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レインボークラウン

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第八十五話

                 第八十五話  楽器を見ていった
 亜美はクラウンに入ることになった、だが。
 問題は楽器だった、彼女はまずクラウンの楽器を見回して言った。
「ギターとやな」
「そう、キーボードにベース、ドラムにね」
「サックスとフルートやな」
「まああたしと美奈子はね」
 ヴォーカルと共にその楽器を担当しているのだ、華奈子は亜美に対して笑顔で話す。
「そっちもやってるから」
「歌と一緒に吹くのもしてるんかいな」
「何処かおかしい?」
「いや、二人共相当な肺活量やねんな」
 亜美が言うのはこのことだ、華奈子と美奈子の肺活量が相当なものだというのだ、そのことに気付いて言ったのだ。
「普通出来んで」
「ううん、普通にやってるけれどね」
「あんたも美奈子ちゃんもかいな」
「というか今言われて気付いたわ」
 自分達の肺活量にだというのだ。
「そういえば美奈子もスポーツは苦手だけれどフルート何時までも吹けるわ」
「それ自体が凄いから」
「そうなのね」
「ちょっとそっちは無理やな」
 二人には負けるというのだ、吹くことでは。
「ドラムは赤音ちゃん、キーボードは春奈ちゃん?」
「そう、それでギターが梨花ちゃんでベースが美樹ちゃんなの」
 クラウンの今の楽器の割り当てはこうなっている、前から変わっていない。
「それで組んでるけれど」
「バンドの楽器全部あるやん」
「そうよね、じゃあ後は」
「うちは何しよかな」
 亜美は言いながら首を捻る。
「パーカッションかいな」
「それにするの?」
「どうしよかな、楽器の演奏自体殆どしたことないし」
 実はそちらの経験もあまりなかったりするのだ。
「どうしよかな」
「クラウンに入らないの?」
「いや、うちも絶対に楽器やりたいから」
 入りたいことは入りたいというのだ。
「そやけどな」
「楽器がなのね」
「ないなあ。どうしよかな」
 亜美は考える顔で言う。
「パーカッションになるんかいな」
「それにするの?」
「いや、それもなあ」
 どうにもという感じである。
「難しいなあ」
「とりあえず色々考えてみる?」
「そうしよか」
 華奈子に考えている顔で答えた亜美だった、今も考えているのだ。
「もうちょっとな」
「じゃあ色々な楽器見てみよう」
 華奈子は亜美にこう言った、ここから自分の楽器を探すのだった。


第八十五話   完


                       2013・12・3 
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