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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~

作者:biwanosin
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短編 あるお盆の物語 ⑭

「え~では。今回のお盆大騒動は今までにない大騒動となりましたが、誰も重傷を負うことなく、」
「俺、心臓がなくなったんだけど。」
「・・・誰も欠けることなく終えることが出来ました。では、乾杯!」

途中一輝による無駄口が入り、光也は無理矢理に〆て打ち上げを開始した。

「それより一輝、心臓がなくなったとはどういう意味だ?」
「それ、私も気になったんだよね~。どういうことかな?」
「教えて、ください・・・」

席組みは班毎にテーブルに着き、その他の今回働いたものは大きなテーブルについているので、一輝は先ほどもらした件について質問されている。

「あー・・・口を滑らすんじゃなかった・・・」
「それ、私も聞きたかったです。治しはしたけど、どうやったらあんな傷になるです?」
「そして、ビャクはどうしてここにいる・・・」
「あ、光也にこちらに来ていいといわれたです。いいです?」
「一輝に問い詰めるのを手伝うならば。」
「分かったです。」
「オイ、何故敵が増える?ってか、仲いいな。」

どんどん一輝に不利な状況が出来上がっていく。
そして、さすがにしらばっくれるのは無理だと判断し、一輝は簡単に、腕を落とすために仕方なくくらい、それからは能力で血液循環をしていたことを話した。

「「「「相変わらず無茶を・・・」」」」
「異口同音に言われるほどしたか、俺!?」

そのタイミングで料理も届いたので、五人はそれを食べ始める。

「私が知ってる中で一番のは、ウチのお婆ちゃんに真正面から意見言ったことかな~。」

土御門の家はかなり強い立場にあり、さらに言えば殺女の祖母は引退さえしていなければ席組みの第四席には納まるような人だ。
もちろん、一輝がした意見とは、その祖母に対して反発するようなことである。

「私が知っているものだと・・・席組み七人に対して武器もなし、能力もなしで戦ったことだ。」

これは、一輝が席組みに入った際に行った力試しのことだ。
一輝はその際、ただひたすらに体術、剣術だけで今の第四席~第十席に圧勝している。

「私は・・・そもそも白澤に喧嘩を売ったことが・・・」

これはもちろん、一輝が名を失った際のことだ。

「私は、私をこうして普通に生活できるようにしたことです。」

前回さらっと出したが、ビャクの本質は鶺鴒(にはくなぶり)という、日本で唯一人間と共に生活している霊獣である。
そして、そんなビャクに一般常識を教え、監視期間中、そして今担当につき、一度暴走したときには殺さずに正気に戻す、などの全てを行ったのが一輝だ。

「・・・確かに、そういわれてみれば少しは無茶をした気も・・・」
「「「「少しじゃない。」」」です。」
「?」

一輝は本気で首をかしげながら、箸を進めていく。
現在、十皿制覇だ。

「まあまあ、そんな話は置いておきましょうよ。せっかくの打ち上げですから。あ、このジュース、席組みのテーブルに配っているので、皆さんでどうぞ。」

そして、五人のいるテーブルの雰囲気は瓶を四本持ってきた光也によって打ち壊された。

「あー・・・俺はドリンクバーでいいや。俺の分は飲んでいいぞ、ビャク。」
「はいです。ありがとうです。」
「口調は相変わらず直らないねえ・・・ま、直す必要はないと思うけど。」

一輝はそう言って、ドリンクバーをとりに行った。
そして、瓶を開けた際に漂った匂いに気づくものは、誰もいなかった・・・



            ===============



「さて、何を飲もうか・・・炭酸で腹膨らませるのもなんだし、オレンジジュースでいいか。」

一輝がそう言いながらジュースを汲んでいると、豊が通りすがり、一輝に話しかけた。

「オイ『型破り』。少しいいか?」
「内容次第かな。まあ、オマエから話しかけてきたなら内容は絞れるけど。」

一輝はそう言いながらも、ドリンクが汲まれていくグラスから目を逸らさない。

「では、内容だが・・・“神成り”、と言う奥義についてだ。」
「・・・また、答えるのが難しそうなのに目をつけたな・・・」

一輝はゲンナリ気味になりながらも、断らない。

「何か質問があるのか?それとも、全体的な説明?」
「そうだな・・・全体的な説明の後に、質問をさせてもらおう。」
「欲張りめ・・・」

一輝は今汲まれた物を一気に飲み干し、次はアップルジュースを汲み始める。

「まあ、特に面倒な説明はないんだけどね。本当に単純に説明すれば、名前の通り、神になる奥義。」
「無論、それくらいは分かっている。俺が聞きたいのはそんなことではない。」
「だろうな。まず大前提として、檻の中に神が封印されている必要があり、その封印されている神になる奥義。」

一輝は一度呼吸を置き、説明を続ける。

「この奥義を習得する方法は二つ。まず一つ目に、奥義覚醒の際にぬらりひょんから与えられる。もちろん、ぬらりひょんの気分にすら影響されるから、この方法で習得したのは歴代でもたったの四人。」
「では、二つ目のやり方は確実なものなのか?」
「ああ。成功すれば、手に入れることが出来る方法だ。まあ、難易度が半端ないけど。」

一輝の口調は、くだらないことを話す口ぶりだ。

「その分、複雑なことはないんだけど。なんせ・・・神を単独撃破し、封印する(・・・・・・・・ ・・・・)だから。」
「・・・は!?」

豊は心底驚いた、と言うリアクションをし、一輝はそれを満足そうに見る。

「ちなみに、この方法で習得したのはこれまでに一人もいない。強いて言えばこの奥義を編み出した七代目がそれに近いけど。」
「なら、何故その方法があると分かる?」
「七代目に、ぬらりひょんがそう教えたらしい。」

一輝は、「ついでに言うと、」と説明を続ける。

「神を殺した場合にはその瞬間に神成りが発動し、その余波により全ての奥義を習得できたりもするらしい。」
「・・・ちなみに、それに理由はあるのか?」
「神成りが発動するのは、檻を神を封印できるだけの状態にするため。全奥義を習得出来るのは、神様相手に通用するほど奥義の封印が強くないらしい。」
「封印製なのか・・・」
「ああ。だから鬼道の一族は、奥義を与えられるってよりは、奥義の封印を解いてもらう、ってのが正しいらしい。」
「そうか・・・もういい。答えの全部を聞いてもつまらないしな。」
「じゃ、俺はもう行くな~。」

一輝はそう言って、自分達のテーブルに戻っていった。
途中から嫌な雰囲気を感じながらも、臆することなく。



            ==============



「なんでこうなった・・・」

一輝はテーブルにたどり着くと同時に、そうもらした。
それはもう、本心から。

「あ~一輝さ~ん。か~ず~き~さ~ん!」
「すぅ・・・すぅ・・・」
「あはははは!カズ君だカズ君だ!あははははは!!」
「よいぞよいぞ!もっと酒を持ってこ~い!」

テーブルには、酔っ払いが三人出来上がっていた。
まだ一人眠っていることが一輝にとって救いになるレベルの、酔っ払いが。

「原因は、その瓶だよな・・・光也のヤロウ・・・」

一輝はとりあえず自分の席に付き、バランスを崩して床に頭を打たないようにと、隣で眠っている匁の頭を自分の太ももの上に置く。ようするに、膝枕だ。

「む、一輝ではないか。おんしも酒を飲め!酒はよいぞ!」
「なるほど、ビャクは酔っ払うと昔の感じに戻るのか。そして、俺は酒を飲まん。断じて飲まないからな。」
「断じて、だって。あははははははあはは!」
「え~。飲みましょうよ~。お酒、美味しいですよ~。」
「殺女は一体何が面白いんだ何が。で、美羽は性格変わりすぎだろ。酒に飲まれるなら飲むなよ・・・」
「いえ、彼女達は何も悪くないんじゃないですかねえ?」

一輝が頭を抑えていると、後ろから光也がやってきた。

「オイ光也。オマエが渡したのは酒だよな?」
「ええ、お酒です。大体、普通のお酒の五倍くらいのアルコール濃度となっております。」
「普通に飲んだら危ないレベルにいってないか、それ!?」
「大丈夫ですよ。普段から自分の身に神の力の一端を宿している土御門さんや神の血を引く匂宮さん、霊獣であるビャクさんはこれくらいで危ない状態にはなりませんよ。」
「今俺の脚で寝てる匁はどうなるんだ!」
「瓶を見たところ、少量しか飲んでいないようですし、問題ないでしょう。」

一輝が匁の前にある瓶を持つと、そこには確かに、かなりの量が残っているのが確認できた。

「どうしてこんな面倒ごとを・・・」
「はっきり言ってしまえば、そちらのほうが面白そうですし、何より彼女達のためになるかな、と思いまして。」
「むしろ、俺なんかに酔っ払った姿を見られるのは嫌なんじゃないか・・・?」
「そうですかねぇ・・・では、私はこの辺りで。」
「まて、原因はオマエだろ。オイこら、こいつらを俺一人に押し付けんな!」
「一緒に飲みましょうよ~一輝さ~ん。」
「そうだよぉ。美味しいよぉ?」
「うむ。(わらわ)手ずから飲ませてやろう。」
「くっつくな!色々あたってんだろ!三人とも自分達のスタイルと格好を考えろ!あと、ビャクについてはそんな喋り方するのを見るの初めてだぞ!?まさか、前世まで引っ張ってんじゃないだろうな!?」

三人のスタイルとしては美羽が一番大きく、ビャク、殺女の順に続く。
そして、アルコールを摂取したことで体温が上がっていたせいか服は軽くはだけている。

そんな感じの大騒ぎは、三人全員が酔いつぶれて眠るまで続き、次の日に一輝の家で目を覚ました四人は、激しい頭痛に悩まされることになった。



          =================



「へえ・・・本当に来たんだ。」
「そりゃあ、な。」
「引き摺り下ろす降ろさないは別として、実力くらいはしっておきたいのですから。」

一輝の目の前に、人形遣い二人が現れた。
一輝から伝えてもらったことにより、次の日の朝、すぐにこの二人は一輝の下に来たのだ。

「じゃあ、始めようか、二人と」
「「人形劇、悲劇!“黄泉祈念”」」

一輝が言い切る前に、二人は一番の大技を放ち、

「オイオイ・・・話しくらい最後まで聞けよ。」

陰陽術も、“無形物を統べるもの”も使わず、一輝の腕の一振りで防がれた。

「でもまあ、予想よりはいい技だな。予想してたよりはやるじゃないか、人形遣いさん。」
「く・・・全部、全部出して物量で押しつぶすのです!」
「お、おう!ぜってーに勝つ!」

そして、二人は同時に出せる限り全ての人形、傀儡をだし、一輝に向かわせるも、

「鬼道流剣術、奔り。第四の型、走乱舞!」

一輝の、無双専用技によって全て破壊され、一輝に傷一つつけることすら出来ず、能力の一つも使わせれずに、帰っていった。
 
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