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パンデミック

作者:マチェテ
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第四十話「本部防衛作戦の終わり」

 
前書き
名前の間違いを修正しました。 

 
ーーー【エクスカリバー本部・第1装甲壁内】


ブランクとレオの熾烈な戦いは、10分経っても決着がつかなかった。
しかし、どちらが優勢かは、誰の目から見ても明らかだった。


バキィィィィン!! バキバキバキッ


「ゴッ……ブファ…」

硬化した腹部からガラスを割ったような音が響く。
硬化したはずの腹部の皮膚が、肋骨ごとぶっ壊された。

「ガアァァァァァァ!!」

腹部を殴ってからほぼ間を置かず、左フックがレオの顔目掛けてくる。
腹部の衝撃から足元がふらつき、回避が間に合わず硬化で対応した。しかし………


バキィィィン!! バキバキッ



レオの右頬が、皮膚ごと渾身の力で破壊された。

「ぎっ……ぉあ……」

右頬の皮膚が粉々に粉砕され、レオの顔は醜く変化を遂げた。

右頬の皮膚が剥がれ、右の奥歯が剥き出しになっていた。
さらに、剥がれた皮膚が、右目の下の皮膚を圧迫し、本来の半分しか開かない状態になっている。


「がはっ……クッソ、強ぇ………」

硬化を真正面から砕かれ、反撃する力すら残されていない。
レオのプライドは、硬化を行使した身体とともにボロボロにされた。


「…………………………」

対するブランクは、相変わらず無言で、虚ろな眼のままレオを眺めている。
しかし、殺意だけはにじみ出ている。


少し離れた場所で戦いを見ていたソレンスは、ブランクの様子にかなり困惑していた。

「(本当に……あんな戦い方でいいのか?)」


「(確かに圧倒してはいるが……こんな戦い方は……)」



「(………俺が目指す強さじゃない。俺が憧れた強さじゃない)」








「おーい、ソレンス!」

遠くからソレンスを呼ぶ声が聞こえた。
声の正体は、大量に返り血を浴びたオルテガだった。

「無事だったか、オルテガ」

「なんとかな……それより………ありゃなんだ?」

オルテガは、ブランクとレオの方を向いてソレンスに聞いた。

「……ブランクさんがあの適合者を……でも…あれじゃまるで………」

「あぁ……人間じゃねぇな……元から人間離れしてたけどよ……」




「……………本物の化け物にでもなっちまうつもりか………ブランクさん……」






「ククククッ……ハハハハハハハハ………面白いことになっているじゃないか、レオ」


ブランクの暴走の引き金になったスコーピオが、第2装甲壁のゲートから姿を現した。

「ぉ、おお、スコーピオ。来てくれたか……」

「黙れ役立たずが」

レオの言葉を冷酷に遮った。
スコーピオにとって、レオはもはや役立たずの邪魔者でしかなかった。

「良い面構えになったじゃないか、ブランク」

ブランクの反応は無い。レオを見ている時と同じ目でスコーピオを見ている。
それでもスコーピオは、余裕の笑みを崩さずブランクに歩み寄る。


その瞬間………



「ガァァァァァ!!」


ブランクが、自分の脚を壊す勢いでスコーピオに飛びかかった。
1秒にも満たない間にスコーピオの首を掴み、地面に叩き伏せた。

「ぐっ!?」




ブチブチブチッ ゴギッ


スコーピオの左腕は、強引に引きちぎられた。
筋繊維、神経はちぎれ、関節、骨はねじ折られた。

「ぐぉっ……!クハハ、アハハハハハ、いいぞブランク!その強さだ!それこそが俺が求めたものだ!
世界をリセットし、再構築する!その"革命"のために必要なデタラメな力!お前はそれを持っている
んだよ、ブランク!さぁ、もっとその力を俺に見せてみろ!」


腕をちぎられても構わず、狂ったように笑い出した。

その姿に、オルテガやソレンスはもちろん、味方のレオすら背筋を凍らせた。











「もう充分じゃないか?ブランク」



第2装甲壁のゲートから、ヴェールマンが姿を現した。

「司令!?なぜここに!?」

驚きを隠せず、ソレンスが問いかけた。

「あとは、私に任せろ」



「ガアァァァァァァァ!!」

ヴェールマンを見つけたブランクは、敵味方の判別をする前に襲いかかった。
ブランクの暴走状態はそれほど深刻になっていた。
ブランクの拳が、凄まじい速度でヴェールマンに迫る。

しかし、その拳がヴェールマンに直撃することはなかった。

直撃の寸前に、ヴェールマンの右ストレートがブランクの顔面に直撃した。

「グガッ!?」

殴られたブランクがそのまま地面に叩き伏せられた。
即座に起き上がろうとした瞬間………

「もういい。少し寝ていろ」

ブランクの顔を掴み、後頭部を思い切り地面に叩きつけた。
その一撃で、ブランクは気絶した。





「……………久し振りですね、ヴェールマンさん」

「あぁ、久し振りだな。フィリップ」

「今は"スコーピオ"ですよ。まぁ詳しいことはブランクに聞いて下さい」

「そうか……この様子だと、これを手引きしたのはお前のようだが……」

「はい……そうです」

ヴェールマンの拳が強く握られ、スコーピオを睨む眼に強い憎しみが込められた。


「…………それで?まだ続けるか?第2装甲壁内の感染者共は、私の部隊が殲滅した。
この第1装甲壁内に、筋金入りの精鋭が配備されるのも時間の問題だ。それでも………
まだ続けるか?フィリップ……いや、"スコーピオ"」


この言葉に、スコーピオは憎らしげな表情を浮かべた。
既にヴェールマンの後ろには、彼の精鋭部隊"カラドボルグ"のメンバーが並んでいる。


「…………さすがに、精鋭全てを相手しきれませんよ……」

スコーピオはポケットから携帯電話を取り出し、電話をかけた。




『聞こえるか?総員撤退しろ』








スコーピオの言葉を合図に、装甲壁内にいた適合者達が撤退を始めた。







その後、装甲壁内の感染者達は、残存する兵士達と、新型兵器"ブリューナク"の一斉掃射によって
全滅した。この作戦で、新型兵器"ブリューナク"は実戦データを確保。
覚醒兵部隊と同様に、次回以降の作戦で正式採用されることになった。


熾烈な「本部防衛作戦」は、終わりを告げた……… 
 

 
後書き
"ブリューナク"は今まで無かった遠距離武器なので、もう少し
登場を延期したいと思っています。ボクの思う最終兵器ですから………
カラドボルグやクラウソラスのメンバーとかも名前を明かしていかないと……
兵士達と同様に、ボクも忙しくなりそうです♪ 
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