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lineage もうひとつの物語

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オーレン戦役
  アイスクイーン

 
前書き
今まで以上に独自設定が入ります。
ご容赦ください。 

 
オーレン地方
この地はエルモア王国との国境であり村の東側と国境である山脈に戦争の傷跡が多く残る地である。
今現在も朽ち果てた砦やエルモア兵の亡骸や使っていたと思われる武器が残されている状態だ。
灼熱の火山地帯と隣り合っているのにもかかわらず一年中雪で覆われており火山地帯から来た旅人はその光景に驚くだろう。
その一年中降り続く雪はこの地に住まうアイスクイーンによってもたらされているのだ。
彼女は古き時代からこの地に住まい火山からの熱を嫌い降雪地帯へと変えている。
象牙の搭の魔法学問は彼女がもたらしたものであり本来の名前ではなく人々は敬愛を込めてアイスクイーンと呼ぶなど両者の関係は良好だといえるだろう。

そして今、象牙の搭にて豊かに髭を蓄え穏和な雰囲気をもつ学長であるタラスとアイスクイーンが向き合っていた。

「今の封印では限界があるのではないか?力が弱まっているのが外からでもわかったが」

アイスクイーンはタラスにそう問い

「たしかにその通りです。あれから封印術が日増に弱まっています。ウィザード達の負担も大きくこのままでは遅かれ早かれ破られるのは間違いありません」

深刻な面持ちで答えるタラス。

「4階から8階までという広範囲だからだろうね。ただでさえ空間封印術は魔力を消耗するんだ。1フロアだけならそこまでの負担はないだろうに。」

「デーモン出現と同時に4階から上が汚染されましてやむを得ずといったところなのです。」

「しかたないな」アイスクイーンはそう呟き思考する。

「やはり下層から制圧し封印するフロアを減らしていくしか方法はないだろうね」

「やはりそうですか」とタラスは残念そうに告げる。


「私では封印術の手伝いができないし、デーモンとやり合うのはかまわないがオーレン地方が荒野と化してしまうだろう。」

封印術は人間以外の者を封じ込めるものであるためアイスクイーンが侵入することはできない。
かといって封印術の手伝いを直接実施すればデーモンの封印を弱めることになる可能性がある。アイスクイーンの魔力はどちらかといえばデーモン寄りの性質をもつため迂闊に手を出せない。
もし封印が切れれば直接対決をするつもりではあるが最悪の事態は避けたい。
今アイスクイーンにできることといえばウィザード達に魔力を提供し回復を早めるくらいだ。
実際魔力提供の打診をするためタラスを訪問している。

「とりあえず私が術式に携わる者たちへ魔力を提供しよう。それでも彼らの負担は変わらないが」

「感謝します。早速ですがお願いできますか」

アイスクイーンは頷きタラスと共に部屋を後にした。



その後魔力の受け渡しが終わったアイスクイーンとタラスはフロア制圧のための作戦を練った。
アイスクイーンの魔力提供により無限とはいかないが期限に余裕があるため焦ってはいないものの早目に制圧部隊へ打診をするためおおまかに方針を打ち出しす。


そしてその打診を受けた一人はナイル。

「ナタリシア様、象牙の搭より救援要請がきております。詳しい事情を聞くため少し離れてもよろしいでしょうか」

ここはギラン支部から提供を受けた建物で現在ナターシャ達のアジトとなっている場所。
アレンのアジトは北地区にあるがナターシャのアジトは東地区に位置している。

「フィオナさんと二人ですぐに向かってください。詳しいことがわかり次第便箋で知らせてくださいね」

ナターシャは快く承諾しナイルへ白紙の便箋を手渡した。
それを受け取ったナイルはすぐさまフィオナを連れ象牙の搭へテレポートしていった。

「例のデーモンのことでしょうか」

ハスランは一人呟く。

「すぐにわかるでしょう。私達は連絡を待ちながら鍛練に勤しみましょう」

ナターシャ達は現在ギランを拠点としギランケイブで鍛練をしている。
ドラゴンバレーのほうが近いのだがナターシャとフィオナをメインにするため目立たないケイブを選んだ。
ケイブを探索しつつモンスターを相手にし全員かなりのレベルアップを果たしている。
これより場所を変えようと話していた矢先のことだった。
回復の要であるウィザードがいないため場所を変えることなくギランケイブへ向かう三人だった。



象牙の搭へテレポートした二人は真っ直ぐタラスの元へ向かった。
その部屋には30人ほどのウィザードが押し寄せタラスの説明を待っていた。
その中にアーニャの姿があるがナイルには知る由もない。
タラスの横にはアイスクイーンが同席しており余程のことなのだと察する。

「これで全員揃ったようだな。早速だが諸君らに頼みたいことがある。デーモンが出現し4階から上のフロアを封印したのは皆知っているだろう。その封印術はアイスクイーン殿の協力を得て安定しているものの永遠とはいかない。そこでだ、下層フロアから順に制圧していき封印フロアを減らしたいと考えておる。諸君らにその制圧部隊として戦ってほしいのだがどうか?」

そこまで一気に話終えると見渡すように視線を投げ掛ける。
あるものは俯き、あるものは目線を逸らすことなく見つめ返し反応は様々だ。

「これは強制ではない。お願いとして受け取ってほしい。協力してもらえる者は是非とも協力してもらいたい」

そして制圧の概要を説明し解散となった。
フィオナは昔の同僚に会ってくると言い出ていきその後も次々と退出していき残ったのはナイルとタラス、アイスクイーンの三名となった。

「タラス様、我がパーティーは参加すると思われます」

タラスは喜び口を開こうとするがナイルが遮り更に告げる。


「私の所属しているパーティーの説明をしなくてはいけないと思いまして残った次第です。私のパーティーは善王の嫡子であられるナタリシア様をリーダーにしたパーティーです。これだけで理解していただけるとは思いますが公にすることはできません。決行の折りにはご配慮願います」

タラスは驚きのあまり声が出ない。
代わってアイスクイーンが口を出した。

「それは驚きだね。しかし逆ではないのかな?これを利用して同士を募るのも悪くないとは思うが」

そこまで口に出してアイスクイーンは言葉を濁らせ

「なるほど、まだ時期尚早なのか。まぁそこはタラス殿に任せておけば上手いことやってくれるさ」

と視線をタラスに移す。

「その件については任せておいてくれ。そうかそうだったのか」

タラスとデフィル王は歳は離れているものの親友であり産まれたばかりのナターシャを抱いたこともある間柄だ。
だから余計に感慨深いのだろう。
涙を流し喜ぶ姿を見たナイルはそういう経緯もわからずただ見守るだけだった。
 
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