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問題児が異世界から来るそうですよ?~あれ?なんか人数が多い?~

作者:ほにゃ~
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第六話 崖っぷちコミュニティだそうですよ?

「彼らは間違いなく人類最高クラスのギフト保持者よ、黒ウサギ」








黒ウサギはその言葉をリップサービスか何かと思っていた。

信頼できる人物ではあったがその言葉を眉唾に思ってた。

だが、十六夜が一人で蛇神を倒したのを見てその言葉が本当なのではと思った。

(信じられない、だけど本当に最高クラスのギフト保持者なら、コミュニティの再建も夢じゃないかもしれない!)

黒ウサギは己の内心の興奮を抑えきれず、鼓動が早くなるのを感じていた。

「どうした?胸とか足とか揉むぞ?」

「きゃあ!」

自分の後ろに十六夜がいて、脇の下から手を伸ばしていた。

慌てて後ろに飛び退く黒ウサギ。

「あ、貴方はお馬鹿ですか!?二百年守って来た低層に傷をつけるつもりですか!?」

「うわ、超傷つけたい」

「お馬鹿!?いえ、お馬鹿!!」

疑問形から確定形言い直して黒ウサギは罵る。

「まったく、十六夜ったら」

呆れるように笑う栞。

「二百年?黒ウサギっていくつ?」

変なところに食いつく柊人。

「女性に歳を聞くのはいささか失礼かとおもいますよ」

律儀にツッコミを入れる皐。

こんな時でもぶれずに自分たちの個性を忘れない問題児に黒ウサギは頭を悩める反面、驚いてもいた。

“箱庭の貴族”である自分に付いてこれた皐、気配を悟られずに消えた十六夜と栞と柊人、そして、蛇神を腕力で倒した十六夜。

これだけでもう自分たちの現状を救ってもらえるにたる人材だと黒ウサギは確信した。

「と、ところで十六夜さん。蛇神様はどうされますか?」

「命まで取るつもりはねぇよ。殺すのは面白くもないしな」

「なら、ギフトだけでも貰っておきましょう。蛇神様ご本人を倒されましたからきっと凄い物がいただけますよ」

そう言って黒ウサギは蛇神に近づき何かを貰う。

「見てください!こんなに大きな水樹の苗を貰いました!コレがあれば他所のコミュニティから水を買う必要がなくなります!」

黒ウサギは貰った水樹の苗を抱え大喜びする。

そんな中、十六夜、栞、柊人、皐は冷静に黒ウサギを見ていた。

「おい、黒ウサギ。お前、俺達に隠してることがあるだろ?」

十六夜の言葉に黒ウサギは身を強張らせる。

「な、なんのことですか?箱庭の話ならお答えすると約束しましたし、ゲームの事も」

「違うわ。私達が聞いてるのは貴女たちのこと。……どうして貴女たちは私達を呼び出す必要があったの?」

「そ、それは、皆様にオモシロオカシク過ごしてもらおうと…」

「俺達も初めは純粋な好意か誰かの遊び心で呼び出されたと思った。異論があがらなかったってことは俺達だけじゃなく他の四人も箱庭に来るだけの理由があったんだろうよ」

「だから、貴女たちの事情なんて特に気にもしない。でも、私たちには黒ウサギが必死に見える」

十六夜と栞の言葉に黒ウサギは俯く。

「黒ウサギ、これ以上は無理だ」

「ルーシャ!」

黒ウサギの背後からルーシャが現れ、十六夜達の前に出る。

「十六夜、申し訳ない。初めからお前たちに本当のことを話すべきだった」

「どういうことだ?」

「黒ウサギ……いいな?」

ルーシャの言葉に黒ウサギは無言で頷く。

「俺達のコミュニティには名乗るべき名が無い。だからその他大勢の意“ノーネーム”と呼ばれてる。そして、コミュニティのデリトリーを示し、コミュニティにとっては命でもある旗印も無い。そして、コミュニティの中核を成す仲間は一人も残ってない。俺と黒ウサギ、リーダーのジン以外は十歳以下の子供だけだ」

「お前はゲームに参加しないのか?見た所、お前と黒ウサギはよっぽど強いように見えるが」

「それは黒ウサギから説明します」

今度は黒ウサギが前に出て説明をする。

「黒ウサギ達、月の兎もとい“箱庭の貴族”は“審判権限(ジャッジマスター)”と呼ばれる特権を所持しています。“審判権限(ジャッジマスター)”を持つものが審判を務めるゲームではルール違反は即敗北を意味します。そして“審判権限(ジャッジマスター)”を所持する代償としていくつかの“縛り”があります。一つ ギフトゲームの審判を務めた日より数えて十五日間はゲームに参加できない。二つ “主催者(ホスト)”の認可を取らなければゲームに参加できない。三つ 箱庭の外で行われてるゲームには参加できない。黒ウサギの審判稼業はコミュニティでの唯一の稼ぎでしたので、必然とゲームに参加する機会も少なかったのですよ」

黒ウサギの言葉に一同は納得する。

「ルーシャはどうなの?」

「実を申しますと、ルーシャはこんな下層に居るべき人材ではありません。本来は箱庭のもっと上層に居るべき人材です」

「要するに、実力があり過ぎて下層でのギフトゲームは出来ないってことですか?」

皐の言葉に黒ウサギは頷く。

「ルーシャはその実力から下層での行動はおろか下層に降りることすら許されておりません。ですがルーシャは黒ウサギ達のコミュニティに入るために本来の力を封印しました」

「崖っぷちだな」

「これも全て箱庭の天災、魔王のせいだ」

魔王、その単語に十六夜と栞は反応した。

「魔王!?なんだよそれ超カッコイイじゃねえか!」

「良いネーミングじゃない。そんな者までいるなんて箱庭って本当に素敵ね」

「お前たちが思い描いてる魔王とは少し異なるぞ。魔王ってのは“主催者権限(ホストマスター)”っていう特権階級を持つ修羅神仏で挑まれたら最後断ることは出来ない」

その説明に皐は何かに気付き、そのことについて聞きだした。

「貴方たちのコミュニティはその魔王に戦いを挑まれ、そして、名と旗印を奪われた。そういうことですね」

「ああ」

皐の質問にルーシャは頷き肯定する。

「新しく名と旗印を作るのはダメなのか?」

「確かに名と旗印を改めてたら最低限の人材はコミュニティに残ってたはずだ。だが、それは同時にコミュニティの完全解散を意味する」

「私達は……仲間が帰ってくる場所を守りたい!そのために異世界からの召喚と言う最終手段に望みを賭けたのです!」

黒ウサギは涙目になり話す。

「魔王から誇りと仲間を取り戻すため、どうかその力、我々に貸していただけないでしょうか……!」

「いきなり呼び出して、揚句本当の事も言わなかった。お前たちには面白くない事だろう。だが、俺達にはもうこの方法しかなかったんだ!頼む!土下座でも何でもする!だがら、その力、貸してくれ!」

頭を下げてお願いする黒ウサギとルーシャ。

「魔王から誇りと仲間の奪還………ねぇ。いいな、それ」

「………は?」

十六夜の言葉に黒ウサギは意味が分からなかった。

「は?じゃねえよ。協力してやるってんだよ。それとも、俺の力は必要ないってか?」

「い、いえ!十六夜さんの力は必要です!」

「素直でよろしい。こんなデタラメで面白い世界に呼び出してくれたんだ。そのぶんの働きはしてやる」

「私もよ。こんなに素敵な場所に招待してもらったのに何もしないのは私の主義に反するわ。私程度の力でよければ喜んで貸すわ」

「微量ながら私もお力添えします」

「俺も力を貸す」

四人とも黒ウサギ達のコミュニティの為力を貸すことを了承してくれた。

そのことに黒ウサギは喜ぶと同時に反省もした。

いくらコミュニティの危機とは言え本当のことを隠し、彼らを利用しようとした。

それでは得られる信用も得られない。

新しい同士になってくれるかもしれない人たちに失礼な行動をとってしまった。

(帰ったらあのお二人にも説明しなければ)

改めてそう思い黒ウサギは飛鳥と耀にも本当のことを話そうと決意した。












「はい?」

リーダーのジンと飛鳥、耀がいるカフェテラスに行くと黒ウサギは衝撃的なことが聞こえ、思わず自分の耳を疑った。

「もう一度言うわ」

黒ウサギの目の前に居る飛鳥は笑顔を浮かべながら一枚の紙を握っていた。














「ギフトゲームをすることになったわよ」

自分の知らない所で異世界からの訪問者二名は問題を起こしていた。
 
 

 
後書き
ガルドの話は省略します。

飛鳥、耀、ジンの三名と原作メンバーしかいないので原作と殆ど同じになるからです。 
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