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ロックマンX1st魔法少女と蒼き英雄

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第五話 「温泉/HOTSPRING」

 
前書き
温泉でゆっくり疲れをいやすタケル達一行、しかし……? 

 


人嫌いな小学生の僕、蒼霧タケルに訪れた突然の事態。受け取ったのは勇気の力、手にしたのは無限の可能性、新たに出現した謎の紅いロックマンの少年ともう一人の魔法少女、さて、この先どうなってしまうのでしょうか?
最初はちょっとした偶然の出来事だったけど、それが僕を成長する鍵となった。今まで僕は人を嫌い、人との生活を避けてきたけど、ロックマンとなって僕は少しだけれども人を拒絶せず、向き合うことができつつあったのです。

喫茶店翠屋は年中無休でも、連休の日などは店を定員さん達に任せて高町家は出掛けるらしいです。僕は士朗さんに友達を誘うよう言われたので、唯一の親友であるライト博士を御誘いしました。ちなみに、今回一緒に旅行する人達は高町家以外にもなのはの親友のアリサとすずかと、すずかのメイドさん達です。
「そういうわけだからライト博士も一緒に行く?」
ラボで仕事中の博士に僕が尋ねた。
「そうだね?私も研究で少し肩が凝り過ぎておるから、オンセンに行こうか?あ、タケルや?もう一人わしの助手も一緒に連れて行ってもいいかい?」
「いいよ?でも、博士の助手って居たっけ?」
博士はいつも一人で研究に没頭することが多かったから、博士の助手なんて聞いたこともなかった。
「ほっほっほ……タケルにはまだ紹介していなかったね?入ってきなさい……」
すると、ラボから一人、サングラスをかけたクールな青年が入って来た。この人が助手かな?
「ブルースだ。よろしくタケル君?」
サングラスを外して、青年ことブルースは僕と握手した。それにしてもカッコいい人だな?助手って言うよりはエージェントみたい……
「じゃあ、明日の七時になのはの家に集合ね!博士、絶対来てよ?」
そう言うと、僕は喜びながら博士の自宅を後にした。
「……彼、変わりましたね?博士」
タケルの後姿を目にブルースはそうライトへ尋ねた。今まで初対面の人と会えば隠れたり下を向いたりしていた少年が、今では平気で人と会話を交わせることまで出来る。そんな彼の成長ぶりにライトも、和らいだ顔で、
「うむ……これも、あのなのはという少女のおかげかもしれん。私が知っていたタケルと、今のタケルは大違いだ。十分に成長したのかもしれん。ただ……」
ライトは急に表情を曇らせてしまった。
「ただ……?」
ブルースが問う。
「……戦いの中で成長するということは過酷過ぎる。はたして、タケルの心が折れてしまわないか……それに、先日モデルXが話したモデルZの適合者の少年も気にかかる」
「御心配なく……そのために私、ブルース・オリバンが居るのです」
「ブルースや、私よりもタケルを守っておくれ?あの子が次にモデルZと接触したら心配だ……」
「はい……」

翌日、僕とライト博士、そして助手のブルースさんはなのは達と一緒に旅行へと出発しました。そういえば、すずかちゃんのメイド長のノエルさん、さっきからブルースさんばかりを見つめては顔を赤くしているけど……大丈夫かな?
僕はブルースさんが運転する車に博士と一緒に乗り込み、向かうは鳴海温泉。
最近イレギュラー化したジュエルシードのハントで僕の体はクタクタ……モデルXにも勧められ、僕は温泉で疲れを落とすことにしました。
「そういえば、ブルースは日本の温泉は初めてじゃったかな?」
「はい、一度でも日本の風呂文化を味わってみたかったのでよかったです。感謝しているよ?タケル君……」
ミラーからフッとクールに微笑むブルースさんに僕は緊張して、
「い、いえ!別に……」
と、だけ答えた。しかし、ブルースさん本当にカッコいいな?まるで映画俳優みたい。
その後、一行は温泉へと到着し、僕らは温泉に入るため男女二手に分かれた。
「それでは、ノエルさん?また後で……」
「は、はい!」
気がついたころにはブルースさんとノエルさんは結構仲良くなっている。でも、どうしてノエルさんはあんなに顔を赤くしているんだろ?いつもは、落ち着いているのに……?
「ほぉ?これが日本の風呂か……」
日本の欲場を見て感心するブルースさん。彼は、ではさっそくと言わんばかりに湯船へ入ろうとすると、
「……あ、待って?ブルースさん」
と、僕が呼び止めた。
「タケル君……?」
「湯船に入る前に、体を軽く洗うんですよ?」
僕は初めてのブルースさんに日本の風呂に入るための順番を教えた。
「こう……かい?」
と、ブルースは洗面器に湯を入れて体をザバッと洗い流した。
「お、ブルースさん?いかがですか、日本の温泉は」
次に士朗さんも入ってきて湯船につかるブルースの隣に入った。
「ええ、とてもいい湯加減で気持ちがいいです。日本の温泉は前々から入ってみたかったので……」
「そうですか、それはよかった!」
「あの、僕長湯は苦手なのでお先に失礼します……」
しばらくたって僕は湯を後にし、浴衣を着た。
「そういえば、モデルXって疲れはどうやって落とすの?」
そう僕はポーチに入れたモデルXに尋ねた。機会でも意思を持った金属生命体って言うんだからそれなりのストレスは抱えるのかなと。
『それなら心配はいらないよ?僕は生命体でも機会だから、疲れというものは感じないのさ?』
「ふうん?それなら便利だね?」
『けど、温泉に入ったって何とも感じないから逆にタケル達の方が羨ましいと僕は思うよ?』
そうか、ライブメタルは一様機械だから感覚というものを感じないんだった。僕は納得するように頷く。
「あ、タケル君!」
「……?」
廊下を歩いていると、後ろからなのは達が駆け寄って来た。
「今お風呂から出たところ?」
「うん、そうだけど?」
「それじゃあ一緒に卓球でもしない?」
と、なのはの隣からアリサが誘ってきた。卓球、僕はスポーツが大嫌いだけど、卓球はこれまでやったことがない。テレビでは激しくピンボールを跳ね返しあっている場面しか見たことがない。激しいスポーツなのかと不安だ。
「大丈夫!サッカーよりかは気楽に遊べるから♪」
「そうだよ、それにルールも簡単だし」
「一緒に行こう?」
三人から誘われれば断れるはずもない。仕方なく僕は、
「じゃあ、いいよ?」
そう答えた。
「それじゃあ早速レッツゴー!」
そういうと、アリサは僕の背中を押しながら一行は卓球場へと向かった。
「それにしても、温泉っていつ来てもいいよね?」
「そうだね?タケル君は鳴海温泉初めてだよね?」
「うん、そうだね。海外のホテルよりもやっぱり日本の温泉旅館の方がいいや」
そう僕が軽く言うと、
「え!タケル君海外旅行にも行ったの?」
なのはが驚く。そういえば彼女には話していなかったかな?僕の両親は名の知れな科学者らしくて、父さんは海外の知り合いから時折海外旅行へ招待される。僕もかれこれ十回ぐらい行ったことあるが、知らない国のホテルではやっぱり文字や話す言葉も違うから大きなホテルで迷った時は結構苦労したよ……
「でも、海外旅行も疲れるよ?違う言葉を話したり文字とかもあるから……」
僕は愚痴っぽく言うと、アリサちゃんやすずかちゃんも同じようなことをなのはに言う。
「そうそう、ゴージャスなのは良いけど字とか何をかいあるのかわかったものじゃないわ?」
「うん、私もイギリスへ旅行した時は結構大変だったよ?」
「でもいいなぁ?いろんな国に行けて」
なのはは海外旅行にあこがれているようだ。今度、旅行の話でも聞かせてあげようかな?
「ハァイ?チビちゃん達♪」
「……?」
すると、僕達の目の前には浴衣を着た若い女性客が歩み寄って来た。何の用だろう?
「……ふむふむ、君かね?ウチの子をアレしちゃってくれているのは?」
すると、女性はなのはに詰め寄ってきた。何なんだ?この人……
「え、え?」
しかし、なのはは何の事だか全然心当たりがないらしい。
「強そうでも賢そうでもないし、ただのガキンチョに見えるんだけどな?」
そう女性はなのはに絡んできた。そんな彼女を見てアリサちゃんが割り込む。
「なのは、知り合い?」
「う、ううん?」
なのはは首を横に振る。
「この子、あなたのことを知らないようですけど?」
「ふぅん?」
しかし、アリサとなのはを見下すような目つきで見つめてくる。昔の僕がなのはの立場だったら、恐らく怖気づいて暴走するだろう。けど、今の僕は違う……
「あの……やめてください!」
「はぁ?」
すると、僕の声に女性が振り向いた。僕は少し怖かったけど、勇気を振り絞ってなのはの前に立ち、アリサに代わってなのはを庇った。
「な、なのはは乱暴をするような女の子ではありません」
「へぇ?それじゃあ「証拠」とかあるわけ?」
「そ、それは……ぼ、僕が証人です!だから、なのはを虐めるのはやめてください」
「勇敢だねぇ?坊や……んっ?」
そのとき、女性は先ほどまでの目つきがやや一変し、僕を見た。すると女性はまた先ほどのような見下す目に戻すと。
「あ~?そういえば君もその女の子と一緒にアレしちゃった子だね?」
「え……?」
「やっぱりそうだ?共犯同士だから庇いあうの?」
「く、うぅ……ぼ、僕は……!」
女性は僕も共犯だと言ってくる。何を言うんだ!僕はあなたなんて知るはずがない……
「もしアレな真似したら、今度はガブっていくよ?」
「失礼、大の大人が子供を相手に絡むなんて恥ずかしいことですよ?」
その声は僕らの後ろから聞こえた。僕は振り返ると、そこには……ブルースさんだ!
「私の連れに何用ですか?」
サングラス越しのブルースさんが女性に詰め寄るかのように尋ねた。この人、怒ると怖そうだ……
「その子達がさぁ?あたしの子にアレしちゃってくれたのよね?」
「アレ?「アレ」とは何ですか?」
「そりゃあ、アレに決まっているじゃん?」
「……詳細が不順のままならこの子達に絡む権利はございませんよ?」
「っていうかなに?あんたこの子達の保護者?」
「ええ、そう言ったところです。ですのでこの子達が危険にさらされているのなら、対象に関して力を示すことになりますよ?」
そのとき、ブルースはサングラスから覗く目で彼女を睨みつけ、
(貴様……ワイリーの手下か?)
(!?)
女性は彼からのテレパシーに目を丸くするが、冷静を保ち、
(それはうちの子の連れさ?)
(失せろ……タケルやなのはに危害をもたらすのであれば強制手段に乗り出す)
(出来るのかい?タダの人間が?)
(フン……使い魔風情が)
「!?」
刹那、女性がブルースさんに向けて拳を上げた。僕たちは悲鳴をあげそうになったが、
ガシッ……
「なに……!?」
「その程度か……?」
女性の拳はブルースさんの片手で軽々と受け止められていた。そして、ブルースさんの受け止めた手から女性の拳へ力が伝わる。
「ぐぅ……!」
ブルースさんの握力に耐え切れず、彼の手を振り払って僕やブルースさんを一瞬睨むと、また最初のような気楽な態度へと戻った。
「……ごめんごめん?やっぱあたしの勘違いだったわ?そこのお兄さんも許してよ?どうやら酔っ払った勢いかも?気を取り直して一っ風呂行ってこよう♪」
「わかっていただければ良いです……」
ブルースさんはフッと笑んだ。女性は僕らに顔を向けて謝罪をするかと思えば、
(二人とも?今日のところは、あのお兄さんがいるから挨拶だけね?子供は大人しく、お家で遊んでいることだね?)
「「……!?」」
そのテレパシーは僕となのはに聞こえてきた。あの女性の声だ……
(口が過ぎんようだな……失せろと言うのがわからんのか?下等生物め)
すると、もう一声のテレパシーが聞こえた。ブルースさんだ。
(チッ……)
女性は機嫌悪そうに欲場へと向かって行った。
「何よ!あの態度!?昼まっぱら酔っ払って!!」
アリサちゃんは激怒を起こした。
「まぁまぁ?寛ぎの場だからいろんな人がいるよ?」
そうなのはが抑えるも、アリサちゃんの怒りは止まらない。
「だけど節度ってもんがあるでしょ!?節度ってもんが!!」
「でも……ありがとうタケル君、ブルースさん。助かりました」
すずかはそう僕たちへ礼を述べた。僕は恥ずかしくなって顔を赤くする。
「べ、別に僕は……ブルースさんのおかげだよ?」
「ううん?ブルースさんが来るまでタケル君が庇ってくれなかったら危ないところだったよ?ありがとう!」
と、なのはは僕に礼を言った。ブルースさんも、
「そうだよ?タケル君。私が来るまでの間よく持ちこたえてくれたね?」
「そ、そんな!本当に僕は……」
「ま、一見落着ってことで、皆で卓球をしよう!あ、ブルースさんも一緒にやろう?」
アリサちゃんはブルースも誘って彼の手を引く、
「いいよ?言っておくが私はプロだ……」
ブルースさんを見て目を輝かせるアリサちゃん。僕となのはは先ほどの女性のことで気にかかっていた……

女湯で、その女性こと使い魔アルフがいた。湯船に両足を付けながらテレパシーを野外で待機している主人のフェイトと、ゼロに連絡した。
(あー……もしもしフェイト?それにキザ坊や?こちらアルフ)
その連絡は野外のある木へ身を潜めるフェイトとゼロに繋がった。
(ちょっと見て来たよ?例の白い子と蒼いロックマンの子)
(そう……?)フェイト
(誰がキザ坊やだ、この犬女……)ゼロ
(はぁ?誰が犬女よ!?)アルフ
二人もテレパシーで返答し、アルフとゼロのやり取りは相変わらずだと隣でフェイトが苦笑いした。ちなみに、ゼロはフェイトを泊らせてやった後、彼女の身を心配にゼロの部屋にアルフが殴りこみに来て、彼の部屋をメチャメチャにしてしまったため、ゼロは大家の怒りを受けてマンションから追い出されてしまったという。今ではフェイトのマンションで同居しているそうだ。
(……で、どうだった?)
フェイトは本題を尋ねる。
(う~ん……まぁ?どうってことないね!フェイトの敵じゃないもん!)
(アルフ、例のモデルXの適合者はどうだった?)
次はゼロが尋ねる。
(まぁ……蒼い方の坊やだってそれほど大したことないけど?あんたお得意のZセイバーの剣さばきに敵はいないからね?)
アルフもまた、フェイト同様にゼロの腕前を認めていた。ゼロが誇る刹那の攻撃は誰も敵う者はいないと。
(そういや……ジュエルシードの反応は?)
アルフがジュエルシードに関してフェイトに尋ねると、
(それならゼロが見つけてくれた。どうやら、ゼロは私よりも察知能力は高いみたい……)
(なぁんだ。ゼロか……)
(俺じゃなかったら今頃フェイトを褒めていただろうな……)
(まぁね♪)

その夜、僕達子供は同じ部屋で寝ることにしました。同い年の、それも女の子達と寝るなんて僕には刺激が強いのかな?本来はライト博士の部屋で一緒に寝るはずだったけど、博士は士朗さんと卓球で闘志を燃やし中。瞼が閉じかかった僕を桃子さんが気を聞かせてなのは達と同じ部屋に寝かせてもらうことにした。
「……」
僕はドキドキして眠れない。すでに隣のあずさちゃんとアリサちゃんは寝息を立てて眠っている。
(……眠れないの?)
すると、隣に寝ているなのはが小さい声でなのはが尋ねた。僕らはテレパシーで会話が出来る。なのはは魔法で、僕はロックマンの無線機能で。
(う、うん……)
(タケル君?)
(ん、なに?)
(……昼間の人、この間の子の関係者かな?)
(……)
昼間僕達に絡んできたあの女性。僕らはこれまで他者と喧嘩したことはあまりない。心当たりがあるとすれば、魔法少女とロックマンになって戦ったあのときだ。
(また、このあいだみたいになっちゃうのかな?)
(……たぶん)
そう口をはさんだのはユーノであった。同じくモデルXも話に加わった。
『おそらく、相手はかなりの腕を持つロックマンと魔導士と窺える。あまり遭遇したくない相手だね』
(なのは、あのね?僕あれから考えたんだけど……)
すると、ユーノはなのはへ不安な顔を浮かべる。
(なのは……ここからさきは、やはり僕が……)
(ストップ!)
(……?)
なのはは、ユーノが言う言葉を抑えた。
(この先のことを言ったら怒るよ?)
そういって彼女はユーノの頭を撫でた。
(ここから先は危険だから僕がやるとって言おうとしていたでしょ?)
(……)
ユーノは黙ってうなずく。
(最初は、ユーノ君のお手伝いと思ってジュエルシードのお手伝いをしていたけど、今は違う……)
そんな彼女の言葉を聞き、モデルXもまたタケルへ尋ねた。
『タケル……君はロックマンになったことをどう思っている?自分の意思でロックマンとしての戦いを選んだとはいえ、君は今まで以上に苦労することが増えてきた。僕だって君を高く評価はしている。けど、君の命と戦いとは別だ。適合者は数少ないが決して居ないわけではない……』
(モデルX、もうそれ以上は言わないでよ?)
『……?』
(僕だって、最初は嫌だった。一時の勢いでロックマンになって戦ったとはいえ、これからもその役を演じていくのかと思うと、怖くてどうしようもなかった。けど、怖くて逃げ続けていたら何も変わらない。自分を追い込んで苦しめるだけだと思ったから、僕は逃げずに、ロックマンとして目の前の恐怖に立ち向かおうと思った。それに、ロックマンになって僕は少し変わることが出来たかもしれない。僕はこれからもロックマンとして皆のために戦っていきたいんだ……)
『タケル……』
(モデルX、これからも僕と一緒に戦ってくれる?)
『ああ、もちろん!』
(タケル君、今夜は寝ておこう?ジュエルシードでまた動くかもしれいから)
(そうだね、なのは。お休み……)
眠ってから数時間後、旅館の園庭の小川からジュエルシードの反応を僕らは察知した。
「……!?」
布団から起き上がった僕となのははモデルXとレイジングハートを手に部屋から飛び出した。

「ビンゴ♪見つけたよ!フェイト、ゼロ?」
木の上から昼間の女性こと、アルフが二人へ伝える。
一方の僕たちはジュエルシードの反応を頼りに現場へと向かって走っていた。
『この反応、ジュエルシードのイレギュラー行動!?』
「わかってる!この力は……」
「急ごう!タケル君」
「うん……ロックオン!」
「お願い、レイジングハート!」
僕はモデルXを抱え、なのははレイジングハートを掲げた。
「へぇ!?凄いね?これがロストロギアの力ってやつ?」
一方のアルフ達は橋の上で暴走するジュエルシードを見物していた。
「不完全ね……」
「ああ、まだ完全とは言えんな……?」
ゼロとフェイトは水面から上空へ向け光の柱を差す光景を目にそう呟いた。
「ところであんたのお母さんはあんなものを集めてどうしようっていうの?ゼロ、あんたは何か知っている?」
アルフはその光景を見ながらフェイトへ尋ねた。
「さぁ……理由は関係ないよ。お母さんが欲しがっているんだから手に入れないと」
と、フェイト。
「ああ……俺たちは、与えられた任務を遂行するのみ」
ゼロも無表情に答える。
「バルディッシュ、起きて?」
柱へ向けフェイトが掌を向けると、手からバルディッシュが展開された。
「モデルZ、ロックオン……」
そして、ゼロの体は光に包まれ、紅いアーマーを纏ったロックマンへと変わった。
「封印するよ?ゼロ、アルフ、サポートして?」
「へいへい……」
「了解した……」
凄まじい光が前方の森へと移った。
「あ、あれは!?」
なのはが目にするのは魔力がこもった巨大な光。
「これで二つ目……」
フェイトは目当てのジュエルシードを手にすると、彼女の背後からなのはたちが駆けつけてきた。
『くぅ……遅かったか!』
モデルXは先を越されたことを悟った。
「あーら、あらあら?子供は大人しく寝ていろって言ったわよね?」
アルフは見下す口調を僕らへ放った。
「あ……昨日の!?」
僕はその上を目に昼間の出来事を思い出した。彼女は縁側でなのはと僕に絡んできた女性だ!
『お前達!何の真似だ!?自分達がやっていることがイレギュラーだとわかっているのか!?』
そうモデルXが叫ぶが、目の前の三人は顔色一つも変えない。
「言ったよね?今度アレな真似したら、ガブって行くよって?」
すると、アルフの体に変化が起き、女性の体つきから巨大な牙と爪、そして毛が多い、たちまち凶暴な狼へと変貌した。
「やっぱり、アイツあの子の使い魔だ!」
ユーノはアルフの正体を見破った。
「使い魔?」
それになのはも耳を傾ける。
「そうさ?あたしはこの子に作ってもらった魔法生命、制作者から命をもらった代わりに、命と力の全てをかけてこの子を守ってやるんだ。ゼロ、フェイトを連れて先に戻っていて?あたしはコイツらの相手をするから」
「……油断するな?」
「ははっ、承知!」
すると、アルフは僕たちへ飛びかかって来た。その拍子にユーノが前に出て、結界を張りアルフの動きを止めた。
「二人とも!先に行って!?」
すると、ユーノは瞬間移動を駆使して、アルフと共に姿を消した。残るは僕となのは、そして目の前の二人だけ。僕らは睨みあい、それぞれの武器を握る。
「強制転移か、良い使い魔だ……」
そうフェイトが呟くと、なのははそれを否定した。
「ユーノ君は使い魔じゃないよ!大切な友達だよ……」
「……?」
それを聞き、フェイトの表情はわずかに変わった。
「……で、どうする?このまま戦うか?」
ゼロはふたりへ問いかけるが、
「……話し合いで解決はできないの?」
そう僕が返答する。
「私たちは、ロストロギアを、ジュエルシードを集めなければならない。そしてあなた達も同じ目的を持っているのなら、私たちはジュエルシードを廻って戦う敵同士ってことになる」
「だけど……だからって、どうやって争い、傷つき合うのは駄目だよ。だから話を聞いてくれ……」
そう僕が説得するも、
「話しあうだけじゃ……言葉だけじゃ変わらない……伝わらない!」
同時にフェイトはバルディッシュを向け、気がつくとなのはの背後へと回っていた。
「任務中の戦闘では和解など不可能だ……」
「えっ……!?」
僕の後ろにはあの少年がセイバーを振りかざし、それを振り下ろした。
「……!?」
僕は咄嗟に攻撃を避け、ダッシュで距離を取った。
「だからって……争い合う必要なんて!」
僕は彼に訴えるが、
「戦いに和解など……笑止!」
ゼロはZセイバーを横に振りまわし、
「破断撃ッ!」
彼の叫びと共に振り下ろされたセイバーから衝撃波が生じてそれが僕に襲いかかる!
「くぅ……!」
「どうした!避け続けるだけでは攻撃にならんぞ!?」
「!?」
しかし、ゼロはダッシュ移動でタケルの背後へと再び付いていた。
「負けるか!」
再び振り下ろすセイバーにバスターを放ち、攻撃を跳ね返した。
「ほう、やるな?」
「まだまだぁ……!」
僕はダッシュを駆使し、チャージショットを連射する。
「くぅ……狙いは正確か?流石はモデルX……」
ゼロもタケルの射撃性能を知り、むやみに接近が許されなかった。しかし……
「だが……甘い!」
ゼロは上空へ飛びあがり、バスターの弾幕を交わしてタケルの上空へと落下する。そして、
「……!?」
僕の首元には彼のセイバーが当てられていた。しかし、何故とどめを刺さない?
「……」
僕は額から冷や汗が流れた。僕を殺すかは全て彼次第……
「……射撃の腕は良いが、読みが甘いな?」
「ッ……!」
すると、ゼロはフッと笑んでセイバーを納めた。
「……?」
「どうやら、俺の連れが任務を達成したようだ」
上空の夜空には僕と同じように、なのはが金髪の少女が持つ釜状の刃が首元に添えられていた。そして、レイジングハートがジュエルシードを取り出し、それを少女へ私のだ。
「じゅ、ジュエルシードが!?」
「……主人思いの正しい選択だ」
ゼロそう言うとフェイトへと歩み寄った。
「今度は見逃すけど、もう私たちの前に現れないで?次会った時はもう止められない」
フェイトはそう言い残しなのはに背を向けるが、
「待って!あなたの名前は……?」
「……フェイト」
呟くように名乗り彼女は消える。
「今回は見逃す、だが……次は無いぞ」
ゼロもまたタケルへセイバーの剣先を向けた。
「ま、待ってくれ!君の、君の名は?」
「……ゼロ」
ゼロはタケルへ背を向け、
「任務完了、これより帰等する……」
テレポートに寄ってゼロは姿を消した。
初めての敗北、僕たちはその悔しさを食いしばるのであった。ゼロ、僕の前に現れた謎で強敵のロックマン。彼の華麗な強さに僕はただなす術がなかった……
「……」
僕となのはは悲しげに夜空を見上げていた。



 
 

 
後書き
次回予告

過去、僕にとってそれは忌まわしい記憶。そして僕を狂わせた忌まわしき思い出……
誰にも知られたくない秘密、僕の正体は……
そして再びぶつかり合うロックマンゼロとの対決。

次回ロックマンX1st魔法少女と蒼き英雄
第六話「過去/PAST」

「僕は……化け物じゃないっ!!」 
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