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真剣で清楚に恋しなさい!

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一部 高校一年
川神一子の師範代ロード
  5話 決戦、川神ボール!

  ――そして午後

 いよいよ川神ボールだ。俺らの相手は葵の言っていた通り、S組だ。

「お前たち、川神ボールのルールはわかっているな?」

小島先生がルールの確認と出場選手を提出する紙を渡すためにこちらに来た。

「ばっちりです!!」

ワン子が元気良く答える。

「よし、では直江、説明してみろ」

「はい。基本的には野球と同じです。違いは前半戦と後半戦に分けて時間で区切ることそして最大の違いはボールを持てば走者への攻撃が自由ということです。欠員は五名ま補充可能です。ですから力以外にも戦略なども重要です。

「よし、その通りだ。そこまで分かっているなら直江、お前に監督をやってもらう。」

「みんな、俺が監督でいいか?」

「おう、なんたって我らが軍師だからな!」

キャップが同意したのを皮切りにみんな口々に賛成した。

「わかった。監督の大任、確かに引き受けた。まずは監督と選手は兼ね合いなので俺が行く。」

「一番セカンド、ワン子! 切り込んでこい」

「任せて!! 先人の誉れね!!」

「二番ショート キャップ! 頼りにしてるぜ」

「おう、俺のスピードを見せてやるぜ」

「三番センター 龍斗! お前の万能さに期待してるぜ!」

「野球やったことねーけど、任せろ!」 

センターってどこらへんだっけ?

「マジで?」

「マジで。まぁ、あれだろ? とりあえずボールをバットで打って飛ばせばいいんだろ?任せとけ」

「若干、不安だが大丈夫だろう。四番キャッチャー ガクト!! うちの主砲はお前だ!!」

「おうよ、このナイスガイに任せな!!」

「五番ファースト クマちゃん!」

「ウゥ・・・オナカヘッタヨ、敵食べていい?」

「ああ、飲んでいいよ」

 クマちゃんもう回復したのか? ワン子の突きが結構深く決まってたはずなんだけどすごい回復力だな

「六番レフト ゲンさん! 強肩に期待してるよ!」

「俺かよ、・・・まぁやるだけやってやるよ」

「七番ピッチャー 京! 頼んだぞ、狙撃兵」

「大和のためなら頑張るよ」

「八番ライトは俺が入ろう」

「野球って九人だったよな。あと、一人はどうするんだ?」

「龍斗、本当にやったことないんだな。ファミリーでやった気がするんだが」

「多分その時、俺はモモ先輩に組手という名のいじめを受けてたからな。で、誰にするんだ?」

「ここはアタイに任せてもらう系!!」

羽黒が元気良く名乗り出た。

「羽黒、あんた本気なの?」

小笠原が心配そうにしている。

「レスラーの娘なめんなって感じ? あたいのパワーボムで血の花咲かせてやんよ!」

「よし、その気概を買って九番サードは羽黒だ!」

これでスタメンは決まったな。あとは、

「控えの五人はこんな感じにしました」

小島先生にもう提出しているようだ。

「直江、本気か?」

「はい、あとは先生の承諾だけ頂ければ、それでいきます。」

「ふむ、面白いな。いいだろう、これで提出しておく。」

「はい」

小島先生は選手表を提出しに、モモ先輩のいるテントへ行った。

「相変わらず、我らが軍師は面白いことを考えるね~」

「龍斗、見えたのか?」

「ちらっとな。それより監督の挨拶をしろよ」

「そうだな、相手はS組だ。相手にとって不足なし、普段俺らを馬鹿にしてるやつらに北を与えてやろうぜ!!」


「「「「「「「「おう!!」」」」」」」」

  実況テント

『さぁて、川神ボールが始まるぞ。実況はラジオのパーソナリティでもあるこの川神百が担当するぞ』

ちなみにモモ先輩はお昼の放送、ラヴ川神のパーソナリティをやっている。

『解説はこのワタシ、ルーが担当させてもらうヨ』

『さぁ、両チーム出揃って、試合開始だ』

 球場

「審判はわしが務めさせてもらう。互いに礼!!」

校長が審判とは、普通じゃ考えられないことだな。

「フハハハハハ、ひとひねりにしてやろう。」

S組から金色のふんどしをつけた額にバッテン傷をつけた男がきた。コイツこそが九鬼家長男、九鬼英雄だ

「負ける気がしねーなぁ」

キャップも燃えている。まずは、S組の攻撃からだ。相手はいかにもごついラグビー部のか。何やら、大和が京にアイコンタクトを送っている。というか、もはやアイコンタクトで会話している。こいつら実は相性抜群なんじゃないか。

『椎名第一球を投げた!』

「もらった! うお、変化した!?」

『打った! が、これはゴロだ。セカンドとって一塁送球』

どうやらゴロを打たせたらしい。本来ならここでアウト、だがこれは川神ボールだ。タッチしなきゃアウトにならない

「ふっとばしてやるぜ!!」

走者が強烈なタックルをくまちゃんにお見舞いするが、

「ふん、ハムになっちゃえ」

「ぐああああ!!」

『サバ折りだ!! これは痛い!』

「・・おいしそうじゃない、いらない」

クマちゃんは相手をそのまま投げすてた。

「かはっ」

「担架を用意せい」

校長が近くの生徒に指示した。

『いきなり負傷者だ、これが川神ボール。一番バッターは現在医務室で治療中だ!』

『さぁて、S組はF組の強力ブロッカーをどう破るか』

『ボールを持ってないと守備は攻撃できないからネ』

『ライト前ヒットとかなら安全に出塁できるわけだ』

「おいおい、あのファーストやばいんじゃないか?」

井上が苦い顔をしている。

「英雄様の出塁の前になんとかするぞ、不死川手伝え」

「命令口調なのは腹立つが、わかったのじゃ」

『二番バッター 不死川』

「さて、此方が名家の威光を見せてやるのじゃ」

今回はガクトと京がアイコンタクトをしている。

『ピッチャー投げたぁ!!』

ど真ん中か、あれは打たれそうだな。

「見よ、此方の華麗なる打法を!!」

 カキンッ!! ボールはレフトの方に転がった。

『ボールがなくては防げない!! ヒーット! ワンナウト一塁』

「マジかよ、絶妙なバットコントロールだぜ。京、これは誰が来ても気を抜けないぜ」

「ククク、それはそれで上等」

『続いて、三番バッター忍足』

「フホホホホ」

なんか含みのある笑い方だな。アイコンタクトを送ると大和も頷いていた。

「クマちゃーん、その不死川には気をつけて!!」

「オナカ・・・スイタ」

「うーん、聞こえてないな」

女王蜂か、これは飛ばしてくるか? いや・・・

「えいっ」

京が投げた。先ほどよりだいぶ早いストレートだ。

「はっ!」

「打った!! が、これはどん詰りのショート正面だ!!」

「貰ったぜ!! 行くぜクマちゃん」

キャップが捕球し、クマちゃんに投げる

「ほほほ、まずは大きい山猿を片付けてくれるわ」

『おーっと、不死川が全く走ろうとしない。これはどういうことだ!?』

「今度こそ、いただきます。って、あれ? 足が」

クマちゃんの足に不死川が関節技をかけていた。

「いきますよ、せい!!」

「ぐえ!!」

クマちゃんに女王蜂のかかと落としが決まった。

「担架を!! ボールを離さなかったので、忍足もアウト!! スリーアウトチェンジじゃ!!」

「私までアウトにするとは、なかなかやりますね。ですが、彼はもうこの試合には出られないでしょう。」

『早くも、両チーム一名ずつリタイヤだ!!』

「クマちゃんの代わりはお前だ、ヨンパチ」大和が補充する人員を指名した。

「俺かよ!?」

ヨンパチは腰が引けている。

「お前の俊敏さなら行ける。それに女子と接触できるかもしれないぞ?」

「俺に任せとけ!!」

本当にどうしようもない説得方法だな。次はうちの攻撃か、

「アタシがまずは切り込んでくるわ!!」

「ワン子、二番ショートの不死川、三番ピッチャーのメイド、四番キャッチャーの英雄、小雪たちには気をつけろよ」

「わかったわ」

「頑張れよ、一子」

「うん、行ってくるわ!!」

『さぁ、次はF組の攻撃だ。 一番バッター 川神一子!!』

「おお、愛しの一子殿。このようなところでお会いできるとは、だがこれは勝負。全力で行かせてもらう!!」

「や、やりにくいなー」

ワン子が若干困惑している。ゲンさんも険しい表情してるし、ワン子もてもてだなぁ。女王蜂の主従コンビか、これはキツそうだな。

『一投目なげた!!』

「変化球!? でも、打てる!!」

『おっと、これはバントで転がした!! 戦う気満々のようだ!!』

「ふん、俺が投げ飛ばしてやる!!」

『さぁ、ファースト対走者ワンコの一騎打ちだ!!』

「うおりゃあ!!」

相手が掴みかかってきたのをひらりとかわし、相手の後ろに回り込んだ。

「川神流 百舌落とし!!」

ワン子が相手の腰をつかみ脳天から叩きつけた。

「ぐあ!!」

『これは強烈だ!! だが、なんとか立ち上がたようだ!!』

「セーフ、ノーアウト一塁!!」

「いいぞー、ワン子!!」

『二番バッター 風間!』

次はキャップか、

「俺がデカイの一発決めてやるぜ!!」

「頼んだぞ、キャップ」

しかし、女王蜂の巧みな変化球によって、キャップにしては珍しく三振してしまった。

「ちくしょー、俺かっこわりーー!!」

キャップは悔しそうに叫んでいる

「悪いな、頼んだぜ、龍斗」

「気にすんなキャップ、やれるだけやってみる」

『続いて、三番バッター 黒月! 第一投、投げた! おっと、これはボールだ。続いて第二頭目、またしてもボールだ!! これはどういうことなのだろうか』

これは・・・敬遠というやつか?

「何をやっておるのじゃ!!」

不死川が文句を言い始めた。それでも女王蜂はボールに投げてくる。女王蜂らしい賢いやり方だが、ちょっとつまらないな、これは。

『さぁ、このままフォアボールとなるのか? 第四投目、投げた!! おっと、ボールを無理やり打った!! これは大きいあたりだ!!  だが、ややセカンドに近い。これはまたしてもワン子とセカンドの一騎打ちだ!!』

「フホホホ、ここがお前の墓場じゃ!」

「クマちゃんの敵!!」

ワンコはベースに向かって滑り込む。

「愚かな、このままタッチじゃ」

不死川がそのまま腕を伸ばすが、ワンコはそれを避け、

「川神流 蠍撃ち!!」

スライディングの体勢のまま正拳突きを放った。

「ニョワ~~!!」

不死川はその場に倒れたが、

「倒れながらも、ボールを川神一子に当てていたためアウト!! ツーアウト一塁じゃ」

「ぐぬぬぬ、高貴な此方はこれくらいではやられぬ」

「がーーん!」

ワンコがうなだれた。

『おっと、不死川が立ち上がった』

『技の入りが甘かったネ』

「すまん、ワン子。俺が無理に打ったせいで」

「龍斗のせいじゃないわ、私の修行不足よ」

狙う場所自体の見切りは良かったんだがな、あれで打ち方がちゃんとしてればな・・・
このあと、ガクトが大きく打つが風に押し戻されてしまい、ユキに取られ、攻守交替となった。

――攻守切り替わってS組の攻撃

「さて、ファーストだけど。ゲンさん、やってもらえる?」

「ち、言っとくけどあんま期待すんなよ」
「ヨンパチはレフトだ」

「おう」
「京、6番は情報によると低めの変化球が苦手だ。そこを徹底してやれ」

「了解」

大和がみんなに指示を出していく。


『四番バッター 九鬼!』

「満を持して、我降臨だ! 見せてやろう、王の力をな!」

「頑張れ頑張れ英雄様!!」

「さぁ、あなたたちも張り切って応援してくださいね!」

「かっとばせー!!英雄!!」

「か、かっとばせーー!!」

女王蜂が何やら井上や不死川を小太刀で脅して応援に参加させているようだ。・・・相変わらず、おっかねーな。ただやっぱりメイド服が・・・ぷくくく
ヒュンっ!! 

突然クナイが飛んできた。

「ウオ!! 危ねぇな!!」

「いい加減、しつこいですよ?」

むこうで、女王蜂が微笑んでいる。何で、俺の心って筒抜けなんだろう? もはや口に出しているのと変わらない気がする。
 
『ピッチャー、投げた!! 』

「ふははは、見るがいい! 王の一撃を!!」

カキンッ!! ボールの中心を捉えた鋭い当たりだ。流石にセンターからじゃ届かないな。

『打ったぁ!! これはでかい!! そのまま、ホームランだ!!』

「流石でございます!! 英雄様!!」

「では、英雄の凱旋と行くとしよう」

ファーストでゲンさん険しい顔をしているな。対する九鬼もどことなく高圧的だ。やはり、お互い本能的に察したんだろうな。

「見てくれましたかな?一子殿」

「あはは、特大だったわね」

「っち、」

ゲンさんは舌打ちしていた。

「かちーん、打たれると少し頭にくるね」

「くそぅ、あいつばっかり目立ちやがって」

キャップと京が燃えているようだ。京はそのあと二人まとめて三振を取った。

『七番 葵!』

「私ですか、これはダメそうですね」

葵は京を知っているので、得意の色目が効かないこともわかっている。案の定三振し、こっちの攻撃となった。

『五番 福本! おっと、ここで先ほどのファーストが復活してきた!!』

『いい根性だネ』

「さらにガーン」 

ワンコがさらにうなだれた。

「気にすんな、一子。どう見てもハッタリだ。」

ゲンさんが慰めている。

「あずみ! わかっているな?」

「もちろんでございます、英雄様!! 誰であろうと手は抜きません!」

「うむ、それでこそ我が忠臣だ」

「手は抜いてくれないか、ヨンパチには厳しいな」大和が苦い顔をしている。

「まぁ、さすがにな」

案の定、ヨンパチは三振した。

『六番 源!』

「打たせませんよ、っせい!!」

「打ってやるさ!!」

カキンッ!! 

『打ったが、これは浅い!! またしてもファースト対ランナー対決だ!!』

「邪魔くせぇ! 寝てろ!」

ゲンさんが相手のファーストの首に裏拳を当てる。

「ぐ、さっきのダメージが・・」 バタっ

「セーフ!! ワンナウト、一塁!」

『やはり、さっきのダメージが効いているようだ。ファースト立てない!!』

「な?」

ゲンさんが珍しく笑った。観客の女子が大いに盛り上がる。

「たっちゃん、ありがとう!!」

 ワン子も満面の笑みだ。

「たっちゃん、素敵―!!」

 大和がそれに乗じて声援を送る

「たっちゃん、俺を甲子園に連れてってー!!」

 俺も乗じてみよう。

「うるせー、お前らが言うな!」 

やっぱり、ギロリと睨まれた。

「準、ファーストに行け、控えからレフトだ。」

九鬼が指示したとおり、井上がファーストに来た。

『七番 椎名!』

「とりあえず、ファールで粘っこくいけ」

「了解、愛してるよ大和」

「頑張れよ、お友達で」

「うーん、いけず」

いつものやり取りをしながら、京がバッターボックスに向かった。

「く、十二回連続ファールとは、英雄様の前でぇ!」

「あずみ、落ち着け!!」

「もーらいっと」

カキンッ!! 鋭い当たりだ。

『打った! これはいい当たりだ! そのまま京は一塁に、そしてあいだに源がホームイン!!』

「セーフ、ワンナウト一塁! 同点じゃ!」

「申し訳ありません、英雄様!!」

「よい、まだ同点だ。その失態、活躍で償ってみせよ!」

「は!!」

『8番 大和!』

「俺か、そろそろだし、一つ行きますか!」

「頑張れよ、大和!!」

「おう」

大和はそのままバッターボックスにっ向かった。

「あずみ!」

「了解です、英雄様!!」

『おっと、これはどういうことだ! 忍足そのままフォアボールで大和を出塁させたぞ!』

嫌な予感しかしないな。大和もそう感じたらしく、靴紐を結ぶふりをして砂を握りこんだ。

『九番 羽黒!』

「おっしゃー、見とけよ!!」

「ゴロでも打っていてください!」

「うりゃァ!!」

嬢王蜂の宣言通り、ゴロを打たされた。

「行きますよ、みなさん。標的は直江大和です!!」

「わかっておるのじゃ」

「恨むなよ、大和」

マズイな、大和が井上、不死川、女王蜂に囲まれた。

「なにぃ!?」

さすがの大和も若干焦っているようだな。

『大和囲まれた、これは大ピンチだー!!』

「囲んだら、急いでくださいねー。って聞こえてませんね」

葵の指示か、意外と容赦ねーなあいつ。

「砂なぞ握っても無駄なのじゃ!」

あらら、バレてるよ。うん? 大和が必死に時間稼ぎしてるな。・・・そういうことか。
ピ―――っ!!

『あーっと、ここで前半戦終了!!』

「なんじゃと! タイムアップ!?」

「だから、若が早くしろって言ってたのか」

「いやぁ、助かった」

「おつかれさん、ナイス時間稼ぎだったぜ!!」

「野球に慣れてたから、みんな時間を気にしてなくて助かったぜ」

「敵の情報も割と集まったよ」

「さんきゅー、モロ」

「よし、後半戦も気を抜くなよ!!」

小島先生の激励が飛ぶ。

そして後半戦、

『さぁ、S組の攻撃 バッターは小雪だ!』

「ウェーイ!!」

小雪がふわふわとバッターボックスに向かう。

「それ!!」

「そりゃーー!!」

カキンッ!! あの変化球を真芯で捉えたな。ユキにしても、井上にしても能力高いなぁ。

『打ったー!! これは大きい!! 入ったァ!!』

「ホームラン!!」

「嘘、」

京も唖然としている。

「ウェーイ、大和見てた見てた?」

「ああ、すごいな小雪」

「ふふーん、でしょー」

「ぐぬぬ、大和が・・・もう打たせない!!」

次は井上か、京の低めのストレートが放られた。

「まぁ、さっきのは気にすんな。まだまだこれから落ち込んでもらうからな!!」

カキンッ!!またしてもいい当たりだ。

「ホームラン!!」

『またしてもホームランだ!! これで点差は3対1 エリートの本領発揮か!?』

「まだまだ、行きますよ」

「せいや!!」

またしてもいい当たりだ。

「ホームラン!!」

『これはすごい、三回連続ホームランだ!!』

「これが、エリートと凡人の差です☆ 凡人がエリートに勝てる訳ありません。」

・・・ムカつく物言いだな。だけど、能力が高いのも事実。

「此方の番かの、流麗に安打を生成してくれるわ」

カキンッ!! またしてもいい当たりだが、これなら

『おぉっと!センター前、取れるか?』

「よっと」

『龍斗、これは速かった!! そままキャッチだー!』

「アウト!!」

「ぬぅ、こしゃくな」

「サンキュー龍斗」

「おう、任せとけ!!」 ちょっと燃えてきたしな。

そのあとは京が三振を取り、バッターは九鬼となった。

「九鬼か、また手ごわいやつだな」

「大和とワン子、ポジションを変わってくれ!!」

「龍斗、作戦でもあるのか?」

「まぁな、こっちに来いワン子」

「分かったわ」

『おっと、これはどういうことだ? F組、守備の配置を変えてきたぞ』

「どの様な策をねろうが、我には通用せんわ!!」

『打った!! またしても大きい!!』

「行くぞ、ワン子!!」

「ええ!!」

「それ!!」

俺はワンコをボールの方へ投げた。

「キャーッチ!!」

ワン子も無事ボールを取り、着地した。

「アウト!! スリーアウトチェンジ!!」

観客も盛り上がる。

「さすが、一子殿だ。まさかあんな方法で我のボールを取るとは」

『これはすごい、選手を投げてホームラン確実なボールを見事防いだ!!』

『あの高さから着地したワン子もさすがだネ』

「相変わらず無茶苦茶なこと考えるな、龍斗は」

「面白いだろ?」

「はいはい。よし、今度はこっちの攻撃だ」

「アタイに任せな!!」

「変化球でからぶってください」

「空ぶるか、おりゃぁあ!!」

カキンッ!! 

『おっと、レフトに打ち返した!!』

「あたいの力、見たかオラーー!!」

羽黒はそのまま二塁まで走っていく。

「羽黒!! 二塁は危険だ!!」

「ラリアット!!」

「高貴なる此方にはそんな技通用しないのじゃ、喰らえ膝十字固めなのじゃ」

「うぎゃぁぁぁ」

「羽黒!! ちょっと、やりすぎよ!!」

小笠原が悲鳴の混じった声で抗議した。

「アウト!!」

「それ!!」

ゴキっ!! 鈍い音が球場に響いた。

「こら!! アウトと言っておるじゃろうが!!」

鉄心が止めに入る

「ホホホ、気がつかなかったのじゃ」

「気がつかなかったといったのかのう?」

鉄心さんの気が少し膨れた。

「い、以後気をつけるのじゃ」

不死川も慌てて訂正する。

「担架だ!!」 

小島先生が指示を飛ばす。・・・戦いとは言えスポーツでこれは、ちょっとやりすぎだな。

「ほう、いい気だ。やはり早くあいつと戦ってみたいものだ。」

「百代、実況中だヨ」

「分かってますよ」

『さぁ、次の打者は一巡したのでワン子だ!!』

「しゃぁ!! やってやるわ!!」

「気合だけでこの球が打てますか?」

「打てるんじゃない、打つのよ!!」

『打った!! 三遊間に強烈なあたりだ!!』

「ほいっと、いくよハゲー」

『小雪がとってレーザービームのような送球!!』

「はぁぁ!!」

ワン子がヘッドスライディングで一塁に滑り込んだ。

「セーフ!! ノーアウト一塁じゃ」

『さぁ、次はキャップだ。先ほど、三振した分何か見せてくれるのか?』

「どかんと決めてやるぜ!!」

「打った!! がこれは小雪の守備範囲内、そのままセカンドに送球だ!!」

「山犬め、今度こそ駆逐してくれるのじゃ」

「こっちのセリフよ!! よくも仲間を痛めつけてくれたわね!! 蠍撃ち!!」

「その技はもう喰らわんのじゃ」

不死川は避けて関節を決めようとするが、

「しまった!! なんてね、はぁ!!」

ワン子はそのまま不死川を飛び越え、後ろに回り込んだ。

「川神流 百舌落とし!!」

「にょわーー!!」

不死川はそのまま地面に突き刺さった。

「セーフ!! ワンアウト一、二塁じゃ。 担架用意!!」

『おっとこれは、分からなくなってきた!!』

『さっきの一子の百舌落としは見事だったネ』

『そうですね、最初の一撃で蠍撃ちの脅威が染み付いていたのを逆手に取りましたね』

「とはいえ、最初の蠍撃ちで決めれなければな」

「百代は厳しいネ」

「私だって姉としてはベタ褒めしてやりたいですが、

『おおっと、不死川がリタイヤになった。次のバッターは先程から不気味なほどニコニコしている龍斗だぁ!! 一体何を見せてくれるのか』

「・・・これは、例え、満塁にしてもフォアボールにしたほうが安全かもしれません。英雄様」

「うむ、好きにするがよい」

『投げたぁ!! 地面をバウンドしている。これはまたフォアボールか!?』

「させねーよ」

キンッ 

という僅かな音とともにボールが消えた。

「こりゃ、たまげたのう。ホームラン!!」

「「「「なにぃ!!」」」」

『これは速かった、会場唖然としている!! おそらくあの球を捉えることができたのは実況の私達と審判くらいだろう!!』

「情けねーなぁ、選ばれたエリートさん」

ニヤニヤとそう言うと、龍斗はゆっくりとベースを回った。

「よし、これで四対四だぜ! って、どうしたんだみんな?」

「いやいや、お前、あんな球打つとか化けもんかよ!!」 

ガクトが詰め寄ってきた。

「私でも影しか見えなかった。」 

京も驚いているようだ。

「俺は三年間、あのモモ先輩を倒すために特訓してたんだぜ?」

「ここまで強くなってたとはな。でもいいのか? せっかく姉さんに力隠してたんだろ?」

「今回は、あいつらにムカついてたからな。構わないさ。」

「龍斗が怒るってのも珍しいね。どうしたの?」

モロが聞いてきた。

「生まれ持った差で人を決めんのが嫌いなんだよ。まぁ、これで残り時間もあと少しだ。ガクト、決めてこい!!」

「まかせろ!!」

「そう何度も、打たせません!!」

「ふふん、俺様を甘く見たな。見よ!! 天才打法!!」

「な、あんな明らかの悪球で!!」

「ホームラン!!」

ガクトにしては珍しく決めるとこで決めた。

ピー――――!!!  

「そして試合終了じゃ!!」

「丁度だな」

「なんでホームランなのに歓声がすくねえんだよ!!」

「しょうがないよ、あんなボール打たれたあとじゃもう目立つのは無理だろうし」

「さぁ、整列だ」

「五対四でF組の勝ちとする!!」

「「ありがとうございました!」」

「いや~、勝ったな!!」

「何か、龍斗がすごすぎたせいで、あんまり実感がわかなかったね」

モロが苦笑している。

「ははは、すまん。ちょっと、熱くなりすぎた。」

「そういえば、龍斗。聞きたいことがあるんだけど」

「なんだ? ワン子」

「なんで最後の珠は途中で軌道が変わったの?」

「!!!? ワン子あれが見えたのか?」

「見えたわけじゃないんだけど、なんとなくそんな感じがしたの」

「そうか・・・それについては今度教えてやるよ。それより来週から期末考査だぞ、ワン子」 

大和が会話に入り込んできた。

「みゃーーー、忘れてたわ!!」

「この間は特別になんとかしてやったが、今回はきっちりやってもらうぞ」

「さぁ、観念するんだ!!」

「いやーー!!」
 
こうして球技会は幕を閉じた。
 
 
 
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