我々以上の戦場経験を持つデボネア将軍が見逃すはすがなかった。
 崩れた帝国軍はアムドを囲む部隊を蹴散らして背後から襲ったアヴァロン騎士団と王国軍に寡兵ながらも包囲されてしまう。
 その寡兵を私のスターティアラとノルン大神官のジハドの広域殲滅魔法が押さえ込む。
 結果、帝国軍は降伏を含めて5000近い損害という大打撃を受けながら神聖都市ラゾンに撤退していったのである。


 その後、神聖都市ラゾンと宗教都市ゲルゼにて篭っていた帝国軍だが、三日後には撤退の準備に入り、五日目には街に火を放って撤退していったのである。

「どういう事ですか?」

 中心都市アムドの大神殿の会議室にて、帝国軍の撤退を確認した大神官ノルンの質問に私は無愛想な顔で答える。
 その意味をいやというほど知っているからだ。

「兵を引いた理由なんて決まっているでしょ。
 彼らはその力に驕って、やっちゃいけない最悪の選択を選らんじゃったのよ。
 聖地アヴァロンの武力侵攻って大失態を」

 前回の侵攻ですら、大神官フォーリス処刑という大失態をやらかして、帝国軍クレリック・プリースト層に動揺を走らせたのだ。
 それをなんとか回復までもっていったのが、法王ノルンの大神官即位。
 強弁に近いがこれによって薄皮一枚の正当性を確保していたのだ。
 だが、今回のアヴァロン島侵攻でそのすら失った帝国に対して、聖地奪回運動なんてものまでやっているローディス教国が黙ってみている訳が無い。
 大神官ノルンの顔も青ざめている。
 私以上に、何が起こっているか感づいているのだろう。
 気づいているのは私とノルン二人ぐらいなので、私はため息をついて帝国の中で何か起こっているか口に出す事にした。

「ローディス教国が動き出したのよ。
 おそらく、第四次光焔十字軍が発動されるわ」 
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