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『八神はやて』は舞い降りた

作者:羽田京
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序章 手を取り合って
  第1話 だめっこどうぶつ

 
前書き
この作品は、ハーメルンで連載、完結した「ハイスクールD×D+夜天の書(TS転生オリ主最強、アンチもあるよ)」のリメイクになります。
前作を読まなくても、読まれても大丈夫なようにしたいと思います。
タグに偽りあり。話が進むと、タグとかい離する場合もあるので、ご注意ください。

拙い作品ですが、最後までお付き合いいただければ、幸いです。 

 
第1話 だめっこどうぶつ

「紫電一閃ッ!」

「ッ!?シールド展開!」
『Panzerschild』 


 見渡す限りの砂漠の中で、2人の女性が戦っていた。
 剣をもった女性が、技名を叫ぶと同時に一閃する。
 炎を纏った一撃が相手――槍を持った少女に迫る。
 少女は、魔法陣を展開し、斬撃を受け止めた。
 しかし――


「甘い!」


 剣士が叫ぶ。
 拮抗したのはほんの数秒ほど。
 シールドを突破した剣が振り下ろされるが、槍でもって受け止める。 
 そのまま、鍔迫り合いへ移行。
 槍の少女は、まだ10歳にも満たないほど幼い外見をしていた。 
 短槍といっていい短めの槍は、穂先が十字になっている。
 2人は力比べを行い、ギシギシと音が鳴る。
 その均衡を破ったのは、意外にも槍の少女だった。


「はあッ!」


 槍を力強く振るい、剣を跳ね上げる。
 明らかに小柄な少女が力比べで勝ったのだ。
 剣の女性は、後ろへと距離をとることで崩された体勢を立て直そうとする。
 そのわずかな合間を縫い、少女は槍の穂先を向けて叫ぶ。


「クラウ・ソラス!」
『Claiomh Solais』


 ノーチャージで直射型砲撃魔法が剣の女性を射抜く。
 咄嗟の防御でダメージはほとんどないが、衝撃までは殺せない。
 身体が硬直している間に、槍の少女が前に飛び出し――


「そこまで!勝者、八神はやて」


 剣の女性の首元に十字槍を突きつけたところで、制止がかかった。  


「かった…勝った、シグナムに勝ったんだ!!やったあ!」


 勝った勝ったとはしゃぐ少女――八神はやては、ドヤ顔で喜ぶ。
 彼女は槍のようなデバイス、騎士杖シュベルトクロイツを嬉しそうにぶんぶんと回している。


「お見事です、主はやて。まさか一対一で敗れる日がくるとは思いませんでした」


 はやての方を見やりながら、剣の女性――シグナムは、嬉しさと口惜しさがない交ぜになった感情を吐露する。


「ま、あんだけ身体強化してればな。技量はまだまだなんだ、うぬぼれるなよ、はやて」

「うん、わかっているよ、ヴィータ姉。でもでも、初勝利なんだよ!」


 試合を制止したジャッジ役のハンマーを持った少女が釘をさす。
 にへらっ、と喜びを隠さずに、八神はやては、ハンマー少女に駆け寄る。
 詰め寄られたハンマー少女――ヴィータは、苦笑しつつも頭をなでてやる。
 ほめてほめて、と顔に書かれているはやてをみやり、これじゃ犬みたいだな、と内心つぶやく。
 身長がほぼ同じくらいのはやてをなでるヴィータの姿は、大変微笑ましいものだった。
 実のところ、八神はやては見た目よりも大分年をとっているが、この場で問題にするものはいなかった。





「おめでとうございます、主はやて」


 帰宅したはやて、シグナム、ヴィータの三人を、青い大型犬――にみえる狼が出迎えた。
 シグナム戦の初勝利を宣言するはやてに、ねぎらいの言葉をかけたのだ。


「ありがとう、ザフィーラ」


 照れくさそうに、喋る狼――ザフィーラに言葉を返すはやて。 
 そのやりとりをザフィーラの後ろで、微笑ましそうに見つめていた女性が次いで口を開く。


「おめでとう、はやてちゃん」

「シャマルも、ありがと」


 おっとりしたお姉さん――シャマルにも照れながら返事をする。


「でね。そんなはやてちゃんのために、今日は私がとびっきりのごちそうを用意したの!」


 瞬間、空気が死んだ。





 はあ、と内心ため息をつく。
 後ろでは、よよよと泣き崩れるシャマルがいる。
 あの衝撃の発言のあとで自作の料理を食べさせた結果があれである。
 本人は自信作だと言っているが……。
 家族全員からダメ出しされ、落ち込んでいるようだ。
 まあ、いつものことだけれど。
 シャマルさんのポイズンクッキング、マジしゃれにならねえな、と独り言ちる。


(というかごく普通の食材で毒物を作るとかビックリだよ)


 なんというだめっこどうぶつ。残念なお姉さんである。
 今は、改めてボクが作り直した夕食をみんなで食べ終わった後だ。
 ちなみに、シャマルは罰として自作の毒物――本人曰く創作料理―――を食べさせた。
 でも、本人にとってはおいしいらしく、あまり罰になっていない。
 ザフィーラは、シャマルを止められず面目ないと謝ってきた。
 どうして惨劇を止められなかったのか聞いてみたところ、日向ぼっこが気持ちよくて眠っていたからだそうだ。
 それでいいのか盾の守護獣。


「はやてー、アイス食おうぜ」


 夕食後のひとときをまったりと過ごしていると、ヴィータがボクを呼ぶ声が聞こえた。


「はいはい、デザートでさっき食べたでしょ。だからダメ」


 ばっさりと切り捨てる。
 ぶーたれるヴィータがかわいらしいが、ダメなものはダメだ。
 アイスの食べ過ぎは体に悪いからね。
 だって、昔アイスの食べ過ぎで何度もお腹を壊したから――ヴィータが。
 自業自得である。


「今日の模擬戦、ヴィータ姉の目からみてどうだった?」

「うん?シグナムに初勝利したやつか」

「そうそう」
 

 ソファにごろんとしながら、ヴィータに問いかける。
 今日のシグナムとの模擬戦。
 初めてボクはシグナムに勝利した。  
 稽古をつけてもらってから、何百何千と模擬戦をした中で初である。
 内心によによとしながら、ゆるむ頬をとどめる。


「シグナムの剣にシールドの展開が間に合ったからの勝利だろうな」

「うん、紫電一閃にはいっつもやられていたからね。強度を犠牲にしてシールドの展開速度を速めたんだ」
 

 言葉にするのは簡単だが、これがなかなか大変だった。
 紫電一閃の速さに間に合い、そのうえある程度持ちこたえる強度が必要だった。
 速さを重視すれば強度がおろそかになり、その逆もまた同じ。
 まさに血と汗と涙の結晶なのである。
 ボクがドヤ顔してもしかたがないだろう?よね?
 とはいえ、全力で戦うと一番強いのはボクだったりする。
 技術を磨くために、普段はリミッターをかけているのだ。


「発想はいい。ただ、次はシグナムも対応してくる。二度目はないぜ」

「はーい。わかっていますよ、ヴィータ姉」


 褒めてあげつつ、しっかりと釘を刺すことを忘れない。
 ヴィータのこんなところがお姉ちゃんっぽい。
 伊達にヴィータ姉と呼んでいない。
 普段のお姉ちゃんぶる姿には微笑ましさを感じるが、やっぱり頼りになる姉のような存在――それがヴィータ姉である。


「ところで、シグナムはどこにいったの?」

「外で鍛錬しにいった。負けたのがやっぱり悔しんだろうな」

「げえ、いまよりもっと強くなったらまた勝てなくなるよ……」

「あたしたちが負けたら、はやてを守れない。だから、たとえ相手がはやてだろうと負けるわけにはいかないんだよ」

「ふふ、嬉しいけど、ボクは守られてばかりの主じゃないよ」


 ヴィータに強気の視線を送ると鼻で笑われた。
 明日の模擬戦は本気のヴィータが相手らしい。
 藪蛇だったか……。
 いろいろあるけど、ボクたち八神一家は元気に暮らしています。





 さて、ボクこと『八神はやて』には秘密がある。
 それは――前世の記憶。


 その記憶によれば、『八神はやて』はとあるアニメの登場人物だった。
 アニメの名は「魔法少女リリカルなのは」。
 無印、A's、Strikersの三部作になっており、そのうち無印以外に出演している。
 なんと、三人いる主人公ズの一人らしい。
 まあ、人気はほかの2人……確か『白い魔王』とか『フェイトそん』だっけ?には及ばないそうだが。
 ボクは、アニメの登場人物になってしまったようである。


 前世の記憶ときくと、とても便利なように思える。
 が、実際は虫食いだらけで、自分が何者だったのかはほとんどわからない。
 この「見知らぬ記憶」が、おそらく前世の記憶だろう、と見当がついたのも成長してからである。  
 ボクは、二次創作にありがちな、転生、あるいは憑依?したのだろうと考えている。
 ただ、その割には神に会った記憶はないのだが。
 チートな能力を持っているのは、きっと転生特典?というやつだろう。
 本来なら、『八神はやて』として、ジュエルシード事件や闇の書事件といった原作イベントに参加していくのだろう。
 そう本来なら。


(でも、原作介入は無理なんだよね。だって――)


 ――だって、ここは『駒王町』なんだから。
 
 

 
後書き
駒王町(くおうちょう)は、ハイスクールD×D世界の舞台です。
なるべく原作を知らなくても楽しめるようにしたいと思います。
というか、原作は二次創作でしか知らないので、おかしなところがあれば、随時指摘していただけれると助かります。

主人公は、幼女モードと高校生モードがあります。
理由についてはまた後で。 
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