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鉄槌と清風

作者:deburu
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31部分:30:本局航空隊1321部隊


30:本局航空隊1321部隊

 聖王教会訪問から暫く、良彦自身は月に1,2度のペースで教会に出向き、後は教会の方から、というかカリムからの指示で本局航空武装隊に出向させられていた。
 なのはとフェイトが武装隊の訓練校に入学するのにあわせ、良彦もそうしようと思っていた所…騎士団の方でどうやら横槍を入れたらしく、結果いきなりの実戦投入である。
 新人研修とか、簡単に座学や、配属された部隊で受けさせられたが…配属先の隊員は微妙な顔をしていた、面と向かって言ってくる人は居なかった物の、模擬戦などは恐らく予定より多かったと思われる。

 それでも、模擬戦である程度の能力を示した事や、古代ベルカ語の知識、航空魔導師としての高い適性を何とか認められたらしく、段々と部隊に馴染んできていた。
 まぁ、数多く交わされたヴィータとの口論という名のじゃれあいもその一因かもしれないが…そう、良彦が出向させられたのは本局航空隊第1321部隊。
 ヴィータが闇の書事件の奉仕活動先に指定された部隊である。

 そして、今も…

 「んだよ、ヴィータ…なんか文句でもあんのか?」

 「あぁ、大有りだよ良彦…てめぇ」

 お互いににらみ合い…手に持つのは、大きめのトレー、上には昼食なのだろう、パンとシチュー、サラダ…そして。

 「てめぇのアイスのほうがでけーじゃねーか、それはあたしが狙ってたんだぞ!」

 「はっ、取ったもん勝だろ、此処の形式じゃよっ!」

 昼食はバイキング形式で自分で取りに行くのだ、アイスはガラスケースに皿に盛って入れられている。

 「…寄越せ」

 「…断る」

 正に一触即発…と、思っているのはお互いだけで、隊員たちはまたか、と微笑ましく見守っている。

 「てめぇ、この後顔貸せよ、ぼこぼこにしてやんよ」

 「は、できるのか、ちびっ子?」

 「てめぇも十分ちびだろ…なのは達よりちっちぇーじゃねーか」

 「いっちゃ、いけねぇ事をいったな、ヴィータ」

 「真実だろ良彦、後なあたしは成長しねぇだけで、大人だッつの」

 「大人なら、せこくアイスくれーで口出すなよ」

 「それとこれとは…話が別だ、此処じゃアイスがデザートなんぞ中々ないんだぞ」

 「なら、なおの事ゆずれっ」

 言い合いをしていると、厨房の主であるおばちゃんに叩かれる。

 「あんたらね、アイスが楽しみなのはいいけど、列とまってるし、溶けるよ…後男なら女に譲ってやるくらいの度量みせなっ」

 そういって、周りをみさせ、現状を認識させる、たしかに一寸邪魔になりそうな位置だし、アイスも溶けそうだ。

 「いっつぅー、わかったよおばちゃん…ほれ、ヴィータ」

 「お。おう、さんきゅな、おばちゃん、良彦」

 結局アイスを交換し近くの開いてる席へ移動して二人。
 1321部隊の名物と化して来ていた。



 食事が終わり、書類の纏め方等を他の隊員やヴィータに教わりながら、時間をすごしていると、隊舎内にアラートが鳴り響く。
 近くの管理世界で指名手配中だったテロリストの一団を発見、相手のアジトや行動などを捜査していた現地部隊がきづかれ、現在交戦中。
 テロリストには空戦魔導師もいるため、応援を、との要請だった。

 これを受け1321部隊長は、相手の規模と人数から2小隊10人を選出、出動させる。
 片方の小隊には良彦とヴィータの姿もあり、転送ポートから急いで転送、現場近くまでポートで乗り継いで其処からは飛行許可を貰い飛行。
 要請から比較的短い時間で到着した、現場では魔法戦が行われているらしく、色とりどりの魔力弾が行きかっている。

 小隊長の支持により、二人のいる小隊は上空警戒に当たる事になる、今の所上空に魔導師の姿はないが、現地戦力には航空魔導師がいないため、急ぎ航空征圧を命じられたのだ。

 「んじゃ、いくかね」

 「そうだな、へますんなよ?」

 「まぁ、他の人達もいるし、俺は出来る事だけするよ」

 「ま、遠距離でもあたしなら対応できるから、直ぐ声かけろよな」

 「おう、其処は頼りにするぜ、近接なら俺も仕事あるんだけどなぁ、ドックファイトするレベルの魔導師とか中々居ないし」

 言い合っている二人に

 「さて、私語はそこまでだ、上がるぞ」

 と小隊長から一言。

 「「了解」」

 と、5人の魔導師が空へ上がる、小隊長がセンターガード、フルバック1にウィングガード1、フロントアタッカー2の構成。
 とうぜん、小隊の中で一番小さい…身長的に…ふたりがフロントアタッカーだ。

 「今の所、まだ相手航空魔導師は上がってきていないが、下からの攻撃にも注意、なっ」

 小隊長が指示を飛ばしている最中どこからか、緑色の魔力弾が放たれ、それを小隊長がシールドで弾く。

 「襲撃、だがどこから…各自索敵及び防御を開始、気をつけろ」

 すぐさま指示が飛び、各自が動き出す。

 「ちっきしょ、隠密系の魔法もつかえるのか、相手は」

 何発か、魔力弾…先ほどの緑だけではなく、茶色や黄色のものも飛んできている…を防御しつつ、辺りを見渡すヴィータ。

 「しかも、撃った後直ぐ移動してるなこれ、反撃の魔法が全部外れてる」

 「見えねー相手じゃ誘導しきれーからな」

 良彦も気配を探るなか、シールドで弾き、何発かは『流し』ている。

 「ヴィータ少し防御任せて良いか?」

 「なんか手があんのか?」

 「一応あるけど、その間防御できねーんだ」

 「なら、早くやれよ、その間あたしが防御しとくから」

 「あぁ、サンキュ…ゼピュロス、『凪』を広域索敵型に術式変更」

 『了解…魔力域及び風域拡散、動体反応集積』

 2発カートリッジがロードされ、テロリストのアジトやその付近空域に、ふぅっと風が優しく吹く。
 その真ん中で、目を瞑り…何かに集中する良彦、放たれる魔力弾は約束どおりヴィータが叩き落してくれる。

 「(小隊全員に通達、敵航空魔導師は4、動いていない魔導師が一人、恐らくこれが隠密魔法の使い手です、座標XX、YY…お願いします)」

 良彦のその念話に答えるように…

 「アイゼンっ…シュワルベフリーゲン!」

 『了解』

 指の間に現れた四つの鉄球をアイゼンで撃ちつけ、それが指定座標に着弾、ぎりぎりでかわしたのか一人の魔導師が着弾後の煙から飛び出す。
 それと共に、空に現れるのは今飛び出した魔導師を入れて4人の魔導師。

 「敵隠密魔法解除、一人ずつ抑える、支援を頼む」

 フルバック以外の四人が、相手魔導師に一気に近づく…良彦の前には隠密魔法を張っていた魔導師。

 「ち、こんなガキが相手かよ、さっさと応援いかねーと後で文句いわれんな」

 良彦をみて、そんな言葉を吐くテロリスト…良彦はそれを気にした様子も無く。

 「此方は管理局だ、抵抗しなければ弁護の機会も与えられる、大人しく投降しなさい」

 冷静に相手の権利を延べ投降を促す…

 「ふざけんな、ガキが、ぶっ殺してやる!」

 と、逆に激怒する魔導師。

 「そうか…なら、無理矢理引きずっていこう」

 いつもの用に、左手を前、右手を腰に構える良彦。

 「はっ、ベルカ式なんざ、距離取っちまえばこっちのもんじゃねーか」

 いって、距離をとり魔力弾を放つ、色は灰色…数は10個ほどか。

 「…アホかお前…ベルカの騎士にはな、1対1で…負けはねーんだよ!」

 飛来する魔力弾が良彦の間合いに入ると同時、スピードが落ちる…手の届く範囲のものは『弾き』で消して、届かないものは魔力を集め打ち消していく。

 「な、に…何したんだガキ!」

 更に逆上してただただ魔力弾を連射する魔導師…何回か、撃ち消していると、相手に一瞬の隙…。

 「『貫き』」

 その隙を逃す事なく、高速移動魔法を発動、数初ほど残っている魔力弾は、風の結界を強め弾く…そのためにカートリッジを1発ロード。
 逆上している魔導師の目の前に移動し、驚いた顔をした相手に…青の魔力光と風を纏った右掌底を振りぬく…ぎりぎりで張られたシールドを青い魔力光が打ち砕き、掌底に纏わり付いていた風が掌の中に圧縮される。

 「風拳・圧!」

 シールドを砕いて叩きつけられた掌底、風の固まりが腹に撃ちつけられ、魔導師の体をくの字に曲げさせ…崩れた相手の腕を掴み、体を相手の懐に潜り込ませて…背負い投げ。
 空の上での投げは…打ち付ける場所が無い為、魔導師からすれば悪手にしか写らなかっただろう、が。

 「ゼピュロス!」

 『盾』

 ぐるんと回転する魔導師の背中普通なら地面のある場所に青いシールドが展開…其処へ思い切り叩きつけられる、油断していただけに衝撃が体を駆け抜け、動きが止まる。
 その一瞬で魔導師の持っていた杖を蹴り、弾き飛ばす…シールドの上に乗っかった格好の魔導師へ。

 「風鎖」

 『了解』

 青の魔力鎖と風により縛りつけ、鎮圧…周りもこの頃には征圧され空戦魔導師は全て捕まったようだ。
 地上ももう一個の小隊が現地部隊と連携し、鎮圧は完了した様子…このテロリスト達のアジトは壊滅し、テロリストも全員捕らえられた。
 現地部隊、1321部隊とも軽症者が数人程度で済んだそうだ。



 隊舎にもどり、出動隊員は報告書が終わり次第上がっていいという事になり、出向いた皆が協力し比較的早く書類は仕上げられた。
 書類をおわらせ、ぐぅーっと伸びをしている良彦に…

 「おっし、良彦、早く終わったって連絡したらはやてが飯食いに来いってよ、くるよな?」

 「おう、ありがたくお邪魔するぜ」

 「なら、急げよ、転送ポートの利用届けはだしといたかんな」

 「あんがとな、騎士カリムに連絡して直ぐいくわ」

 ぽんぽんとヴィータの頭を叩く。

 「へっ、はやてが誘えって言うから、仕方なくだよ」

 ふいっと横を向くヴィータ、少し頬が赤い。

 「あいあい、一回家よって、翠屋よるか、シュークリーム食うだろ?」

 「あったりめーだ、あたしも一緒にいってやるよ」

 「はいはい、翠屋から走るけど、平気だろうな?」

 「誰に言ってんだ、あたりめーだろ」

 パンッと手を打ち合わせ、転送ポートに歩いていく二人…隊員たちからは相変わらず微笑ましい表情で見送られていた。
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1321部隊での作戦の一幕…このまま、なのは堕ちるまでは一緒だとおもいます。
なのはもすこし、救済を考えております、今回のは祖の為の仕込みもあったりします。

次回は、はやてが聖王教会に行く話しでしょうか、リィンⅡも登場させられれば、と思います。
 
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