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『言霊使いと幻想郷』

作者:零戦
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第三十話







 季節は暑い日々が続いた葉月が過ぎて長月になっていた。

「暑い日々だったよな葉月は……」

「ゆ」

 俺とゆっくりは縁側で御茶を飲んでいた。まぁそれでも葉月の中旬くらいまでは暑いけどな。

「まぁあれだな。意外と言えば、魅魔が泳げない事だな」

「ゆゆゆ♪」

 俺の言葉にゆっくりが笑う。先日、妖怪の山の川で霊夢達と一緒に川遊びをしていたが、人間の脚を出して浮き輪を装備していた魅魔に霊夢と萃香がわざと川に落としたらまさかの溺れた。

 慌てて俺が救助して事なきを終えたがまさかの泳げない事が発覚したんだな。

「あの時は驚いたよなぁ」

「ゆぅ」

「そして魅魔に泳ぎ方を教えたが……あの胸は良かったなぁ……ゲヘヘヘ」

「……ゆ」

 おっと、これじゃあ俺が変態みたいじゃないか。

「変態じゃないか」

「げ、魅魔……」

 今日は人間形態の魅魔がいた。しかし何故裸足なんだろうか?

「悪霊の胸に興味があるなんて珍しいね。ほら、どうだい?」

「ぬほッ!?」

 むにゅっと魅魔が俺の背中に胸を押し付けてきた。

 こ、これは……良い。

「霊夢いるかしら?」

『ぬはァッ!?』

 ……び、吃驚した……。

「驚かすなよ紫さん」

「あら? 悪霊の胸に鼻の下を伸ばしていたのは誰かしらね?」

 紫さんが愉快そうに扇子で口元を隠している。まぁ、それはねぇ……。

「まぁ良いわ。それより霊夢いるかしら?」

「霊夢ですか。霊夢ぅ」

「……何よ誠兄」

「紫さんが呼んでるぞ」

「紫が? あら久しぶりねスキマ」

「相変わらずの毒舌ね霊夢。単刀直入に言うけど異変よ」

「……異変? 何が異変なの?」

 ……やっぱりな……。

「……分かってないの霊夢? 月よ月。月がずっとあの形なのよ」

 そう、ここ最近の月はずっと同じ形だった。普通なら有り得ない事だからな。

「元外来人である誠は直ぐに分かってたでしょ?」

「一応、月の満ち欠けが怪しいのは何となく分かってたな」

「え? 月の満ち欠けは月の勝手じゃないの?」

「いやいや違うから霊夢。月は地球の衛星でな……」

「地球? なにそれ?」

 ……そういや幻想郷の人間は地球とか知らんよなぁ。

「……これは説明するのがめんどいな。兎も角、この世界は幻想郷だけど、外界も含めたら地球という一つの星なんだよ」

「うーん、分かったような……分からないような……」

 まぁ霊夢にはまだ早いかな。

「まぁ、月がおかしいから異変なのよ。てなわけで行くわよ霊夢」

「えぇッ!? 今から行くの?」

「当たり前よ。何寝ぼけた事を言っているのよ。ほらほら行くわよ」

「ちょ、ちょっとぉ~~~」

 そう言って霊夢は紫さんに拐われるのであった。

「……さて、寝る準備でもするか」

「行かなくていいのかい?」

 魅魔がそう言ってきた。

「大丈夫だ。ゆっくりと萃香を寝かせてから行く」

 既にゆっくりは俺の頭の上で寝ている。それに居間では萃香が酔っぱらってグースカと寝ているしな。

「あたしも行くよ」

「行くのか?」

「まぁね。前回はスペカを出さずに終わったからね。そろそろあたしも戦いたくてうずうずしていたんだよ」

 魅魔がニヤリと笑う。まぁ魅魔もずっと神社にいたからな。

「そうと決まればさっさとするよ」

「ちょ、引っ張るな魅魔ってうわッ!?」

「何してんだい……」

「お前がこかしたんだろうが……」

 魅魔が強引に引っ張ったせいで態勢が崩れてこけた。ちょっと痛いな……。

 その後、布団を敷いてゆっくりと萃香を寝かせると俺と魅魔は境内にいた。

「さて、何処に行くんだい?」

「さっき紫さんが言っていただろ? 月がおかしいってな。目指す場所は永遠亭だ」

「……成る程。そう言う事だね」

 魅魔も何か分かったようだな。

「永遠亭にいる輝夜と永琳は元々は月の住人だからな。何かしら知っている可能性はある」

「めんどくさいから犯人で良いだろ?」

「……それ、魅魔が戦いたいだけじゃないか」

「てへぺろ(・ω<)」

 ……想像してくれ。魅魔のてへぺろだ……案外良いな……。

「てなわけで永遠亭へレッツラゴーだ」

 俺と魅魔は永遠亭へ向かった。



「……あれ?」

「どうしたんだい?」

 此処……あったよな?

「……人里が無くなっているんだ」

「人里が無くなっている?」

 おかしいな……確かに此処は人里のはずなんだが……。

「出たな妖怪ッ!! ……って誠?」

「上白沢?」

 何故かそこへ上白沢が現れた……ってそうか、上白沢の能力か。

「人里が消えたのは上白沢の能力か?」

「あぁ。最近、月がおかしいから夜は人里を消していたんだ」

 まぁそれは仕方ないよな。てかいきなり人里が消えてたから驚いたな。

「さっき霊夢と八雲が竹林の方へ行ったぞ」

「そうか、俺達も竹林へ行く用事があるからな」

「そうか、なら早く異変を終わらせて宴会しようか」

「いいねぇ、また酒は飲み放題だ」

「悪霊は酔わないからな」

『ハハハ』

 上白沢の言葉に笑う俺達であった。その後、上白沢と別れた俺達は竹林へ向かうのであった。






 
 

 
後書き
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