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魔法少女リリカルなのはStrikerS ~賢者の槍を持ちし者~

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Chapter35「強襲」

 
前書き
お待たせしました。
本日はオリキャラが登場します。

オリキャラについては後書きにてご説明いたいします。

では、どうぞ……

 

 
巻き起こる爆煙の中から、人のものとは思えない冷たい機械音声のような冷たい声が空気を通じて、なのは達の耳に入る。

「な、何が!?」

「警戒してティアナ!バリアジャケットを!」

「はい!」

突如目の前で起こった緊急事態に動揺せずバリアジャケットを纏いレイジングハートを構えるなのは。彼女に促されたティアナは、バリアジャケットを纏いクロスミラージュを構え警戒を強める。

「攻撃性魔力ヲ探知……警戒レベル3ト推定」

「アナタは!」

爆煙が晴れ、中から長い銀髪の少女が姿を現す。
その服装は地球の日本で言う、女忍者---くノ一に近いものではあり、鼻元までインナーと繋がった黒いマスクで多い、その上に赤紫の袖無し足元まである羽織を紫の帯で締めている。
また両腕に装備しいる手甲と腰に着けた二振りの短刀でくノ一らしさが際立って見える。

「なのは、ティアナ!」

近くの茂みから騒動を見ていたシャーリーを除くルドガー達は、戦闘装備でなのは達のもとに駆けつける。勿論はやてもその中に入っており、この時初めてルドガーは彼女の騎士甲冑姿を目にするが、お互い感想を述べたり求める余裕などない。

「目標対象ルドガー・ウィル・クルスニクヲ確認。コレヨリ、接触ヲ行ウ」

「何?」

機械的に話す少女は、確かにルドガーの名を口にする。
それでルドガーは少女が自分を狙ってここまで侵入したのだと理解する。

「はやてになのは、フォワード達は下がってくれ。どうやらコイツは俺を狙って現れたらしい」

「アホ!そんなら尚更ルドガーだけでやらせる訳にいかへん!」

「それにルドガー君、まだ調子悪いんじゃ……」

「気遣い感謝するよ。けど、シャマルのおかけで頭の怪我も治ったし、体の調子も全然悪くない」

腰元からカストールを取り、構える。それに合わせ少女も腰に着けた二振りの短刀を取り、ルドガーと同じ構えを取る。

「俺と同じ構え?……まさかエルツーと関わりがあるのか?」

武器こそ違うが、少女の構えは自分の構えと酷似しており、とても今ルドガーの構えを見て真似をしているようには見えない。

「…コードネーム、ブイオ……個体識別No.L004…通称“エルフォー”。クルスニク一族ノ力ヲ持ツ“レデンナンバーズ”ノ 1人」

それだけを告げるとブイオと名乗る少女は、ルドガーの元へ所謂忍者走りで接近し、二振りの短刀を振り下ろす。

「戦闘ヲ…開始スル」

「ちぃ!」

直ぐ近くにはなのは達がいる為、このままここを足場にして戦う訳にはいかず、後ろに押されながら、短刀をカストールで捌く。

「レデンナンバーズ?一体なんのことだ!?」

「……」

「クルスニク一族の力を持っていると言ったな?お前も俺と同じ異世界から来たのか?」

「……戦闘ヲ、継続スル」

短刀を押し返し、カストールを振りかざす。それを上に飛び躱したブイオは空中で素早い足蹴りで何度も攻め、ルドガーはそれを一発も食らうことなくカストールで防ぎ、ただ守り徹するだけでなく体術を駆使してブイオと戦う。

「獅子戦吼!」

右腕を振り上げ、白い獅子の形をした衝撃波を前方に放つ。

「……ッ!」

衝撃波の直撃をかろうじてカストールを蹴り、その勢いで距離を取って避けたブイオ。
マスクの下に隠された表情が変化したかはわからない。

地面に着地し、ズザッという勢いを殺す音を立て、動きが止まるとすぐさま立ち上がり、
短刀を構え直す。

「ハッ!」

態勢を立て直したブイオに追撃をかける。
得物のリーチはルドガーが上だが、小柄で動きが素早いブイオは、その見かけとおりまるで忍者のような身のこなしで、ルドガーを翻弄する。

「ぐっ!」

隙を突かれ、ブイオの横蹴りを左腕で庇うが、その細い脚からでは想像できない力で、ルドガーを蹴り飛ばす。

地面に落下する直前に、手を肩より上の位置に置き、地面に接触した瞬間腕に力を入れ、その勢いを利用して立ち上がる。

「!!」

「……烈破掌」

通常時のルドガー以上の速度でルドガーの間合いに攻め込み、掌底を叩きこみ気を炸裂させる。
凄まじい衝撃がルドガーの腹部を襲い、くの字の態勢で吹っ飛ばされ、水しぶきを上げながら海に落ちる。

「「「「「「「ルドガー(君・さん)!!」」」」」」」

海に落ちたルドガーを心配するはやて達。
相手の出方を伺っていたとはいえ、ルドガーがこうも簡単に落ちやられたことに驚きを隠せない。

「行くわよ!スバル、エリオ!」

「おう!」

「はい!」

「ちょっとみんな!!」

ティアナを筆頭に、ブイオに戦いを挑むフォワード達。
なのはの止める声届かず、戦いを始める。
スバルが接近戦をしかけ、リボルバーナックルを装着した拳で殴りかかる。

「おおおりゃあああぁぁ」

拳の一撃はあっさり躱されるが、持ち前のシューティングアーツでブイオと戦いを続ける。

「ハッ」

「がっ!?」

しかしそのシューティングアーツも通じることはなく、大きい拳の一撃が繰り出された瞬間下に屈み、ブイオは脚をスバルの顎めがけて勢いよく突き上げる。
その一撃が上手く入ったのか、地面に倒れたスバルは全身が小刻みに痙攣を起こしていた。

「スバルさん!」

「スバル!」

キャロとリインが駆け寄り、治療魔法をかける。

「!!」

スバルが行動不能になったのを確認していると、上からティアナのクロスファイアーによる魔力弾がブイオを襲う。

「……!!」

「今よ!エリオ!」

「よくもスバルさんを!!」

そこへ素早くストラーダを振るうエリオが追撃に現れるが、全く相手にせず、後ろに回り込んで、
踵落としをエリオの首めがけて落とそうとする。

「エリオ!!」

「作戦行動ノ妨害ヲスルモノハ全テ、抹殺スル」

「しまっ---!」

ティアナの叫び声で、ブイオが自分にとどめを刺そうとしている事に気付くがもう遅い。
死を想像し思わず目を瞑るエリオ。

《Sonic Move》

その直後、ブイオの前に金色の閃光が通り抜ける。
アスファルトにブイオの踵落としが落ち、アスファルトは砕ける。

「……!?」

ブイオの胸元が斬り裂かれ、そこから血が流血する。
深く斬り込まれていないとはいえ、自分の身に起きた事態にブイオは少なからず動揺してしまう。
だがまだ、終わってはいない。

「行動…不能。拘束魔法ニヨルモノト断定」

「捕まえた……大人しくしなさい」

ブイオの足下から桜色の魔力により形成された鎖が出現し、ブイオを縛り上げ、身動きを封じる。
なのはが行使したチェーンバインドだ。ブイオはチェーンバインドを破壊しようと体に力を込めるが、水晶が先端に繋がった魔力のワイヤーがどこからもなく現れ、更に拘束を強固なものにする。

「シャマル先生、ザフィーラ!」

「任せて!!」

「逃しはせん!縛れ、鋼の軛!!」

「……!!」

動けないブイオを複数の三角形の短剣のようなものがその周りを取り囲み、彼女を閉じ込め、更に念には念を込め、シャマルは軛の周りをクリスタルケージで覆った。

「ナイスタイミングでしたシャマル先生、ザフィーラ」

「お役に立てて何よりよ」

なのはの前には、はやての守護騎士ヴォルケンリッターでもある、シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラが立っている。
彼女達がいち早く駆けつけられたのは、ルドガーがブイオと戦闘を始めて間もない頃、なのはは既にシグナム達に応援を頼む連絡を入れていたからだ。

ルドガーが海に落ちた後、彼女達の到着の時間稼ぎをする為、なのはがブイオと戦うつもりだったが、そこでフォワード達が動き出したことから、時間稼ぎから拘束魔法をより強固なものにするため魔力を練ることに変更。

ブイオがエリオにとどめを刺そうとする瞬間を目にした時は、心臓が止まるような思いだったが、
それもギリギリで頼もしい援軍のおかげで、杞憂に終わった。

「あ、ありがとうございます、フェイトさん」

「無事でよかったよ…エリオ」

管理局最速の魔導師と謳われる機動六課ライトニング分隊隊長フェイト・T・ハラオウン。
彼女の速度がなければ、間一髪でエリオを救い出すことは出来なかっただろう。

「ゲホッ、ゴホッ……ゆ、油断したぁ……」

「大丈夫かぁ?大分派手に飛ばされてたもんな。てかびしょびしょや」

海から引き上げられたルドガーと、引き上げた本人はやては全身海水でずぶ濡れで、ルドガーは腹部を押さえている。

「痛ちち……アバラが何本かイったな、これは……」

ブイオによる烈破掌は想像以上にルドガーにダメージを与えていた。
かつての仲間であるジュードが使っていた武身技をまさかこんな形で、身を持って知るとは思ってもみなかった。

「まさかお前がこうもあっさりとやられるとはな」

「俺だって人間だ。油断もするし負けもするさ」

ペッと口から血を吐き捨てながら、騎士甲冑姿のシグナムにそう述べる。

「まぁいい……それより奴は何者だ?」

「確か名前はブイオって言ってたか……ん?エルフォーとも言ってたような……まぁいいや……そうそ
う、エルツーの仲間みたいなことを言っていたな」

エルツーという名ではやてとシグナムは、派遣任務でルドガー達を襲撃した骸殻能力を持つ狂気の少女のことを思い出す。シグナムにとってエルツーとの戦いは、彼女の騎士人生の中でも屈辱に値するものであり、忘れられるはずもない。

「時計はまだ見ちゃいないが、クルスニク一族の力を持っていると言っていたな……気をつけろよ、多分あの拘束は直ぐに破られる」

「馬鹿言ってんじゃねーよ。魔力を深く練ったなのはのチェーンバインドとシャマルとザフィーラの拘束魔法が何重にもかかってんだぞ?高ランク魔導師でも解くには相当骨が折れ---」

言っている傍からブイオが拘束されている地点から赤紫の光の柱が立ち上ぼり、拘束魔法を意図も容易く破壊する。その光景を見たヴィータは唖然としてしまう。

「……折れなかったな」

「う、うるせーよ!」

目の前で起こっている現象を静観し、ヴィータ自身がコメントしたことに対して応えるルドガーにどつく。そして、そうこうしている間に、光の中からブイオが現れる。

「拘束魔法ノ完全破壊完了。警戒レベルヲ3カラレベル4ニ移行……骸殻ハーフヲ解放スル」

「ルドガー!あれって……」

「やぶ蛇だったか……まぁもう油断する気もなければ、負ける気もない……」

ハーフ骸殻に変身したブイオ。妙な事に纏った骸殻の姿は、エルツーの物とほぼ同じだ。
金色の懐中時計を突き出してルドガーは力を解放し、その姿を変える。

「勝ちにいくぞ」

「その姿は……スリークォーターとかいうヤツか?」

「ああ……皆は絶対に手を出すなよ?」

「何?」

「はぁ?そんな勝手が通じる訳ねぇーだろうが!」

ルドガーの頼みを受け入れられないシグナムとヴィータ。

「頼むよ……何せ、ここまで力を解放するとな……」

今まで目の前でシグナム達と会話していた、ルドガーが一瞬で姿を消した。
消えたルドガーを目で探す、3人。次にルドガーを3人が目にしたのは、ブイオが立っていた場所だった。

それもルドガーは既にブイオの二振りの短刀に槍を叩きつけ、それだけで地面が砕け、大地が揺れる。

「はあぁっ!!」

距離を取ったブイオに槍を突き出して、一直線に突撃する武身技『舞斑雪』を繰り出して、その距離を詰め直す。

「舞斑雪」

ブイオもルドガーと同じ舞斑雪を使ってルドガーを迎え撃つ。短刀と槍がぶつかり合い、2人の立つ地点にクレーターができ、相殺しきれなかった余波から暴風が巻き起こる。

「なんつー戦いをしやがんだ!」

「これが…骸殻能力を持つ者同士の戦いなのか?」

まるで嵐のど真ん中にいるように錯覚させる凄まじい戦いを目にして始めてルドガーが言ったことを理解するシグナムとヴィータ。
2人は場所を陸から空、また陸へと場所を次々に変え激しくぶつかり合う。

「アッパープライス!」

「アッパープライス」

強力な力で斬り上げた、槍と短刀がぶつかり、再び凄まじい風を巻き起こす。

(また俺と同じ技?前々から思っていたが、エルツーといいコイツといい何で、俺の技を……)


この違和感……エルツーと戦う以前にルドガーは同じものを感じたことがある。

ヴィクトルだ。

この感覚は分史世界の自分自身と戦っているような感覚と似ている。
そんな違和感の正体を詮索するルドガーに、ブイオは槍とぶつけている短刀とは別の短刀を腹部に向け、突き刺そうとする。

「やらせるかよ!」

腹部に迫る短刀の前に手を出して、指と指の間で短刀を挟み受け止める。

「フンッ!」

指の間に挟んだ短刀を勢いよく捻り折る。


短刀をへし折られたブイオは、驚いている間もなくルドガーにもう片方の短刀を弾かれてしまい、やむなく距離を取る。

「クッ……骸殻装備武装…破損……非常事態ニツキ通常武装ヲ装備……戦闘ヲ継続スル」

両方に骸殻装備の短刀から最初にルドガーが刃を交えた短刀を手にする。

「対象戦力値、当初予想値以上ト推定……骸殻レベル、スリークォーターヲ使用スル」

スリークォーターという名称を耳にして、ルドガーはブイオが自分やユリウスに匹敵する骸殻能力者だと判断する。
ブイオは骸殻の力の源である一族の懐中時計を取り出し、胸の前にかざす。
ルドガーはその懐中時計を見て驚愕する。

「何故お前がその時計を!?」

ブイオが手にしている懐中時計の色彩は黄金色……見間違えるはずもない、ビズリーの時計だ。
ルドガーはこれを二度目にしていた。

一度目は分史世界でヴィクトルが本来の持ち主であるその世界のビズリーから奪って変身に使用して自分と戦った時。二度目はカナンの地でビズリー本人が骸殻の変身に使った時だ。

だが前者は既に分史世界と共に失われ、後者は自分との戦いに敗れたビズリーの遺体と共にあり、この世界に存在するはずがない。
ブイオはルドガーの問いに答える事なく、黄金の懐中時計から力を引き出そうとする。

だが……


「……!?」

「な、なんだ!?」

突如ブイオが持つ黄金の懐中時計と、ルドガーの金色の懐中時計がまばゆい光を放ち出した。


2人は全く予期せぬ事態にただ時計を眺めていたが、時計から放たれる歯車状の波動の影響により、体の自由を奪われ2人は肩膝を付く。

「ルドガー!」

「く、来るな!はやて!…うっ!?」

ルドガーの時計から海沿い道路を包み込む勢いで、歯車状の空間が展開される。

「コレ以上ノ戦闘継続ハ不可……撤退スル」

予期せぬ事態にブイオは撤退することを決断し、驚くべき行為を働く。
光を放っている黄金の懐中時計のガラス部に指を突き立て、ガラスを割る。

当然その行為で、時計の針は動かなくなり骸殻も解除されるが、ブイオは胸元から碧の懐中時計を取り出してハーフ骸殻に変身し、空間に飲み込まれる前に空間転位を使いその場から撤退した。

「ルドガーいったいこれは何なんや!?」

「わからない!それより早くこの空間からお前達は出ろ!」

「アホ!ルドガー置いて行けるわけないやろ!?」

「そんな事いってる場合じっ!?」

一刻もはやく、目の前で躊躇しているはやて達には空間の中から出てほしかったが、もう手遅れだと時計が一段と強い光を放った事で悟る。

「ヤダ…何、これ?」

自分の立つ地面や目に移る景色に亀裂が入り、これまで体験した事のない現象を目にして後退るシャーリー。シャーリーだけではない。

フォワードも各隊長達もこの状況を目にして動揺している。


そして亀裂はどんどん広がっていき、最後はガラスの破片のように砕け、空間の中心にいたルドガー達はただ暗闇の底へと落下していった。


「はやてぇぇ!!」

「ルドガー!!」


凄まじい引力に引かれ落下していく中、はやての名を叫びながら骸殻の鎧を纏った右手で彼女に手を懸命に伸ばし、はやても同じようにルドガーの名を叫びながら彼の手を掴もうとするが、その甲斐虚しく2人の手が繋がることはなく、ただ闇の底へ落ちていくのだった。



 
 

 
後書き
オリキャラ解説

・ブイオ(エルフォー)
性別:女性/年齢:??/身長:158cm/武器:短剣/戦闘タイプ:忍者

口調はロックマンゼクスアドベント、モデルPの適合者シャルナクをモチーフに、
服装はアニメBLEACHオリジナルストーリー斬魄刀異聞篇の登場キャクターの花天狂骨″脇差″のようなイメージです。

感想等お待ちしてます。
 
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