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とある英雄の学園生活

作者:にゃん丸
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第16話 小規模な晩餐会

 1ヶ月が経過した。

 しかしこの1ヶ月ばたばたしてゆっくりできなかった。
 再開した翌日には俺の凱旋式と騎士叙任式が行われた。
 式は退屈ですぐに退出したかったのだが、
 一応俺のための式なので退出ができない。
 俺に武勇伝を聞きたがる貴族や娘を紹介する貴族また近隣国家の大使などいろいろな人と話したが何を話したか全然覚えていない。
 あとアルトの4人の王妃と会った。
 第1王妃と第2王妃とは会ったことがあるらしいのだが俺は全然覚えていなかった。
 王妃たちと会話を終わらせたあともダンスなどがあったが踊れないといって断った。
 とにかく退屈な1日だった。

 その翌日からアリス姫の護衛をするのかと思いきや、
 護衛は翌月、つまり学園都市に出発する日からと言われ今月はバーミリオン騎士団の方がそのまま続けるとのことだ。
 なので俺はすることがないので、1ヶ月のんびりしようかと思っていたのだが、
 セリアに呼ばれ新人騎士たちの稽古を頼まれたり、
 他国との外交官がアルト王との謁見時になぜか俺まで呼ばれたり、
 王妃に呼ばれ話し相手をしたり
 元帥に呼ばれチェスの相手をしたりと護衛と関係ないことばかりして月日が流れた。

 ★

 明日俺たちは学園都市に向かう旅に出る。
 学園都市まで船で約1週間ほどかかる。
 俺の転移魔法で行ければ簡単なのだが、
 30年前と今では地形などが変わっているため
 壁や塀の中に転移してしまったらえらいことになるので今回はパスで。

 夜に小規模な晩餐会が行われた。
 アリス姫にアルト王、第4王妃、セリア親子、俺とイフリートとシヴァの7人だ。
 他の王妃は気分が優れないとかで欠席らしい。
 アリス姫がいるから欠席したのがバレバレなのだが。
 第4王妃(名前を忘れた)もいやいや出席している感じだ。
 とりあえず王妃は無視して食事を楽しむことにした。

 「いよいよ明日出発ですね」
 
 「ああ、セシリアもこの1ヶ月いろいろありがとう」
 
 セリアの命令でセシリアはこの1ヶ月ほど俺に付き添いいろいろ教えてくれたのだ。
 ほんと感謝している。
 この1ヶ月で俺はセシリアに敬語をやめ『さん』づけもやめた。
 階級が俺の方が上なのに敬語はやめてほしいと言われ、
 また母親は呼び捨てで自分は『さん』づけはおかしいと言われたので現在に至るわけで。
 
 「いいえ、こちらも母の話や6勇者の話などしていただきとても楽しかったです」
 
 ちなみに6勇者とは俺を除く仲間たちのことだ。
 この世界は、生きている人間には勇者で亡くなった人間は英雄と言われているようだ。
 俺も生きていたんだから英雄から勇者に変えて欲しいのだが。
 俺は英雄で定着しているため各国で話し合った結果英雄のままだそうだ。
 なんか縁起が悪い感じで嫌なのだが。
 
 「学園都市までセシリアの部隊が送ってくれるんだろう」
 
 「はい、姫と大尉を護衛させていただきます」
 
 「ああ、よろしくな」

 「私も一緒に行きたかったのですが」

 「母上は立場上無理なので諦めてください」

 「でも……」
 
 最初はセリアが学園都市まで送ると言いだしたのだが、さすがにアルト王やセシリアに止められた。
 
 「キラ様に今度いつ会えるかわからないじゃないの」
 
 「今度は30年後ではないから安心しろ」
 
 「30年後だと私は天国にいるでしょうね」
 
 「……」
  
 なんて言い返せばいいんだ。
 そうだなと言うのか。
 むむむ、どう返す俺!
 
 「30年後か~、あたいは変わっていないわね」
 
 「私は少し大人になっているかもしれませんね
 
 2人の魔人には30年後は今とあまり変わらないみたいだ。
 そんな言葉より俺のフォローしてくれよ。
 
 「キラ様……」
 
 恨めしそうに俺を見るセリア。
 
 「いや、その……」
 「
 3ヶ月後には春休みがあるのでその時に帰ってくるよ」
 
 アリスの言葉にセリアは微笑んだ。
 アリス、ナイスフォローだ!
 あとでアメでもあげよう。
 ちなみにアリスともこの1ヶ月で仲良くなった。
 ただ『姫』と言われるのがイヤみたいなのでしかたなく呼び捨てになった。
 アリスも俺のことをキラと呼ぶようになった。

 「キラ様」

 第4王妃が俺に話しかけてきた。

 「なんでしょう」

 親しくないのでそれなりに言葉を選ばないと……めんどくさいな。
 
 「私の2人の娘が学園都市で勉学に励んでいますので、気にかけていただくとありがたいのですが」
 
 「そうだったな、あとクリスティーナとラクテリーシアの2人もいるので、気にかけてあげてください」
 
 「わかった」
 
 アルト王には6人の娘がいる。
 第1王妃に2人、第3王妃に1人、第4王妃2人、第5王妃に1人と全員が女子なのだ。
 すごい確率だな。
 アルト王は男の子が欲しいみたいで今も夜のお勤めに励んでいるとのことだ。
 次女と6女のアリス以外は全員学園都市に通っている。
 ちなみに次女は5年前にポルトガルの皇太子に嫁いだとのこと。

 晩餐会が終わり部屋に戻った俺はベッドに潜り込んで寝ようとしたがどうにも眠れない。
 学園都市では護衛もするが、俺もアリスと一緒に生徒として通うことになっている。
 アルト王やセリアそしてセシリアまでもが俺を学園都市で学ぶことを勧めてくれたのだ。
 セシリアは学園都市の騎士専門学科の卒業生なのだ。 
 学園での生活などをいろいろ教えてくれ、絶対に行くべきとまで言われたのだ。
 そこまで言われたら俺も興味がわいた。
 学費はどうしようかと考えていたらアルト王が持ってくれるみたいなので甘える事にした。
 10日後には学園生として学園に通うことに少し興奮しているため眠れないのだ。
 我ながらガキだと思うが明日からの船旅がある。
 早く寝ないと。
 だが眠れない。
 そんな興奮状態のままだったが、いつの間にか俺は眠りについていた。
 
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