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ドリトル先生の来日

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第二幕 日本という国をその二

「洋館にはね」
「そうなの」
「洋館はイギリスのお家に近いかな、いやフランスも混ざってるかな」
 そうした感じだというのです。
「まあヨーロッパのどの国って感じじゃないけれど」
「ヨーロッパをイメージしてるのね」
「そうしたお家なのね」
「そうだね、そんな感じだね」
 それが日本の洋館だとです、王子は皆にお話します。
「日本人の思うヨーロッパだね」
「ううん、どんなのかな」
 先生は王子のお話を聞いて首を傾げさせます、洋館のことを聞いてもそれがどういったお家なのかわからないからです。
 けれど外観はヨーロッパ、イギリスやフランスのお家の感じと聞いてこう言うのでした。
「三角の屋根で煙突があって白い壁、それに緑と花のお庭があるのかな」
「そうだよ、煉瓦でね」
「外は大体想像がつくよ」
「中もイギリスのお家に近いよ、ただ靴は脱いでお家の中に入るから」
「玄関だね」
 先生も日本のお家についてある程度の知識があります、そのことからこう答えるのでした。
「そこで靴を脱いでお家の中に入るのが日本のお家だね」
「そうなんだ、お家の中ではスリッパを履くから」
「そこはイギリスとは違うね」
「そう、あとおトイレとお風呂は別のお部屋だよ」
 そこも分けられているというのです。
「またね」
「そのことも聞いているけれど」
「そうそう、お風呂がいいんだよ」
 王子はここでその目の輝きを強くさせました、そのうえでお風呂のお話をするのでした。
「ここはイギリスのよりも広くてね、シャワーとかもよく出るしお湯も温かくて」
「いいお風呂なんだね」
「お水もいいよ」
「日本のお水はいいらしいね」
「日本の水は飲んでも美味しいんだ、これが」
「イギリスのお水は硬水でしかもあまり多くないからね」
 先生はこのことは少し残念そうにお話します。
「日本はそのいいお水が沢山あるそうだね」
「だからお風呂に入る時も身体を洗って泡をシャワーから出るお湯で注ぎ落としてから身体を拭くんだよ」
 イギリスでは泡はそのままにして身体をタオルで拭きます、泡はシャワーで注ぎ落とすことはしないのです。
「食器だって泡をお水で洗い落とすんだ」
「へえ、日本ってそうなんだ」
「泡はそのままにしないんだ」
「随分贅沢なお水の使い方だね」
「そうよね」
 動物達は王子のそのお話を聞いて目を丸くさせて言うのでした。
「しかもおトイレとお風呂が別々って」
「何か不思議な気分よね」
「イギリスではどのお家も一緒だから」
「そのことも」
「それが日本みたいだよ」
 おトイレとお風呂が別々になっているのが、というのです。
「どうやらね」
「そうなんだ」
「随分変わってるね」
「むしろ日本人はそっちの方を嫌がるよ」
 おトイレとお風呂が一緒の部屋にある方がです、日本人は嫌がるというのです。
「何で一緒なのかってね」
「いや、そっちの方がおかしいけれど」
「日本人って変わってるよ」
「僕達から見ればね」
「かなり」
 動物達は皆王子のお話に首を傾げさせて不思議そうな顔をしています、先生も既に知っていますが実際にお話を聞いて好奇心を掻き立てられています。言葉に出しませんが。 
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