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lineage もうひとつの物語

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ギラン
  内通

ギラン西通りを歩く男女。
仲睦まじく男性の腕に女性が腕を絡めて寄り添うようにしている。
二人の名はナイルとフィオナ。
フィオナにレジスタンスに接触すると説明したところ「偽装のためだから」と、このような状態にもっていかれてしまっていた。
その様子を見て「二人の婚礼を済ませるために早く取り戻さないといけませんね」とナターシャは呟いたとか。

二人は露店の果物屋に来ていた。

「いらっしゃい!何かご入り用で?」

ナイルは

「これを用立ててくれないか」

と紙を渡す。
その紙を読んだ男の目が一瞬鋭くなるがすぐ普通に戻り

「まいどー!今から用意するんで待っててな」

と、色とりどりの果物を籠に詰め「オマケして50アデナだよ」とナイルに渡す。
お金を払い籠を受け取ったナイルはお礼を言い闘技場脇のベンチに二人で座った。

「さて、どれか食べるかい?」

そう言いながらリンゴを手に取りかぶりつく。
フィオナはイチゴを摘まみ口に放り入れる。
籠の奥を覗きこむと一枚の紙片が見えた。
それを果物でうまく隠しナイルはリンゴをほうばっていく。
「なるほどね」フィオナは思う。
先程渡した紙はゲラドからの紹介状でこの紙が返事なわけだ。
そこからは恋人のように振る舞いデートを装い然り気無く情報を集めたあと宿へ戻っていった。



宿の食堂兼待合所でハスランはティータイムを満喫している。
片手に本を持ち優雅な雰囲気を醸し出していた。
見ていると宿屋の一角とは思えないくらいだ。
そこに現れたのは戻ってきたばかりの男女。

「ハスラン、まるで王子様だぞ」

苦笑いを浮かべるナイルに対しハスランは

「普通にティータイムを満喫しているだけだが」

と自分の醸し出す雰囲気には気がついていない様子。
まぁいいかと果物の入った籠をテーブルの上に置き

「食うか?」

と口では乱暴だがハスランに合わせて優雅な身振りで果物を勧めるナイル。
フィオナは二人がどこぞの貴族ではないかと思える風景に見いっている。

「ありがとう、頂くよ」

そう言って伸ばした手に取ったのはオレンジ。
そして立ち上がると

「君達の邪魔をしてはいけないから外に出てくることにしよう」

と本を片手に持ち反対側の手でオレンジを弄びながら宿から出ていった。

ハスランは中央広場北にある井戸の近くの木陰に腰を下ろす。
本を開き読書を再開させるのだがそこには先程の紙片が挟まっている。
そしてそれを極々自然に栞を扱うかのような仕草で開いていく。
素早くそれに目を通し小さく折り畳んでオレンジの中に捩じ込む。
その後は片手でオレンジを弄びながら読書を再開した。


籠を手に取ったナイルはフィオナを伴い部屋へ向かって歩いていく。

「さて、今日の用事は済んだしどうする?」

フィオナはまだ紙を確認していないのに?と口には出さないが疑問符が浮かんでいる。
口元に笑みを作ったナイルは自分の部屋にフィオナを招き入れる仕草をする。
少し恥ずかしそうに部屋へ入ったフィオナを確認し扉の鍵をかけた。

カチャリ
背後で聞こえる施錠の音にフィオナは心臓の鼓動が早くなっていくのをハッキリと感じた。
「嫌じゃないけど心の準備がまだ」と思うが緊張で体が動かない。
ナイルの足音が近付き左肩に手が置かれるとびくんと体が反応してしまう。

「なーに緊張してんだ?ほら」

そう言ってナイルは籠の底を見せる。

「えっ?」

あの紙片がない。
どこで・・・・あっ!あのときか
覚えている限り籠と接触したのはここの二人とハスランのみ。
なんて人達なの
あのやり取りだけで事を成してしまうなんて。
ふぅっと息を吐き出すが状況が変わった訳ではないことに気付く。
立ち尽くしたままフィオナは固まっている。
ナイルは重要機密の受け渡しとこれから開示されるであろう内容で緊張しているのだろうとしか思いもしない。

「まぁ座って楽にしろよ。」

勧められるまま椅子に座り向かい合う。

「で、これからのことなんだが」

きたっ!

「目的は達成したし買い物でもいくか?」

そこでフィオナは誤解していたことに気付き顔を赤らめるも

「え、ええ、装備品を見てみたい・・・かな」




ナイルはフィオナの手を取り部屋を出ていった。






後で聞いた話だが鍵を閉めたのはナイルの癖らしい。


 
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