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鉄槌と清風

作者:deburu
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18部分:17:良彦の目覚め


17:良彦の目覚め

 目が覚めた時に見えたのは、白い天井で。

 「…何処だ、此処?」

 それが良彦の最初に疑問…記憶はザフィーラに倒され蒐集された部分で途切れ、夢で得た多分先祖の記憶と知識は、なんというか、並列思考で読み出せる辞書のようで、今一実感が薄い。
 とか、考えて、部屋を見渡してみると、清潔な感じに白をメインにした部屋で、あまり大きくない…病室か?、と思ったとき。
 ふしゅっという、何かが抜けるような音がして、扉らしき所が開く。

 「あぁぁぁー、よしくん、起きてる!」

 そちらに顔を向けると、驚いて、駆けてくる幼馴染…なのは…と、その後には、長い金髪をツインテールにした同じ年位の少女と、オレンジの長髪をした女性、ただ耳と尻尾が付いてるので守護獣だろうと良彦は判断した。
 それともう一人、此方も金髪の少年が一人、更にその後から入ってきている、のを確認した段階で、良彦に衝撃。

 「っつぁーっい、何するんだなのは!」

 「あぁ、ごめん、驚いて止まるの忘れてた」

 忘れたというより…駆け出して止まろうとしたが止まりきれなかったという所なのだろう、なのはの運動神経は悪い意味で切れてるから。

 「ったく、気絶するくらいは、恭にいたちと修行しててもあったろう?」

 「ちがう、ちがうよ、よしくんは3日寝込んでたんだよ!」

 「……は?」

 「3日寝てて、起きなかったの、お医者さんは、体には問題ないし、リンカーコアも回復してるから、なんで寝てるかわからないって…あ、ただ、最初の頃は脳波がなんちゃらで、夢みてるんじゃないか、っていってたよ」

 細かい説明は、多分されてもわからないので3日寝ていた事実だけで十分だが…

 「3日も修行さぼったのか…?」

 なぜかそんなことに愕然とする良彦。

 「ちがうでしょ、驚くのそっちじゃないよ!」

 「何言ってるんだなのは、3日だぞ3日、一日サボるとその分取り返すのに3倍かかるんだぞ、てことは元に戻すのに9日かかるんだぞ?」

 「うにゃー、この修行馬鹿ー」

 と、良い感じに混沌としてきた所へ、助けが現れる。

 「あの、なのは…起きたなら看護士さん呼んだ方がいいんじゃ、ないかな?」

 金髪の少女の控えめな進言。

 「あぁ、そうだった、ありがとうフェイトちゃん」

 それに、ようやく気付くなのは、呼びにいこうとして、既に廊下のほうから医者と看護士がはいってくる所だった、金髪の少年もいるから、彼が呼んできたのだろう。
 一旦良彦以外が部屋をでて、医者がよくわからない機械で良彦を診察…結果、リンカーコアも、体も何も問題ないとのことで、再度先ほどの皆が入ってくる。




 今度は落ち着いていたなのはから、皆の紹介をうける。
 金髪ツインテールの少女が、フェイト・テスタロッサ…思い出したのは以前見せてもらったビデオレター、良彦もなのはにたのまれ、それで自己紹介とか送ったな、と思い出した。
 オレンジの髪をした、守護獣がアルフ…フェイトの使い魔だそうだ、ミッドでは使い魔っていうんだっけと、以前クロノから教わった事を思い出す。
 金髪の少年は、ユーノ・スクライア…なのはに魔法をおしえた少年で、結界魔導師とかいうらしい…あの砲撃とかおしえたのか、と驚いたら、魔力コントロールや魔法自体について教えただけで、砲撃とかはなのはの努力のものだと知った。

 「なるほど、じゃぁこっちも…なのはから聞いてるかもだけど、八坂良彦、9歳だ…ベルカ式の魔法を使える、あっと、良彦でいいぞ」

 「よろしくヨシヒコ、ベルカ式って今回なのはを襲った相手もたしか?」

 「そうだね、よしくんで知ってたからそこは驚かなかったんだけど、あの子強くて、後カートリッジで上がる魔力があそこまでとは思わなかったから」

 「あー…俺カートリッジあんまり使って無いしな、魔力込め面倒だし、カートリッジ入れ替えも面倒だったから」

 そう、只でさえ管理局のカートリッジは規格にあわず、良彦の手元にあるのは12発、しかも自動射出すると拾うのが面倒で取り出しも再装填も手動なのだ、結果良彦はあまりカートリッジを模擬戦などで使わなかった。

 「そういやさ、デバイスからしてミッドとベルカじゃ違うんだよね、ベルカのは実際どんな感じなのさ?」

 「確か、ベルカ式はアームドデバイスっていったよね、あの時の相手が持ってたのは剣と槌だったと思うけど、アルフが相手した使い魔は素手だったね」

 アルフが疑問をなげ、ユーノが見た事を話す。
 一旦考えてから良彦は

 「基本、ベルカのアームドデバイスは、魔力が無くても十分武器として使えるし、頑丈だ…カートリッジシステムの上昇する魔力を用いた攻撃に普通のミッド式の杖とかだと耐えられず自壊することもあるみたいだけど」

 クロノから教わった事と、自分の知識を混ぜて教える。

 「そのためか、アームドデバイスを使うベルカの魔導師は、おのずとそのデバイスを武器として使う武術を修めてることが基本になる」

 「じゃぁ、少なくても相手は剣術と、槌を使う武術、後は無手の体術なんかが使えるってことかい?」

 「そうなるなぁ…俺も無手の方だけどな、デバイスがこれだし」

 ベット横にあったミニチュアの籠手を見せながら、苦笑。

 「これがヨシヒコのデバイス、なんだね…名前は?」

 「ゼピュロスだよ、かなり古いけど今でもしっかり使えるご先祖様の贈り物、かな」

 フェイトの問いに答え、微笑。
 それにユーノが反応する。

 「ご先祖様って、どういう事、というかそもそもヨシヒコって、地球の人なのに何でアームドデバイスと魔法を?」

 「なんか、家にずっと伝わってた箱があったんだけど、夏休みはいって直ぐにそれが開いて、中にはいってた…んで、なんとなく使い方が判ったから使ってたんだけど?」

 「普通は、それじゃ使えないんだけどね、まぁなのはも似た感じだけど」

 その答えに苦笑するユーノ。

 「なんか、普通じゃないって、言われてる気がするよ」

 「いや、言われてるだろ、確実に」

 「ち、ちがうよ、規格外だなとは思ってるけど」

 「やっぱり、普通じゃないって思ってたんだ!」

 じりじりとユーノににじり寄るなのは。

 「…ごめんなのは、私も話を聞いたとき普通じゃないっておもったよ」

 其処に横からフェイトが一撃、崩れ落ちるなのは。

 「ま、ヨシヒコも回復してよかったじゃないか、なのはもかなり回復してるし、レイジングハートもバルディッシュももう直ぐ治るんだろ?」

 少し笑いながら、なのはを立ち上がらせるアルフ。
 その言葉に、良彦が

 「そういえば、何があったんだ、あの日」

 4人に向かって問いを投げかける。

 それに答える4人…最初は赤い髪の少女…敵同士の会話でヴィータと言う名前は判明…からなのはが襲撃されたこと、その猛攻で、後少しで倒されそうになった事。
 其処へ、裁判も終わりなのはに合いに着ていたフェイト、アルフ、裁判の証人として本局へいっていたユーノが、襲撃されているのを知り援護に、ぎりぎりでなのはを救出。
 逆にヴィータを追い詰めたが、更なる増援…剣を使う女性、フェイトとの戦闘中に名をなのったらしい、烈火の将シグナムと…と使い魔が一体。

 これをフェイトがシグナムを、使い魔、ベルカでいう守護獣をアルフが、ヴィータをユーノが相手取るのだが、おされ気味な上、転送しようにも結界が厚くできない。
 救援され、小型の守護回復結界にいたなのはが、スターライトブレーカーで、結界を撃ち抜くことを決め、カウントダウン開始。
 カウント終了直前に、突然なのはの胸から手が生え、リンカーコアから魔力を奪われる…が、そのままスターライトブレイカーを撃ち、結界を破壊。

 結界を破壊された敵は、それぞれ撤退し、魔力を奪われたなのはと、自宅付近で同じような状態だった良彦…なのはやヴィータ達の戦闘とちがい、此方はあまり大きな魔力の動きが無かったため、なのはの方が決着した後発見された。
 ふたりを、時空管理局本局へと移送し、医務局で検査休養させた、というのがあらまし。

 また、アースラが整備中で、他の艦船も借りれなかった為、地球のとあるマンション…翠屋にほど近い…に、仮設ながら指揮所を、他のクルーも数班に分かれて、海鳴りに滞在しているそうだ。
 どうやら、魔導師の連続襲撃事件が地球を中心に起こっているため、それの担当になったアースラスタッフが動きやすいようにらしい。

 それを聞いて良彦は、守護騎士が蒐集をしている事に気付く、リトの残した記憶がそれを教えてくれる。
 記憶を毎回抹消される彼らは、書の完成が主…はやてだろう…を死へ追いやる事を覚えていないはずだ、そして、はやての性格からして、蒐集をはやてが望んでいるとは思えない。
 さらに、守護騎士達も命じられず、自分から蒐集するとは思えない、ならばなにか緊急事態がおこったのか、と思うが…実際に話さないと其処はわからないと考える。

 できれば、誰かと一対一ではなせれば…だが、ザフィーラが動いていた、倒された時の此方の言葉で、良彦が相手に気付いたのはばれた可能性が高い。
 それ以前に、夜天の主がはやてと判れば管理局もほうっておかないだろう、守護騎士と全面戦争になりかねない。
 ならば、何処かで彼らと話すしかない…結局は、自分も彼らの逮捕に協力するのが一番か、と考えを纏める。

 「なるほど…なら俺もクロノに頼んで手伝うかな、自分を倒した相手とか、きっちり捕まえたいしな」

 「私も協力するってクロノ君にいってあるよ、レイジングハートももう直ぐ戻ってくるし」

 「これで人数的には、こっちが一人多いから、動きもとりやすいね」

 「あぁ、今度あったらぶっちめてやる」

 「気をつけてね、僕は支援とかしかできないけど」

 5人がそれぞれ意志を固め、守護騎士に対し相対することを決めるのだった。
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地味に戦っていたので救援は遅れた感じです、使った魔法が極端にすくないですし…で、まぁ良彦の思考はリトの知識と経験が混ざるので一寸大人びています。

次回は、カートリッジを搭載したレイジングハートとバルディッシュが戻ってきた時の戦闘でしょうか…誰対誰にするか、微妙に悩ましいですが、多分本来とは違う組み合わせになります。
 
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