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まどほむ百合百合日記☆

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まどほむ百合百合日記ープロローグー

 
前書き
やはり、まずはワルプルギス乗り越えないとね!
※叛逆要素ゼロ、原作と違い全員生存 

 
チュンチュン…チュンチュン…

明るい夜がやってきた。
お空は荒れていて、風が吹き荒んでいます。
それはそれはとてもよろしい光景ではありません。
それでも戦う使命を背負う者は立ち向かわねばなりません。
どんなに辛くても、立ち止まることだけは許されません。
そんなことをしてしまえば、過去に出会った大切な人の願いに反してしまいます。
それだけはいけません。
何としても、勝たねばならないのです。


ーーーー

ほむら(………)

QB「やあ、暁美ほむら。いよいよ明日のようだね」

ほむら「何の用かしら」

QB「相変わらず冷たいようだね。わけがわからないよ、と言いたいところだけど、君の願いが分かると、そうも言ってられない」

ほむら「………なによそれ、同情でもしてるの?」

QB「まさか、感情の無いボク達には、そんなことをするだけ無駄だよ」

ほむら「なら、一体、何をしにきたの?」

QB「君は未来を見てきた。だから、ワルプルギスの夜に関する情報はボク以上にあるだろう」

ほむら「そうね、それで?」

QB「それなら、分かるはずだ。君の、いや、"君達"の力じゃ勝機が無いとね」

ほむら「あら、それはどうなのかしら」

QB「君はいままでワルプルギスの夜を一人で倒そうとしたんだろう?相手の力量ぐらい見分けられるんじゃないかい?」

ほむら「そうね、勝てると踏んでいるわ」

QB「そうかい?ボクには到底不可能と見えるんだけどね」

ほむら「だけど、貴方の目的はなんなの?さっきから意味の無いことばかり。用件は手短にお願いしたいわね」

QB「やれやれ、心配してるんだけどな」

ほむら「あらそう、余計なお世話ね。貴方が心配してるのは私達ではなく、私達がグリーフシードに変化するかどうかでしょ?」

QB「たしかに、間違ってはいないよ。でも、君達が長生きすればするほどにグリーフシードになった時のエネルギーが多くなるからね、生きていて欲しいのもまた、本音だよ」

ほむら「本当、なにしにきたのよ」

QB「明日、ボクはまどかと契約するだろう。それも、彼女の意思でね」

ほむら「………そう」

QB「君がどうするかは知らないけど、一応伝えておこうかと思ってね」

ほむら「そう、聞くことは聞いたわ。さっさと消えてくれるかしら?」

QB「………分かったよ」

QBは暗闇へと姿を消す。あんな白いモフモフより、黒い奴の方がよっぽど似合うような気がする。

ほむら(今回こそ、皆が揃っているのだから、勝てると信じている……)

過去にもやったことがあるが、その時は計画も何も立てておらず、結果、敗北した。でも、今回は違う。念入りに作戦会議をし、相手の攻撃パターンをすべて話した。これで負けるのなら、まどかを魔法少女にさせる以外にワルプルギスを倒す方法が無いということになりかねない。そうなるぐらいなら、私はこの時間軸で私の時を止める。既に飽きるほどに遡ってきた時間を、勝っても負けても、今回がラスト。

『………む……』

ほむら「………?」

ほむら(何か聞こえる…?)

『ほ…むら……ちゃ……』

ほむら「!?」

ほむら「まどか?でも、帰ったはず。どうして?」

『ほむら…ちゃん』

ほむら「一体、何がどうなってるの…?」

すると、何もない虚空からボンヤリとした輪郭が見え始める。

ほむら「ま…どか…」

それは私が恐れた契約した後のまどか。魔法少女の服を着たまどかだ。

まどか「ふぅ…ここまで、ホントお疲れ様、ほむらちゃん」

ほむら「!?」

これは、一体何がどうなってるの…。

まどか「えへへ、驚くのも無理はないよね。この時間軸にいない私がここにいるんだから」

ほむら「あなたは…どこの時間軸のまどかなの?」

まどか「それは私じゃわからないんだ。でもね、今のこの具現化した時に、伝えないといけない」

ほむら「なにを…?」

まどか「私は、いままでの"まどか"の集まりと言っても過言じゃないの。つまり、"まどか"として、一つ、言っておきたいことがあるの」

何を言おうと、今までの行為に対する謝罪の要求…だろうか?

まどか「今まで本当にありがとう!」

ほむら「え…?」

まどか「ほむらちゃんは本当に辛い経験ばかりしてきたよね。私なんかのために」

ほむら「なんか、なんて言わないでよ…」

まどか「えへへ、ここでようやく私の役割を果たせそうだよ」

ほむら「どういうこと…?」

まどか「いつかの私はね、ほむらちゃんが挫けそうになったら、私の力を与えるっていう願いをした子がいたの」

ほむら「それは、一つ前のあなたね…」

まどか「直接一緒に戦うことはできないけど、これだけはわかって欲しいんだ。ほむらちゃんのどこかに私の力を解放する"鍵"があるって…」

そう言うまどかの輪郭はどんどんボヤけてくる。

ほむら「待って!まどか!」

まどか「ん…?」

ほむら「あなたは、私のことを恨んでいないの?」

まどか「えへへ、なんで恨むのかな?私にとっての一番の友達で、好きな人を…」

ほむら「え…?」

目の前はいつもの虚空へと変わり果てている。やっぱり、幻か何かだろうか?

ほむら「だとしても、まどかが支えてくれるなら、私は全身全霊を持って戦わせていただくわ」

ワルプルギスの夜には、まだわからない性質がある。いつもは、逆さまの状態を維持しているが、あれがひっくり返るとどうなるのか。それと、あいつは魔女の性質で攻撃を受けても笑っているのか、それとも本当に余裕で笑っているのか。もし、後者だとすれば、私の攻撃はいつものパターンでやっても全く一緒。結局他の誰かの力を借りないといけなくなる。

まどか…

あの近くて遠い、私の名前を呼ぶあの子は最後まで私に力を貸してくれるのだろう。優しすぎるから、自分のことより、他人を心配する気持ちの方が強いから…

あの虚空からのまどかは今までに一度もなかった。当然だ、前回のまどかがそうしたのだから。でも、なぜか温かいものが流れ込んでいるのに、それを素直に受け入れられない。まどかの力と分かっていながら、その力を受け取れないということは、やはりまどかの言っていた"鍵"を探し、扉を開けなければ私に力が流れこむことはないだろう。

ほむら(だけど、鍵ってなんなの?温かいものは、温かいけれど、それ以上には何も教えてくれない。自力で探せということかしら…)

ほむら(でも、もう明日まで時間もない。一体、何が…)

今日、今までに無かったことが二つ起きた。一つは、この時間軸のまどかが私に"告白"したのである。返事はワルプルギスの夜を倒してから、と言われているけど。
そしてもう一つは、もちろんのこと虚空からのまどか。
二つのまどかに"鍵"は関係があるの?それとも、"鍵"は私とあの子の気持ちで…?

ほむら(もう、考えても仕方ないわ。ここまで無事に4人とも生き残っているのだもの、必ず、必ず今回で仕留める)

私はそう頭の中で何回も繰り返しながら布団に入った。

ーーーー
朝。
正確には明るい夜。
街はこれまでにない災害に晒される。
こいつを打ち負かすことは、本当に不可能なのだろうか?
まどかがいなければ、無理と断言されるものなのか?
そればかりはわからない。何せ今回はベストコンディションだから。
そろそろ移動の時間。

ピンポーン

ほむら「え…?」

ピンポーン

ほむら「ええと、どちらさま…?」

今から移動しなくてはいけないのに、とんだ邪魔が…

扉を開けた瞬間に、チャイムを鳴らした主は抱きついてきた。

ほむら「ま、まどか!?」

それも、涙で顔がぐしょくしょになっている。一体何があったのだろうか。

まどか「ほむらちゃん…ほむらちゃんはさ、昨日の告白、迷惑じゃなかった?」

ほむら「え?」

まどか「だって、好きな人に気持ちを伝えたのはいいの。でもね、そのことで戦いに支障が出ちゃうなら、私はとっても迷惑なことをしたなって…」

ほむら「ふふ…大丈夫よ。まどか。あなたが告白してくれたおかげで、私は考えが纏まったんだもの。むしろ、お礼を言わせて?」

まどか「うん、うん…」

そう言ってまどかは泣きじゃくる。本当に昨日は色々と考えたのだろう、それがこれだ。

ほむら「本当は、帰ってきてから伝えたかったけど…」

私は、今まで友達としてまどかを守ってきたつもりだった。
でも、いつの日からか、まどかを特別視するようになっていた。
ただ、友達というだけなら、マミやさやか達と関係は同じくらいのもの。
そう、私はとっくに"恋の迷路"に閉じ込められていた。
この気持ちを伝えるとき…

ほむら「私も、あなたのことが大好きよ!」

ほむら「本当に、好きで好きでしょうがないくらい好きよ!」

まどか「ほむら…ちゃん」

私はその勢いのまま、まどかを抱きしめかえす。

まどか「ほむらちゃん…」

そして、唇と唇を合わせる。

まどか「んん……ぷはぁ…」

ほむら「ふぅ…」

なんだか、まどかが惚けているのか、ボンヤリとしている。

………ほむらちゃん、約束を果たしてくれてありがとう。

ほむら(!?これは、前回のまどか…?)

ーーーー

前回の最期

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「まどか!そいつの話に耳を傾けちゃだめっ!」

まどか「もういいんだ。私はほむらちゃんを救いたい。」

ほむら「だめーーーーー!」

まどか「インキュベーター」

QB「さあ、君の望みはなんだい?君の資質なら、どんな願いでも叶えられるよ」

まどか「なら、次の時間軸のまどかとほむらちゃんが相思相愛になった時、私の力をほむらちゃんに送ってほしい。」

QB「だけど、そんなことをすれば、君は願いと同時に尽き果てることになってしまう。それでもいいのかい?」

まどか「もちろん、次の時間軸の私とほむらちゃんに全てを託す。きっと二人は結ばれる、そう信じて」

ーーーー

ほむら「あぁ…これはそういう…」

まどか「ほむらちゃん…?」

ほむら「まどか、ありがとう。必ず、生きて帰ってくるから。帰ってきたら、ちゃんと私と付き合お?」

まどか「うん!行ってらっしゃい」

ほむら「行ってきます」

今ではすっかり分かる。意識を持たないまどかの意志が私の周りを囲んでいる。まるで守っているかのように。
それがキスをしたおかげで体内へと、いえ、ソウルジェムへと流れ込んでいる。
なぜ、ソウルジェムなのか。
答えは私のソウルジェムに紫以外の色が入ってきたのだ。
桃色の、優しい色が。
その力が大きくて、私を包み込むように感じる。

ほむら(まどか、あなたを救いたい。いえ、救うわ!今までのまどか、そして、今回のまどかにかけて、誓うわ)

約束の場所へと到着する。

杏子「おいおい、遅刻すんじゃねーぞ」

さやか「そうだぞー?ほむらの時間停止は強いからね〜」

マミ「来たのね、暁美さん」

ほむら「遅れてごめんなさい。でも、もう弱い私じゃないわ」

杏子「はんっ、時間停止だけでも十分なのに、まだ力を手に入れたのかよ。どこまで進化するんだ?あんたは」

ほむら「それは、まどかを愛してるから、かしらね」

さやか「まどかを?」

ほむら「愛は時を越えるって言うじゃない。それだけよ」

さやか「ふーん、戦いが終わったらゆっくり聞かせてよね」

ほむら「はいはい、来るわよ」



杏子「いっちょ、かましてやるぜ!」



マミ「私の大切な人は、私が守る!」



さやか「仁美、恭介、がんばるよ」



ほむら「………」



ブーーーーーーー

パオーン、ドスん、ドスん

ほむら「今度こそ、決着をつけてやる!」

まどかの温もりを感じる。

ほむら(まどか、見守っていてね)

がんばれ、ほむらちゃん……

ほむら「私からお見舞いしてあげるわ!」

ドスドスドス、ドスドスドス

キュイーン、カシャ

ワルプルギス「」

ほむら「はぁっ…!」

バァン、ヒュ
バァン、ヒュ

ワルプルギス「」

ほむら「まだまだよ!」

バァン、ヒュ
バァン、ヒュ

ほむら「こんなものね。」

カシャ

スドドドドー

ワルプルギス「アハハハハハ」

ほむら「はぁっ!」

固定砲に魔法で打つように指令する。

どれも当たるのだが、効果を感じられない。

ほむら「まだ、私の攻撃は終わってないわよ!」

ブロロロロロロロ

タンクローリーに乗り、頃合いに、離脱する。

バアァァアアン
ドゴォォオオオ

重い音が続くが、まだ攻撃が終わったわけではない。

対空ミサイル

これが私の中で最強の火力

ほむら「全弾あげるわ!」

ミサイルというだけあり、追尾機能もあるので、外すことは無かった。重い音が立て続けに起こる。

ほむら「ふぅ…」

3人の元へ戻る。

杏子「すごいな、魔法少女なんてやめて、爆発少女にしろよ…」

ほむら「絶対お断りだわ」

マミ「それでも、あの火力で笑っているなんてね…」

ほむら「あいつは見ての通りすごいタフよ」

さやか「爆弾少女ほむら☆マギカ」

ほむら「殺すわよ?」

ほむら「私の攻撃を受けてもピンピンしてるわ。私にはもうあいつに立ち向かえる武器がない。せいぜい使い魔を倒すしかできないわ。マミ、杏子、ワルプルギスは頼むわ。さやかと私は使い魔を」

杏子「おう、りょーかい」

マミ「わかったわ」

さやか「オッケー」

なぜか、杏子が不敵に笑っている

杏子「親父、ありがとう」

マミ「佐倉さん?」

杏子「マミ…いや、マミさん」

マミ「え?」

杏子「私はまた、あの魔法を使えそうだ。ロッソ・ファンタズマ!!!」

マミ「!!」

杏子がみるみる内に増えていく。総勢20人弱と言ったところか。どれが本物か魔力も容姿も似ていて分からない。

マミ「私も、負けてられないわね」

杏子「いくぜ!マミ!」

マミ「ええ!」

二人がワルプルギスに向かって真っ直ぐに飛んでいく。

杏子「へへ、これでおとなしくしときなって。編み込み結界!」

本物の杏子が展開した結界に分身が突っ込んでいき、ワルプルギスに巻き付く。

マミ「大人しく、やられてもらうわよ!ティロ・フィナーレ!!!」

杏子「マミ!いくぜ!」

マミ「ええ!佐倉さん、お願い!」

マミ・杏子「「ティロ・ランツィア!!」」

効果はあるようだ。ワルプルギスは彼女達に任せよう。

ほむら「さやか、私たちも」

さやか「OK、派手派手しく名前言っちゃうよー!」

ほむら「勝手にして…」

さやか「スクワロタトーレ!!スプラッシュスティンガー!!スーパータイフーン!!」

ほむら「そのヤル気が空回りしないようにね…」

さやか「うぉぉぉおりゃぁぁああ!」

ほむら「勢いがあるのはいいけど、後ろも確認しなさいよね!」

さやか「うお、サンキュ♪」

ほむら「いくわよ!」

さやか「オーケー!」

ほむら・さやか「「はぁぁあああ!!」」

雑魚も蹴散らせる。今回こそ!

ーーーー

まどか「みんな、戦ってるんだね…」

QB「やあ、まどか」

まどか「なに?キュウべぇ」

QB「君はワルプルギスの夜と戦わないのかい?」

まどか「え?契約しろって言うの?」

QB「単刀直入に言うとそうなるけど、ワルプルギスの夜には彼女達だけじゃ手に負えない。ワルプルギスの夜はね、別名『舞台装置の魔女』と言われているんだ。つまり、今のこの状況は、彼女の演劇物の一部でしかないんだ」

まどか「ほむらちゃん達が、悪っていうシナリオで?」

QB「いや、元々街を壊すつもりでいるから、自分が悪者と思っているようだよ。だから、手加減も何もしない」

まどか「そっか…」

QB「君はこのまま、またほむらに時間を遡らせていいのかい?」

まどか「私がキュウべぇと契約して、あいつを倒してもその反動で私が魔女になっちゃうんでしょ?」

QB「そうだね、だいたいそうなるだろうね」

まどか「だったら、あなたとは契約しないよ。ほむらちゃんとの約束でもあるし、これ以上悲しませるのは嫌だよ…」

QB「だけど、どの道君が契約しないなら、この街は滅ぶ。そうなれば、時間を遡るんじゃないかな」

まどか「私は、信じるよ。ほむらちゃんと、ほむらちゃんと出会ってきた私を…」

QB「そうかい。彼女達の戦いを見たいなら外に出るといい。ボクはいつでも待ってるから。宇宙のために死んでくれる覚悟ができたら呼んでほしいよ」

まどか「………ほむらちゃん、帰ってくるよね?私を一人ぼっちにしないよね?」

ーーーー

杏子「へへ…そろそろグリーフシードもやべぇな」

マミ「あれだけあったのに、こんなに使うとはね…」

杏子「へっ、でも、やっぱあんたとは気があうよ。いくぜ!」

マミ「そうね…互いが互いの手を分かってる証拠だわ。行きましょうか」

チャキチャキ……

さやか「ほむら!大丈夫!?」

ほむら「さやかこそ、怪我はない!?」

さやか「もちろん!でも、そろそろグリーフシードも少なくなってきたよ」

ほむら「そう、それでも、あの二人の攻撃を途絶えさせてはダメよ」

さやか「うん!うぉぉぉおりゃぁぁああ!」

ほむら「はぁぁあああ!!」

使い魔の波が途絶えた時だったか。いきなり雲の流れが速くなり、空の色が一段と黒く変わった。

ほむら「な!?」

さやか「雲の動きがさっきよりも活発!」

何かの予兆なのだろうか。ワルプルギスに目を向けると…

ほむら「ワルプルギスが回転してる?」

さやか「?あ、ホントだ…」

ほむら「今からが、あいつの本気だっていうの?」

さやか「そんな…」

杏子の鎖も巻きついたと思ったら壊されるために、意味を成さない。マミもリボンで、とやっているが、すぐに千切れて、こちらも意味を成さない。

ほむら「あいつの本気は…攻撃すら当たらないというの…」

さやか「あはっ、どんだけチートなのよあの魔女は」

ほむら「杏子達がこちらに来るわね」

杏子「どうなってんだ!?ここからどうすりゃいい!?」

ほむら「お、落ち着いて」

マミ「この回転することは知ってたの?知らなかったの?」

ほむら「知らなかったわ。今までに一度もそんな素振り見せなかったもの」

マミ「なるほど、つまり今のワルプルギスは主演の座を守ろうとしているってわけね」

ほむら「え?」

マミ「あら、知らないの?ワルプルギスっていうのは別名…」

ほむら「そう、だったの。」

マミ「どうしましょう…」

さやか「考えている暇はないよ…」

ほむら「くっ」

さやかの指差す方向では、ワルプルギスがこちらに向かっている。恐らく魔法少女の魔力をサーチしているのだろう。

ほむら「使い魔は極力無視!ワルプルギスに突撃!」

マミ「捨て身の覚悟…ね」

杏子「あいつがどんだけ力を使ってこようと、こちらに負けるという要素はないね。何せ、こっちの方がずっとつぇえからな!」

さやか「本気だろうと、なんだろうと、私は正義を貫いてみせる。バッドエンドで終わる物語なんて、私が壊す!」

3人がそれぞれの意志でワルプルギスへと突進してゆく。
だが、そう甘くはない。

ワルプルギスが回転しきった時、衝撃波のようなものが3人を襲う。

3人「「「!?」」」

瞬く間に3人は地面へとひれ伏す。

ほむら「大丈夫!?」

杏子・マミ「」

二人は意識がない。ソウルジェムは濁ってはいるものの、砕けてはいないので、死んではいないようだ。

さやか「ほ…むら…」

ほむら「さやか!大丈夫なの!?」

さやか「あはは、体の方は大丈夫。意識があるのも、治癒能力が人一倍だからかもね」

ほむら「でも、みんながやられたら、私には成す術がないわ…」

ほむらの持つ盾。これには二つの効果がある。
一つは、今までやってきた時間止め。
二つ目は、盾の中で落ちる砂時計が完全に落ちた時、盾を回せばまた1ヶ月前へと戻る。

そして、盾の砂時計が落ちきった時にはもう時間止めは使えない。
つまり、もう時間遡行しかできない。

ほむら「また、またなの…いつまで、いつになったら私は開放されるの?」

さやか「あんた、まさか」

ほむら「さようなら…」

さやか「!待ちなよ!」

ほむら「なに…もうこれ以上あいつに勝つ術は無いのよ?今回の経験を次回に生かしてみせるわ」

さやか「私はそんなことを望んでいなし、まどかだって望んでないはずだよ!」

ほむら「そんなことは分かってる!」

さやか「分かってない!分かってないから時間を遡ろうとしてるんだ!」

ほむら「……」

さやか「まだ、誰一人として死んでないんだよ?まどかだって、契約すらしてない。あんたが望んだ通りになったんじゃないの?」

ほむら「でも…もう勝てないじゃない」

さやか「だったら、勝手にすればいいよ。私は一人でもまどかを、恭介を、仁美を救ってみせる。あんたには、次があるかもしれないけど、ここにいる私達に、次なんてものはない」

ほむら「……」

さやか「あんたが次に会う私は、わたしじゃない。まどかもそうなんだよ?」

ほむら「……」

さやか「あんたが勝てないと勝手に決め込んだんなら、どうぞ、私達を見捨ててどこにでも行けばいいよ。」

ほむら「そんな…」

さやか「まどかを…守ってやるって、愛は時を越えるって言ったのは、あんたじゃないか。なら、証明してみてよ。それとも、そんなこともできないぐらいに、あんたは弱いわけ?」

ほむら「………ふん、好き勝手に言ってくれたものね」

さやか「まだあいつが避難所に着くまでには時間がある。焦らずに、急いで覚悟を決めるんだね」

ほむら「もう、決まってるわよ」

ほむら「私は、私は、自分の都合ばかり考えていたわ。まどかのため、まどかのためと言いながら、結局は自分にいいように転ばせるためにやってたんだと。だから、失敗したら時間を遡るという形でいままでのあなた達を置いてけぼりにしてきた。」

ほむら「ふふ…なんて愚かなの暁美ほむら。こんなことで、大切な人を救えるわけないじゃない。そうよ、私は彼女を、まどかを愛してる。その気持ちに揺らぎはないわ。」

ほむら「まどか、私に力を貸してくれないかしら。今までの想い、全て込める」

…………ほむ……らちゃん

…………あり……がとう

ほむら「さやか」

さやか「はい?」

ほむら「その二人を治療してあげて。でも、復活しても私に全て任せて欲しい」

さやか「そっか…分かったよ」

温かい。さっきよりもずっと身近に感じることができる。今なら、鹿目まどかの力を引き出せるかもしれない。

ほむら(まどか…いくわよ)

…………うん………私が力になってあげる
…………頑張って……ほむらちゃん

胸に響く声をそのまま受け止め、最後に

ほむら「まどか!愛してる!!!!」

すると、卵型のソウルジェムが変形した。

ハートの形になって、紫とピンクで分けられている。その接合部分でも、またハートを描いている。

ほむら「まどか、行きましょう」

腕に付けてあった盾には、砂時計がある意味復活している。それも、無くなることのない、永遠を描くという形で。そして、その中から一組の弓矢が現れる。

ほむら「ふふ、もう私に武器がないことはお見通しってわけね」

弓を引き、矢を放つ。こんな単純な動作でも、テクニックというのは存在する。できるだけ重心は傾けない方が良い、とか。でも、私にとってのテクニックはそんなものじゃない。そんなことを気にしていたって、ワルプルギスには勝てない。ここでのテクニックと言うのは、信念、思い、根性、つまりは心。

弓の弦を引くという動作を頭の中で想像する。その後に、矢が勢いよくワルプルギスに当たり、風穴を開ける。


ワルプルギス「アハハハハ!アハハハハ!」

ほむら「その薄気味悪い笑い声、もう出ないようにしてやるわ」

バッ!

矢が放たれる。それが綺麗な弧を描き、ワルプルギスへと命中。

ワルプルギス「アハ?」

勢いがあり余ったのか、体、歯車を貫いてからも消えるまでだいぶ時間がかかった。
とはいえ、数秒なのだけど。
ワルプルギスは主役を取られると思ったのだろうか。怒ったように攻撃を浴びせてくる。

ほむら「あら、残念ね。あなたの主人公補正より、私のヒロイン補正の方が高いみたいよ?」

衝撃波やらビルやらが無数に襲ってくるが、全て私に当たる前に消え去る。いや、中和されるといったところか。

ほむら「そろそろ、諦めましょう?あなたには、私に勝てない。絶望の塊よりも、愛することの方がよっぽど上に位置することを、その身を持って味わうといいわ」

弓の弦を引き、矢を放つ。それを何回、何十回、何百回と行う。

ワルプルギス「アハ…」

だが、さすがの主人公補正が効いている。どれだけやられても、しぶとく生き残る。

ほむら「まどか、最後、一緒に…」

姿こそ見えない。だけど、私には分かる。まどかが私のことを応援しているのだと。

ほむら「これで、トドメ!」

最後の矢が放たれる。見事に命中し、歯車も何もボロボロに砕け散った。

………ほむらちゃん
………今まで、お疲れ様。
………これからも、よろしくね。

倒した余韻に浸っていたが、すぐに現実へと戻される。その原因は、

まどか「ほむらちゃーん!」

愛する恋人の呼ぶ声だった。

ほむら「まどか」

まどか「ほむらちゃん、倒したんだね!」

ほむら「ええ、ようやく。私の辛い日々はおわるわ。あなたのおかげよ。まどか」

まどか「えへへ、私は何もしてないよ。今までほむらちゃんが出会ってきた私のおかげだよ」

ほむら「あら、そんなことないわよ?あなたがいなければ、ワルプルギスには負けていたわ」

まどか「うん、本当に、お疲れ様ほむらちゃん」

ほむら「改めて、お付き合いしてくださるかしら?まどか」

まどか「うん!」

ほむら「ふふ、ありがとう。まどか」

さやか「ほむらー!どこにいったー!?」

杏子「労いの言葉一つぐらい言わせろー!」

マミ「暁美さん!」

ほむら「あら、騒がしいわね」

まどか「えへへ、ほむらちゃんが頑張ったからだよ」

ほむら「そうね、騒がしいぐらいが丁度いいわね」

ほむら(でも、その前に)

ほむら「まどか」

まどか「ん?……っ!?」

振り向きざまに彼女の可愛くて、柔らかい唇を再度奪う。

ほむら「………ふぅ」

まどか「………ぷはぁ、いきなりは、ビックリなんだよ、ほむらちゃん」

ほむら「ごめんなさい、でも、彼女達に気付かれる前にやりたかったの」

まどか「そっか、えへへ」

ーーーー
これで、私の辛い試練は終わった。そのご褒美と言わんばかりの温かさが、私を、いえ、私達を包む。
これからは、彼女と共に人生を歩む。辛いことも起きるだろう。でも、私にとってそんなものは、彼女を見捨てるより全然楽で仕方ない。
ーーーー
プロローグ 完
 
 

 
後書き
とりあえず、ワルプルギスさんバイならしました。
あまり計画してないですが、日記風にして行きたいと思います。 
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